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グマグ火山決戦編
第368話 専属騎士の重大性
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「バッシュ王子……ナイは仮にもアルト王子の世話になっている身だと知ってる上で言ってるのかい?王子は今、引き抜きをしようとしているんだよ」
「承知の上だ……アルトには悪いが、先日の闘技場の試合を見せられてはもう黙ってはいられない。それにドリスの問題もある」
「ドリス?」
「あれ、そういえば……バッシュ王子の専属騎士はドリス副団長でしたよね?」
「専属騎士は国王陛下を除いた王族は一人しか許されないはず……ナイを専属騎士に雇う場合はドリス副団長が専属騎士を辞めなければならない」
バッシュは既に自分が管理する金狼騎士団の副団長のドリスを専属騎士にしており、もしもナイを本気で専属騎士にする場合は必然的にドリスは専属騎士の座から下りなければならない。
ドリスは公爵家の令嬢にして騎士としての実力も確かであるため、バッシュの専属騎士に選ばれるのは当然の話だった。しかし、ナイの場合は平民の出身でしかも実力は確かだが年齢が若すぎる。それにも関わらずにバッシュはナイを専属騎士に迎え入れようとする理由があった。
「ドリスは確かに優秀な騎士だ。いや、優秀過ぎたというべきか……」
「優秀過ぎた?どういう意味だい?」
「テン指導官も知っているだろう。ドリスの夢は今は失われた聖女騎士団のような女騎士だけで構成された騎士団を結成し、自分は団長になりという夢を……」
「ああ、そういえば……ガキの頃にそんな話を聞かされたね」
テンはドリスが今よりも若い頃、彼女から聖女騎士団の女騎士のように立派な王国騎士を目指し、何時の日か自分の騎士団を持ちたいという話は聞いていた。最初は子供の夢だと思ってテンはあまり本気にしていなかったが、バッシュによると彼女は未だにその夢を諦めていないという。
「ドリスの実力ならば騎士団を設立し、その団長を務める実力はある。そもそも金狼騎士団も本来ならば俺ではなく、ドリスの方が団長に相応しい。俺が団長を務めているのは王子という立場上、団長以外の座に就くしかなかっただけだ」
「そんな……金狼騎士団はバッシュ王子様があってこその騎士団ですよ。気にされる必要は……」
「いや、ドリスとは子供の頃の付き合いだ。だからこそ、あいつの夢をずっと聞かされてきた……これは王子としではなく、幼馴染としてドリスの夢を叶えてやりたいと思っている」
ドリスのためにもバッシュは彼女の代わりとなる専属騎士を探す必要があり、そこで真っ先にバッシュが目を付けたのはナイだった。ナイは年齢的には成人しておらず、残念ながら金狼騎士団の規則で彼を今すぐに加入させる事は出来ない。
しかし、ナイは15才なのであと3年も経過すれば正式にナイは金狼騎士団に加入できる。そこで経験を積み、実力を身に着ければナイを専属騎士にしてドリスを金狼騎士団に留める理由はなくなる。そうなればバッシュはドリスのために彼女を団長にした新しい騎士団を設立するつもりだった。
「ナイ、俺は本気だ。お前ならばドリスにも劣らない優秀な騎士になれる。そのために俺も力を貸そう……俺に付いて来ればいずれお前はこの国の王の騎士となれる。悪い話じゃないだろう」
「騎士、か……」
「ナイさん!!バッシュ王子がここまで言うんですよ!?これは凄い事なんです、真剣に考えた方がいいですよ!!」
「ナイが王国騎士になるのは嬉しい……でも、私達と一緒にいられなくなりそう」
「まあ、それは仕方ないね……」
ナイが王国騎士になれば立場的にはヒイロとミイナと同格になる。だが、二人は白狼騎士団の騎士であり、ナイの場合は金狼騎士団に騎士になると今まで通りに接する事は出来ない。
いきなり持ちかけられた話にナイは戸惑い、返事に困ってしまう。内容が内容だけに今すぐにバッシュもナイに選択は迫らず、その場を去ろうとした。
「返事は今すぐでなくてもいい。どうせ三年もあるんだからな」
「あっ……はい」
「……だが、良い答えを期待しているぞ」
バッシュはそれだけを言い残すと立ち去り、残された者はナイに視線を向けた。ナイはいきなりの話で戸惑うが、バッシュが自分の事をそこまで評価してくれた事に驚きを隠せない。
(僕が王国騎士か……考えた事もなかった)
これまでナイは自分がどんな職業に就きたいのか分からず、旅をしてきた。自分が何をしたいのか、どんな事ができるのか、それを確かめるために旅に出た部分もある。しかし、まさか王子の専属騎士になれるかもしれない事に戸惑う。
(う~ん……騎士、か)
ナイは自分が王国騎士の格好になってバッシュの隣に立つ姿を想像してみるが、いまいちピンとこなかった――
「承知の上だ……アルトには悪いが、先日の闘技場の試合を見せられてはもう黙ってはいられない。それにドリスの問題もある」
「ドリス?」
「あれ、そういえば……バッシュ王子の専属騎士はドリス副団長でしたよね?」
「専属騎士は国王陛下を除いた王族は一人しか許されないはず……ナイを専属騎士に雇う場合はドリス副団長が専属騎士を辞めなければならない」
バッシュは既に自分が管理する金狼騎士団の副団長のドリスを専属騎士にしており、もしもナイを本気で専属騎士にする場合は必然的にドリスは専属騎士の座から下りなければならない。
ドリスは公爵家の令嬢にして騎士としての実力も確かであるため、バッシュの専属騎士に選ばれるのは当然の話だった。しかし、ナイの場合は平民の出身でしかも実力は確かだが年齢が若すぎる。それにも関わらずにバッシュはナイを専属騎士に迎え入れようとする理由があった。
「ドリスは確かに優秀な騎士だ。いや、優秀過ぎたというべきか……」
「優秀過ぎた?どういう意味だい?」
「テン指導官も知っているだろう。ドリスの夢は今は失われた聖女騎士団のような女騎士だけで構成された騎士団を結成し、自分は団長になりという夢を……」
「ああ、そういえば……ガキの頃にそんな話を聞かされたね」
テンはドリスが今よりも若い頃、彼女から聖女騎士団の女騎士のように立派な王国騎士を目指し、何時の日か自分の騎士団を持ちたいという話は聞いていた。最初は子供の夢だと思ってテンはあまり本気にしていなかったが、バッシュによると彼女は未だにその夢を諦めていないという。
「ドリスの実力ならば騎士団を設立し、その団長を務める実力はある。そもそも金狼騎士団も本来ならば俺ではなく、ドリスの方が団長に相応しい。俺が団長を務めているのは王子という立場上、団長以外の座に就くしかなかっただけだ」
「そんな……金狼騎士団はバッシュ王子様があってこその騎士団ですよ。気にされる必要は……」
「いや、ドリスとは子供の頃の付き合いだ。だからこそ、あいつの夢をずっと聞かされてきた……これは王子としではなく、幼馴染としてドリスの夢を叶えてやりたいと思っている」
ドリスのためにもバッシュは彼女の代わりとなる専属騎士を探す必要があり、そこで真っ先にバッシュが目を付けたのはナイだった。ナイは年齢的には成人しておらず、残念ながら金狼騎士団の規則で彼を今すぐに加入させる事は出来ない。
しかし、ナイは15才なのであと3年も経過すれば正式にナイは金狼騎士団に加入できる。そこで経験を積み、実力を身に着ければナイを専属騎士にしてドリスを金狼騎士団に留める理由はなくなる。そうなればバッシュはドリスのために彼女を団長にした新しい騎士団を設立するつもりだった。
「ナイ、俺は本気だ。お前ならばドリスにも劣らない優秀な騎士になれる。そのために俺も力を貸そう……俺に付いて来ればいずれお前はこの国の王の騎士となれる。悪い話じゃないだろう」
「騎士、か……」
「ナイさん!!バッシュ王子がここまで言うんですよ!?これは凄い事なんです、真剣に考えた方がいいですよ!!」
「ナイが王国騎士になるのは嬉しい……でも、私達と一緒にいられなくなりそう」
「まあ、それは仕方ないね……」
ナイが王国騎士になれば立場的にはヒイロとミイナと同格になる。だが、二人は白狼騎士団の騎士であり、ナイの場合は金狼騎士団に騎士になると今まで通りに接する事は出来ない。
いきなり持ちかけられた話にナイは戸惑い、返事に困ってしまう。内容が内容だけに今すぐにバッシュもナイに選択は迫らず、その場を去ろうとした。
「返事は今すぐでなくてもいい。どうせ三年もあるんだからな」
「あっ……はい」
「……だが、良い答えを期待しているぞ」
バッシュはそれだけを言い残すと立ち去り、残された者はナイに視線を向けた。ナイはいきなりの話で戸惑うが、バッシュが自分の事をそこまで評価してくれた事に驚きを隠せない。
(僕が王国騎士か……考えた事もなかった)
これまでナイは自分がどんな職業に就きたいのか分からず、旅をしてきた。自分が何をしたいのか、どんな事ができるのか、それを確かめるために旅に出た部分もある。しかし、まさか王子の専属騎士になれるかもしれない事に戸惑う。
(う~ん……騎士、か)
ナイは自分が王国騎士の格好になってバッシュの隣に立つ姿を想像してみるが、いまいちピンとこなかった――
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