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旋斧の秘密
第296話 マホからの贈り物
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「そういえばお主に渡す物がある。もしも王都でお主にあった場合、これを渡す様に頼まれていたのだ」
「え?」
マジクは思い出したように懐から腕輪を取り出し、それをナイに渡す。ナイは不思議に思いながらも腕輪を受け取ると、それを見たアルトが驚いた声を上げる。
「これは……魔術師が扱う魔法腕輪じゃないか」
「魔法腕輪?」
「魔石をなどを取り付けて魔法の発動の補助を行う魔道具だよ。これがあれば杖がなくても魔法を発動する事が出来るんだ」
「え?でもナイさんは魔術師じゃありませんよ?」
魔法腕輪の説明を聞いたヒイロは戸惑い、確かに彼女の言う通りにナイは魔術師ではない。腕輪を受け取ったとしても魔法が扱えなければ意味はないと思われるが、すぐにナイが扱える魔法がある事をミイナが指摘する。
「忘れたの?ナイは回復魔法を扱える事を」
「あ、そうでしたね……」
言われてみればナイが回復魔法も扱える事をヒイロは思い出し、腕輪に聖属性の魔石でも嵌め込んでおけば回復魔法の補助も行える。最もナイは魔石を利用して回復魔法を施した事はないため、魔石を使えばどの程度の補助を受けられるのか少し気になった。
マホが用意してくれた腕輪は銀色に光り輝いており、七つの窪みが存在した。この窪みにどうやら各属性の魔石を嵌め込めるらしく、右腕に装着を行う。左腕の方はドルトンの闘拳を装着しているので装備する事が出来なかった。
「どうかな?似合ってる?」
「うん、悪くはないんじゃないかい。だけど、肝心の魔石を装着しないとただの腕輪だからね。良かったら僕が用意してあげようか?」
「え?いや、そこまでしてもらわなくても……」
「それならば儂が代わりに魔石を用意してやっても構わんぞ。その代わりと言っては何だが……頼みごとを聞いてくれるか?」
話を聞いていたマジクが口を挟み、腕輪に嵌め込む魔石を渡す代わりに自分の頼みを聞いてくれという彼の言葉にナイは驚くと、マジクは場所を移動するように促す。
「ここではなんだから儂のもっと落ち着ける場所に向かおう。ここからだと食堂が近いな……よろしいですかな王子様?」
「ああ、分かった。今日の実験はここまでにしておこう、ナイ君を任せるよ」
「では行こうか」
「あ、はい……」
マジクの言葉にナイは頷き、今日の仕事を終えたという事でアルトの元から去る。マジクに連れられる形でナイは食堂へと向かう――
――食堂に辿り着くとナイは机を挟んでマジクと向かい合い、今更ながらに自分と対峙している人物が魔導士である事を意識すると緊張を抱く。相手はマホと同格の魔術師であり、国内においても重要な立場を担う男性である。
「まあ、そう緊張する必要はない。お茶でも飲んでくつろぐがいい」
「は、はあっ……」
マジクは薬草を煎じた薬茶を用意してくれ、それをナイは飲む。正直に言えばあまり美味い物でもないが、身体には良い物らしく、これを飲み続ければ大きな病気にもかからずに長生きできるという風潮まである。
「わざわざこんな場所まで付いて来てもらってすまんのう。だが、どうしてもお主に頼みたいことがあった」
「頼みたいことですか……それは何ですか?」
「うむ、お主の事は色々と聞いておる。マホ殿からお主が普通の子供ではない事もな」
「……僕が忌み子だと知ってるんですね」
ナイはマジクの言葉を聞いて表情を変え、自分が忌み子である事をマジクはマホから聞いている事を知る。ナイが忌み子である事を知っている人物は少ないが、ドルトンの昔からの知り合いであるマホも彼の事情は知っていた。
忌み子という単語を口にした途端にナイの態度が変化した事に気付いたマジクは神妙な表情を浮かべ、彼は誤解されないために話を続ける。
「すまん、今のは儂の言い方が悪かったな……だが、お主の話をマホ殿から聞いた時から色々と気になってな」
「気になる?」
「マホ殿によればお主の技能の「貧弱」は強制的にレベルを1に戻す技能だと聞いて居る。しかし、噂によるとお主はこれまでに様々な魔物を狩ってきた事は知っている。どうしてレベル1でありながらそこまでの力を手に入れたのか教えてほしいのだ」
「ああ、そういう事ですか……なら、長くなりますけどいいですか?」
「構わん、教えてくれるか?」
ナイはマジクに確認を取ると、普段は隠しているペンダントを取り出す。このペンダントは陽光教会のヨウと別れる時に受け取った代物であり、このペンダントに取り付けある水晶を利用すれば自分のステータスを確認する事が出来る。
水晶を窓からこぼれる日の光に照らすと、水晶が輝きだして机の上に光の文章が照らされる。それを見たマジクは驚き、その一方でナイも久々に自分のステータスの確認を行う。
「え?」
マジクは思い出したように懐から腕輪を取り出し、それをナイに渡す。ナイは不思議に思いながらも腕輪を受け取ると、それを見たアルトが驚いた声を上げる。
「これは……魔術師が扱う魔法腕輪じゃないか」
「魔法腕輪?」
「魔石をなどを取り付けて魔法の発動の補助を行う魔道具だよ。これがあれば杖がなくても魔法を発動する事が出来るんだ」
「え?でもナイさんは魔術師じゃありませんよ?」
魔法腕輪の説明を聞いたヒイロは戸惑い、確かに彼女の言う通りにナイは魔術師ではない。腕輪を受け取ったとしても魔法が扱えなければ意味はないと思われるが、すぐにナイが扱える魔法がある事をミイナが指摘する。
「忘れたの?ナイは回復魔法を扱える事を」
「あ、そうでしたね……」
言われてみればナイが回復魔法も扱える事をヒイロは思い出し、腕輪に聖属性の魔石でも嵌め込んでおけば回復魔法の補助も行える。最もナイは魔石を利用して回復魔法を施した事はないため、魔石を使えばどの程度の補助を受けられるのか少し気になった。
マホが用意してくれた腕輪は銀色に光り輝いており、七つの窪みが存在した。この窪みにどうやら各属性の魔石を嵌め込めるらしく、右腕に装着を行う。左腕の方はドルトンの闘拳を装着しているので装備する事が出来なかった。
「どうかな?似合ってる?」
「うん、悪くはないんじゃないかい。だけど、肝心の魔石を装着しないとただの腕輪だからね。良かったら僕が用意してあげようか?」
「え?いや、そこまでしてもらわなくても……」
「それならば儂が代わりに魔石を用意してやっても構わんぞ。その代わりと言っては何だが……頼みごとを聞いてくれるか?」
話を聞いていたマジクが口を挟み、腕輪に嵌め込む魔石を渡す代わりに自分の頼みを聞いてくれという彼の言葉にナイは驚くと、マジクは場所を移動するように促す。
「ここではなんだから儂のもっと落ち着ける場所に向かおう。ここからだと食堂が近いな……よろしいですかな王子様?」
「ああ、分かった。今日の実験はここまでにしておこう、ナイ君を任せるよ」
「では行こうか」
「あ、はい……」
マジクの言葉にナイは頷き、今日の仕事を終えたという事でアルトの元から去る。マジクに連れられる形でナイは食堂へと向かう――
――食堂に辿り着くとナイは机を挟んでマジクと向かい合い、今更ながらに自分と対峙している人物が魔導士である事を意識すると緊張を抱く。相手はマホと同格の魔術師であり、国内においても重要な立場を担う男性である。
「まあ、そう緊張する必要はない。お茶でも飲んでくつろぐがいい」
「は、はあっ……」
マジクは薬草を煎じた薬茶を用意してくれ、それをナイは飲む。正直に言えばあまり美味い物でもないが、身体には良い物らしく、これを飲み続ければ大きな病気にもかからずに長生きできるという風潮まである。
「わざわざこんな場所まで付いて来てもらってすまんのう。だが、どうしてもお主に頼みたいことがあった」
「頼みたいことですか……それは何ですか?」
「うむ、お主の事は色々と聞いておる。マホ殿からお主が普通の子供ではない事もな」
「……僕が忌み子だと知ってるんですね」
ナイはマジクの言葉を聞いて表情を変え、自分が忌み子である事をマジクはマホから聞いている事を知る。ナイが忌み子である事を知っている人物は少ないが、ドルトンの昔からの知り合いであるマホも彼の事情は知っていた。
忌み子という単語を口にした途端にナイの態度が変化した事に気付いたマジクは神妙な表情を浮かべ、彼は誤解されないために話を続ける。
「すまん、今のは儂の言い方が悪かったな……だが、お主の話をマホ殿から聞いた時から色々と気になってな」
「気になる?」
「マホ殿によればお主の技能の「貧弱」は強制的にレベルを1に戻す技能だと聞いて居る。しかし、噂によるとお主はこれまでに様々な魔物を狩ってきた事は知っている。どうしてレベル1でありながらそこまでの力を手に入れたのか教えてほしいのだ」
「ああ、そういう事ですか……なら、長くなりますけどいいですか?」
「構わん、教えてくれるか?」
ナイはマジクに確認を取ると、普段は隠しているペンダントを取り出す。このペンダントは陽光教会のヨウと別れる時に受け取った代物であり、このペンダントに取り付けある水晶を利用すれば自分のステータスを確認する事が出来る。
水晶を窓からこぼれる日の光に照らすと、水晶が輝きだして机の上に光の文章が照らされる。それを見たマジクは驚き、その一方でナイも久々に自分のステータスの確認を行う。
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