441 / 1,110
ゴブリンキングの脅威
第429話 旧聖女騎士団
しおりを挟む
「紹介するよ、こいつらはあたしと同じく聖女騎士団に所属していた団員達さ。揃いも揃って王都に戻って来た奴等さ」
「へえ、この子達があんたの子供かい?全然似てないね」
「よろしくな、お嬢ちゃんたち」
「待て、一人は男の子だぞ」
「え、えっと……」
「ど、どうも……」
三人の女性の迫力にヒナとモモは気圧され、誰も彼もがテンと同様に只者ではない雰囲気を纏っていた。格好から見る限りに三人とも傭兵だと思われ、テンによると自分のように聖女騎士団の解散後も王都に残っていた者達だと告げる。
「こいつらはあたしと同じようにここで新しい居場所を探して残っていた連中さ。どいつもこいつも腕っぷししか自慢できないから、傭兵稼業で今日まで食いつないできたみたいでね。全く、碌でもない奴等ばかりさ」
「あんたに言われる筋合いはないよ!!ひとりだけちゃっかり指導官なんて立場で食いつないできた癖に!!」
「宿屋の主人なら宿屋だけで稼げ!!」
「全く、相変わらずだな……」
「いててっ!?ちょ、離しなっ!!」
テンの言葉に人間と森人族の傭兵は彼女に突っかかり、その様子を巨人族の女性は呆れた様子で見下ろす。そんな彼女達のやり取りを見てナイ達は呆気に取られ、ここまでテンに馴れ馴れしい態度を取れる3人組に驚く。
どうやら3人ともテンと同じく聖女騎士団に所属していた猛者である事は間違いなく、しかも傭兵として常に戦い続けてきたのでテンのように実力は殆ど衰えていない。
「たく、うちのガキどもが驚いてるだろうが。それと、こいつらはあくまで私が面倒を見ているだけだ。本当の子供じゃないよ」
「それがどうしたっていうの?血が繋がってなかろうと関係ないでしょ、うちの傭兵団だって子供を何人も抱えているよ。そんな事より……初めまして、私はテンの友人のアリシアだよ」
「え、アリシア……?」
「まさか、イリアさんのお母さん!?」
森人族の女性が自己紹介を行うとナイ達は驚き、イリアの話だと王都から離れた街で傭兵団を結成していると聞いていたが、どうしてその彼女がここにいるのかと戸惑う。
「ああ、こいつはイリアの母親で間違いないよ。私も驚いたけどね、偶々こっちに来てたんだよ」
「火竜が復活するかもしれないという噂を聞きつけてやってきたんだけどね、結局は私達の出番はなかったね。折角、火竜の素材を手に入れる好機だと思ったのに……」
「馬鹿、火竜を舐めんじゃないよ。あんた程度でどうにかなる相手じゃないよ!!」
「はっ、現役を引退して力が衰えてるあんたでも生き残れるような相手だろう?なら、私の傭兵団だけでも十分何とかできたよ」
「喧嘩売ってんのかい!?」
「やるかい!?」
「ちょ、ちょっと!!落ち着いて下さい!!」
今にも喧嘩しそうな雰囲気なテンとアリシアをナイは落ち着かせようとすると、二人は同時に腕を振り払う。
「「邪魔だよ!!」」
「うわぁっ!?」
「キャインッ!?」
「な、ナイ君!?」
「嘘っ!?ナイ君が吹っ飛ばされた!?」
火竜とゴーレムキングの戦いを経てより強くなったナイだが、テンとアリシアが同時に腕を振り払っただけで派手に吹き飛ぶ。この時にビャクの身体に当たってしまい、慌ててモモとヒナが手を貸す。
アリシアもテンと負けないほどの腕力を誇るらしく、傭兵団の頭を務めるだけの力を持っている。他の二人も恐らくはテンと同等かそれ以上の実力を誇り、王国最強の騎士団に所属していたという話も納得できた。
「ナイ君、大丈夫?何処か怪我してない?」
「へ、平気だよ……ふうっ、びっくりした」
「クゥ~ンッ……」
「へえ、今のを受けて平気と言い張るのかい……中々頑丈だね、あんたの息子かい?」
「だからこいつらはあたしの本当の子供じゃないと言っただろ……それに舐めない方が良いよ。ああ見えてもあたしよりも腕力に関しては優れているからね」
「へえっ……あんな子供が」
アリシアは自分に吹っ飛ばされても特に怪我もせず立ち上がったナイを見て感心し、更にテンの話を聞いて興味を抱いた様に彼を見つめる。
一見するだけではとても強そうには見えないが、武人としての勘がナイが只者ではないと告げる。彼女はナイの背負っている二つの大剣に視線を向け、笑みを浮かべた。
「ちょいとその力、確かめさせて貰うよ」
「ちょ、待ちな!?」
「えっ?」
起き上がったナイに対してアリシアは腰に差していた「レイピア」を引き抜き、ナイの元に向かおうとした。それを見たテンは止めようとしたが、その前に彼女の前に立ちはだかる人物が居た。
「いい加減にしろ!!」
「うわっ!?」
ナイを救ったのは片目を眼帯で覆い隠した女性であり、彼女は目にも止まらぬ速度でアリシアの先回りをすると、双剣を抜いて彼女に刃を振り抜く。咄嗟にアリシアはレイピアで弾き返すが、もしも不用意に突っ込んでいたらアリシアの身体は切り裂かれていただろう。
「へえ、この子達があんたの子供かい?全然似てないね」
「よろしくな、お嬢ちゃんたち」
「待て、一人は男の子だぞ」
「え、えっと……」
「ど、どうも……」
三人の女性の迫力にヒナとモモは気圧され、誰も彼もがテンと同様に只者ではない雰囲気を纏っていた。格好から見る限りに三人とも傭兵だと思われ、テンによると自分のように聖女騎士団の解散後も王都に残っていた者達だと告げる。
「こいつらはあたしと同じようにここで新しい居場所を探して残っていた連中さ。どいつもこいつも腕っぷししか自慢できないから、傭兵稼業で今日まで食いつないできたみたいでね。全く、碌でもない奴等ばかりさ」
「あんたに言われる筋合いはないよ!!ひとりだけちゃっかり指導官なんて立場で食いつないできた癖に!!」
「宿屋の主人なら宿屋だけで稼げ!!」
「全く、相変わらずだな……」
「いててっ!?ちょ、離しなっ!!」
テンの言葉に人間と森人族の傭兵は彼女に突っかかり、その様子を巨人族の女性は呆れた様子で見下ろす。そんな彼女達のやり取りを見てナイ達は呆気に取られ、ここまでテンに馴れ馴れしい態度を取れる3人組に驚く。
どうやら3人ともテンと同じく聖女騎士団に所属していた猛者である事は間違いなく、しかも傭兵として常に戦い続けてきたのでテンのように実力は殆ど衰えていない。
「たく、うちのガキどもが驚いてるだろうが。それと、こいつらはあくまで私が面倒を見ているだけだ。本当の子供じゃないよ」
「それがどうしたっていうの?血が繋がってなかろうと関係ないでしょ、うちの傭兵団だって子供を何人も抱えているよ。そんな事より……初めまして、私はテンの友人のアリシアだよ」
「え、アリシア……?」
「まさか、イリアさんのお母さん!?」
森人族の女性が自己紹介を行うとナイ達は驚き、イリアの話だと王都から離れた街で傭兵団を結成していると聞いていたが、どうしてその彼女がここにいるのかと戸惑う。
「ああ、こいつはイリアの母親で間違いないよ。私も驚いたけどね、偶々こっちに来てたんだよ」
「火竜が復活するかもしれないという噂を聞きつけてやってきたんだけどね、結局は私達の出番はなかったね。折角、火竜の素材を手に入れる好機だと思ったのに……」
「馬鹿、火竜を舐めんじゃないよ。あんた程度でどうにかなる相手じゃないよ!!」
「はっ、現役を引退して力が衰えてるあんたでも生き残れるような相手だろう?なら、私の傭兵団だけでも十分何とかできたよ」
「喧嘩売ってんのかい!?」
「やるかい!?」
「ちょ、ちょっと!!落ち着いて下さい!!」
今にも喧嘩しそうな雰囲気なテンとアリシアをナイは落ち着かせようとすると、二人は同時に腕を振り払う。
「「邪魔だよ!!」」
「うわぁっ!?」
「キャインッ!?」
「な、ナイ君!?」
「嘘っ!?ナイ君が吹っ飛ばされた!?」
火竜とゴーレムキングの戦いを経てより強くなったナイだが、テンとアリシアが同時に腕を振り払っただけで派手に吹き飛ぶ。この時にビャクの身体に当たってしまい、慌ててモモとヒナが手を貸す。
アリシアもテンと負けないほどの腕力を誇るらしく、傭兵団の頭を務めるだけの力を持っている。他の二人も恐らくはテンと同等かそれ以上の実力を誇り、王国最強の騎士団に所属していたという話も納得できた。
「ナイ君、大丈夫?何処か怪我してない?」
「へ、平気だよ……ふうっ、びっくりした」
「クゥ~ンッ……」
「へえ、今のを受けて平気と言い張るのかい……中々頑丈だね、あんたの息子かい?」
「だからこいつらはあたしの本当の子供じゃないと言っただろ……それに舐めない方が良いよ。ああ見えてもあたしよりも腕力に関しては優れているからね」
「へえっ……あんな子供が」
アリシアは自分に吹っ飛ばされても特に怪我もせず立ち上がったナイを見て感心し、更にテンの話を聞いて興味を抱いた様に彼を見つめる。
一見するだけではとても強そうには見えないが、武人としての勘がナイが只者ではないと告げる。彼女はナイの背負っている二つの大剣に視線を向け、笑みを浮かべた。
