471 / 1,110
ゴブリンキングの脅威
第458話 敵か味方か……
しおりを挟む
結局はイリアの小樽型爆弾は途中まではビャクが加えて運び込み、誰にも触れられない様に厳重に保管しておく。もしも間違って爆発したらこの船が木っ端みじんになるため、厳重に管理する必要があった。
「ふうっ、とりあえずはこれで終了しました。ここまで運んでくれてありがとうございます。お駄賃をあげましょう、銅貨一枚ぐらいでいいですか?」
「いや、子供ですかっ!!」
「わ~い、やったぁっ!!」
「「子供がいた!?」」
銅貨一枚を渡されて喜ぶモモにナイとヒナは突っ込みを入れるが、とりあえずはイリアの仕事は果たしたらしく、彼女は欠伸しながら自分の部屋に戻る事を告げた。
「じゃあ、私は眠いので戻らさせていただきますね。皆さん、おやすみなさい」
「お、おやすみなさい……」
「あ、そうだ……ナイさん、私の薬は飲みました?」
「え?」
帰る際にイリアは思い出したようにナイに振り返り、彼女の言葉を聞いてナイは以前にイリアから魔力回復薬を受け取った事を思い出す。まだ薬は手元に残しており、飲んでいない事を伝える。
「いえ、まだ使ってませんけど……」
「そうですか……一応、私の自信作なんですけど飲んだ時の感想を聞かせてください。回復効果とか、喉越しとか……」
「はあ……分かりました」
「ではおやすみなさい」
イリアは意味深な表情を浮かべると、今度こそ自分の部屋へと戻っていく。その様子を見てナイは不思議に思うが、ヒナとモモと共に見張りへと戻る――
――廊下を歩いている最中、イリアは途中である部屋の前を通り過ぎた。そこは暗殺者四名を閉じ込め、後に死体で発見された場所である。現在は部屋は封鎖され、見張りも立っていない。
イリアは通り過ぎる際に一度だけ部屋に視線を向け、改めて自分の部屋へと戻る。実はこの部屋からイリアが使用している部屋はそれほど遠くではなく、彼女は自分の部屋へと戻ると中の様子を確認する。
(……誰かが入ってきましたね)
部屋の中に入った途端にイリアは「観察眼」の技能を発動させ、微妙に部屋の中の家具の位置が移動している事に気付く。恐らくはイリアがいない間に部屋の中を何者かが入り込み、調査を行ったのだろう。
部屋の中には調合の際に利用する器具も存在し、薬を作り出すための素材も用意している。それらの類も調べられた形跡が残っており、イリアは鼻を鳴らす。
「いったい誰の仕業ですかね……アッシュ公爵か、あるいは……」
不敵な笑みを浮かべながらイリアはベッドの上に座り込み、普段から身に着けている荷物の中から紫色の花を取り出す。
「さて……私も自分の仕事を果たしますかね」
イリアは机の上に調合器具を並べ、紫色の花を利用してある薬の調合を行う。彼女は薬師としても一流の腕を誇り、瞬く間に彼女の手元に紫色の液体が入った薬瓶が誕生する。
「さあ、行きましょうかね……あの人の所に」
薬瓶を手にしたイリアは自分の部屋を出ていくと、もう一人の魔導士が休んでいる場所へ向かう――
「ふうっ、とりあえずはこれで終了しました。ここまで運んでくれてありがとうございます。お駄賃をあげましょう、銅貨一枚ぐらいでいいですか?」
「いや、子供ですかっ!!」
「わ~い、やったぁっ!!」
「「子供がいた!?」」
銅貨一枚を渡されて喜ぶモモにナイとヒナは突っ込みを入れるが、とりあえずはイリアの仕事は果たしたらしく、彼女は欠伸しながら自分の部屋に戻る事を告げた。
「じゃあ、私は眠いので戻らさせていただきますね。皆さん、おやすみなさい」
「お、おやすみなさい……」
「あ、そうだ……ナイさん、私の薬は飲みました?」
「え?」
帰る際にイリアは思い出したようにナイに振り返り、彼女の言葉を聞いてナイは以前にイリアから魔力回復薬を受け取った事を思い出す。まだ薬は手元に残しており、飲んでいない事を伝える。
「いえ、まだ使ってませんけど……」
「そうですか……一応、私の自信作なんですけど飲んだ時の感想を聞かせてください。回復効果とか、喉越しとか……」
「はあ……分かりました」
「ではおやすみなさい」
イリアは意味深な表情を浮かべると、今度こそ自分の部屋へと戻っていく。その様子を見てナイは不思議に思うが、ヒナとモモと共に見張りへと戻る――
――廊下を歩いている最中、イリアは途中である部屋の前を通り過ぎた。そこは暗殺者四名を閉じ込め、後に死体で発見された場所である。現在は部屋は封鎖され、見張りも立っていない。
イリアは通り過ぎる際に一度だけ部屋に視線を向け、改めて自分の部屋へと戻る。実はこの部屋からイリアが使用している部屋はそれほど遠くではなく、彼女は自分の部屋へと戻ると中の様子を確認する。
(……誰かが入ってきましたね)
部屋の中に入った途端にイリアは「観察眼」の技能を発動させ、微妙に部屋の中の家具の位置が移動している事に気付く。恐らくはイリアがいない間に部屋の中を何者かが入り込み、調査を行ったのだろう。
部屋の中には調合の際に利用する器具も存在し、薬を作り出すための素材も用意している。それらの類も調べられた形跡が残っており、イリアは鼻を鳴らす。
「いったい誰の仕業ですかね……アッシュ公爵か、あるいは……」
不敵な笑みを浮かべながらイリアはベッドの上に座り込み、普段から身に着けている荷物の中から紫色の花を取り出す。
「さて……私も自分の仕事を果たしますかね」
イリアは机の上に調合器具を並べ、紫色の花を利用してある薬の調合を行う。彼女は薬師としても一流の腕を誇り、瞬く間に彼女の手元に紫色の液体が入った薬瓶が誕生する。
「さあ、行きましょうかね……あの人の所に」
薬瓶を手にしたイリアは自分の部屋を出ていくと、もう一人の魔導士が休んでいる場所へ向かう――
3
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
物語のようにはいかない
わらびもち
恋愛
転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。
そう、言われる方ではなく『言う』方。
しかも言ってしまってから一年は経過している。
そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。
え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?
いや、そもそも修復可能なの?
発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?
せめて失言『前』に転生していればよかったのに!
自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。
夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。
かわいそうな旦那様‥
みるみる
恋愛
侯爵令嬢リリアのもとに、公爵家の長男テオから婚約の申し込みがありました。ですが、テオはある未亡人に惚れ込んでいて、まだ若くて性的魅力のかけらもないリリアには、本当は全く異性として興味を持っていなかったのです。
そんなテオに、リリアはある提案をしました。
「‥白い結婚のまま、三年後に私と離縁して下さい。」
テオはその提案を承諾しました。
そんな二人の結婚生活は‥‥。
※題名の「かわいそうな旦那様」については、客観的に見ていると、この旦那のどこが?となると思いますが、主人公の旦那に対する皮肉的な意味も込めて、あえてこの題名にしました。
※小説家になろうにも投稿中
※本編完結しましたが、補足したい話がある為番外編を少しだけ投稿しますm(_ _)m
少年売買契約
眠りん
BL
殺人現場を目撃した事により、誘拐されて闇市場で売られてしまった少年。
闇オークションで買われた先で「お前は道具だ」と言われてから自我をなくし、道具なのだと自分に言い聞かせた。
性の道具となり、人としての尊厳を奪われた少年に救いの手を差し伸べるのは──。
表紙:右京 梓様
※胸糞要素がありますがハッピーエンドです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました
ユユ
恋愛
毎夜天使が私を犯す。
それは王家から婚約の打診があったときから
始まった。
体の弱い父を領地で支えながら暮らす母。
2人は私の異変に気付くこともない。
こんなこと誰にも言えない。
彼の支配から逃れなくてはならないのに
侯爵家のキングは私を放さない。
* 作り話です
傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~
日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】
https://ncode.syosetu.com/n1741iq/
https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199
【小説家になろうで先行公開中】
https://ncode.syosetu.com/n0091ip/
働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。
地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる