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王都の異変
第610話 観察力
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「や、止めろ!!離せ、私を誰だと思っている!?無礼だぞ、貴様等!!」
「あら、では貴方は何者ですの?お応えなさい!!」
「な、何だと……!?」
取り囲まれた男は騎士に対して怒鳴り散らすが、そんな彼に対してドリスは余裕の態度で質問する。男はドリスの顔を見て困惑し、全く物怖じしない彼女に焦る。
この時にナイも男の行動に違和感を感じ、ここである事を思い出す。ドリスは先ほどの会話で貴族が出歩く時は馬車を利用するか、あるいは護衛を付けるという話を思い出したが、目の前の男は馬車も護衛も付けていないで外を歩いていた。
「この人、まさか……」
「ええ、この地区の人間ではありませんわね。きっと、貴族を狙った強盗ですわ」
「ふ、ふざけるな!!貴様等、こんな真似をして許されると思っているのか!?私は貴族だぞ!!」
「おかしいですわね、この富豪区に暮らす貴族とは私はほぼ全員が顔見知りのはずですが、貴方の顔は見覚えがありませんわね」
「な、何だと……!?」
「控えろ下郎!!この御方を誰だと心得ている、フレア公爵家の御息女ドリス様だぞ!!」
「えっ!?あ、あの!?」
ドリスの配下の一人が公爵家のメダルを取り出し、それを見せつけると男は顔面蒼白し、その一方でドリスは男に向けて言い放つ。
「この地区で私の顔を知らぬ貴族などおりませんわ!!第一に貴方の身に付けている服、外見は貴族に寄せていますがどれも低級品ですわね。この私の目は誤魔化せませんわ!!」
「く、くそっ……!!」
男を一目見ただけでドリスは彼が貴族ではないと悟り、そして捕まえた時に男が貴族を騙った時点で彼女は男を貴族に扮した犯罪者だと見破る――
――その後、男は取り調べを行った結果、服の中から凶器が発見された。しかも毒物まで所有しており、どうやら富豪区の貴族を襲って金をせしめようと貴族風の格好を装って富豪区に立ち寄ったらしい。
すぐに男は連行され、強盗を未然に防ぐ事に成功した。最もあの程度の犯罪者ならば別に捕まえなかったとしても貴族を襲っても護衛に返り討ちにされ、捕まる事は目に見えていた。それでも事件を未然に阻止出来た事に間違いなく、ドリスはナイを褒め称えた。
「ナイさんのお陰で強盗犯を捕まえる事ができましたわ。流石はナイさんですわね」
「あ、いや……でもドリスさんもよく見ただけであの人が犯罪者だと分かりましたね」
「あら、あの程度の犯罪者などナイさんでもきっと見抜けますわ。戦闘に置いても観察力がどれほど大事なのかご存じでしょう?観察力を磨き、相手の怪しい部分を一瞬で見抜けなければ副団長など勤まりませんわ」
「観察力……」
ドリスの言葉にナイは納得し、彼女の言う通りにこれまでの戦闘でもナイは相手を観察し、弱点を見抜いて戦う事の重要性を思い出す。優れた観察力を身に付ければ戦闘以外でも役立ち、ドリスのように怪しい人物を一瞬で見抜ける。
改めてナイはドリスが立派な王国騎士である事を思い知らされ、彼女の元にいれば色々とな学ぶ事があるかもしれないと思う。最も騎士団に入るかどうかを急いで決める必要はないため、焦らずに考える事にした。
「それでは見回りを続けますわよ。ナイさんも怪しい人をまた見かけたら教えてください」
「はい、分かりました」
ナイはドリスの言葉に頷き、この時に観察力を高める「観察眼」の技能を発動させて見回りを行う。ドリスの言う通りにナイは常に観察力を高め、街道を移動する。
(観察力を高める……確かに大切な事だよな)
この日は特に事件は起きなかったが、ナイはドリスの言う事をしっかりと覚えて置く事にした――
――それから数日の時が流れ、金狼騎士団の団員としてナイは彼等と共に仕事を共にした。金狼騎士団は団員も多いため、二組に分けて見回りは交替で行う。片方は富豪区の見回りを行う間、もう片方は戦闘訓練を行う。
「行きますわよ、ナイさん!!」
「はい!!」
ナイは直々にドリスと稽古を受け、稽古の際はお互いに木刀で戦い、魔剣などの類は使用しない。ドリスに対してナイは木刀を打ち込み、ここまで一度も彼女から一本も取れていない。
普段は魔槍を扱うドリスだが、他の武器の扱いも一流であり、ナイはこれまでにドリスと何十回も組手を行ったが、一度も勝った事はない。単純な身体能力はナイが上なのだが、剣の技量はやはりドリスがずっと上だった。
「そこですわ!!」
「うぐっ!?」
「一本!!それまで!!」
隙を突かれてナイは鳩尾に木刀を打ち込まれ、痛みで膝を着く。その様子を見ていた審判役の団員がドリスの勝利を宣言すると、周囲の団員は歓声を上げる。
「流石は副団長……剣の稽古となるとあのナイさんでも敵わないのか」
「俺達はあの怪力に一発でやられるのに……」
「あの少年はバッシュ王子を破ったと聞いていたが、その相手を圧倒するとは……」
ドリス以外の団員ともナイは稽古を行っているが、彼女以外にナイを打ち破った団員はいない。大抵の人間はナイの攻撃を受けただけで吹き飛び、勝負にもならなかった。
「あら、では貴方は何者ですの?お応えなさい!!」
「な、何だと……!?」
取り囲まれた男は騎士に対して怒鳴り散らすが、そんな彼に対してドリスは余裕の態度で質問する。男はドリスの顔を見て困惑し、全く物怖じしない彼女に焦る。
この時にナイも男の行動に違和感を感じ、ここである事を思い出す。ドリスは先ほどの会話で貴族が出歩く時は馬車を利用するか、あるいは護衛を付けるという話を思い出したが、目の前の男は馬車も護衛も付けていないで外を歩いていた。
「この人、まさか……」
「ええ、この地区の人間ではありませんわね。きっと、貴族を狙った強盗ですわ」
「ふ、ふざけるな!!貴様等、こんな真似をして許されると思っているのか!?私は貴族だぞ!!」
「おかしいですわね、この富豪区に暮らす貴族とは私はほぼ全員が顔見知りのはずですが、貴方の顔は見覚えがありませんわね」
「な、何だと……!?」
「控えろ下郎!!この御方を誰だと心得ている、フレア公爵家の御息女ドリス様だぞ!!」
「えっ!?あ、あの!?」
ドリスの配下の一人が公爵家のメダルを取り出し、それを見せつけると男は顔面蒼白し、その一方でドリスは男に向けて言い放つ。
「この地区で私の顔を知らぬ貴族などおりませんわ!!第一に貴方の身に付けている服、外見は貴族に寄せていますがどれも低級品ですわね。この私の目は誤魔化せませんわ!!」
「く、くそっ……!!」
男を一目見ただけでドリスは彼が貴族ではないと悟り、そして捕まえた時に男が貴族を騙った時点で彼女は男を貴族に扮した犯罪者だと見破る――
――その後、男は取り調べを行った結果、服の中から凶器が発見された。しかも毒物まで所有しており、どうやら富豪区の貴族を襲って金をせしめようと貴族風の格好を装って富豪区に立ち寄ったらしい。
すぐに男は連行され、強盗を未然に防ぐ事に成功した。最もあの程度の犯罪者ならば別に捕まえなかったとしても貴族を襲っても護衛に返り討ちにされ、捕まる事は目に見えていた。それでも事件を未然に阻止出来た事に間違いなく、ドリスはナイを褒め称えた。
「ナイさんのお陰で強盗犯を捕まえる事ができましたわ。流石はナイさんですわね」
「あ、いや……でもドリスさんもよく見ただけであの人が犯罪者だと分かりましたね」
「あら、あの程度の犯罪者などナイさんでもきっと見抜けますわ。戦闘に置いても観察力がどれほど大事なのかご存じでしょう?観察力を磨き、相手の怪しい部分を一瞬で見抜けなければ副団長など勤まりませんわ」
「観察力……」
ドリスの言葉にナイは納得し、彼女の言う通りにこれまでの戦闘でもナイは相手を観察し、弱点を見抜いて戦う事の重要性を思い出す。優れた観察力を身に付ければ戦闘以外でも役立ち、ドリスのように怪しい人物を一瞬で見抜ける。
改めてナイはドリスが立派な王国騎士である事を思い知らされ、彼女の元にいれば色々とな学ぶ事があるかもしれないと思う。最も騎士団に入るかどうかを急いで決める必要はないため、焦らずに考える事にした。
「それでは見回りを続けますわよ。ナイさんも怪しい人をまた見かけたら教えてください」
「はい、分かりました」
ナイはドリスの言葉に頷き、この時に観察力を高める「観察眼」の技能を発動させて見回りを行う。ドリスの言う通りにナイは常に観察力を高め、街道を移動する。
(観察力を高める……確かに大切な事だよな)
この日は特に事件は起きなかったが、ナイはドリスの言う事をしっかりと覚えて置く事にした――
――それから数日の時が流れ、金狼騎士団の団員としてナイは彼等と共に仕事を共にした。金狼騎士団は団員も多いため、二組に分けて見回りは交替で行う。片方は富豪区の見回りを行う間、もう片方は戦闘訓練を行う。
「行きますわよ、ナイさん!!」
「はい!!」
ナイは直々にドリスと稽古を受け、稽古の際はお互いに木刀で戦い、魔剣などの類は使用しない。ドリスに対してナイは木刀を打ち込み、ここまで一度も彼女から一本も取れていない。
普段は魔槍を扱うドリスだが、他の武器の扱いも一流であり、ナイはこれまでにドリスと何十回も組手を行ったが、一度も勝った事はない。単純な身体能力はナイが上なのだが、剣の技量はやはりドリスがずっと上だった。
「そこですわ!!」
「うぐっ!?」
「一本!!それまで!!」
隙を突かれてナイは鳩尾に木刀を打ち込まれ、痛みで膝を着く。その様子を見ていた審判役の団員がドリスの勝利を宣言すると、周囲の団員は歓声を上げる。
「流石は副団長……剣の稽古となるとあのナイさんでも敵わないのか」
「俺達はあの怪力に一発でやられるのに……」
「あの少年はバッシュ王子を破ったと聞いていたが、その相手を圧倒するとは……」
ドリス以外の団員ともナイは稽古を行っているが、彼女以外にナイを打ち破った団員はいない。大抵の人間はナイの攻撃を受けただけで吹き飛び、勝負にもならなかった。
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