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忌み子と呼ばれた少年
第23話 ゴブリンの集団
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「足元に気を付けろ、特に山登る時は体力を使うからな」
「うん」
「薬草の粉末はちゃんと持ってきているな?。傷を治すのにも使えるし、身体に振りかければ臭いを消してくれるからな」
「大丈夫、ちゃんと持って来たよ」
ナイとアルは外に出向く時は必ず薬草の粉末が入った硝子瓶を常備するように心掛け、怪我をした時の薬や魔物から逃れるために必ず身に付けて置く。
薬草はあまり手に入らず、しかも素人では栽培には難しい植物のため、もしも見つけた時は必ず採取を行う。薬の材料としては最高の素材であるため、村人からも求められる事が多い。
「周りを常に注意しろ。また、前みたいに上から襲われたないように気を付けないとな……」
「……爺ちゃん、こっちの方にも足跡があるよ」
「何だと?」
アルはナイに顔を向けると、彼は地面に足跡がある事を示し、それは形や大きさからゴブリンの物で間違いなかった。しかも数は一つではなく、複数のゴブリンが通り過ぎた様子だった。
「この足跡……奴等、麓の方に移動しているな。まさか、村の方角に向かっているのか?」
「えっ!?大丈夫かな……」
「奴等も馬鹿じゃない、下手に人間の村を襲えば自分達が報復される事ぐらいは理解できる知恵はあるはずだが……少し気になるな、後を追うか」
「大丈夫かな……」
「念のために臭いを消しておくんだ。マントに粉末を振りかけて身に付けるんだ」
ゴブリンの足跡を発見したナイとアルは身に付けていたマントに薬草の粉末を振りかけ、それを身に纏う。薬草の粉末を擦り付けたマントを身に付ければ臭いを誤魔化せるため、ゴブリンの嗅覚でも勘付かれる事はない。
薬草には傷を治す以外にも色々な使い方が存在し、時には目くらまし代わりに利用する事もできる。しかし、あまり手に入りにくい代物のため、無駄使いは避けなければならない。
「よし、行くぞ……音を立てない様に気を付けて歩くんだぞ」
「分かった……」
二人はゴブリンの足跡を辿り、追跡を開始する。もしもゴブリンが山の麓に存在する村に向かっていた場合、放置するわけにはいかなかった――
――それからしばらく時間が経過すると、二人は森の中を移動するゴブリンの集団を発見した。数は五匹も存在し、二人は木陰に隠れながら様子を伺う。
「ギギィッ……」
「ギイイッ……」
「ギィアッ……」
ゴブリン達は林を掻き分けながら移動を行い、その手元には棍棒が握りしめられていた。前回にアルは棍棒で頭を殴られた事を思い出して眉をしかめる。
一方でナイの方はゴブリンの様子を伺い、相変わらず体格は小さいが恐ろし気な形相の人型の魔物に身体が震える。だが、不思議な事に以前程の恐怖は覚えず、最初の頃は顔を見ただけで身体が硬直したが、今は冷静に相手の様子を伺う。
(まだ怖いけど、前の時と違って今は僕だって戦えるんだ……)
ナイは自分の腰に身に付けている短剣に視線を向け、前に遭遇した時はナイはアルの足を引っ張って何も役に立てなかった。しかし、今はあの時と違って手元には武器が存在し、それに一角兎の群れを倒した時の事を思い出す。
(大丈夫、今なら勝てない相手じゃない!!それに爺ちゃんだっているんだ!!)
覚悟を決めた様にナイは短剣に手を伸ばすと、その様子を見ていたアルは以前は魔物を見ても怯えて動けなかったナイが戦おうとしている事に驚く。だが、そんな彼を落ち着かせるようにアルは小声で話す。
「大丈夫だ、奴等はまだ気づいていない……無理に戦う必要はない、このままやり過ごすぞ」
「え、でも……あいつら、村に向かってるよ」
「あの程度の数なら村を襲う事はないはずだ。奴等は馬鹿じゃない、人間を襲えばどうなるのか理解しているはずだ」
ゴブリンの数を把握したアルは彼等が村を襲うつもりはないと判断し、たった数匹のゴブリンが人間の村を襲ったところで返り討ちに遭うのは目に見えていた。村の中にはゴブリン達よりも大勢の人間が存在する。
アルの話を聞いたナイは本当に大丈夫なのかと思ったが、ゴブリン達は途中で足を止めると、言い争いを行う。何を話しているのかは理解できないが、何やらも揉めている様子だった。
「ギイッ!!ギイイッ!!」
「ギィアッ!!」
「ギギィッ!?」
一番背丈が大きいゴブリンが棍棒を手にして他のゴブリンを怒鳴りつける様に叫ぶと、その言葉を聞いたゴブリン達は戸惑い、やがて一番背丈が低いゴブリンが突き飛ばされる。
「ギギィッ!!」
「ギャンッ!?」
突き飛ばされたゴブリンは痛そうに涙を浮かべながら背丈の大きいゴブリンを見上げるが、それに対して大きいゴブリンは村が存在する方角を指差し、何か命じるように小さいゴブリンに怒鳴りつけた。
「うん」
「薬草の粉末はちゃんと持ってきているな?。傷を治すのにも使えるし、身体に振りかければ臭いを消してくれるからな」
「大丈夫、ちゃんと持って来たよ」
ナイとアルは外に出向く時は必ず薬草の粉末が入った硝子瓶を常備するように心掛け、怪我をした時の薬や魔物から逃れるために必ず身に付けて置く。
薬草はあまり手に入らず、しかも素人では栽培には難しい植物のため、もしも見つけた時は必ず採取を行う。薬の材料としては最高の素材であるため、村人からも求められる事が多い。
「周りを常に注意しろ。また、前みたいに上から襲われたないように気を付けないとな……」
「……爺ちゃん、こっちの方にも足跡があるよ」
「何だと?」
アルはナイに顔を向けると、彼は地面に足跡がある事を示し、それは形や大きさからゴブリンの物で間違いなかった。しかも数は一つではなく、複数のゴブリンが通り過ぎた様子だった。
「この足跡……奴等、麓の方に移動しているな。まさか、村の方角に向かっているのか?」
「えっ!?大丈夫かな……」
「奴等も馬鹿じゃない、下手に人間の村を襲えば自分達が報復される事ぐらいは理解できる知恵はあるはずだが……少し気になるな、後を追うか」
「大丈夫かな……」
「念のために臭いを消しておくんだ。マントに粉末を振りかけて身に付けるんだ」
ゴブリンの足跡を発見したナイとアルは身に付けていたマントに薬草の粉末を振りかけ、それを身に纏う。薬草の粉末を擦り付けたマントを身に付ければ臭いを誤魔化せるため、ゴブリンの嗅覚でも勘付かれる事はない。
薬草には傷を治す以外にも色々な使い方が存在し、時には目くらまし代わりに利用する事もできる。しかし、あまり手に入りにくい代物のため、無駄使いは避けなければならない。
「よし、行くぞ……音を立てない様に気を付けて歩くんだぞ」
「分かった……」
二人はゴブリンの足跡を辿り、追跡を開始する。もしもゴブリンが山の麓に存在する村に向かっていた場合、放置するわけにはいかなかった――
――それからしばらく時間が経過すると、二人は森の中を移動するゴブリンの集団を発見した。数は五匹も存在し、二人は木陰に隠れながら様子を伺う。
「ギギィッ……」
「ギイイッ……」
「ギィアッ……」
ゴブリン達は林を掻き分けながら移動を行い、その手元には棍棒が握りしめられていた。前回にアルは棍棒で頭を殴られた事を思い出して眉をしかめる。
一方でナイの方はゴブリンの様子を伺い、相変わらず体格は小さいが恐ろし気な形相の人型の魔物に身体が震える。だが、不思議な事に以前程の恐怖は覚えず、最初の頃は顔を見ただけで身体が硬直したが、今は冷静に相手の様子を伺う。
(まだ怖いけど、前の時と違って今は僕だって戦えるんだ……)
ナイは自分の腰に身に付けている短剣に視線を向け、前に遭遇した時はナイはアルの足を引っ張って何も役に立てなかった。しかし、今はあの時と違って手元には武器が存在し、それに一角兎の群れを倒した時の事を思い出す。
(大丈夫、今なら勝てない相手じゃない!!それに爺ちゃんだっているんだ!!)
覚悟を決めた様にナイは短剣に手を伸ばすと、その様子を見ていたアルは以前は魔物を見ても怯えて動けなかったナイが戦おうとしている事に驚く。だが、そんな彼を落ち着かせるようにアルは小声で話す。
「大丈夫だ、奴等はまだ気づいていない……無理に戦う必要はない、このままやり過ごすぞ」
「え、でも……あいつら、村に向かってるよ」
「あの程度の数なら村を襲う事はないはずだ。奴等は馬鹿じゃない、人間を襲えばどうなるのか理解しているはずだ」
ゴブリンの数を把握したアルは彼等が村を襲うつもりはないと判断し、たった数匹のゴブリンが人間の村を襲ったところで返り討ちに遭うのは目に見えていた。村の中にはゴブリン達よりも大勢の人間が存在する。
アルの話を聞いたナイは本当に大丈夫なのかと思ったが、ゴブリン達は途中で足を止めると、言い争いを行う。何を話しているのかは理解できないが、何やらも揉めている様子だった。
「ギイッ!!ギイイッ!!」
「ギィアッ!!」
「ギギィッ!?」
一番背丈が大きいゴブリンが棍棒を手にして他のゴブリンを怒鳴りつける様に叫ぶと、その言葉を聞いたゴブリン達は戸惑い、やがて一番背丈が低いゴブリンが突き飛ばされる。
「ギギィッ!!」
「ギャンッ!?」
突き飛ばされたゴブリンは痛そうに涙を浮かべながら背丈の大きいゴブリンを見上げるが、それに対して大きいゴブリンは村が存在する方角を指差し、何か命じるように小さいゴブリンに怒鳴りつけた。
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