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ゴブリンキング編
閑話 〈コトミンの秘密〉
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※題名通りに閑話です。後々の本編にも関係する内容です。
――自称スライム少女のコトミンは元々は帝都から遠方の森の中に暮らしていた1匹のスライムだった。彼女は他のスライムと共に森の中で平和に暮らしており、お腹が減ると川の水を飲み、他の魔物に襲われそうになった時は姿を小動物に変化して逃げる事で生き延びてきた。そんな森の中で平和な日々を過ごしていたコトミンはある少女との出会いで彼女の運命が大きく変化する。
ある日、森の中に1人の少女が倒れていたのをスライムのコトミンが発見する。彼女は既に命が尽きかけており、コトミンはそんな彼女の元に近寄り、何故か放っておけずに治療を施そうとした。スライムは回復液を生み出す能力を所持しており、彼女は大怪我を負った少女の治療を施そうとしたが、既に少女の命は尽きかけていた。
『はっ……何ですか貴方、私を喰うつもりですか?』
自分の身体に押し掛かるスライムに少女は悪態を吐くが、コトミンが回復液を生み出して自分の治療を施そうとしている事に気付き、少女は不思議そうにスライムを抱き上げる。
『変わってますね……まさか、人間のあたしを治そうとしてるんですか?』
コトミンもどうして人間の彼女を救おうと考えたのかは分からないが、徐々に少女の肉体が冷たくなり、間もなく彼女の命が終わりを迎えようとしている事に気付く。少女は自分が助からないと考えたのか、彼女は自分の左腕に刻まれた「水滴」を想像させる紋様を確認し、コトミンを抱き上げたまま呟く。
『……最後の賭けになりますね。あいつらに奪われるより、魔物に渡す方がマシですか……』
少女はコトミンを抱きしめ、次の言葉がコトミンが最後に聞いた彼女の言葉となった。
『――受け継げ』
その言葉を聞いたコトミンは意識を失ってしまう――
――次に目を覚ました時、彼女は自分の肉体の変化に気付く。どういう事なのか意識を失う前までは存在しなかったはずの手足が存在し、頭を触れると人間のような髪の毛が存在する事に気付く。不思議に思いながらもお腹が空いた彼女は川の水を飲もうとした時、水面に映し出された自分の姿に戸惑う。
『……おおうっ?』
最初の第一声が少女らしからぬ声を上げてしまったが、コトミンは自分の肉体が治療を施そうとした少女と瓜二つの容姿に変化している事に気付く。最初の内は戸惑ったが、すぐに自分の肉体を自由に変化出来る事に気付き、彼女は人間の姿とスライムの姿を自由に切り替える能力が芽生える。そして少女の落とし物の中に回復薬や魔石が存在し、彼女はそれらを自分が食して肉体の栄養に変換する事が出来るようになった事を知る。そして彼女は自分の体内に存在する魔力を感じ取れるようになり、この魔力を消費する事で人間の姿に変化できる事を理解した。
しかし、人間の姿に変化できるようになってから数日後、平和だった森の中に盗賊が訪れる。彼等は少女の姿に変化していたコトミンを発見すると、彼女を拘束するために襲い掛かる。コトミンは逃走しようとしたが、彼等は奇妙な魔道具の鎖を用意しており、コトミンは捕縛されてしまう。彼女は捕まる際に盗賊が「指名手配」や「大金」という言葉を耳にしており、どうやら自分が変化していた少女が人間の世界では指名手配犯だと知る。
一度だけ、コトミンは盗賊が誰かと話している場面を見かけ、その時に彼女は盗賊と帝国の兵士が仲睦まじげに話しているのを見た。だから彼女にとっては帝国の兵士も「敵」であり、信用できない存在だと判断した。
その後は何日も木箱の中に閉じ込められ、栄養となる物を何も接種できなかったため、彼女は肉体の維持も難しくなり、魔道具の拘束を解除されてもコトミンは逃げ出す事は出来ず、やがて帝都のスラム街にまで送り込まれた時、偶然にも遭遇したレナに救出された――
コトミンにとってレナという存在は自分に人間の中では優しくしてくれた初めての人間であり、自分の為に回復薬や魔力を分け与える彼に惹かれた。最近では自分と同じように本当の姿は異形な外見のアイリィも加わり、彼女は2人と過ごす事で自分が人間として生きている事を実感する。
