142 / 1,110
逃れられぬ運命
第142話 ナイVSガロ
しおりを挟む
(重いっ!?なんて一撃だ!!)
ガロが繰り出した攻撃の威力は巨人族のゴンザレスの一撃にも劣らない。それでもナイは反射的に剛力を発動させて弾き返す。
「このぉっ!!」
「ぐがっ!?」
ガロの双剣をナイは弾き返すと、急いでビャクの背中から下りて彼を庇うように旋斧を構える。それに対してガロは地上へ着地すると、忌々し気な表情を浮かべる。
「ぐぅううっ……!!」
「ガロ……さん、落ち着いて!!俺は敵じゃない!!」
「駄目だ、逃げろナイ!!その状態のガロは老師以外の人の言葉は聞かない!!」
「がああっ!!」
ゴンザレスはナイに逃げる様に促すが、ガロの方は既にナイを敵と定め、円を描くようにナイの周囲を走り回る。超高速に動き回るガロを目で追うのがやっとであり、ナイは次に攻撃を仕掛けられたときに反応できるか分からなかった。
コボルト亜種以上の移動速度と身軽さでガロはナイの周囲を駆け巡り、一方でナイの方は見逃さない様に視線だけは彼から外さない。一瞬でも視線を逸らせばナイは命がないと思った。
(頼む、上手く発動してくれ……!!)
遂にガロが痺れを切らしたのかナイに向けて飛び掛かってきた瞬間、ここでナイは「迎撃」を発動させ、彼の動きに合わせて自分も腕を振り抜く。
「うがぁああっ!!」
「このぉっ!!」
ガロが飛び込んできたのを見計らい、ナイは旋斧をその場に置いて左腕に装着した闘拳と、右腕に装着したゴマンの盾を構える。その結果、ガロが振り落とした双剣は闘拳と盾に衝突した。
ナイの左腕は闘拳に守られているとはいえ、剣を受け止めた際に左腕に強い衝撃が走る。しかし、右腕に装着した盾は衝撃を受けた瞬間に強烈な衝撃波を発生させ、ガロが手にしていた剣を弾き飛ばす。
「があっ……!?」
「ぐあっ……!?」
「ウォンッ!?」
「ナイ、大丈夫か!?」
ガロは空中で体勢を崩して地面に転がり込むと、ナイの方も左腕を抑えて膝を着き、その様子を見ていたゴンザレスは駆けつける。盾の衝撃で吹き飛ばされた際にガロは正気を取り戻したのか、彼は頭を抑えて周りを見渡す。
「ぐっ……な、何だ?何が起きたんだ?」
「ガロ、お前……!!」
「待って!!今は急いでここを離れないと……」
「グルルルッ……!!」
ゴンザレスは負傷したナイの身を案じてガロを睨むが、そんな彼をナイは抑えて急いで離れる様に提案する。ここは敵地であり、ナイ達は多数の魔物に取り囲まれた状況である事に変わりはない。
――グゥウウウッ……!!
魔物達は牙を剥き出しにしてナイ達を睨みつけ、既にナイ達の姿も見えていた。どうやら先ほどの攻防でナイも服の下に身に付けていた魔除けの護符が敗れて効果を失っていた。
ゴンザレスの魔除けの護符は無事だが、彼は自らの手で魔除けの護符を引き剥がし、姿を晒す。このままでは姿が見えるナイとガロに魔物が集中するため、彼も敢えて姿を晒して魔物の注意を引く。
「ナイ、ガロ……それにビャクといったな?ここは俺に任せろ、お前達だけでも先に逃げるんだ」
「ゴンザレス……?」
「ば、馬鹿野郎……お前だけでどうにかできるかよ」
「ウォンッ!!」
ゴンザレスは皆を庇うように両腕を左右に伸ばすが、それを見たガロが彼を止めようとした。ナイもこの状況で仲間を置いていけるはずがなく、そもそもナイの場合はもう誰かを犠牲にして生き延びるなど御免だった。
(あの時と同じだ……)
ナイはかつて赤毛熊に襲われた時、養父であるアルが自分を囮にしてナイとゴマンを逃がそうとした事を思い出す。あの時のナイは何も出来ず、結局は養父を助ける事はできなかった。しかし、今は違う。
皆を守るためならばナイは自分が魔物達の注意を引き、その間に他の皆を逃がす覚悟はあった。ナイはゴンザレスの横に立って旋斧を構える。
「僕も戦うよ……悪いけど、仲間を置いて逃げたら死んだ爺ちゃんに怒られるからね」
「ナイ……分かった、だが無理をするなよ」
「ま、待て……勝手に決めるな、お前等だけでどうにかなるはずがないだろ!?」
「ビャク!!ガロを連れて先に離れろ!!」
「ウォンッ!?」
「早く行けっ!!」
ナイがビャクに命じると、ビャクは驚いた表情を浮かべるがナイが厳しく言いつけると、ビャクは仕方がないとばかりに倒れ込んでいるガロを咥えて駆け出す。
「ウォンッ!!」
「お、おい待て!!何を勝手に……うわぁっ!?」
「ふうっ……これで全力で戦える」
「迷惑をかけるな……」
ガロを連れたビャクがその場を離れると、これで気兼ねなく戦えると判断したナイはゴンザレスと背中を合わせ、魔物達と向き直る。残された魔物達は完全にナイ達を標的と定め、一斉に襲い掛かってきた。
ガロが繰り出した攻撃の威力は巨人族のゴンザレスの一撃にも劣らない。それでもナイは反射的に剛力を発動させて弾き返す。
「このぉっ!!」
「ぐがっ!?」
ガロの双剣をナイは弾き返すと、急いでビャクの背中から下りて彼を庇うように旋斧を構える。それに対してガロは地上へ着地すると、忌々し気な表情を浮かべる。
「ぐぅううっ……!!」
「ガロ……さん、落ち着いて!!俺は敵じゃない!!」
「駄目だ、逃げろナイ!!その状態のガロは老師以外の人の言葉は聞かない!!」
「がああっ!!」
ゴンザレスはナイに逃げる様に促すが、ガロの方は既にナイを敵と定め、円を描くようにナイの周囲を走り回る。超高速に動き回るガロを目で追うのがやっとであり、ナイは次に攻撃を仕掛けられたときに反応できるか分からなかった。
コボルト亜種以上の移動速度と身軽さでガロはナイの周囲を駆け巡り、一方でナイの方は見逃さない様に視線だけは彼から外さない。一瞬でも視線を逸らせばナイは命がないと思った。
(頼む、上手く発動してくれ……!!)
遂にガロが痺れを切らしたのかナイに向けて飛び掛かってきた瞬間、ここでナイは「迎撃」を発動させ、彼の動きに合わせて自分も腕を振り抜く。
「うがぁああっ!!」
「このぉっ!!」
ガロが飛び込んできたのを見計らい、ナイは旋斧をその場に置いて左腕に装着した闘拳と、右腕に装着したゴマンの盾を構える。その結果、ガロが振り落とした双剣は闘拳と盾に衝突した。
ナイの左腕は闘拳に守られているとはいえ、剣を受け止めた際に左腕に強い衝撃が走る。しかし、右腕に装着した盾は衝撃を受けた瞬間に強烈な衝撃波を発生させ、ガロが手にしていた剣を弾き飛ばす。
「があっ……!?」
「ぐあっ……!?」
「ウォンッ!?」
「ナイ、大丈夫か!?」
ガロは空中で体勢を崩して地面に転がり込むと、ナイの方も左腕を抑えて膝を着き、その様子を見ていたゴンザレスは駆けつける。盾の衝撃で吹き飛ばされた際にガロは正気を取り戻したのか、彼は頭を抑えて周りを見渡す。
「ぐっ……な、何だ?何が起きたんだ?」
「ガロ、お前……!!」
「待って!!今は急いでここを離れないと……」
「グルルルッ……!!」
ゴンザレスは負傷したナイの身を案じてガロを睨むが、そんな彼をナイは抑えて急いで離れる様に提案する。ここは敵地であり、ナイ達は多数の魔物に取り囲まれた状況である事に変わりはない。
――グゥウウウッ……!!
魔物達は牙を剥き出しにしてナイ達を睨みつけ、既にナイ達の姿も見えていた。どうやら先ほどの攻防でナイも服の下に身に付けていた魔除けの護符が敗れて効果を失っていた。
ゴンザレスの魔除けの護符は無事だが、彼は自らの手で魔除けの護符を引き剥がし、姿を晒す。このままでは姿が見えるナイとガロに魔物が集中するため、彼も敢えて姿を晒して魔物の注意を引く。
「ナイ、ガロ……それにビャクといったな?ここは俺に任せろ、お前達だけでも先に逃げるんだ」
「ゴンザレス……?」
「ば、馬鹿野郎……お前だけでどうにかできるかよ」
「ウォンッ!!」
ゴンザレスは皆を庇うように両腕を左右に伸ばすが、それを見たガロが彼を止めようとした。ナイもこの状況で仲間を置いていけるはずがなく、そもそもナイの場合はもう誰かを犠牲にして生き延びるなど御免だった。
(あの時と同じだ……)
ナイはかつて赤毛熊に襲われた時、養父であるアルが自分を囮にしてナイとゴマンを逃がそうとした事を思い出す。あの時のナイは何も出来ず、結局は養父を助ける事はできなかった。しかし、今は違う。
皆を守るためならばナイは自分が魔物達の注意を引き、その間に他の皆を逃がす覚悟はあった。ナイはゴンザレスの横に立って旋斧を構える。
「僕も戦うよ……悪いけど、仲間を置いて逃げたら死んだ爺ちゃんに怒られるからね」
「ナイ……分かった、だが無理をするなよ」
「ま、待て……勝手に決めるな、お前等だけでどうにかなるはずがないだろ!?」
「ビャク!!ガロを連れて先に離れろ!!」
「ウォンッ!?」
「早く行けっ!!」
ナイがビャクに命じると、ビャクは驚いた表情を浮かべるがナイが厳しく言いつけると、ビャクは仕方がないとばかりに倒れ込んでいるガロを咥えて駆け出す。
「ウォンッ!!」
「お、おい待て!!何を勝手に……うわぁっ!?」
「ふうっ……これで全力で戦える」
「迷惑をかけるな……」
ガロを連れたビャクがその場を離れると、これで気兼ねなく戦えると判断したナイはゴンザレスと背中を合わせ、魔物達と向き直る。残された魔物達は完全にナイ達を標的と定め、一斉に襲い掛かってきた。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
物語のようにはいかない
わらびもち
恋愛
転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。
そう、言われる方ではなく『言う』方。
しかも言ってしまってから一年は経過している。
そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。
え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?
いや、そもそも修復可能なの?
発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?
せめて失言『前』に転生していればよかったのに!
自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。
夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。
かわいそうな旦那様‥
みるみる
恋愛
侯爵令嬢リリアのもとに、公爵家の長男テオから婚約の申し込みがありました。ですが、テオはある未亡人に惚れ込んでいて、まだ若くて性的魅力のかけらもないリリアには、本当は全く異性として興味を持っていなかったのです。
そんなテオに、リリアはある提案をしました。
「‥白い結婚のまま、三年後に私と離縁して下さい。」
テオはその提案を承諾しました。
そんな二人の結婚生活は‥‥。
※題名の「かわいそうな旦那様」については、客観的に見ていると、この旦那のどこが?となると思いますが、主人公の旦那に対する皮肉的な意味も込めて、あえてこの題名にしました。
※小説家になろうにも投稿中
※本編完結しましたが、補足したい話がある為番外編を少しだけ投稿しますm(_ _)m
少年売買契約
眠りん
BL
殺人現場を目撃した事により、誘拐されて闇市場で売られてしまった少年。
闇オークションで買われた先で「お前は道具だ」と言われてから自我をなくし、道具なのだと自分に言い聞かせた。
性の道具となり、人としての尊厳を奪われた少年に救いの手を差し伸べるのは──。
表紙:右京 梓様
※胸糞要素がありますがハッピーエンドです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました
ユユ
恋愛
毎夜天使が私を犯す。
それは王家から婚約の打診があったときから
始まった。
体の弱い父を領地で支えながら暮らす母。
2人は私の異変に気付くこともない。
こんなこと誰にも言えない。
彼の支配から逃れなくてはならないのに
侯爵家のキングは私を放さない。
* 作り話です
傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~
日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】
https://ncode.syosetu.com/n1741iq/
https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199
【小説家になろうで先行公開中】
https://ncode.syosetu.com/n0091ip/
働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。
地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる