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グマグ火山決戦編
第379話 火炎放射
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「な、何だ!?」
「ナイ君、嫌な予感がする!!早く離れて!!」
「オォオオオッ……!!」
レッドゴーレムの全身から発せられていた熱気が収まり、その代わりに徐々に頭部の部分が光り輝く。その様子をみたナイとリーナは嫌な予感を抱き、すぐに距離を取ろうとした。
『アガァアアアアッ――!!』
二人が別々に離れた瞬間、レッドゴーレムは口内から火炎放射を想像させる勢いで火属性の魔力を放ち、直線状に存在した草木を焼き尽くす。その威力は凄まじく、もしもまともに受けていたら人間など跡形もなく焼却される。
さらにレッドゴーレムは口を動かして火炎を吐き続け、ナイとリーナは巻き込まれないように逃げるのが精いっぱいだった。
「わああっ!?」
「くっ……いい加減にしろ!!」
「アガァッ……!?」
このままでは焼き殺されると思ったナイは咄嗟に左腕を構え、腕鉄鋼からフックショットを放つ。先端に取り付けられたミスリルの刃がレッドゴーレムの眉間に的中し、弾かれてしまう。
流石にミスリルの刃でもレッドゴーレムの肉体には突き刺さらなかったが、集中力を乱されたのかレッドゴーレムは火炎放射を辞め、その間にナイとリーナは戦闘態勢を整える。
(良かった、上手く当てられた……命中の技能を覚えておいて正解だったな)
咄嗟にナイはフックショットを放ったが、狙い通りに的中した事に安堵する。先日に覚えたばかりの「命中」の技能が役立ち、フックショットの武器の類でも技能が効果を発揮する事が証明された。
その一方でリーナは槍を構え、彼女はレッドゴーレムを仕留めるために意識を集中させる。先ほどは失敗したが、今度こそ蒼月の力を使おうと彼女は魔法槍を発動させる。
「ナイ君、離れてて!!こいつは僕の蒼月で……!!」
「リーナ!?駄目だ、そいつは……」
「ゴアッ……!?」
蒼月に冷気を纏わせ、リーナはレッドゴーレムに向けて駆け出す。先ほどの火炎放射の影響なのか、レッドゴーレムの動作は鈍く、近づいてくるリーナに反応できなかった。
「やああああっ!!」
「アガァッ!?」
リーナが気合の込めた一撃を放つと、レッドゴーレムの胸元に目掛けて彼女は再度槍を突き出す。その結果、レッドゴーレムの肉体が凍結化を始め、その様子を見ていたナイは驚く。
(凍った!?そうか、旋斧よりも蒼月の方が水属性の魔法剣(槍)の威力が高いから……)
先ほどナイの魔法剣はレッドゴーレムに防がれたが、それは魔力の出力が弱かったからであり、蒼月の場合は旋斧以上の出力で魔力を引き出せるため、如何にレッドゴーレムでも攻撃を防ぐ事はできなかった。
リーナの攻撃によってレッドゴーレムは凍り付き、やがて全身の色が黒く変色していく。遂にはレッドゴーレムの氷像が出来上がると、胸元に輝いていた経験石も光が弱まり、それを確認した彼女は汗を流しながらも槍を下ろす。
「はあっ……はあっ……や、やった」
「リーナ、大丈夫!?」
「へ、平気……とはいえないかな」
ナイは慌ててリーナの元に駆けつけると、彼女はナイに苦笑いを浮かべ、地面に倒れ込もうとした。慌ててナイはリーナを抱き上げると、彼女はレッドゴーレムに視線を向けた。
「い、今の攻撃だけで僕の魔力を使い切っちゃった……でも、これぐらいしないと倒せないと思って」
「無理に喋らなくていいよ……でも、倒したんだよね」
「うん、それは間違いないと思う」
二人は氷像と化したレッドゴーレムを見上げ、既に事切れているのか動く様子はない。得体の知れない不気味な相手ではあったが、ナイはリーナに肩を貸して離れようとした。
「とにかく、皆の所へ戻らないと……」
「ご、ごめんね……」
「おい、あんたら!!こんな所にいたのかい!?」
「いったい何が起きたんですか!?」
「ナイ、無事?」
何処からか聞き覚えのある声が響き、ナイは視線を向けるとそこには自分達の元へ駆けつけるテン達の姿が存在した。それを確認したナイは安心しかけた時、不意に後ろから物音が聞こえたような気がした。
「えっ?」
「ナイ君、どうしたの……!?」
急に振り返ったナイにリーナは不思議そうに自分も顔を向けると、そこには信じられない光景が映し出された。氷像と化したはずのレッドゴーレムの胸元の宝石が輝きを取り戻し、僅かに身体が揺れていた。
完全に凍結したと思われていたレッドゴーレムの全身から蒸気が発生し、やがて凍結化した肉体が元に戻り、僅か数秒足らずで元の状態へと戻ってしまう。
「ゴガァアアアアッ!!」
「そ、そんな!?」
「まさか……!?」
「な、何だいそいつは!?」
「レッドゴーレム……どうしてここに!?」
「二人とも、早く離れて!!」
氷像の状態から復活を果たしたレッドゴーレムを見て慌ててテン達は駆けつけるが、リーナは先の魔法槍で力を使い果たし、彼女に肩を貸しているナイも上手く動けない。その間にレッドゴーレムは二人に攻撃を加えようとした。
「ナイ君、嫌な予感がする!!早く離れて!!」
「オォオオオッ……!!」
レッドゴーレムの全身から発せられていた熱気が収まり、その代わりに徐々に頭部の部分が光り輝く。その様子をみたナイとリーナは嫌な予感を抱き、すぐに距離を取ろうとした。
『アガァアアアアッ――!!』
二人が別々に離れた瞬間、レッドゴーレムは口内から火炎放射を想像させる勢いで火属性の魔力を放ち、直線状に存在した草木を焼き尽くす。その威力は凄まじく、もしもまともに受けていたら人間など跡形もなく焼却される。
さらにレッドゴーレムは口を動かして火炎を吐き続け、ナイとリーナは巻き込まれないように逃げるのが精いっぱいだった。
「わああっ!?」
「くっ……いい加減にしろ!!」
「アガァッ……!?」
このままでは焼き殺されると思ったナイは咄嗟に左腕を構え、腕鉄鋼からフックショットを放つ。先端に取り付けられたミスリルの刃がレッドゴーレムの眉間に的中し、弾かれてしまう。
流石にミスリルの刃でもレッドゴーレムの肉体には突き刺さらなかったが、集中力を乱されたのかレッドゴーレムは火炎放射を辞め、その間にナイとリーナは戦闘態勢を整える。
(良かった、上手く当てられた……命中の技能を覚えておいて正解だったな)
咄嗟にナイはフックショットを放ったが、狙い通りに的中した事に安堵する。先日に覚えたばかりの「命中」の技能が役立ち、フックショットの武器の類でも技能が効果を発揮する事が証明された。
その一方でリーナは槍を構え、彼女はレッドゴーレムを仕留めるために意識を集中させる。先ほどは失敗したが、今度こそ蒼月の力を使おうと彼女は魔法槍を発動させる。
「ナイ君、離れてて!!こいつは僕の蒼月で……!!」
「リーナ!?駄目だ、そいつは……」
「ゴアッ……!?」
蒼月に冷気を纏わせ、リーナはレッドゴーレムに向けて駆け出す。先ほどの火炎放射の影響なのか、レッドゴーレムの動作は鈍く、近づいてくるリーナに反応できなかった。
「やああああっ!!」
「アガァッ!?」
リーナが気合の込めた一撃を放つと、レッドゴーレムの胸元に目掛けて彼女は再度槍を突き出す。その結果、レッドゴーレムの肉体が凍結化を始め、その様子を見ていたナイは驚く。
(凍った!?そうか、旋斧よりも蒼月の方が水属性の魔法剣(槍)の威力が高いから……)
先ほどナイの魔法剣はレッドゴーレムに防がれたが、それは魔力の出力が弱かったからであり、蒼月の場合は旋斧以上の出力で魔力を引き出せるため、如何にレッドゴーレムでも攻撃を防ぐ事はできなかった。
リーナの攻撃によってレッドゴーレムは凍り付き、やがて全身の色が黒く変色していく。遂にはレッドゴーレムの氷像が出来上がると、胸元に輝いていた経験石も光が弱まり、それを確認した彼女は汗を流しながらも槍を下ろす。
「はあっ……はあっ……や、やった」
「リーナ、大丈夫!?」
「へ、平気……とはいえないかな」
ナイは慌ててリーナの元に駆けつけると、彼女はナイに苦笑いを浮かべ、地面に倒れ込もうとした。慌ててナイはリーナを抱き上げると、彼女はレッドゴーレムに視線を向けた。
「い、今の攻撃だけで僕の魔力を使い切っちゃった……でも、これぐらいしないと倒せないと思って」
「無理に喋らなくていいよ……でも、倒したんだよね」
「うん、それは間違いないと思う」
二人は氷像と化したレッドゴーレムを見上げ、既に事切れているのか動く様子はない。得体の知れない不気味な相手ではあったが、ナイはリーナに肩を貸して離れようとした。
「とにかく、皆の所へ戻らないと……」
「ご、ごめんね……」
「おい、あんたら!!こんな所にいたのかい!?」
「いったい何が起きたんですか!?」
「ナイ、無事?」
何処からか聞き覚えのある声が響き、ナイは視線を向けるとそこには自分達の元へ駆けつけるテン達の姿が存在した。それを確認したナイは安心しかけた時、不意に後ろから物音が聞こえたような気がした。
「えっ?」
「ナイ君、どうしたの……!?」
急に振り返ったナイにリーナは不思議そうに自分も顔を向けると、そこには信じられない光景が映し出された。氷像と化したはずのレッドゴーレムの胸元の宝石が輝きを取り戻し、僅かに身体が揺れていた。
完全に凍結したと思われていたレッドゴーレムの全身から蒸気が発生し、やがて凍結化した肉体が元に戻り、僅か数秒足らずで元の状態へと戻ってしまう。
「ゴガァアアアアッ!!」
「そ、そんな!?」
「まさか……!?」
「な、何だいそいつは!?」
「レッドゴーレム……どうしてここに!?」
「二人とも、早く離れて!!」
氷像の状態から復活を果たしたレッドゴーレムを見て慌ててテン達は駆けつけるが、リーナは先の魔法槍で力を使い果たし、彼女に肩を貸しているナイも上手く動けない。その間にレッドゴーレムは二人に攻撃を加えようとした。
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