今の所は故郷に戻りたいという気持ちは湧かず、ずっと2人と一緒に楽しく過ごしたいと考えていた。だが、彼女の意思に関係なく、後に彼女は自分と大きく関わる存在と遭遇する事になる――
――自称スライム少女のコトミンは元々は帝都から遠方の森の中に暮らしていた1匹のスライムだった。彼女は他のスライムと共に森の中で平和に暮らしており、お腹が減ると川の水を飲み、他の魔物に襲われそうになった時は姿を小動物に変化して逃げる事で生き延びてきた。そんな森の中で平和な日々を過ごしていたコトミンはある少女との出会いで彼女の運命が大きく変化する。
ある日、森の中に1人の少女が倒れていたのをスライムのコトミンが発見する。彼女は既に命が尽きかけており、コトミンはそんな彼女の元に近寄り、何故か放っておけずに治療を施そうとした。スライムは回復液を生み出す能力を所持しており、彼女は大怪我を負った少女の治療を施そうとしたが、既に少女の命は尽きかけていた。
『はっ……何ですか貴方、私を喰うつもりですか?』
自分の身体に押し掛かるスライムに少女は悪態を吐くが、コトミンが回復液を生み出して自分の治療を施そうとしている事に気付き、少女は不思議そうにスライムを抱き上げる。
『変わってますね……まさか、人間のあたしを治そうとしてるんですか?』
コトミンもどうして人間の彼女を救おうと考えたのかは分からないが、徐々に少女の肉体が冷たくなり、間もなく彼女の命が終わりを迎えようとしている事に気付く。少女は自分が助からないと考えたのか、彼女は自分の左腕に刻まれた「水滴」を想像させる紋様を確認し、コトミンを抱き上げたまま呟く。
『……最後の賭けになりますね。あいつらに奪われるより、魔物に渡す方がマシですか……』
少女はコトミンを抱きしめ、次の言葉がコトミンが最後に聞いた彼女の言葉となった。
『――受け継げ』
その言葉を聞いたコトミンは意識を失ってしまう――
――次に目を覚ました時、彼女は自分の肉体の変化に気付く。どういう事なのか意識を失う前までは存在しなかったはずの手足が存在し、頭を触れると人間のような髪の毛が存在する事に気付く。不思議に思いながらもお腹が空いた彼女は川の水を飲もうとした時、水面に映し出された自分の姿に戸惑う。
『……おおうっ?』
最初の第一声が少女らしからぬ声を上げてしまったが、コトミンは自分の肉体が治療を施そうとした少女と瓜二つの容姿に変化している事に気付く。最初の内は戸惑ったが、すぐに自分の肉体を自由に変化出来る事に気付き、彼女は人間の姿とスライムの姿を自由に切り替える能力が芽生える。そして少女の落とし物の中に回復薬や魔石が存在し、彼女はそれらを自分が食して肉体の栄養に変換する事が出来るようになった事を知る。そして彼女は自分の体内に存在する魔力を感じ取れるようになり、この魔力を消費する事で人間の姿に変化できる事を理解した。
しかし、人間の姿に変化できるようになってから数日後、平和だった森の中に盗賊が訪れる。彼等は少女の姿に変化していたコトミンを発見すると、彼女を拘束するために襲い掛かる。コトミンは逃走しようとしたが、彼等は奇妙な魔道具の鎖を用意しており、コトミンは捕縛されてしまう。彼女は捕まる際に盗賊が「指名手配」や「大金」という言葉を耳にしており、どうやら自分が変化していた少女が人間の世界では指名手配犯だと知る。
一度だけ、コトミンは盗賊が誰かと話している場面を見かけ、その時に彼女は盗賊と帝国の兵士が仲睦まじげに話しているのを見た。だから彼女にとっては帝国の兵士も「敵」であり、信用できない存在だと判断した。
その後は何日も木箱の中に閉じ込められ、栄養となる物を何も接種できなかったため、彼女は肉体の維持も難しくなり、魔道具の拘束を解除されてもコトミンは逃げ出す事は出来ず、やがて帝都のスラム街にまで送り込まれた時、偶然にも遭遇したレナに救出された――
コトミンにとってレナという存在は自分に人間の中では優しくしてくれた初めての人間であり、自分の為に回復薬や魔力を分け与える彼に惹かれた。最近では自分と同じように本当の姿は異形な外見のアイリィも加わり、彼女は2人と過ごす事で自分が人間として生きている事を実感する。
今の所は故郷に戻りたいという気持ちは湧かず、ずっと2人と一緒に楽しく過ごしたいと考えていた。だが、彼女の意思に関係なく、後に彼女は自分と大きく関わる存在と遭遇する事になる――
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