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忌み子と呼ばれた少年
第15話 「迎撃」の技能の効果
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家を抜け出したナイは早速覚えた「迎撃」を試すため、何か良い方法はないのかを考える。迎撃の技能は相手が攻撃した際に発動し、迅速に反撃行動に移れるという能力のため、まずは自分を攻撃する敵を探す必要があった。
(しまった!!敵がいないと迎撃を試す事なんて出来ないや。でも、勝手に村の外に出て魔物と戦うわけにもいかないし……どうしよう)
迎撃を試すための敵を見つけ出さなければならず、ナイは困り果てていると不意に家の近くに生えている草むらに視線を向けた。そこには偶然にもカマキリが存在し、それを見つけたナイはカマキリで試せないのかと考える。
(虫が相手でも発動するのかな……まあ、試してみよう)
ナイは草むらに存在するカマキリに近付くとゆっくりと手を伸ばす。カマキリは唐突に近付いてきたナイを見て警戒するように両手の刃を構えた。
「ッ……!!」
「……てやっ」
カマキリが身構えるのを確認するとナイはゆっくりと手を伸ばし、軽くつつこうとした。その様子を見てカマキリは自分が攻撃されると判断したのか、両手の鎌を振りかざす。
この時にナイは指が斬られると思ったが、その瞬間に身体が勝手に反応するかのように指が動き出し、刃で斬られる前に蟷螂の足元を振り払う。その結果、体勢を崩したカマキリは攻撃する前に倒れ込む。
「ッ……!?」
「えっ!?今のって……」
カマキリは慌てて起き上がると逃げてしまい、その様子を見てナイは驚いた様に右手に視線を向けた。カマキリに指が斬られると思った瞬間に身体が無意識に動き、逆に相手が攻撃に移る前に行動した。
どうやら昆虫が相手でもナイが「敵」と判断した相手には「迎撃」は効果を発揮する事が判明し、戸惑いながらもナイは拳を握りしめる。
(凄い、この技能……これがあれば一角兎と戦う時でも怖くないかも)
一角兎を倒した際、偶然にもナイは相手が攻撃を仕掛けてきた際に鉈で反撃を繰り出した。その結果、鉈は一角兎の急所に的中して気絶させた事を思い出す。
あの時の行動も正に「迎撃」した事に変わりはなく、もしかしたらナイが迎撃の技能を覚えることができたのもあの時の行動が関わっているのかもしれない。それはともかく「迎撃」の効果を確認したナイはもっと試したいと思った。
「迎撃か……また新しい敵を探さないと」
「おい、ひとりで何をぶつぶつと言ってるんだ」
「え?」
唐突に声を掛けられたナイは振り返ると、そこには村に暮らす子供が存在し、その一人はいつもナイに嫌味を告げる子供だった。名前はゴマンであり、この村の村長の子供でもある。
「ゴマン……それに他の皆も」
「ゴマンさんだ!!お前みたいなよそ者のガキが僕を呼び捨てにするなんていい度胸だな!!」
「よそ者って……僕はずっとここにいるよ」
「ふん、赤ん坊の頃に拾われてきた奴なんてよそ者だろうが!!」
ナイは赤ん坊の頃に拾われて村の中に育てられているが、そんな彼を村長の息子であるゴマンは気に入らなかった。自分達が生まれた村ではない場所から連れて来られたナイに対し、昔からゴマンは冷たく接していた。
普段は滅多にゴマンはナイに絡んでくる事はないが、今回は妙にニヤニヤと笑っていた。そんな彼等をみてナイは嫌な予感を浮かべる。
「僕に何か用なの?」
「ああ、そうだ。この間、お前の所の爺さんに酷い目に遭わされたからな……また、お前で憂さ晴らしさせてもらおうか」
「……そっちが勝手に絡んできた癖に」
「うるさい!!あの爺、あれぐらいの悪戯で本気で殴りやがって!!僕を誰だと思ってるんだ!?」
先日、ゴマンは村の中で悪さをしていた際、アルに見つかって折檻を受けた。村長の息子であるゴマンはその事に激怒して親に泣きついたが、村長は良識の有る人物なので逆にゴマンを叱りつけたという。
昔からゴマンはアルの事を目の敵にしており、そんなゴマンをアルは何度も鉄拳制裁で教育を施す。それでもゴマンが懲りる様子はなく、むしろ彼が叱りつける度にナイに嫌がらせを行う。
「もう我慢の限界だ!!僕の父ちゃんがお前の所の爺さんと親友だからって、今まで我慢してきたがな!!お前の爺さん、最近全く獲物を村に寄越さないじゃないか!!」
「最近は魔物が増えてきたから、狩猟に出向くのも危険なんだよ……」
「うるさい!!僕は肉を食いたいんだ、なのに狩人の爺さんがしっかりと働かないから悪いんだろうが!!」
「うわっ!?」
文句を告げたナイに対してゴマンは蹴り飛ばそうとするが、咄嗟にナイは後ろに下がる。生意気にも自分の攻撃を躱したナイにゴマンは苛立ちを抱き、怒鳴りつけた。
「ふん!!僕に逆らえばどうなるか分かってるのか!?また、お前の腕を折ってやろうか!!」
「…………」
ゴマンの言葉にナイは眉をしかめ、実を言えば先日にナイが腕を折った理由、それは彼がただ転んで腕を折ったわけではなく、ゴマンに絡まれた時に転ばされた事が原因だった。
(しまった!!敵がいないと迎撃を試す事なんて出来ないや。でも、勝手に村の外に出て魔物と戦うわけにもいかないし……どうしよう)
迎撃を試すための敵を見つけ出さなければならず、ナイは困り果てていると不意に家の近くに生えている草むらに視線を向けた。そこには偶然にもカマキリが存在し、それを見つけたナイはカマキリで試せないのかと考える。
(虫が相手でも発動するのかな……まあ、試してみよう)
ナイは草むらに存在するカマキリに近付くとゆっくりと手を伸ばす。カマキリは唐突に近付いてきたナイを見て警戒するように両手の刃を構えた。
「ッ……!!」
「……てやっ」
カマキリが身構えるのを確認するとナイはゆっくりと手を伸ばし、軽くつつこうとした。その様子を見てカマキリは自分が攻撃されると判断したのか、両手の鎌を振りかざす。
この時にナイは指が斬られると思ったが、その瞬間に身体が勝手に反応するかのように指が動き出し、刃で斬られる前に蟷螂の足元を振り払う。その結果、体勢を崩したカマキリは攻撃する前に倒れ込む。
「ッ……!?」
「えっ!?今のって……」
カマキリは慌てて起き上がると逃げてしまい、その様子を見てナイは驚いた様に右手に視線を向けた。カマキリに指が斬られると思った瞬間に身体が無意識に動き、逆に相手が攻撃に移る前に行動した。
どうやら昆虫が相手でもナイが「敵」と判断した相手には「迎撃」は効果を発揮する事が判明し、戸惑いながらもナイは拳を握りしめる。
(凄い、この技能……これがあれば一角兎と戦う時でも怖くないかも)
一角兎を倒した際、偶然にもナイは相手が攻撃を仕掛けてきた際に鉈で反撃を繰り出した。その結果、鉈は一角兎の急所に的中して気絶させた事を思い出す。
あの時の行動も正に「迎撃」した事に変わりはなく、もしかしたらナイが迎撃の技能を覚えることができたのもあの時の行動が関わっているのかもしれない。それはともかく「迎撃」の効果を確認したナイはもっと試したいと思った。
「迎撃か……また新しい敵を探さないと」
「おい、ひとりで何をぶつぶつと言ってるんだ」
「え?」
唐突に声を掛けられたナイは振り返ると、そこには村に暮らす子供が存在し、その一人はいつもナイに嫌味を告げる子供だった。名前はゴマンであり、この村の村長の子供でもある。
「ゴマン……それに他の皆も」
「ゴマンさんだ!!お前みたいなよそ者のガキが僕を呼び捨てにするなんていい度胸だな!!」
「よそ者って……僕はずっとここにいるよ」
「ふん、赤ん坊の頃に拾われてきた奴なんてよそ者だろうが!!」
ナイは赤ん坊の頃に拾われて村の中に育てられているが、そんな彼を村長の息子であるゴマンは気に入らなかった。自分達が生まれた村ではない場所から連れて来られたナイに対し、昔からゴマンは冷たく接していた。
普段は滅多にゴマンはナイに絡んでくる事はないが、今回は妙にニヤニヤと笑っていた。そんな彼等をみてナイは嫌な予感を浮かべる。
「僕に何か用なの?」
「ああ、そうだ。この間、お前の所の爺さんに酷い目に遭わされたからな……また、お前で憂さ晴らしさせてもらおうか」
「……そっちが勝手に絡んできた癖に」
「うるさい!!あの爺、あれぐらいの悪戯で本気で殴りやがって!!僕を誰だと思ってるんだ!?」
先日、ゴマンは村の中で悪さをしていた際、アルに見つかって折檻を受けた。村長の息子であるゴマンはその事に激怒して親に泣きついたが、村長は良識の有る人物なので逆にゴマンを叱りつけたという。
昔からゴマンはアルの事を目の敵にしており、そんなゴマンをアルは何度も鉄拳制裁で教育を施す。それでもゴマンが懲りる様子はなく、むしろ彼が叱りつける度にナイに嫌がらせを行う。
「もう我慢の限界だ!!僕の父ちゃんがお前の所の爺さんと親友だからって、今まで我慢してきたがな!!お前の爺さん、最近全く獲物を村に寄越さないじゃないか!!」
「最近は魔物が増えてきたから、狩猟に出向くのも危険なんだよ……」
「うるさい!!僕は肉を食いたいんだ、なのに狩人の爺さんがしっかりと働かないから悪いんだろうが!!」
「うわっ!?」
文句を告げたナイに対してゴマンは蹴り飛ばそうとするが、咄嗟にナイは後ろに下がる。生意気にも自分の攻撃を躱したナイにゴマンは苛立ちを抱き、怒鳴りつけた。
「ふん!!僕に逆らえばどうなるか分かってるのか!?また、お前の腕を折ってやろうか!!」
「…………」
ゴマンの言葉にナイは眉をしかめ、実を言えば先日にナイが腕を折った理由、それは彼がただ転んで腕を折ったわけではなく、ゴマンに絡まれた時に転ばされた事が原因だった。
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