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王都での騒動
第189話 被害者の協力
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(もしかしたら……)
ナイは一か八か、自分の口元に人差し指を伸ばす。すると、それを見ていた使用人はナイの行動を見て察したのか、彼女は口元を隠して頷く。どうやらこの場を見逃してくれるらしく、使用人は周囲を見渡して誰もいない事を確認すると、ナイに早く逃げる様に促す。
その様子を見てナイは使用人が味方してくれると判断し、他の三人を連れ出す。三人とも通路にいる使用人を見て驚くが、彼女が黙って頭を下げるのを見ると自分達を見逃すつもりだと知る。
「ありがとうございます……」
「…………」
一言だけナイが礼を告げると、女性は何も言わずに頷き、そのままナイ達を見送る。無事に危機を脱したナイ達は通路を移動し、やがて窓から馬車の姿が見える位置まで辿り着く。
「あったわ、良かった……まだ気づかれていない様ね」
「でも、ここからが問題……どうやって馬車に乗り込む?」
「兵士の数が多い……これだけの人数に見つからずに移動するのは難しいか」
「ううっ……まだ隠れなきゃいけないの?」
ナイ達は馬車の姿を捉える事はできたが、屋敷の外は大勢の兵士が巡回しており、もしも外に出ればすぐに見つかってしまう。隠密の技能を扱えるナイならば誰にも気づかれずに移動する事もできるかもしれないが、他の3人にそんな真似は出来ない。
ここまでは順調に進んだが、外に出れば見つかるのは確実だった。どうするべきかナイは考えていると、ここでミイナが思いがけぬ提案を行う。
「ナイ、ここは強行突破しかないと思う」
「えっ!?」
「強行突破って……何を言ってるのよ!?ここまで来たのに!?」
「それ以外に方法はない。外にいるとヒイロと合流して、屋敷を抜け出す以外に方法はない」
ここまで慎重に進んで来たにも関わらず、最後の最後で強行突破を提案するミイナにヒナは信じられない表情を浮かべる。だが、彼女は外の警備を見て自分達が抜け出すのは不可能だと判断し、自分の考えを伝える。
「ここまで来たら力ずくで突破して、警備兵のところまで駆け込むしかない。バーリが悪事を働いている証拠は掴んだ、だから私は王国騎士として放っては置けない」
「あんた、まさか私達を逃がして自分は残るつもり!?」
「だ、駄目だよ~皆で逃げようよ~」
「私もできればそうしたい……でも、バーリの事は放っておけない。あんな女の敵、許すわけにはいかない」
「……ミイナさん」
ミイナは先ほどの女性の使用人と出会った時、自分達の事を見逃してくれた。彼女もバーリの被害者であり、彼の世話をしている女性は誘拐されて無理やりにバーリの世話をさせられている話を思い出した。
彼女達と同じくミイナもバーリの手下に捕まり、酷い目に遭わされようとしていた。その事もあってミイナは彼女達を放っては置けず、自分が騒ぎを起こす間にナイ達に逃げるように促す。
「王国騎士として私はこれからバーリを捕まえに行く……皆はその間に逃げて、出来る限りは注意を引くから、後の事はナイに任せる」
「そんな……」
「大丈夫、ナイは私よりも強いから皆を守ってくれる」
「勝手に決めないでください」
「ナイ、君?」
ミイナの言い分に対してナイはため息を吐き出し、てっきりナイなら引き受けてくれると思ったミイナは驚いた表情を浮かべるが、そんな彼女にナイは苦笑いを浮かべる。
「囮役なら一人より二人の方が良いでしょ?」
「なっ!?あんたまさか……一緒に残るつもり!?」
「それは……止めた方が良い、ナイは関係ない」
「関係ないはずがないでしょ……僕だって此処の人たちは放っておく事なんてできない」
「ナイ君……」
先ほど自分達を見逃してくれた女性の事を思い出し、彼女は自分が酷い目に遭っているにも関わらず、逃げ出そうとするナイ達を見逃してくれた。その恩を報いるため、ナイは彼女達を苦しめる元凶を放置する事は出来なかった。
「そもそも作戦ではバーリを捕まえるのが目的だったんだから、ここで逃げ出すのもおかしな話ですよね」
「……本当に力を貸してくれるの?」
「はい、一緒にあの豚商人の所に行きましょう」
「はあっ……仕方ないわね、なら私も付き合うわよ」
「勿論、私も一緒に行くよ!!もうこそこそと隠れるのは飽きてきたし、皆のために戦うよ!!」
「ちょっと、声が大きい!?」
二人のやり取りを聞いていたヒナとモモも付き合ってくれるらしく、四人は脱走を中止して諸悪の根源であるバーリを捕まえる事にした。無謀に思えるかもしれないが、バーリのせいで苦しめられる女性たちの事を思うと放置はできない。
しかし、今からバーリの元へ向かうにしても準備が必要であり、現在のナイ達は碌な装備をしていない。ミイナとしても奪われた自分の装備品を回収したいらしく、まずは装備品を奪い返す必要があった。
ナイは一か八か、自分の口元に人差し指を伸ばす。すると、それを見ていた使用人はナイの行動を見て察したのか、彼女は口元を隠して頷く。どうやらこの場を見逃してくれるらしく、使用人は周囲を見渡して誰もいない事を確認すると、ナイに早く逃げる様に促す。
その様子を見てナイは使用人が味方してくれると判断し、他の三人を連れ出す。三人とも通路にいる使用人を見て驚くが、彼女が黙って頭を下げるのを見ると自分達を見逃すつもりだと知る。
「ありがとうございます……」
「…………」
一言だけナイが礼を告げると、女性は何も言わずに頷き、そのままナイ達を見送る。無事に危機を脱したナイ達は通路を移動し、やがて窓から馬車の姿が見える位置まで辿り着く。
「あったわ、良かった……まだ気づかれていない様ね」
「でも、ここからが問題……どうやって馬車に乗り込む?」
「兵士の数が多い……これだけの人数に見つからずに移動するのは難しいか」
「ううっ……まだ隠れなきゃいけないの?」
ナイ達は馬車の姿を捉える事はできたが、屋敷の外は大勢の兵士が巡回しており、もしも外に出ればすぐに見つかってしまう。隠密の技能を扱えるナイならば誰にも気づかれずに移動する事もできるかもしれないが、他の3人にそんな真似は出来ない。
ここまでは順調に進んだが、外に出れば見つかるのは確実だった。どうするべきかナイは考えていると、ここでミイナが思いがけぬ提案を行う。
「ナイ、ここは強行突破しかないと思う」
「えっ!?」
「強行突破って……何を言ってるのよ!?ここまで来たのに!?」
「それ以外に方法はない。外にいるとヒイロと合流して、屋敷を抜け出す以外に方法はない」
ここまで慎重に進んで来たにも関わらず、最後の最後で強行突破を提案するミイナにヒナは信じられない表情を浮かべる。だが、彼女は外の警備を見て自分達が抜け出すのは不可能だと判断し、自分の考えを伝える。
「ここまで来たら力ずくで突破して、警備兵のところまで駆け込むしかない。バーリが悪事を働いている証拠は掴んだ、だから私は王国騎士として放っては置けない」
「あんた、まさか私達を逃がして自分は残るつもり!?」
「だ、駄目だよ~皆で逃げようよ~」
「私もできればそうしたい……でも、バーリの事は放っておけない。あんな女の敵、許すわけにはいかない」
「……ミイナさん」
ミイナは先ほどの女性の使用人と出会った時、自分達の事を見逃してくれた。彼女もバーリの被害者であり、彼の世話をしている女性は誘拐されて無理やりにバーリの世話をさせられている話を思い出した。
彼女達と同じくミイナもバーリの手下に捕まり、酷い目に遭わされようとしていた。その事もあってミイナは彼女達を放っては置けず、自分が騒ぎを起こす間にナイ達に逃げるように促す。
「王国騎士として私はこれからバーリを捕まえに行く……皆はその間に逃げて、出来る限りは注意を引くから、後の事はナイに任せる」
「そんな……」
「大丈夫、ナイは私よりも強いから皆を守ってくれる」
「勝手に決めないでください」
「ナイ、君?」
ミイナの言い分に対してナイはため息を吐き出し、てっきりナイなら引き受けてくれると思ったミイナは驚いた表情を浮かべるが、そんな彼女にナイは苦笑いを浮かべる。
「囮役なら一人より二人の方が良いでしょ?」
「なっ!?あんたまさか……一緒に残るつもり!?」
「それは……止めた方が良い、ナイは関係ない」
「関係ないはずがないでしょ……僕だって此処の人たちは放っておく事なんてできない」
「ナイ君……」
先ほど自分達を見逃してくれた女性の事を思い出し、彼女は自分が酷い目に遭っているにも関わらず、逃げ出そうとするナイ達を見逃してくれた。その恩を報いるため、ナイは彼女達を苦しめる元凶を放置する事は出来なかった。
「そもそも作戦ではバーリを捕まえるのが目的だったんだから、ここで逃げ出すのもおかしな話ですよね」
「……本当に力を貸してくれるの?」
「はい、一緒にあの豚商人の所に行きましょう」
「はあっ……仕方ないわね、なら私も付き合うわよ」
「勿論、私も一緒に行くよ!!もうこそこそと隠れるのは飽きてきたし、皆のために戦うよ!!」
「ちょっと、声が大きい!?」
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しかし、今からバーリの元へ向かうにしても準備が必要であり、現在のナイ達は碌な装備をしていない。ミイナとしても奪われた自分の装備品を回収したいらしく、まずは装備品を奪い返す必要があった。
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