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王都での騒動
第208話 王国騎士の切札
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(くっ……私にもっと力があれば火力を上げて溶かせるのに!!このままではまずいですね……)
ヒイロはガーゴイルと向かい合いながらどのように戦うべきか悩んでいると、ここで敷地内の警護を行っていた兵士達の悲鳴を耳にする。
「ひいいっ!?ば、化物だぁっ!?」
「槍も剣も通じない……こんなの、どうすればいいんだよ!?」
「逃げるしかない!!早く、こんな奴等に勝てるわけがない!!」
「ま、待ってくれ!!置いていかないで……ぎゃああっ!?」
『ギャギャギャッ!!』
既に屋敷の敷地内には数体のガーゴイルが兵士達に襲い掛かっており、ヒイロが相手をしているのはその内の一匹にしか過ぎない。
屋敷の警護を任されていた兵士達は必死にガーゴイルと応戦するが、彼等の武器はガーゴイルの肉体には通じず、怖気づいた兵士達は逃げ出そうとする。しかし、そんな兵士達にガーゴイルは容赦なく襲い掛かり、次々と犠牲者が生まれた。
「ぎゃああっ!?」
「ひぎぃっ!?」
「嫌だ、助けて……助けてくれぇええっ!!」
『アガァッ……ギャアアアッ!!』
聞こえてくる人間の悲鳴とガーゴイルの鳴き声にヒイロは耳を塞ぎたくなるが、仮に耳が聞こえなくなったとしても状況は変わらない。
(いったいどうすれば……)
このままでは自分達どころか屋敷内の人間全員が殺されてしまうのは明白だった。ならばすぐに助けを求める必要があるが、この時にヒイロは王国騎士のみが渡される魔道具の事を思い出す。
(緊急時以外の使用は控える様に言われていますが、今がその時です!!)
ヒイロは念のために持ち込んでいた魔道具を取り出す。それは発煙筒のような形をした道具であり、これを使用すればすぐに救援が駆けつけるはずだった。
「これを使えば……きゃっ!?」
『ギャウッ!!』
魔道具を使おうとした瞬間、ヒイロの元にガーゴイルは爪を振りかざし、咄嗟にヒイロは剣で受けようとしたがこの時に魔道具を落としてしまう。
慌ててヒイロは拾い上げようとしたが、その前にガーゴイルがヒイロの持つ烈火の刃に噛みつき、そのまま彼女を押し込む。ヒイロは必死にガーゴイルから離れようとするが、いくら力を込めて刃を引き剥がせない。
(なんという力……このままでは!?)
魔道具を使う余裕もなく、必死にヒイロは烈火に魔力を送り込んで火力を上昇させる。火力を上げて刃に噛みつくガーゴイルを焼き尽くそうとしたが、全身が石で構成されているガーゴイルには生半可な火力の炎は通じない。
『グギギギッ……!!』
「ひいっ……!?」
恐ろしい形相を浮かべて睨みつけるガーゴイルにヒイロは追い詰められ、遂にガーゴイルは口元を刃から離すと、両腕を広げて襲い掛かろうとした。
『ギャウッ!!』
「きゃああっ!?」
ガーゴイルの両腕がヒイロの身体を貫こうとした瞬間、窓が割れる音が鳴り響き、漆黒の大剣と戦斧を構えた少年と少女が同時にガーゴイルの頭上に刃を叩き込む。
「「ふんっ!!」」
『アガァッ!?』
「えっ……!?」
ヒイロに襲い掛かろうとしたガーゴイルは唐突に頭上の衝撃を受けて倒れ込み、そのまま全身が砕け散ってしまう。ヒイロは驚いて顔を見上げると、そこにはガーゴイルに対して退魔刀を引き抜くナイと、如意斧を振り払うミイナの姿が存在した。
「ふうっ……間に合った」
「……王国騎士の癖に情けない声を上げないで」
「ふ、二人とも……ご無事だったんですね!?」
窓から飛び降りてきたナイとミイナを確認して慌ててヒイロは起き上がり、先ほどの情けない姿を見られていた事に気付いて恥ずかしそうに身体に付いた埃を払う。
ナイとミイナが無事であった事にヒイロは喜ぶが、彼女達の格好を見て戸惑う。ナイもミイナも何故か現在は給仕服と兵士の格好に着替えており、どうして二人がそんな格好をしているのかとヒイロが問い質そうとすると、窓の方から声が聞こえてきた。
「もう、大丈夫だよヒナちゃん。これぐらいの高さなら落ちても平気だってば」
「む、無茶を言わないでよ!!私が高い所が苦手なの知ってるでしょ!?」
「ううっ……」
声が聞こえてきた3階の窓の方に視線を向けると、そこにはカーテンを引きちぎって綱の代わりにして3階から下りようとするヒナたちの姿が存在し、身体能力が高いモモは地上に飛び降りると、カーテンにしがみついて降りようとしないヒナとノイに腕を伸ばして抱き留める体勢を整えていた。
よくよく観察するとナイの方も背中にバーリを縄で縛りつけた状態で背負っており、彼は生きているのかどうかも怪しいほどに顔色が悪く、泡を吹いていた。どうやら落下の際の衝撃で意識が戻ったがまたもや気絶したらしい。
ヒイロはガーゴイルと向かい合いながらどのように戦うべきか悩んでいると、ここで敷地内の警護を行っていた兵士達の悲鳴を耳にする。
「ひいいっ!?ば、化物だぁっ!?」
「槍も剣も通じない……こんなの、どうすればいいんだよ!?」
「逃げるしかない!!早く、こんな奴等に勝てるわけがない!!」
「ま、待ってくれ!!置いていかないで……ぎゃああっ!?」
『ギャギャギャッ!!』
既に屋敷の敷地内には数体のガーゴイルが兵士達に襲い掛かっており、ヒイロが相手をしているのはその内の一匹にしか過ぎない。
屋敷の警護を任されていた兵士達は必死にガーゴイルと応戦するが、彼等の武器はガーゴイルの肉体には通じず、怖気づいた兵士達は逃げ出そうとする。しかし、そんな兵士達にガーゴイルは容赦なく襲い掛かり、次々と犠牲者が生まれた。
「ぎゃああっ!?」
「ひぎぃっ!?」
「嫌だ、助けて……助けてくれぇええっ!!」
『アガァッ……ギャアアアッ!!』
聞こえてくる人間の悲鳴とガーゴイルの鳴き声にヒイロは耳を塞ぎたくなるが、仮に耳が聞こえなくなったとしても状況は変わらない。
(いったいどうすれば……)
このままでは自分達どころか屋敷内の人間全員が殺されてしまうのは明白だった。ならばすぐに助けを求める必要があるが、この時にヒイロは王国騎士のみが渡される魔道具の事を思い出す。
(緊急時以外の使用は控える様に言われていますが、今がその時です!!)
ヒイロは念のために持ち込んでいた魔道具を取り出す。それは発煙筒のような形をした道具であり、これを使用すればすぐに救援が駆けつけるはずだった。
「これを使えば……きゃっ!?」
『ギャウッ!!』
魔道具を使おうとした瞬間、ヒイロの元にガーゴイルは爪を振りかざし、咄嗟にヒイロは剣で受けようとしたがこの時に魔道具を落としてしまう。
慌ててヒイロは拾い上げようとしたが、その前にガーゴイルがヒイロの持つ烈火の刃に噛みつき、そのまま彼女を押し込む。ヒイロは必死にガーゴイルから離れようとするが、いくら力を込めて刃を引き剥がせない。
(なんという力……このままでは!?)
魔道具を使う余裕もなく、必死にヒイロは烈火に魔力を送り込んで火力を上昇させる。火力を上げて刃に噛みつくガーゴイルを焼き尽くそうとしたが、全身が石で構成されているガーゴイルには生半可な火力の炎は通じない。
『グギギギッ……!!』
「ひいっ……!?」
恐ろしい形相を浮かべて睨みつけるガーゴイルにヒイロは追い詰められ、遂にガーゴイルは口元を刃から離すと、両腕を広げて襲い掛かろうとした。
『ギャウッ!!』
「きゃああっ!?」
ガーゴイルの両腕がヒイロの身体を貫こうとした瞬間、窓が割れる音が鳴り響き、漆黒の大剣と戦斧を構えた少年と少女が同時にガーゴイルの頭上に刃を叩き込む。
「「ふんっ!!」」
『アガァッ!?』
「えっ……!?」
ヒイロに襲い掛かろうとしたガーゴイルは唐突に頭上の衝撃を受けて倒れ込み、そのまま全身が砕け散ってしまう。ヒイロは驚いて顔を見上げると、そこにはガーゴイルに対して退魔刀を引き抜くナイと、如意斧を振り払うミイナの姿が存在した。
「ふうっ……間に合った」
「……王国騎士の癖に情けない声を上げないで」
「ふ、二人とも……ご無事だったんですね!?」
窓から飛び降りてきたナイとミイナを確認して慌ててヒイロは起き上がり、先ほどの情けない姿を見られていた事に気付いて恥ずかしそうに身体に付いた埃を払う。
ナイとミイナが無事であった事にヒイロは喜ぶが、彼女達の格好を見て戸惑う。ナイもミイナも何故か現在は給仕服と兵士の格好に着替えており、どうして二人がそんな格好をしているのかとヒイロが問い質そうとすると、窓の方から声が聞こえてきた。
「もう、大丈夫だよヒナちゃん。これぐらいの高さなら落ちても平気だってば」
「む、無茶を言わないでよ!!私が高い所が苦手なの知ってるでしょ!?」
「ううっ……」
声が聞こえてきた3階の窓の方に視線を向けると、そこにはカーテンを引きちぎって綱の代わりにして3階から下りようとするヒナたちの姿が存在し、身体能力が高いモモは地上に飛び降りると、カーテンにしがみついて降りようとしないヒナとノイに腕を伸ばして抱き留める体勢を整えていた。
よくよく観察するとナイの方も背中にバーリを縄で縛りつけた状態で背負っており、彼は生きているのかどうかも怪しいほどに顔色が悪く、泡を吹いていた。どうやら落下の際の衝撃で意識が戻ったがまたもや気絶したらしい。
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