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王都での騒動
第196話 技を盗む
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(こいつは危険だ、ここで殺す!!)
ダンはナイの危険性を感じ取り、確実に殺すために隠し持っていた短剣を取り出す。こちらの短剣には毒が塗られており、掠り傷でも負えば死ぬほどの猛毒だった。
実を言えばダンは暗殺者としての過去を持ち、傭兵になった理由は自分が所属していた組織がある騎士団によって壊滅したからである。彼は幼い頃から暗殺者の訓練を受けており、彼が扱う「隠密」の技術はそこいらの暗殺者よりも高い。
(こいつを仕留めた後は女共だ……そして最後にゴウだな)
傭兵仲間であるゴウとはダンもそれなりに長い付き合いではあったが、自分の秘密を知られた以上は彼も殺さなければならない。誰であろうと自分の戦法を知った者は殺さなければならず、彼は最初にナイを仕留めるために両手に短剣を構えた。
「坊主、相手が悪かったな……そこからだともう逃げる事は出来ないぞ」
「…………」
ナイの後方は壁で塞がっており、先ほどのようにダンが攻撃を仕掛ける際に後方へ跳躍して回避する事は出来ない。それにダンの方も最初からナイが避けるつもりだと知っていればいくらでも対処できる。
ダンが動く前にナイが動かなければ勝ち目はないが、かといって無策で突っ込んでも勝てる相手ではない。ナイは考えた上である方法を思いつき、一か八か賭けに出た。
(――ここだ!!)
大剣を握りしめたナイはダンと向かい合った状態で「隠密」を発動させる。その結果、ダンの視界にはまるでナイが半透明になったように姿が薄らぎ、その光景にダンは驚愕した。
(こいつ、まさか隠密まで……!?)
自分と同じように隠密の技能を扱ったナイに対してダンは動揺し、隠密の技能を習得している人間など滅多に存在しない。ナイの持っている武器から判断して彼は剣士だと思っていたが、まさか自分のように暗殺者だったのかと戸惑う。
隠密を発動させて存在感を薄くさせたナイはダンに向けて踏み込み、この際に跳躍の技能を発動させる。ダンと比べれば隠密の技術は低く、完全には存在感を消す事はできない。しかし、跳躍の技能ならば剛力の技能を同時に発動させ、彼以上の速度で移動する事が出来た。
「はぁあああっ!!」
「なっ!?」
何時の間にかナイは自分の目前にまで迫っている事にダンは気づき、咄嗟に両手の短剣を構えた。しかし、ナイは大剣を全力で振り払うと、刃の腹の部分をダンに叩き込み、勢いよく吹き飛ばす。
「せりゃあっ!!」
「ぐはぁあああっ!?」
「うお!?」
『きゃあっ!?』
吹き飛ばされたダンは派手に壁に叩きつけられ、白目を剥いて倒れ込む。その姿を見て他の人間達は唖然とするが、その一方でナイの方は攻撃が成功した事に安堵する。
(良かった……成功した)
ナイはダンが仕掛けた「秘剣」を真似し、自分なりに工夫も行って攻撃を仕掛けた。運が良かったのはダンが覚えている「隠密」と「跳躍」の技能をナイも覚えていた事であり、そのお陰で彼の技を真似て反撃を仕掛ける事ができた。
隠密の技術は残念ながらダンには及ばないが、跳躍の方ならば普段からナイも多用しており、更に剛力の技能を組み合わせる事で彼以上の速度を繰り出せる。曲がりなりにもナイはダンの技を盗み出す事に成功した。
(この技、役立ちそうだな……これからも使っていこうかな)
思いもよらぬ事で新しい技を覚えたナイは改めてゴウと向かい合う。ゴウは壁に叩き込まれたダンを見て戸惑うが、やがてため息を吐きながらナイと向き合う。
「ちっ、馬鹿が……ガキだと思って油断しやがって」
「……これで3対1、それでもまだ戦うの?」
「当たり前だ!!てめえらみたいなガキ、俺だけで十分だ!!」
唾を吐き捨てながらゴウは鋼拳を構えると、それを見たナイは仕方なく思い、これ以上に時間をかけるわけにもいかないのでナイは他の二人に下がるように促す。
「二人とも、ここは俺がやるよ」
「えっ!?」
「本気で言ってるの?」
「なめやがって……ダンを倒したからって調子に乗るなよ、ガキ!!」
ナイの言葉にヒナとミイナは驚くが、そんな二人を押し退けてナイは大剣を構える。その行為を見たゴウは怒りを抱くが、先に吹き飛ばされたダンに視線を向けて考えを改める。
(このガキ、只者じゃねえ……だが、俺をダン如きと一緒にするなよ)
ゴウはナイの動作を観察し、先ほどのダンのように油断はしない。既にダンの技の正体は見抜いており、冷静に対処すれば反応出来ないわけではない。
ダンが扱う技は初見では対応するのは難しいだろうが、何度も見れば反応できない事はない。要は相手の姿が見えなくなれば次の瞬間に攻撃が来る。そう考えればゴウは防御の体勢を整えた。
ダンはナイの危険性を感じ取り、確実に殺すために隠し持っていた短剣を取り出す。こちらの短剣には毒が塗られており、掠り傷でも負えば死ぬほどの猛毒だった。
実を言えばダンは暗殺者としての過去を持ち、傭兵になった理由は自分が所属していた組織がある騎士団によって壊滅したからである。彼は幼い頃から暗殺者の訓練を受けており、彼が扱う「隠密」の技術はそこいらの暗殺者よりも高い。
(こいつを仕留めた後は女共だ……そして最後にゴウだな)
傭兵仲間であるゴウとはダンもそれなりに長い付き合いではあったが、自分の秘密を知られた以上は彼も殺さなければならない。誰であろうと自分の戦法を知った者は殺さなければならず、彼は最初にナイを仕留めるために両手に短剣を構えた。
「坊主、相手が悪かったな……そこからだともう逃げる事は出来ないぞ」
「…………」
ナイの後方は壁で塞がっており、先ほどのようにダンが攻撃を仕掛ける際に後方へ跳躍して回避する事は出来ない。それにダンの方も最初からナイが避けるつもりだと知っていればいくらでも対処できる。
ダンが動く前にナイが動かなければ勝ち目はないが、かといって無策で突っ込んでも勝てる相手ではない。ナイは考えた上である方法を思いつき、一か八か賭けに出た。
(――ここだ!!)
大剣を握りしめたナイはダンと向かい合った状態で「隠密」を発動させる。その結果、ダンの視界にはまるでナイが半透明になったように姿が薄らぎ、その光景にダンは驚愕した。
(こいつ、まさか隠密まで……!?)
自分と同じように隠密の技能を扱ったナイに対してダンは動揺し、隠密の技能を習得している人間など滅多に存在しない。ナイの持っている武器から判断して彼は剣士だと思っていたが、まさか自分のように暗殺者だったのかと戸惑う。
隠密を発動させて存在感を薄くさせたナイはダンに向けて踏み込み、この際に跳躍の技能を発動させる。ダンと比べれば隠密の技術は低く、完全には存在感を消す事はできない。しかし、跳躍の技能ならば剛力の技能を同時に発動させ、彼以上の速度で移動する事が出来た。
「はぁあああっ!!」
「なっ!?」
何時の間にかナイは自分の目前にまで迫っている事にダンは気づき、咄嗟に両手の短剣を構えた。しかし、ナイは大剣を全力で振り払うと、刃の腹の部分をダンに叩き込み、勢いよく吹き飛ばす。
「せりゃあっ!!」
「ぐはぁあああっ!?」
「うお!?」
『きゃあっ!?』
吹き飛ばされたダンは派手に壁に叩きつけられ、白目を剥いて倒れ込む。その姿を見て他の人間達は唖然とするが、その一方でナイの方は攻撃が成功した事に安堵する。
(良かった……成功した)
ナイはダンが仕掛けた「秘剣」を真似し、自分なりに工夫も行って攻撃を仕掛けた。運が良かったのはダンが覚えている「隠密」と「跳躍」の技能をナイも覚えていた事であり、そのお陰で彼の技を真似て反撃を仕掛ける事ができた。
隠密の技術は残念ながらダンには及ばないが、跳躍の方ならば普段からナイも多用しており、更に剛力の技能を組み合わせる事で彼以上の速度を繰り出せる。曲がりなりにもナイはダンの技を盗み出す事に成功した。
(この技、役立ちそうだな……これからも使っていこうかな)
思いもよらぬ事で新しい技を覚えたナイは改めてゴウと向かい合う。ゴウは壁に叩き込まれたダンを見て戸惑うが、やがてため息を吐きながらナイと向き合う。
「ちっ、馬鹿が……ガキだと思って油断しやがって」
「……これで3対1、それでもまだ戦うの?」
「当たり前だ!!てめえらみたいなガキ、俺だけで十分だ!!」
唾を吐き捨てながらゴウは鋼拳を構えると、それを見たナイは仕方なく思い、これ以上に時間をかけるわけにもいかないのでナイは他の二人に下がるように促す。
「二人とも、ここは俺がやるよ」
「えっ!?」
「本気で言ってるの?」
「なめやがって……ダンを倒したからって調子に乗るなよ、ガキ!!」
ナイの言葉にヒナとミイナは驚くが、そんな二人を押し退けてナイは大剣を構える。その行為を見たゴウは怒りを抱くが、先に吹き飛ばされたダンに視線を向けて考えを改める。
(このガキ、只者じゃねえ……だが、俺をダン如きと一緒にするなよ)
ゴウはナイの動作を観察し、先ほどのダンのように油断はしない。既にダンの技の正体は見抜いており、冷静に対処すれば反応出来ないわけではない。
ダンが扱う技は初見では対応するのは難しいだろうが、何度も見れば反応できない事はない。要は相手の姿が見えなくなれば次の瞬間に攻撃が来る。そう考えればゴウは防御の体勢を整えた。
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