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王都での騒動
第271話 泥棒
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――ドリスの誕生日に呼ばれてから数日後、時刻は深夜を迎えた頃にナイが宿泊している扉の前で怪しい人影が立っていた。その人物は黒装束を着込み、鍵穴に針金を差し込む。
黒装束の男は鍵穴に針金を差し込んでからしばらくすると、鍵が開く音が鳴り響く。そこから先は慎重に男は取っ手を掴み、出来る限り音を立てない様に扉を開く。
部屋の内部に侵入した男はベッドを確認し、膨らんだ毛布を見て部屋の主が眠り込んでいると判断する。それを確認した男は部屋の中を見渡し、壁に立てかけられている旋斧と反魔の盾を発見した。
こっそりと男は旋斧と反魔の盾に手を伸ばそうとした瞬間、部屋の窓から影が差し込み、窓から白い狼が覗き込んでいる事に気付く。
「ウォンッ!!」
「どひゃあっ!?」
男は狼を見て悲鳴を上げると、その直後に男の背後から気配もなく腕が伸びると、男の身体を後ろから捕らえる。男は驚いた表情を浮かべて振り返ると、そこには寝間着姿のナイの姿があった。
「お、お前っ……寝ていたんじゃなかったのか!?」
「寝てたよ。でも、がちゃがちゃうるさくて起きたんだよ……ふんっ!!」
「ぐええっ……!?」
ナイは男の首を絞めつけると、男は悲鳴を上げて逃れようとしたが、巨人族の如き怪力で締め付けられては成す術がなく、すぐに意識を失う。男を気絶させたナイはため息吐くと、窓の外に立っていたビャクに礼を告げる。
「ビャク、気を反らしてくれてありがとう」
「ウォンッ♪」
「な、何の騒ぎ!?」
「う~んっ……眠いよう~」
「たくっ、またかい!?」
階段を駆け下りる音と廊下を駆け抜ける音が鳴り響き、ナイの部屋に従業員であるヒナとモモ、宿屋の女主人であるテンが駆けつけてきた。彼女はナイが男を取り押さえている姿を確認すると、テンはため息を吐き出す――
――その後、すぐに夜間巡回をしていた警備兵が駆けつけ、泥棒に入った男を拘束して事情聴取が行われた。その結果、男は最初からナイの私物を盗むために訪れた事を認めた。
「あんた……最近、ここらじゃ噂になっているぜ。なんでも王国騎士や王族と関り合いがある子供がいるとか……しかも、ミノタウロスを倒す凄い武器や、伝説の盾を持っているとか」
「たくっ……またかい、今月だけで何人目だい?」
「今回で5人目ですね……やっぱり、例の噂が広まり始めたせいね」
「…………」
男から事情を聞きだしたナイ達は頭を抱え、ここ最近はナイの部屋に泥棒に入る人間が増えていた。泥棒に入ろうとした人間んは全員は捕まえたが、ここ最近は毎夜を迎えると泥棒が入り込んでくる。
彼等を捕まえて話を聞くところ、どうやら先日のミノタウロスの一件や王族であるバッシュがナイの反魔の盾の所有を許可した事が密かに街中でも噂になっており、そしてナイの居場所を突き止めた泥棒達が宿屋に忍び込んで彼の武器と盾を盗み出そうとする。今の所は被害はないが、流石に毎日泥棒に入られては宿の信用問題に関わる。
「すいません、俺のせいで面倒事に巻き込んで……」
「そんな、ナイ君のせいじゃないよ!!ナイ君は何も悪い事をしてないのに……」
「そうね、モモの言う通りだわ……でも、こうも頻繁に泥棒に入られるとおちおちと休む事も出来ないわね」
「その通りだね、他の客が居たら大変な事になっていたよ」
一応はテン達も警備兵に頼んで宿屋周辺の見回りをしてもらったりしているが、それでも泥棒が宿屋に侵入する事を完全には防げない。
毎日の様に泥棒に入り込まれたら白猫亭の信用に関り、あの宿屋は何度も泥棒の侵入を許していると思われれば白猫亭の経営が危うい。そう考えたナイは自分が出て行くべきかと思った。
「これ以上は迷惑を掛けられません……明日、ここを発とうと思います。今までお世話になりました」
「ええっ!?そ、そんなの駄目だよぉっ!!」
「そうよ、ナイ君が責任を感じる必要はないわ。悪いのは全部あんな噂を信じて泥棒に入ろうとする奴等なんだから……」
「といっても、これ以上に泥棒に入られるのはうちとしても困るね……」
ナイが出ていく事を必死にモモとヒナは止めようとするが、経営者であるテンとしてはこれ以上の泥棒の被害は看過できない。女主人として彼女は客を守る立場ではあるが、流石にナイを目当てに泥棒が四六時中忍び込まれたら困る。
なんとか泥棒対策の手段を講じなければならず、これ以上に泥棒が入り込まない方法を考えねばならない。だが、そう簡単に良案が思いつくはずがなく、今日の所は全員がもう休む事にした――
――翌日の早朝、夜中に起こされたせいで全員が寝不足気味であり、とりあえずは食堂に集まって話し合いを行う。今回の話し合いにはヒイロとミイナも参加し、二人も相談に乗ってくれた。
「今日呼び出したのは他でもない、うちの客を狙って泥棒が入り込むのを防ぐ方法を考えるためだよ。あんたらも手を貸しな、こいつには色々と貸しがあるんだろう?」
「ナイさんのためなら全力で協力します!!」
「私も手伝う」
ヒイロとミイナも色々とナイには世話になっており、彼が泥棒に襲われない方法を共に考えてくれる。
黒装束の男は鍵穴に針金を差し込んでからしばらくすると、鍵が開く音が鳴り響く。そこから先は慎重に男は取っ手を掴み、出来る限り音を立てない様に扉を開く。
部屋の内部に侵入した男はベッドを確認し、膨らんだ毛布を見て部屋の主が眠り込んでいると判断する。それを確認した男は部屋の中を見渡し、壁に立てかけられている旋斧と反魔の盾を発見した。
こっそりと男は旋斧と反魔の盾に手を伸ばそうとした瞬間、部屋の窓から影が差し込み、窓から白い狼が覗き込んでいる事に気付く。
「ウォンッ!!」
「どひゃあっ!?」
男は狼を見て悲鳴を上げると、その直後に男の背後から気配もなく腕が伸びると、男の身体を後ろから捕らえる。男は驚いた表情を浮かべて振り返ると、そこには寝間着姿のナイの姿があった。
「お、お前っ……寝ていたんじゃなかったのか!?」
「寝てたよ。でも、がちゃがちゃうるさくて起きたんだよ……ふんっ!!」
「ぐええっ……!?」
ナイは男の首を絞めつけると、男は悲鳴を上げて逃れようとしたが、巨人族の如き怪力で締め付けられては成す術がなく、すぐに意識を失う。男を気絶させたナイはため息吐くと、窓の外に立っていたビャクに礼を告げる。
「ビャク、気を反らしてくれてありがとう」
「ウォンッ♪」
「な、何の騒ぎ!?」
「う~んっ……眠いよう~」
「たくっ、またかい!?」
階段を駆け下りる音と廊下を駆け抜ける音が鳴り響き、ナイの部屋に従業員であるヒナとモモ、宿屋の女主人であるテンが駆けつけてきた。彼女はナイが男を取り押さえている姿を確認すると、テンはため息を吐き出す――
――その後、すぐに夜間巡回をしていた警備兵が駆けつけ、泥棒に入った男を拘束して事情聴取が行われた。その結果、男は最初からナイの私物を盗むために訪れた事を認めた。
「あんた……最近、ここらじゃ噂になっているぜ。なんでも王国騎士や王族と関り合いがある子供がいるとか……しかも、ミノタウロスを倒す凄い武器や、伝説の盾を持っているとか」
「たくっ……またかい、今月だけで何人目だい?」
「今回で5人目ですね……やっぱり、例の噂が広まり始めたせいね」
「…………」
男から事情を聞きだしたナイ達は頭を抱え、ここ最近はナイの部屋に泥棒に入る人間が増えていた。泥棒に入ろうとした人間んは全員は捕まえたが、ここ最近は毎夜を迎えると泥棒が入り込んでくる。
彼等を捕まえて話を聞くところ、どうやら先日のミノタウロスの一件や王族であるバッシュがナイの反魔の盾の所有を許可した事が密かに街中でも噂になっており、そしてナイの居場所を突き止めた泥棒達が宿屋に忍び込んで彼の武器と盾を盗み出そうとする。今の所は被害はないが、流石に毎日泥棒に入られては宿の信用問題に関わる。
「すいません、俺のせいで面倒事に巻き込んで……」
「そんな、ナイ君のせいじゃないよ!!ナイ君は何も悪い事をしてないのに……」
「そうね、モモの言う通りだわ……でも、こうも頻繁に泥棒に入られるとおちおちと休む事も出来ないわね」
「その通りだね、他の客が居たら大変な事になっていたよ」
一応はテン達も警備兵に頼んで宿屋周辺の見回りをしてもらったりしているが、それでも泥棒が宿屋に侵入する事を完全には防げない。
毎日の様に泥棒に入り込まれたら白猫亭の信用に関り、あの宿屋は何度も泥棒の侵入を許していると思われれば白猫亭の経営が危うい。そう考えたナイは自分が出て行くべきかと思った。
「これ以上は迷惑を掛けられません……明日、ここを発とうと思います。今までお世話になりました」
「ええっ!?そ、そんなの駄目だよぉっ!!」
「そうよ、ナイ君が責任を感じる必要はないわ。悪いのは全部あんな噂を信じて泥棒に入ろうとする奴等なんだから……」
「といっても、これ以上に泥棒に入られるのはうちとしても困るね……」
ナイが出ていく事を必死にモモとヒナは止めようとするが、経営者であるテンとしてはこれ以上の泥棒の被害は看過できない。女主人として彼女は客を守る立場ではあるが、流石にナイを目当てに泥棒が四六時中忍び込まれたら困る。
なんとか泥棒対策の手段を講じなければならず、これ以上に泥棒が入り込まない方法を考えねばならない。だが、そう簡単に良案が思いつくはずがなく、今日の所は全員がもう休む事にした――
――翌日の早朝、夜中に起こされたせいで全員が寝不足気味であり、とりあえずは食堂に集まって話し合いを行う。今回の話し合いにはヒイロとミイナも参加し、二人も相談に乗ってくれた。
「今日呼び出したのは他でもない、うちの客を狙って泥棒が入り込むのを防ぐ方法を考えるためだよ。あんたらも手を貸しな、こいつには色々と貸しがあるんだろう?」
「ナイさんのためなら全力で協力します!!」
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