8 / 15
結婚作戦
しおりを挟む
「話は分かりました。不本意ですが、貴方達の計画に乗ってあげましょう。正妻と側室の件に関しては後日話し合いましょう」
「うむ……」
「では、まずはアリア様とマリア様の協力を申し込む前に、まずは我々だけで計画を話し合いましょう」
「計画?」
「まずはレオ様の身辺を調査した所、どうやら数多くの女性が彼に好意を抱いているようです。冒険者ギルドの女性冒険者、受付嬢、さらには街の住民も数多く慕われています」
「そんなにかっ!?」
「当然ではないですか、あれほどの力を持ちながら決して驕らず、面倒見も良く、優れた指導者として誰よりも活躍しているのです」
「なるほど、人の上に立つ人間として相応しい人望と求心力も持ち合わせているのですね」
家臣の説明にマイラは満足そうに頷き、自分の娘の相手に相応しいと考えた。それだけにもっと早い段階で勇者である彼を引き入れる事が出来れば良かったのだが、今更考えても仕方がない。
「しかし、それほど慕われているのならば何故、奴は誰とも結婚しなかった?やはり、アリア嬢の事を忘れられなかったのか?」
「その点に関してなのですが、実はレオ殿は何度か見合いを申し込まれた事があります。中には直接本人に告白を行う者も少なくはなかったようですが、それらを全て断わっています」
「恋愛にはもう興味を無くしたのでは?」
「いえ、そうとは断定出来ません。彼が交際を申し込まれたときに拒否する理由は「未熟者の自分が他人を幸せに出来るとは思えない」と語っています。もしも仮にアリア殿を思っているとしたら、このような言葉を使うのはおかしいのではないでしょうか?」
「そうか?別にそれほどおかしい言葉とは思えんが……」
「そうとは言い切れません。実はレオ様は魔王退治の旅の道中でも不特定多数の女性から好意を抱かれています。その際に彼が交際を申し込まれたときに告げた断わりの言葉はこうです。レオ様は必ず「自分には好きな人がいる。だから貴女の気持ちには応えられない」とはっきり告げています」
「……その想い人がアリアであるのは間違いないですが、確かに旅を終えてからの彼の交際を断わる時の言葉が変わっていますね」
マイラは家臣の言葉を聞いて眉を顰め、もしもレオが未だにアリアの事を思い続けているのならば「未熟者の自分が……」等という言葉を使う必要がない。最も振られたにも関わらずに未練がましくアリアの事を想い続けている事を知られないように言い方を変えたとも考えられなくはないが、それならば既にアリアと再会して一か月も経過しているのに関係が発展していないのは疑問が残る。
「恐らくですがレオ様は既にアリア様の事は諦めている、という言葉はどうかと思いますが……既に振られた相手だと認識しています。それでも彼が誰とも交際を行っていないのは心の何処かではアリア殿の事を忘れられずにいると考えているのでは?」
「それでは我が娘はどうなる!?」
「落ち着いてください。今の言葉はあくまでも我々の予測にしか過ぎません。仮にアリア殿の事を現在まで思い続けたとしても関係が何の発展もしないのはおかしな話です。そこで二人の関係を後押しするためにマリア様に協力して貰うのです!!マリア様ならば素直にレオ様に好意を伝えられますし、共に過ごした仲間ならばレオ様も無下にはマリア様の好意を扱う事は出来ないでしょう。そしてアリア様も一人では何も行動できなくとも、他の人間に後押しさせる事で覚悟を決めさせるのです」
「なるほど、敢えて三角関係を構築するのですか」
「ちょっと待て、それでもしもマリアが振られたらどうするのだ!?」
「だからこそここで御二方に協力関係を結んでもらうのです。まず、この計画は御二方から自分の娘に話してください。そして万が一にもレオ殿が片方を選んだ場合、この計画の事を暴露するのです。そして両国のためにどうか二人を受け入れるように頼み込むのです」
「それで上手く行くのですか?」
「レオ様は慈悲深き御方……きっと最初は憤られるでしょうが、お二人の立場を理解すればきっと受け入れてくれるはずです。それに冒険者ギルド側としてもバルカン王国とアトラス大森林の後ろ盾を得られるのですから文句はないはずです」
「そうでしょうか?正直、穴だらけな作戦だと思いますが……」
「何だか騙されている気がするが……」
家臣の自信に満ちた言葉に国王とマイラは胡散臭い表情を浮かべるが、現状では関係が発展しない事は目に見えており、彼の作戦を受け入れるしかなかった――
「うむ……」
「では、まずはアリア様とマリア様の協力を申し込む前に、まずは我々だけで計画を話し合いましょう」
「計画?」
「まずはレオ様の身辺を調査した所、どうやら数多くの女性が彼に好意を抱いているようです。冒険者ギルドの女性冒険者、受付嬢、さらには街の住民も数多く慕われています」
「そんなにかっ!?」
「当然ではないですか、あれほどの力を持ちながら決して驕らず、面倒見も良く、優れた指導者として誰よりも活躍しているのです」
「なるほど、人の上に立つ人間として相応しい人望と求心力も持ち合わせているのですね」
家臣の説明にマイラは満足そうに頷き、自分の娘の相手に相応しいと考えた。それだけにもっと早い段階で勇者である彼を引き入れる事が出来れば良かったのだが、今更考えても仕方がない。
「しかし、それほど慕われているのならば何故、奴は誰とも結婚しなかった?やはり、アリア嬢の事を忘れられなかったのか?」
「その点に関してなのですが、実はレオ殿は何度か見合いを申し込まれた事があります。中には直接本人に告白を行う者も少なくはなかったようですが、それらを全て断わっています」
「恋愛にはもう興味を無くしたのでは?」
「いえ、そうとは断定出来ません。彼が交際を申し込まれたときに拒否する理由は「未熟者の自分が他人を幸せに出来るとは思えない」と語っています。もしも仮にアリア殿を思っているとしたら、このような言葉を使うのはおかしいのではないでしょうか?」
「そうか?別にそれほどおかしい言葉とは思えんが……」
「そうとは言い切れません。実はレオ様は魔王退治の旅の道中でも不特定多数の女性から好意を抱かれています。その際に彼が交際を申し込まれたときに告げた断わりの言葉はこうです。レオ様は必ず「自分には好きな人がいる。だから貴女の気持ちには応えられない」とはっきり告げています」
「……その想い人がアリアであるのは間違いないですが、確かに旅を終えてからの彼の交際を断わる時の言葉が変わっていますね」
マイラは家臣の言葉を聞いて眉を顰め、もしもレオが未だにアリアの事を思い続けているのならば「未熟者の自分が……」等という言葉を使う必要がない。最も振られたにも関わらずに未練がましくアリアの事を想い続けている事を知られないように言い方を変えたとも考えられなくはないが、それならば既にアリアと再会して一か月も経過しているのに関係が発展していないのは疑問が残る。
「恐らくですがレオ様は既にアリア様の事は諦めている、という言葉はどうかと思いますが……既に振られた相手だと認識しています。それでも彼が誰とも交際を行っていないのは心の何処かではアリア殿の事を忘れられずにいると考えているのでは?」
「それでは我が娘はどうなる!?」
「落ち着いてください。今の言葉はあくまでも我々の予測にしか過ぎません。仮にアリア殿の事を現在まで思い続けたとしても関係が何の発展もしないのはおかしな話です。そこで二人の関係を後押しするためにマリア様に協力して貰うのです!!マリア様ならば素直にレオ様に好意を伝えられますし、共に過ごした仲間ならばレオ様も無下にはマリア様の好意を扱う事は出来ないでしょう。そしてアリア様も一人では何も行動できなくとも、他の人間に後押しさせる事で覚悟を決めさせるのです」
「なるほど、敢えて三角関係を構築するのですか」
「ちょっと待て、それでもしもマリアが振られたらどうするのだ!?」
「だからこそここで御二方に協力関係を結んでもらうのです。まず、この計画は御二方から自分の娘に話してください。そして万が一にもレオ殿が片方を選んだ場合、この計画の事を暴露するのです。そして両国のためにどうか二人を受け入れるように頼み込むのです」
「それで上手く行くのですか?」
「レオ様は慈悲深き御方……きっと最初は憤られるでしょうが、お二人の立場を理解すればきっと受け入れてくれるはずです。それに冒険者ギルド側としてもバルカン王国とアトラス大森林の後ろ盾を得られるのですから文句はないはずです」
「そうでしょうか?正直、穴だらけな作戦だと思いますが……」
「何だか騙されている気がするが……」
家臣の自信に満ちた言葉に国王とマイラは胡散臭い表情を浮かべるが、現状では関係が発展しない事は目に見えており、彼の作戦を受け入れるしかなかった――
0
お気に入りに追加
1,143
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
勇者に大切な人達を寝取られた結果、邪神が目覚めて人類が滅亡しました。
レオナール D
ファンタジー
大切な姉と妹、幼なじみが勇者の従者に選ばれた。その時から悪い予感はしていたのだ。
田舎の村に生まれ育った主人公には大切な女性達がいた。いつまでも一緒に暮らしていくのだと思っていた彼女らは、神託によって勇者の従者に選ばれて魔王討伐のために旅立っていった。
旅立っていった彼女達の無事を祈り続ける主人公だったが……魔王を倒して帰ってきた彼女達はすっかり変わっており、勇者に抱きついて媚びた笑みを浮かべていた。
青年が大切な人を勇者に奪われたとき、世界の破滅が幕を開く。
恐怖と狂気の怪物は絶望の底から生まれ落ちたのだった……!?
※カクヨムにも投稿しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
彼女の浮気相手からNTRビデオレターが送られてきたから全力で反撃しますが、今さら許してくれと言われてももう遅い
うぱー
恋愛
彼女の浮気相手からハメ撮りを送られてきたことにより、浮気されていた事実を知る。
浮気相手はサークルの女性にモテまくりの先輩だった。
裏切られていた悲しみと憎しみを糧に社会的制裁を徹底的に加えて復讐することを誓う。
■一行あらすじ
浮気相手と彼女を地獄に落とすために頑張る話です(●´艸`)ィヒヒ
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
[完結:1話 1分読書]幼馴染を勇者に寝取られた不遇職の躍進
無責任
ファンタジー
<毎日更新 1分読書> 愛する幼馴染を失った不遇職の少年の物語
ユキムラは神託により不遇職となってしまう。
愛するエリスは、聖女となり、勇者のもとに行く事に・・・。
引き裂かれた関係をもがき苦しむ少年、少女の物語である。
アルファポリス版は、各ページに人物紹介などはありません。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
この物語の世界は、15歳が成年となる世界観の為、現実の日本社会とは異なる部分もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる