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戦姫編
戦姫との再会
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女騎士の案内により、レナは応接室に案内される。他の2人は面倒事に巻き込まれたくないとの事で訓練場に残ってしまい、後でお仕置きする事を考えながら彼は応接室の扉の前に移動する。扉の外から出は話し声は聞こえず、レナがノックを行うと中からミキの声が響く。
『どうぞ、中に入ってください』
「……失礼します」
部屋を開けると既に応接室には椅子に座るミキに姿があり、机を挟んだ向い側の席にはレナが召喚された日に出会った王女の姿があり、今回は従者の騎士を引き連れていないのか1人だけで待ち構えていた。レナはミキに視線を向けると、彼女は黙って首を振り、暗にこれ以上の隠し事は出来ない事を伝える。
「貴方は……やはり、あの時の御方でしたか」
「ど、どうも……お久しぶりです」
「レナ様、一先ずは私の隣に……王女様には我々が話せる限りの事は話しています」
「その事で私から謝罪したい事があります」
レナがミキの隣の椅子に座ると、王女はその場で深々と頭を下げ、彼女の行動に慌てて2人は驚くが帝国の王女「ジャンヌ」は謝罪の言葉伝える。
「この度の防衛大臣のデキンの不始末により、異世界人のレナ様に多大なご迷惑を掛けた事を彼の代わりに私が謝罪します……申し訳ございませんでした」
「えっ……」
「デキンに関しては必ず不始末の責任は取らせます。また、我が養父からレナ様の謝罪金を受け取っています。どうかお納めください」
ジャンヌは胸に掲げているペンダントに掌を翳すと、宝石だと思われた装飾品は収納石を加工した代物らしく、異空間から小袋を取り出して机の上に差し出す。相当な重量があり、机に乗せただけで足が軋む音が聞こえ、レナは小袋を受け取ろうとすると予想以上の重量であり、中身は金貨が大量に入っている事を確認する。以前に陽光教会から聖水の製造法を提供した際に渡された金額の3倍は確実に収められていた。
「ちょっ……こんなに受け取れませんよ!?」
「いえ、必ず受け取って貰います。この金貨はゴブリンロードの討伐を果たしたレナ様の報酬も含まれています」
「ゴブリンロードの……でも、あれは俺一人の力じゃないし……」
「もちろん、ゴブリンロードの討伐の他の関係者の方もお望みとあれば報酬を用意します。ですが、この金貨はレナ様に受け取ってほしいのです。我々が身勝手に勇者様の世界から呼び出し、しかもデキンの横暴で王城から追い出された貴方を今まで放置していた我々をどうかお許しください……」
「そう言われても……」
「レナ様、ここでお断りすると王女様の沽券にかかわります。どうかお受け取り下さい」
「ミキさんまで……はあ、分かりました」
大量の金貨が入っていた小袋を受け取り、レナは自分が所持している収納石に一先ずは回収すると、ジャンヌは激しく咳き込み、口元をハンカチで抑える。
「けほっ、げほっ……す、すいません……水を一杯頂けませんか?」
「は、はい。どうぞこちらを……」
慌ててミキは机の上に置かれていたコップに水を注いでジャンヌに渡すと、彼女は一気に飲み干し、やがて落ち着いたかのようい口元をハンカチで拭くと、レナは彼女が吐血している事に気付く。それを同時に目撃したミキは驚愕の表情を浮かべ、即座に立ち上がって彼女の元に駆け寄る。
「まさか……病を患っているのですか!?」
「へ、平気です……それにこれは病ではありません……これは毒です」
「毒……!?」
ジャンヌの発言にレナとミキは驚愕し、彼女は黙って右腕の服の袖を引き上げ、肩を晒す。唐突な彼女の行動に2人は動揺するが、すぐにジャンヌの右肩の異変に気付く。彼女の右肩には刃物で切り裂かれたような切傷が存在し、肌が緑色に変色していた。
「こ、これは……切傷ですか!?」
「いえっ……バジリスクの牙を掠めました。それ以来、この傷跡はどのような治療を施しても消えません……」
「バジリスク?」
レナの脳裏に元の世界の伝説の蛇の魔物が思い浮かび、彼は見た事はないがこの世界には実在する魔物であり、猛毒の牙と直視するだけで相手を石に換える瞳を持つ大蛇である。ジャンヌは数か月前、このバジリスクの牙を右方に受けて微量の毒が体内に入り込み、時間を掛けて彼女の体内を徐々に侵していた。
「どうして……どうしてこの状態に陥るまで放置していたのですか!?すぐに治療を……」
「無駄です……バジリスクの毒を完全に除去できる解毒薬は帝国領には存在しません。そして「魔法耐性」」のスキルを持つ私には回復魔法は効きません……」
「そ、そんな……」
「……魔法耐性?」
ジャンヌの言葉に初めて聞く単語にレナは疑問を抱くと、彼女自身が説明を行う。
「私は生まれた時から魔法耐性と呼ばれるスキルを身に着けていました……このスキルはあらゆる魔法の効果を弱体化させる能力であり、私にはどんなに優れた治癒魔導士の回復魔法であろうと最低限の効果しか得られないのです」
「そんな……じゃあ状態回復の魔法も?」
「帝国専属の治癒魔導士に治療を頼みましたが……結果は見ての通りです」
彼女は自嘲気味に苦笑を浮かべ、ヨウカの「薬効耐性」のスキルと酷似した能力であり、彼女はこのスキルによって満足な治療を得られず、しかも普通の薬品の類では回復できない毒を受けてしまったという。
『どうぞ、中に入ってください』
「……失礼します」
部屋を開けると既に応接室には椅子に座るミキに姿があり、机を挟んだ向い側の席にはレナが召喚された日に出会った王女の姿があり、今回は従者の騎士を引き連れていないのか1人だけで待ち構えていた。レナはミキに視線を向けると、彼女は黙って首を振り、暗にこれ以上の隠し事は出来ない事を伝える。
「貴方は……やはり、あの時の御方でしたか」
「ど、どうも……お久しぶりです」
「レナ様、一先ずは私の隣に……王女様には我々が話せる限りの事は話しています」
「その事で私から謝罪したい事があります」
レナがミキの隣の椅子に座ると、王女はその場で深々と頭を下げ、彼女の行動に慌てて2人は驚くが帝国の王女「ジャンヌ」は謝罪の言葉伝える。
「この度の防衛大臣のデキンの不始末により、異世界人のレナ様に多大なご迷惑を掛けた事を彼の代わりに私が謝罪します……申し訳ございませんでした」
「えっ……」
「デキンに関しては必ず不始末の責任は取らせます。また、我が養父からレナ様の謝罪金を受け取っています。どうかお納めください」
ジャンヌは胸に掲げているペンダントに掌を翳すと、宝石だと思われた装飾品は収納石を加工した代物らしく、異空間から小袋を取り出して机の上に差し出す。相当な重量があり、机に乗せただけで足が軋む音が聞こえ、レナは小袋を受け取ろうとすると予想以上の重量であり、中身は金貨が大量に入っている事を確認する。以前に陽光教会から聖水の製造法を提供した際に渡された金額の3倍は確実に収められていた。
「ちょっ……こんなに受け取れませんよ!?」
「いえ、必ず受け取って貰います。この金貨はゴブリンロードの討伐を果たしたレナ様の報酬も含まれています」
「ゴブリンロードの……でも、あれは俺一人の力じゃないし……」
「もちろん、ゴブリンロードの討伐の他の関係者の方もお望みとあれば報酬を用意します。ですが、この金貨はレナ様に受け取ってほしいのです。我々が身勝手に勇者様の世界から呼び出し、しかもデキンの横暴で王城から追い出された貴方を今まで放置していた我々をどうかお許しください……」
「そう言われても……」
「レナ様、ここでお断りすると王女様の沽券にかかわります。どうかお受け取り下さい」
「ミキさんまで……はあ、分かりました」
大量の金貨が入っていた小袋を受け取り、レナは自分が所持している収納石に一先ずは回収すると、ジャンヌは激しく咳き込み、口元をハンカチで抑える。
「けほっ、げほっ……す、すいません……水を一杯頂けませんか?」
「は、はい。どうぞこちらを……」
慌ててミキは机の上に置かれていたコップに水を注いでジャンヌに渡すと、彼女は一気に飲み干し、やがて落ち着いたかのようい口元をハンカチで拭くと、レナは彼女が吐血している事に気付く。それを同時に目撃したミキは驚愕の表情を浮かべ、即座に立ち上がって彼女の元に駆け寄る。
「まさか……病を患っているのですか!?」
「へ、平気です……それにこれは病ではありません……これは毒です」
「毒……!?」
ジャンヌの発言にレナとミキは驚愕し、彼女は黙って右腕の服の袖を引き上げ、肩を晒す。唐突な彼女の行動に2人は動揺するが、すぐにジャンヌの右肩の異変に気付く。彼女の右肩には刃物で切り裂かれたような切傷が存在し、肌が緑色に変色していた。
「こ、これは……切傷ですか!?」
「いえっ……バジリスクの牙を掠めました。それ以来、この傷跡はどのような治療を施しても消えません……」
「バジリスク?」
レナの脳裏に元の世界の伝説の蛇の魔物が思い浮かび、彼は見た事はないがこの世界には実在する魔物であり、猛毒の牙と直視するだけで相手を石に換える瞳を持つ大蛇である。ジャンヌは数か月前、このバジリスクの牙を右方に受けて微量の毒が体内に入り込み、時間を掛けて彼女の体内を徐々に侵していた。
「どうして……どうしてこの状態に陥るまで放置していたのですか!?すぐに治療を……」
「無駄です……バジリスクの毒を完全に除去できる解毒薬は帝国領には存在しません。そして「魔法耐性」」のスキルを持つ私には回復魔法は効きません……」
「そ、そんな……」
「……魔法耐性?」
ジャンヌの言葉に初めて聞く単語にレナは疑問を抱くと、彼女自身が説明を行う。
「私は生まれた時から魔法耐性と呼ばれるスキルを身に着けていました……このスキルはあらゆる魔法の効果を弱体化させる能力であり、私にはどんなに優れた治癒魔導士の回復魔法であろうと最低限の効果しか得られないのです」
「そんな……じゃあ状態回復の魔法も?」
「帝国専属の治癒魔導士に治療を頼みましたが……結果は見ての通りです」
彼女は自嘲気味に苦笑を浮かべ、ヨウカの「薬効耐性」のスキルと酷似した能力であり、彼女はこのスキルによって満足な治療を得られず、しかも普通の薬品の類では回復できない毒を受けてしまったという。
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