「ちょいとその力、確かめさせて貰うよ」
「ちょ、待ちな!?」
「えっ?」
起き上がったナイに対してアリシアは腰に差していた「レイピア」を引き抜き、ナイの元に向かおうとした。それを見たテンは止めようとしたが、その前に彼女の前に立ちはだかる人物が居た。
「いい加減にしろ!!」
「うわっ!?」
ナイを救ったのは片目を眼帯で覆い隠した女性であり、彼女は目にも止まらぬ速度でアリシアの先回りをすると、双剣を抜いて彼女に刃を振り抜く。咄嗟にアリシアはレイピアで弾き返すが、もしも不用意に突っ込んでいたらアリシアの身体は切り裂かれていただろう。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
物語のようにはいかない
わらびもち
恋愛
転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。
そう、言われる方ではなく『言う』方。
しかも言ってしまってから一年は経過している。
そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。
え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?
いや、そもそも修復可能なの?
発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?
せめて失言『前』に転生していればよかったのに!
自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。
夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。
かわいそうな旦那様‥
みるみる
恋愛
侯爵令嬢リリアのもとに、公爵家の長男テオから婚約の申し込みがありました。ですが、テオはある未亡人に惚れ込んでいて、まだ若くて性的魅力のかけらもないリリアには、本当は全く異性として興味を持っていなかったのです。
そんなテオに、リリアはある提案をしました。
「‥白い結婚のまま、三年後に私と離縁して下さい。」
テオはその提案を承諾しました。
そんな二人の結婚生活は‥‥。
※題名の「かわいそうな旦那様」については、客観的に見ていると、この旦那のどこが?となると思いますが、主人公の旦那に対する皮肉的な意味も込めて、あえてこの題名にしました。
※小説家になろうにも投稿中
※本編完結しましたが、補足したい話がある為番外編を少しだけ投稿しますm(_ _)m
少年売買契約
眠りん
BL
殺人現場を目撃した事により、誘拐されて闇市場で売られてしまった少年。
闇オークションで買われた先で「お前は道具だ」と言われてから自我をなくし、道具なのだと自分に言い聞かせた。
性の道具となり、人としての尊厳を奪われた少年に救いの手を差し伸べるのは──。
表紙:右京 梓様
※胸糞要素がありますがハッピーエンドです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました
ユユ
恋愛
毎夜天使が私を犯す。
それは王家から婚約の打診があったときから
始まった。
体の弱い父を領地で支えながら暮らす母。
2人は私の異変に気付くこともない。
こんなこと誰にも言えない。
彼の支配から逃れなくてはならないのに
侯爵家のキングは私を放さない。
* 作り話です
傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~
日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】
https://ncode.syosetu.com/n1741iq/
https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199
【小説家になろうで先行公開中】
https://ncode.syosetu.com/n0091ip/
働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。
地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる