247 / 1,110
王都での騒動
第241.5話 モモの期待
しおりを挟む
「ねえねえ、ヒナちゃん!!明日の服、どれがいいと思う!?」
「……モモ、いい加減に寝させてよ。もう何時だと思ってるの?」
「え~!!そう言わずにもう少しだけお願い!!一緒に服を選んでよう!!」
白猫亭の従業員であるヒナは自分と同じく従業員であるモモに呼び出され、彼女の部屋にて大量の衣服を見せつけられる。モモは明日の午後の仕事は休み、この宿屋の唯一の宿泊客であるナイと出かける約束をしていた。
モモは明日に供えて色々と服を用意するが、どれを着込めばいいのか分からず、幼馴染にして実の姉妹のように仲のいいヒナに相談を行う。モモが初めて男の子と二人で出かけるという事もあって最初はヒナも協力的だったが、優柔不断な彼女は深夜を迎えても服を決められない。
「こっちのワンピースがいいかな?それとも女将さんが勧めてくれたビキニアーマーを……」
「ちょっと待ちなさい、なんでそんな物があるのよ。モモ、貴女はナイ君と出かけるのになんで鎧なんて着るのよ」
「え?テンさんに相談したら、男はこういう服に弱いって……」
「それは服じゃなくて鎧でしょうが!!テンさんも何てものを渡してるの!!」
テンから受け取ったというビキニアーマーをモモが取り出した時はヒナは頭を抱えるが、彼女が真剣に明日のナイとのデートのために悩んでいる姿を見て、本当にモモはナイの事に夢中だと思うと少し寂しい気もした。
(この子、本当にナイ君の事が好きなのね……ちょっと寂しいけど、ここはお姉さんとしてちゃんと応援してあげましょう)
この調子だとテンの適当な言葉で本気でビキニアーマーを着込んで明日のデートに乗り込みそうなモモを見かね、ヒナはちゃんと助言を与える事にした。
「焦らなくても大丈夫よ。あんたは可愛いんだから余程変な服でもない限りは似合うわよ」
「ううっ……でも、男の子と二人きりで遊びに行くの何て初めてだから何をすればいいのか分からないよ」
「だからって焦っても仕方ないでしょ。そうね、ならこうしましょう。ナイ君を男の子だと思わず、女の子だと思い込みなさい」
「ええっ!?」
「ほら、ナイ君の女装姿を思い出しなさい。明日は男の子とデートするんじゃなくて、女友達と遊びに行くと考えたら少しは気分が落ち着くでしょう」
「う、う~んっ……うん、落ち着いてきた気がする」
ヒナの言葉にモモは悩むが、ナイが女装した姿を思い出し、女装したナイと自分が一緒に遊ぶ光景を想像する。すると、不思議と緊張感が解れ、まるで女友達と遊びに行くような気分になって落ち着く。
こんな適当な助言でもちゃんと聞き入れてくれるモモにヒナは苦笑いを浮かべるが、そんな彼女の肩に手を置く。
「もしも焦っている時や、どきどきした時はナイ君の事を男の子だと意識し過ぎない様にしなさい。いつも通り、それこそ私と遊んでいるんだと思い込めば落ち着くはずよ。そうすれば大きな失敗なんてしないわ」
「わ、分かった……ナイ君をヒナちゃんと思えばいいんだね?」
「そうそう、まずは焦らずじっくりと二人の距離を縮める事が大事よ。変に意識し過ぎて妙な行動をしちゃ駄目よ」
「うん……分かった!!私、頑張るよ!!」
ヒナの言葉にモモは頷き、そんな彼女にヒナは笑顔を浮かべた。
「……モモ、いい加減に寝させてよ。もう何時だと思ってるの?」
「え~!!そう言わずにもう少しだけお願い!!一緒に服を選んでよう!!」
白猫亭の従業員であるヒナは自分と同じく従業員であるモモに呼び出され、彼女の部屋にて大量の衣服を見せつけられる。モモは明日の午後の仕事は休み、この宿屋の唯一の宿泊客であるナイと出かける約束をしていた。
モモは明日に供えて色々と服を用意するが、どれを着込めばいいのか分からず、幼馴染にして実の姉妹のように仲のいいヒナに相談を行う。モモが初めて男の子と二人で出かけるという事もあって最初はヒナも協力的だったが、優柔不断な彼女は深夜を迎えても服を決められない。
「こっちのワンピースがいいかな?それとも女将さんが勧めてくれたビキニアーマーを……」
「ちょっと待ちなさい、なんでそんな物があるのよ。モモ、貴女はナイ君と出かけるのになんで鎧なんて着るのよ」
「え?テンさんに相談したら、男はこういう服に弱いって……」
「それは服じゃなくて鎧でしょうが!!テンさんも何てものを渡してるの!!」
テンから受け取ったというビキニアーマーをモモが取り出した時はヒナは頭を抱えるが、彼女が真剣に明日のナイとのデートのために悩んでいる姿を見て、本当にモモはナイの事に夢中だと思うと少し寂しい気もした。
(この子、本当にナイ君の事が好きなのね……ちょっと寂しいけど、ここはお姉さんとしてちゃんと応援してあげましょう)
この調子だとテンの適当な言葉で本気でビキニアーマーを着込んで明日のデートに乗り込みそうなモモを見かね、ヒナはちゃんと助言を与える事にした。
「焦らなくても大丈夫よ。あんたは可愛いんだから余程変な服でもない限りは似合うわよ」
「ううっ……でも、男の子と二人きりで遊びに行くの何て初めてだから何をすればいいのか分からないよ」
「だからって焦っても仕方ないでしょ。そうね、ならこうしましょう。ナイ君を男の子だと思わず、女の子だと思い込みなさい」
「ええっ!?」
「ほら、ナイ君の女装姿を思い出しなさい。明日は男の子とデートするんじゃなくて、女友達と遊びに行くと考えたら少しは気分が落ち着くでしょう」
「う、う~んっ……うん、落ち着いてきた気がする」
ヒナの言葉にモモは悩むが、ナイが女装した姿を思い出し、女装したナイと自分が一緒に遊ぶ光景を想像する。すると、不思議と緊張感が解れ、まるで女友達と遊びに行くような気分になって落ち着く。
こんな適当な助言でもちゃんと聞き入れてくれるモモにヒナは苦笑いを浮かべるが、そんな彼女の肩に手を置く。
「もしも焦っている時や、どきどきした時はナイ君の事を男の子だと意識し過ぎない様にしなさい。いつも通り、それこそ私と遊んでいるんだと思い込めば落ち着くはずよ。そうすれば大きな失敗なんてしないわ」
「わ、分かった……ナイ君をヒナちゃんと思えばいいんだね?」
「そうそう、まずは焦らずじっくりと二人の距離を縮める事が大事よ。変に意識し過ぎて妙な行動をしちゃ駄目よ」
「うん……分かった!!私、頑張るよ!!」
ヒナの言葉にモモは頷き、そんな彼女にヒナは笑顔を浮かべた。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
物語のようにはいかない
わらびもち
恋愛
転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。
そう、言われる方ではなく『言う』方。
しかも言ってしまってから一年は経過している。
そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。
え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?
いや、そもそも修復可能なの?
発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?
せめて失言『前』に転生していればよかったのに!
自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。
夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。
かわいそうな旦那様‥
みるみる
恋愛
侯爵令嬢リリアのもとに、公爵家の長男テオから婚約の申し込みがありました。ですが、テオはある未亡人に惚れ込んでいて、まだ若くて性的魅力のかけらもないリリアには、本当は全く異性として興味を持っていなかったのです。
そんなテオに、リリアはある提案をしました。
「‥白い結婚のまま、三年後に私と離縁して下さい。」
テオはその提案を承諾しました。
そんな二人の結婚生活は‥‥。
※題名の「かわいそうな旦那様」については、客観的に見ていると、この旦那のどこが?となると思いますが、主人公の旦那に対する皮肉的な意味も込めて、あえてこの題名にしました。
※小説家になろうにも投稿中
※本編完結しましたが、補足したい話がある為番外編を少しだけ投稿しますm(_ _)m
少年売買契約
眠りん
BL
殺人現場を目撃した事により、誘拐されて闇市場で売られてしまった少年。
闇オークションで買われた先で「お前は道具だ」と言われてから自我をなくし、道具なのだと自分に言い聞かせた。
性の道具となり、人としての尊厳を奪われた少年に救いの手を差し伸べるのは──。
表紙:右京 梓様
※胸糞要素がありますがハッピーエンドです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました
ユユ
恋愛
毎夜天使が私を犯す。
それは王家から婚約の打診があったときから
始まった。
体の弱い父を領地で支えながら暮らす母。
2人は私の異変に気付くこともない。
こんなこと誰にも言えない。
彼の支配から逃れなくてはならないのに
侯爵家のキングは私を放さない。
* 作り話です
傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~
日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】
https://ncode.syosetu.com/n1741iq/
https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199
【小説家になろうで先行公開中】
https://ncode.syosetu.com/n0091ip/
働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。
地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる