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ゴブリンキング編
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「ここまで移動すれば大丈夫かな……」
「今の所は追跡されている様子はありませんね……ミキさんの性格を考えたら誰か一人ぐらい尾行させると思っていましたけど」
「……どうするの?」
森を抜け出してレナ達は鉱山に向けて移動を開始し、聖属性の付与魔法を発動させて身体能力を上昇させたレナはアイリィとコトミンを担いで駆け出す。幸いにも今夜は「満月」のお蔭で彼の固有スキルの「月光」が発動し、通常状態よりも全てのステータスが大幅に強化され、そのお蔭でレナは普段よりも身体が軽く感じ、2人の人間を抱えて移動しているのに全く疲労が蓄積されなかった。
実は3人が森を抜け出した後、ミキは作戦に賛成したとはいえ、本当に成功するとは考えておらず、偵察に向かった3人を心配してワルキューレ騎士団の数人を尾行させていた。万が一にも彼等の身に何か起きた場合は巫女姫のヨウカが悲しみ、それにレナはヨウカの魔力を回復させる事が出来る唯一の存在であり、彼が死亡する事は陽光教会側にとっても大きな損失となる。
しかし、尾行していた女騎士達は森を抜け出した時点でレナ達を見失ってしまう。見つからないように彼女達は白馬で移動しなかったのが仇とあり、森を抜け出して早々にレナが聖属性の付与魔法で身体能力を強化させ、更に月光のスキルの効果によりステータスも通常時より上昇しており、しかもレナは「暗殺者」の職業とスキルも習得しているため彼は無意識に暗殺者の能力も発動して女騎士達を振り切ってしまい、ワルキューレ騎士団の行動に気付いていないのは彼等だけである。
「見えてきましたよ……あそこがアラン炭鉱が存在する鉱山です」
「あそこか……本当に草原のど真ん中に存在している」
「……尖がっている」
遂にレナ達は目的地である鉱山をが視界に入り、草原に1つだけ存在する鉱山の光景にレナは緊張し、鉱山にはゴンゾウを含む大勢の人間達がゴブリンの群れに人質として捕縛されており、しかも伝説の魔物であるゴブリンキングも存在する。
「よし、コトミン……合体!!」
「とうっ」
レナが両腕を広げるとコトミンが彼に飛びつき、御互いが抱き合う様に2人の身体が接触し、コトミンの肉体が溶解する。文字通りにスライム状に変形したコトミンの肉体がレナの全体を包み込み、身長に若干の違いはあるが彼等が昼間に遭遇したゴブリンと瓜二つの容姿に変化を果たす。
「おおっ!!これは凄いですね……完璧にゴブリンに変身しましたよ」
『うわっ……何だか変な感覚。だけど、これなら襲われる事はないかな?』
「外見は完全にゴブリンですからね。無闇に話さなければ大丈夫だと思いますよ」
外見だけをコトミンの能力でゴブリンに変化したレナは自分の手足を確認すると、人間よりも爪が鋭利に伸びており、緑色の皮膚に覆われていた。耳元もエルフ族のように尖っており、牙の方も獣のように鋭いが、コトミンの擬態はあくまでも表面状を変化させるだけであり、本物のゴブリンになった訳ではない。
「外見は完全にゴブリンですね。これなら気付かれる事はないかもしれませんが、不審な行動をしたら怪しまれますよ」
『アイリィはどうする?』
「私はこのままでいいですよ。この姿でも魔物には私の肉体がコトミンさんの分裂体……つまりはスライムだと気付きます。スライムは魔物の間でも無害として認識されているようですから襲われる心配はありませんよ」
『本当に?』
「まあ、万が一の場合はこれを使いますから大丈夫ですよ」
アイリィは自分の鞄から魔法陣の紋様が刻まれた白色の魔石を取り出し、彼女が帝都を抜け出す前にホノカの魔道具店で購入した「発光石」であり、貴重な魔石なので購入する際は相当な値段が掛かったが、この魔石を使用すると閃光が放たれて相手の目眩しを行う事が可能であり、彼女は武器を所持しない代わりに発光石を身に着ける。
「大分近づいてきましたね……ゴブリンの見張りも居ますよ」
『本当に大丈夫かな?』
「挨拶された時は適当に腕でも上げてください。今のレノさんは普通のゴブリンよりも大きいですから威圧するように行動を心掛ければ相手の方から怖がって近づきませんよ」
『大丈夫かな……』
レナ達は鉱山の麓に辿り着くと山頂に繋がる坂道に武装したゴブリンが待ち構えており、炭鉱の兵士から奪ったと思われる鎧と兜を身に着けているが、基本的に帝国領土内のゴブリンは小柄なため、兜はともかく鎧の方は肉体の規模が合っておらず、非常に動きにくそうに鎧を装備していた。
「ギィッ……ギィイッ!!」
「ギィイッ……」
「ギギィッ!!」
ゴブリンが近づいてきたレナ達に気付き、全員が武器を構えながら接近する。その光景にレナは内心冷や汗を流し、一方でアイリィは彼の後ろに隠れながら様子を見ていた。
「今の所は追跡されている様子はありませんね……ミキさんの性格を考えたら誰か一人ぐらい尾行させると思っていましたけど」
「……どうするの?」
森を抜け出してレナ達は鉱山に向けて移動を開始し、聖属性の付与魔法を発動させて身体能力を上昇させたレナはアイリィとコトミンを担いで駆け出す。幸いにも今夜は「満月」のお蔭で彼の固有スキルの「月光」が発動し、通常状態よりも全てのステータスが大幅に強化され、そのお蔭でレナは普段よりも身体が軽く感じ、2人の人間を抱えて移動しているのに全く疲労が蓄積されなかった。
実は3人が森を抜け出した後、ミキは作戦に賛成したとはいえ、本当に成功するとは考えておらず、偵察に向かった3人を心配してワルキューレ騎士団の数人を尾行させていた。万が一にも彼等の身に何か起きた場合は巫女姫のヨウカが悲しみ、それにレナはヨウカの魔力を回復させる事が出来る唯一の存在であり、彼が死亡する事は陽光教会側にとっても大きな損失となる。
しかし、尾行していた女騎士達は森を抜け出した時点でレナ達を見失ってしまう。見つからないように彼女達は白馬で移動しなかったのが仇とあり、森を抜け出して早々にレナが聖属性の付与魔法で身体能力を強化させ、更に月光のスキルの効果によりステータスも通常時より上昇しており、しかもレナは「暗殺者」の職業とスキルも習得しているため彼は無意識に暗殺者の能力も発動して女騎士達を振り切ってしまい、ワルキューレ騎士団の行動に気付いていないのは彼等だけである。
「見えてきましたよ……あそこがアラン炭鉱が存在する鉱山です」
「あそこか……本当に草原のど真ん中に存在している」
「……尖がっている」
遂にレナ達は目的地である鉱山をが視界に入り、草原に1つだけ存在する鉱山の光景にレナは緊張し、鉱山にはゴンゾウを含む大勢の人間達がゴブリンの群れに人質として捕縛されており、しかも伝説の魔物であるゴブリンキングも存在する。
「よし、コトミン……合体!!」
「とうっ」
レナが両腕を広げるとコトミンが彼に飛びつき、御互いが抱き合う様に2人の身体が接触し、コトミンの肉体が溶解する。文字通りにスライム状に変形したコトミンの肉体がレナの全体を包み込み、身長に若干の違いはあるが彼等が昼間に遭遇したゴブリンと瓜二つの容姿に変化を果たす。
「おおっ!!これは凄いですね……完璧にゴブリンに変身しましたよ」
『うわっ……何だか変な感覚。だけど、これなら襲われる事はないかな?』
「外見は完全にゴブリンですからね。無闇に話さなければ大丈夫だと思いますよ」
外見だけをコトミンの能力でゴブリンに変化したレナは自分の手足を確認すると、人間よりも爪が鋭利に伸びており、緑色の皮膚に覆われていた。耳元もエルフ族のように尖っており、牙の方も獣のように鋭いが、コトミンの擬態はあくまでも表面状を変化させるだけであり、本物のゴブリンになった訳ではない。
「外見は完全にゴブリンですね。これなら気付かれる事はないかもしれませんが、不審な行動をしたら怪しまれますよ」
『アイリィはどうする?』
「私はこのままでいいですよ。この姿でも魔物には私の肉体がコトミンさんの分裂体……つまりはスライムだと気付きます。スライムは魔物の間でも無害として認識されているようですから襲われる心配はありませんよ」
『本当に?』
「まあ、万が一の場合はこれを使いますから大丈夫ですよ」
アイリィは自分の鞄から魔法陣の紋様が刻まれた白色の魔石を取り出し、彼女が帝都を抜け出す前にホノカの魔道具店で購入した「発光石」であり、貴重な魔石なので購入する際は相当な値段が掛かったが、この魔石を使用すると閃光が放たれて相手の目眩しを行う事が可能であり、彼女は武器を所持しない代わりに発光石を身に着ける。
「大分近づいてきましたね……ゴブリンの見張りも居ますよ」
『本当に大丈夫かな?』
「挨拶された時は適当に腕でも上げてください。今のレノさんは普通のゴブリンよりも大きいですから威圧するように行動を心掛ければ相手の方から怖がって近づきませんよ」
『大丈夫かな……』
レナ達は鉱山の麓に辿り着くと山頂に繋がる坂道に武装したゴブリンが待ち構えており、炭鉱の兵士から奪ったと思われる鎧と兜を身に着けているが、基本的に帝国領土内のゴブリンは小柄なため、兜はともかく鎧の方は肉体の規模が合っておらず、非常に動きにくそうに鎧を装備していた。
「ギィッ……ギィイッ!!」
「ギィイッ……」
「ギギィッ!!」
ゴブリンが近づいてきたレナ達に気付き、全員が武器を構えながら接近する。その光景にレナは内心冷や汗を流し、一方でアイリィは彼の後ろに隠れながら様子を見ていた。
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