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王国の闇
第788話 大将軍ロラン
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「ロラン団長、いや……ロラン大将軍!!久しぶりだな、僕の顔を覚えているか?」
「その声、それにそのお顔は……アルト王子ですか!?」
城壁の上からアルトが声をかけるとロランは驚愕の表情を浮かべるが、すぐに冷静な態度へ戻る。
「お久しぶりですな、アルト王子!!こうしてまともに顔を合わせるのは数年ぶりか!!しかし、今は昔話をする時間はありませぬ!!どうか城門を開いて我々を受け入れてくれ!!」
「それなんだか、君達は王命を受けて戻ってきたと言ったな!!だが、僕は君達が戻ってくるという話は何も聞かされていない!!」
「これは異な事を……我々は陛下の命令でこの度戻ってきたのです!!」
アルトの言葉を聞いてロランは側近の騎士に振り返ると、すぐに騎士は書状を取り出す。それは王家の印が刻まれた書状であり、その内容は猛虎騎士団の王都への帰還を促す内容であった。双眼鏡を使ってアルトは書状の内容を確認し、更に王家の印が刻まれている事を知る。
「ご確認できたか!?さあ、我々を受け入れてくだされ!!昔話は城に戻ってからでもよろしいでしょう!!」
「……ロラン大将軍、その前に聞かせてほしい!!」
アルトが書状を確認した後、ロランは城門を開くように催促するが、そんな彼に対してアルトはロランの真意を知るために問い質す。
「大将軍が忠義を誓うのは誰なのか、それを今のこの場ではっきりと教えてくれ!!」
「王子!?」
「いったい何を……」
仮にもこの国の大将軍に対して普通ならば聞くまでもない質問を行い、その言葉を聞いて他の兵士が戸惑う。本物の忠臣に対してこんな言葉を告げた場合、それは侮辱と取られてもおかしくはない。
だが、アルトの質問に対してロランは険しい表情を浮かべるが、そこに怒りを浮かべる様子はなく、堂々と彼は答えた。
「無論、この国のために生涯の忠誠を誓いましょう!!」
「……それが答えか」
ロランの言葉を聞いてアルトは表情を険しくさせ、事情を知らない人間からすればロランの発言は正に忠臣の鏡のように聞こえるが、彼は暗に「国のために仕える」と伝えた。
国に仕えるという事はそれは国を治める王族に仕えるという意味ではなく、言葉通りに国のためだけに尽くすという意味を差している。それは国の発展に邪魔となるのならば王族であろうと排するという意味もある。
(やはり、ロラン大将軍と宰相は繋がっていたか……!!)
よりにもよってこの国の宰相と大将軍が繋がりを持っている事にアルトは嘆き、同時に納得してしまう。これまでにシンの不正が明るみに出なかったのも大将軍の立場であるロランも隠蔽に関わっており、ここへ来るまではアルトも二人が国家に仇を為す存在だと露とも思わなかった。
このまま猛虎騎士団を王都内に入れるのはまずい気はするが、それを止める力はアルトにはない。ここで下手にアルトが猛虎騎士団を通さないように命じても兵士達は従わず、宰相と繋がりを持つ者達が彼等を通そうとするだろう。
「……城門を開け、大将軍を迎え入れろ」
「はっ!!城門を開け!!」
アルトの言葉を聞いて城壁の兵士達はやっと動き出し、ゆっくりと城門が開かれる。その様子を見てロランは猛虎騎士団を率いて王都へ入ろうとした時、ここで城壁から降りたアルトが彼等の前に立ちはだかる。
「大将軍」
「アルト王子……こうして近くで顔を合わせるのは数年ぶりですな。しかし、今は我々も急いでいる身なので失礼させてもらう」
「いや、駄目だ」
「何?」
ロランと向かい合ったアルトは奥の手を使い、彼の前に座り込む。その様子を見て何の真似かとロランは思ったが、アルトはこの時にマントを脱いで自分の服の下を見せた。その行為に兵士達は驚くが、アルトの身に付けている物を見て更に驚愕した。
「動くな!!動けばこの魔石を爆発させるぞ!!」
「なっ!?」
「お、王子!?」
「いったい何の真似を!?」
――アルトは服の下に多数の魔石を取り付けており、それらを見た他の者達は顔色を青くした。彼が身に付けているのは可燃性が高い火属性の魔石であり、しかも魔石の一つには壊裂と呼ばれる魔道具も取り付けられていた。
「その声、それにそのお顔は……アルト王子ですか!?」
城壁の上からアルトが声をかけるとロランは驚愕の表情を浮かべるが、すぐに冷静な態度へ戻る。
「お久しぶりですな、アルト王子!!こうしてまともに顔を合わせるのは数年ぶりか!!しかし、今は昔話をする時間はありませぬ!!どうか城門を開いて我々を受け入れてくれ!!」
「それなんだか、君達は王命を受けて戻ってきたと言ったな!!だが、僕は君達が戻ってくるという話は何も聞かされていない!!」
「これは異な事を……我々は陛下の命令でこの度戻ってきたのです!!」
アルトの言葉を聞いてロランは側近の騎士に振り返ると、すぐに騎士は書状を取り出す。それは王家の印が刻まれた書状であり、その内容は猛虎騎士団の王都への帰還を促す内容であった。双眼鏡を使ってアルトは書状の内容を確認し、更に王家の印が刻まれている事を知る。
「ご確認できたか!?さあ、我々を受け入れてくだされ!!昔話は城に戻ってからでもよろしいでしょう!!」
「……ロラン大将軍、その前に聞かせてほしい!!」
アルトが書状を確認した後、ロランは城門を開くように催促するが、そんな彼に対してアルトはロランの真意を知るために問い質す。
「大将軍が忠義を誓うのは誰なのか、それを今のこの場ではっきりと教えてくれ!!」
「王子!?」
「いったい何を……」
仮にもこの国の大将軍に対して普通ならば聞くまでもない質問を行い、その言葉を聞いて他の兵士が戸惑う。本物の忠臣に対してこんな言葉を告げた場合、それは侮辱と取られてもおかしくはない。
だが、アルトの質問に対してロランは険しい表情を浮かべるが、そこに怒りを浮かべる様子はなく、堂々と彼は答えた。
「無論、この国のために生涯の忠誠を誓いましょう!!」
「……それが答えか」
ロランの言葉を聞いてアルトは表情を険しくさせ、事情を知らない人間からすればロランの発言は正に忠臣の鏡のように聞こえるが、彼は暗に「国のために仕える」と伝えた。
国に仕えるという事はそれは国を治める王族に仕えるという意味ではなく、言葉通りに国のためだけに尽くすという意味を差している。それは国の発展に邪魔となるのならば王族であろうと排するという意味もある。
(やはり、ロラン大将軍と宰相は繋がっていたか……!!)
よりにもよってこの国の宰相と大将軍が繋がりを持っている事にアルトは嘆き、同時に納得してしまう。これまでにシンの不正が明るみに出なかったのも大将軍の立場であるロランも隠蔽に関わっており、ここへ来るまではアルトも二人が国家に仇を為す存在だと露とも思わなかった。
このまま猛虎騎士団を王都内に入れるのはまずい気はするが、それを止める力はアルトにはない。ここで下手にアルトが猛虎騎士団を通さないように命じても兵士達は従わず、宰相と繋がりを持つ者達が彼等を通そうとするだろう。
「……城門を開け、大将軍を迎え入れろ」
「はっ!!城門を開け!!」
アルトの言葉を聞いて城壁の兵士達はやっと動き出し、ゆっくりと城門が開かれる。その様子を見てロランは猛虎騎士団を率いて王都へ入ろうとした時、ここで城壁から降りたアルトが彼等の前に立ちはだかる。
「大将軍」
「アルト王子……こうして近くで顔を合わせるのは数年ぶりですな。しかし、今は我々も急いでいる身なので失礼させてもらう」
「いや、駄目だ」
「何?」
ロランと向かい合ったアルトは奥の手を使い、彼の前に座り込む。その様子を見て何の真似かとロランは思ったが、アルトはこの時にマントを脱いで自分の服の下を見せた。その行為に兵士達は驚くが、アルトの身に付けている物を見て更に驚愕した。
「動くな!!動けばこの魔石を爆発させるぞ!!」
「なっ!?」
「お、王子!?」
「いったい何の真似を!?」
――アルトは服の下に多数の魔石を取り付けており、それらを見た他の者達は顔色を青くした。彼が身に付けているのは可燃性が高い火属性の魔石であり、しかも魔石の一つには壊裂と呼ばれる魔道具も取り付けられていた。
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