291 / 1,110
旋斧の秘密
第282話 そもそも魔剣とは何か?
しおりを挟む
「ヒイロが持っている烈火は彼女の意志に従って刀身に刃を宿す事が出来る。つまり、火属性の魔力の素質が扱える人間なら炎の魔法剣を扱える事ができるんだ」
「魔法剣……」
「烈火は刀身に宿った炎の形を変化させたり、火力を上昇させる事もできるんですよ!!制御が難しいので滅多にやりませんが……」
「……へっぽこ剣士」
「だ、誰がへっぽこですか!?」
ヒイロは自分の持っている烈火を自慢げに語るが、その隣でミイナが呆れた様に口を挟む。話を聞いていたナイはある疑問を抱く。
「ヒイロは烈火以外の剣に魔法剣を発動させる事はできないの?」
「い、いえ……やろうと思えばできると思いますけど、その場合だと色々と問題があるんです」
「問題?」
「普通の武器で魔法剣を発動しようとすると使用者と武器に大きな負担が掛かる。例えばヒイロが普通の剣で魔法剣を発動させようとすれば、常時火属性の魔力を送り続けなければならない。しかも武器全体が炎に覆われて黒焦げになるだろうね」
「え?でも、烈火は燃えても焦げ跡一つないのに……」
「それは魔剣だからだよ。魔剣とは魔法剣に耐えるために作り出された武器といっても過言ではないからね」
アルトによるとヒイロはその気になれば一応は普通の武器でも魔法剣は発動できるが、その場合だとヒイロの負担が大きくなる。
「ヒイロの烈火は火属性の魔力に強い魔法金属で構成されている。それに柄の部分は魔力を吸収する仕組みが施されているから、柄を通して魔力を吸い上げて刀身に炎を宿す。このお陰で余分な魔力を吸い上げれる事もなく、しかも吸い上げた魔力は一定の間は刀身に宿し続ける。つまり、魔力の節約を行えるんだよ」
「へえっ……それは普通の武器じゃできない事なんだ」
「はい、私も何度か普通の武器で魔法剣を使った事はありますけど、木造製の武器に魔法剣を使えば一瞬で燃えてしまいますし、かといって金属製の武器に使うと熱を宿して私自身が火傷を負いかねませんし……魔剣以外の武器で魔法剣を発動させるのは色々と危険なんです」
魔法金属で構成されている魔剣ならばともかく、普通の武器ではヒイロの魔法剣には耐え切れないらしく、彼女の肉体にも危険を及ぼす可能性が高い。だからこそヒイロは魔法剣を扱う時は烈火以外の武器には使用しない様に心掛けている。
「魔剣はそもそも魔法剣の使い手のために作り出された武器だと言われているからね。ヒイロが所持している烈火は火属性の魔力の使い手と相性がいいんだ。だから僕は彼女にその魔剣を託したんだ」
「え?という事は烈火は元々はアルトが持っていたの?」
「そういう事になるね、前に市場に赴いた時に偶然に売られていたのを買ったんだ。あの時はお買い得だったね、これが魔剣だと気付かずに骨董品として売られていた時は流石に笑ったよ」
「そうだったんですか!?初耳ですよ!?」
「ちなみに私の如意斧はテンから貰った」
「それは前に聞いたような気がする」
「あたしが騎士の時に偶然手に入れたもんだよ。まあ、時々にしか使ってなかったけどね」
ヒイロはアルトから託された烈火がまさか骨董品として売られていた物だとは知らず、彼女はてっきり王国の所有物だと思っていたため、アルトが偶然に手に入れた代物だと知って衝撃を受けた。
魔剣といっても多種多様存在し、ヒイロが所持する烈火は火属性の魔力を宿す事に特化した武器らしく、彼女のように火属性の適正が高い人間しか扱えない。ナイのように聖属性の適正が高い人間では烈火は扱い切れず、魔法剣すら発動させる事もできない。
「ヒイロの烈火は火属性の使い手が扱うために作り出された魔剣だが、ナイ君の旋斧の場合は今の所は分からないな……聖属性の魔力を吸い上げる機能はあるようだが、他の属性の魔力を吸い上げる機能を持つ魔剣なんて聞いた事もない」
「そうなの?」
「反魔の盾のように魔法の力を跳ね返す反鏡剣と呼ばれる魔剣はあるが、あらゆる属性の魔力を吸い上げてそれを刃に宿すような魔剣なんて僕も聞いた事も見た事もない。それほどの魔剣があるのならばどうして今まで無名だったのか……その旋斧は非常に興味深いね」
「そんなに凄い事なの?」
「凄い事さ、例えば君の旋斧は魔術師の砲撃魔法さえも吸収する可能性を持っているんだ。そんな魔剣の事が世間に知れ渡れば大勢の人間が狙うだろうね」
「え~!?そんなの困るよ、また泥棒さんに入られちゃう!!」
アルトの説明を聞いていたモモが声を上げ、ここでナイ達はアルトの元に訪れた理由を思い出す。旋斧の実験に付き合わされて忘れていたが、ここへ来た目的はアルトに相談するためであり、ナイは話を切り上げて彼に自分が泥棒に狙われている件を伝える。
「魔法剣……」
「烈火は刀身に宿った炎の形を変化させたり、火力を上昇させる事もできるんですよ!!制御が難しいので滅多にやりませんが……」
「……へっぽこ剣士」
「だ、誰がへっぽこですか!?」
ヒイロは自分の持っている烈火を自慢げに語るが、その隣でミイナが呆れた様に口を挟む。話を聞いていたナイはある疑問を抱く。
「ヒイロは烈火以外の剣に魔法剣を発動させる事はできないの?」
「い、いえ……やろうと思えばできると思いますけど、その場合だと色々と問題があるんです」
「問題?」
「普通の武器で魔法剣を発動しようとすると使用者と武器に大きな負担が掛かる。例えばヒイロが普通の剣で魔法剣を発動させようとすれば、常時火属性の魔力を送り続けなければならない。しかも武器全体が炎に覆われて黒焦げになるだろうね」
「え?でも、烈火は燃えても焦げ跡一つないのに……」
「それは魔剣だからだよ。魔剣とは魔法剣に耐えるために作り出された武器といっても過言ではないからね」
アルトによるとヒイロはその気になれば一応は普通の武器でも魔法剣は発動できるが、その場合だとヒイロの負担が大きくなる。
「ヒイロの烈火は火属性の魔力に強い魔法金属で構成されている。それに柄の部分は魔力を吸収する仕組みが施されているから、柄を通して魔力を吸い上げて刀身に炎を宿す。このお陰で余分な魔力を吸い上げれる事もなく、しかも吸い上げた魔力は一定の間は刀身に宿し続ける。つまり、魔力の節約を行えるんだよ」
「へえっ……それは普通の武器じゃできない事なんだ」
「はい、私も何度か普通の武器で魔法剣を使った事はありますけど、木造製の武器に魔法剣を使えば一瞬で燃えてしまいますし、かといって金属製の武器に使うと熱を宿して私自身が火傷を負いかねませんし……魔剣以外の武器で魔法剣を発動させるのは色々と危険なんです」
魔法金属で構成されている魔剣ならばともかく、普通の武器ではヒイロの魔法剣には耐え切れないらしく、彼女の肉体にも危険を及ぼす可能性が高い。だからこそヒイロは魔法剣を扱う時は烈火以外の武器には使用しない様に心掛けている。
「魔剣はそもそも魔法剣の使い手のために作り出された武器だと言われているからね。ヒイロが所持している烈火は火属性の魔力の使い手と相性がいいんだ。だから僕は彼女にその魔剣を託したんだ」
「え?という事は烈火は元々はアルトが持っていたの?」
「そういう事になるね、前に市場に赴いた時に偶然に売られていたのを買ったんだ。あの時はお買い得だったね、これが魔剣だと気付かずに骨董品として売られていた時は流石に笑ったよ」
「そうだったんですか!?初耳ですよ!?」
「ちなみに私の如意斧はテンから貰った」
「それは前に聞いたような気がする」
「あたしが騎士の時に偶然手に入れたもんだよ。まあ、時々にしか使ってなかったけどね」
ヒイロはアルトから託された烈火がまさか骨董品として売られていた物だとは知らず、彼女はてっきり王国の所有物だと思っていたため、アルトが偶然に手に入れた代物だと知って衝撃を受けた。
魔剣といっても多種多様存在し、ヒイロが所持する烈火は火属性の魔力を宿す事に特化した武器らしく、彼女のように火属性の適正が高い人間しか扱えない。ナイのように聖属性の適正が高い人間では烈火は扱い切れず、魔法剣すら発動させる事もできない。
「ヒイロの烈火は火属性の使い手が扱うために作り出された魔剣だが、ナイ君の旋斧の場合は今の所は分からないな……聖属性の魔力を吸い上げる機能はあるようだが、他の属性の魔力を吸い上げる機能を持つ魔剣なんて聞いた事もない」
「そうなの?」
「反魔の盾のように魔法の力を跳ね返す反鏡剣と呼ばれる魔剣はあるが、あらゆる属性の魔力を吸い上げてそれを刃に宿すような魔剣なんて僕も聞いた事も見た事もない。それほどの魔剣があるのならばどうして今まで無名だったのか……その旋斧は非常に興味深いね」
「そんなに凄い事なの?」
「凄い事さ、例えば君の旋斧は魔術師の砲撃魔法さえも吸収する可能性を持っているんだ。そんな魔剣の事が世間に知れ渡れば大勢の人間が狙うだろうね」
「え~!?そんなの困るよ、また泥棒さんに入られちゃう!!」
アルトの説明を聞いていたモモが声を上げ、ここでナイ達はアルトの元に訪れた理由を思い出す。旋斧の実験に付き合わされて忘れていたが、ここへ来た目的はアルトに相談するためであり、ナイは話を切り上げて彼に自分が泥棒に狙われている件を伝える。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!
十夜海
ファンタジー
母一人、子一人。
天涯孤独でたった二人の家族。
でも、高校の入学式へ向かう途中に居眠り運転のダンプカーに突っ込まれて二人仲良く死亡……。
私はどーでもいい、だって娘まで生まれた。でも、娘はまだ16歳なりかけ。なんで?なんで死ななきゃならない。
厳しい受験を乗り越えて、ようやくキャピキャピ楽しい高校生活だ。彼氏だってできるかもしれない。
頑張ったのに。私だって大学までやるために身を粉にして頑張ったのだ。
大学どころか、高校生活までできないなんて!
ひどい。
願ったのは、娘の幸せと恋愛!
気づけば異世界に……。
生きてる?やったね!
ん?でも高校ないじゃん!
え?魔法?あ、使える。
あれ?私がちっさい?
あれ?私……若い???
あれぇ?
なんとか娘を幸せな玉の輿に乗せるために頑張る母。
そんな母娘の異世界生活。
でも……おかしいな?なんで私が子供なんですか?
##R18で『なろう』で投稿中です。
ラブ少なめなので、R15でファンタジー系で手直ししつつ、こちらに投稿させていただきます。
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる