405 / 657
獣人国
コネコの動揺
しおりを挟む
「ガオン将軍、この子供達は?」
「うむ、紹介しよう。まずこちらの御方は国王様の隠し子であるワン子様だ」
「わぅんっ!!」
「ええっ!?」
ガオンの言葉を聞いたルノが肩車をしていたワン子を両手に抱えて差し出すと、コネコは動揺した声を上げる。やはりワン子の存在は一部の人間にしか知らされていないようであり、一体どういうことなのかとコネコは尋ねる。
「しょ、将軍!!隠し子とはどういう意味ですか!?」
「それは私の方から説明しましょう。お久しぶりですね、コネコ将軍」
「あ、貴方は!?」
ガオンの代わりに隅に控えていたワン子の父親が近づき、二人は面識が会ったのかコネコは驚いた表情を浮かべた。その後はワン子の父親が彼女の出生の秘密を明かし、証拠として国王がワン子のために残した獣人国王家の人間だけが装備を許されるペンダントを取り出す。
「……という事情でこの子は本当に国王様の娘なのです。こちらが王族の証であるペンダントでございます」
「こ、これは確かに第二王子様が所有しているペンダントと同じ物……しかし、まさか国王様に4人目の子供が居たとは……」
「まあ、驚くのは無理もない。正直に言えば俺も最初に聞かされた時は驚いたからな……」
「えっ!?ガオン様はこの子が王族である事を見抜かれていたのでは……!?」
「ああ、いや!!今のは言葉の綾で……そ、それよりも第二王子を迎えに行こうではないか!!コネコよ、案内を頼むぞ」
偶然にもワン子の正体を見破ったガオンは慌てて話題を変更させようと、ワン子の頭に手を伸ばそうとしていたコネコに話しかけると、彼女も慌てて頷く。
「そ、そうですね……ですが、この話はガウ様にも話さなければなりません。やはりここは皆様も同行を願えますか?」
「俺はいいけど」
「私も本当のお兄さんに会ってみたいです!!」
「よし、話は決まったな。では馬車で迎えに行くか」
「あの……ところで先ほどからワン子様を抱いている御方はどちら様でしょうか?」
『…………』
仮にも国王の娘であるワン子をぬいぐるみのように両手で抱きかかえているルノにコネコは正体を尋ねると、ここで全員が黙ってしまう。なにしろルノの正体を教えろと言われてもこの場全員が彼が何者なのか完全には把握しておらず、必然的にルノに視線が集中する。
ここまで獣人国と関わった以上は正体を隠すのは難しく、どう答えるべきかルノが悩んでいると、部屋の扉がノックされて返事も待たずにリディアが入り込む。
「ちょっと、誰かいるの?」
「リディア?どうかしたの?」
「ああ、ここに居たのねあんた等……って、誰よその女?取り込み中?」
リディアは中の様子を見て首を傾げ、コネコも困惑した風に彼女とガオンを見比べると、よりにもよって面倒な時に現れた彼女にガオンはため息を吐きながら紹介する。
「コネコよ、こいつは今現在我が軍で雇っている魔物使いのリディアだ。そしてこの男は我々が雇った腕利きの魔術師だと考えてくれ」
「魔物使いに魔術師……ですか?見たところ、この国の住民ではないようですが……」
「まあ、その辺はあまり気にするな。二人とも流れ者だが腕は確かだ」
適当にルノとリディアの紹介を行うガオンにコネコは違和感を抱くが、あながち流れ者であるという点は間違ってはおらず、敢えて否定も肯定もしない。それよりもリディアはこの場所に尋ねた理由を思い出し、窓の外を指差す。
「ねえ、なんかうちの僕が変な奴等を見つけたみたいなんだけど、どう対処すればいいか困ってるんだけど」
「僕?それは使役獣の事ですか?」
「そうそう、私が飼っているガーゴイルが空から森の中に隠れている変な奴等を発見したらしいんだけど、どうしたらいいの?」
「森の中!?それはももしやガウ様と私の部隊の事では……!!」
リディアが使役しているガーゴイルが街の周囲を探索させている最中、偶然にも森の中で待機している部隊を発見したらしく、どのように対処すればいいのか困ってリディアに連絡したらしい。彼等が身に着けている装備が獣人国軍という事もあり、敵の部隊なのかと考えたリディアは皆に相談するために尋ねに来たという。
恐らく彼女が発見したのはコネコが引き連れてきたガウ王子と自分の部隊で間違いなく、彼女に詳しい場所を尋ねようとした時、リディアが唐突に瞼を閉じてガーゴイルと感覚を共有化させる。
「あっ……ちょっと待って、なんか様子がおかしいわね。森の中にいる奴等が動き出したわ」
「動き出した?そんなバカな……無暗に動かないように命令しておいたはずですが」
「なんか随分と焦ってるわね……あ、理由が分かったわ。あいつら魔物に追われてるわ」
「魔物!?それはどういう事ですか!?」
「ちょ、止めなさいよ!?集中が切れると様子が見れないんだから離しなさいよ!?」
「落ち着けコネコ!!」
とんでもない事を言い出したリディアの肩をコネコが揺さぶると、慌ててガオンが後ろから抑え込み、リディアに詳細を尋ねた。
「うむ、紹介しよう。まずこちらの御方は国王様の隠し子であるワン子様だ」
「わぅんっ!!」
「ええっ!?」
ガオンの言葉を聞いたルノが肩車をしていたワン子を両手に抱えて差し出すと、コネコは動揺した声を上げる。やはりワン子の存在は一部の人間にしか知らされていないようであり、一体どういうことなのかとコネコは尋ねる。
「しょ、将軍!!隠し子とはどういう意味ですか!?」
「それは私の方から説明しましょう。お久しぶりですね、コネコ将軍」
「あ、貴方は!?」
ガオンの代わりに隅に控えていたワン子の父親が近づき、二人は面識が会ったのかコネコは驚いた表情を浮かべた。その後はワン子の父親が彼女の出生の秘密を明かし、証拠として国王がワン子のために残した獣人国王家の人間だけが装備を許されるペンダントを取り出す。
「……という事情でこの子は本当に国王様の娘なのです。こちらが王族の証であるペンダントでございます」
「こ、これは確かに第二王子様が所有しているペンダントと同じ物……しかし、まさか国王様に4人目の子供が居たとは……」
「まあ、驚くのは無理もない。正直に言えば俺も最初に聞かされた時は驚いたからな……」
「えっ!?ガオン様はこの子が王族である事を見抜かれていたのでは……!?」
「ああ、いや!!今のは言葉の綾で……そ、それよりも第二王子を迎えに行こうではないか!!コネコよ、案内を頼むぞ」
偶然にもワン子の正体を見破ったガオンは慌てて話題を変更させようと、ワン子の頭に手を伸ばそうとしていたコネコに話しかけると、彼女も慌てて頷く。
「そ、そうですね……ですが、この話はガウ様にも話さなければなりません。やはりここは皆様も同行を願えますか?」
「俺はいいけど」
「私も本当のお兄さんに会ってみたいです!!」
「よし、話は決まったな。では馬車で迎えに行くか」
「あの……ところで先ほどからワン子様を抱いている御方はどちら様でしょうか?」
『…………』
仮にも国王の娘であるワン子をぬいぐるみのように両手で抱きかかえているルノにコネコは正体を尋ねると、ここで全員が黙ってしまう。なにしろルノの正体を教えろと言われてもこの場全員が彼が何者なのか完全には把握しておらず、必然的にルノに視線が集中する。
ここまで獣人国と関わった以上は正体を隠すのは難しく、どう答えるべきかルノが悩んでいると、部屋の扉がノックされて返事も待たずにリディアが入り込む。
「ちょっと、誰かいるの?」
「リディア?どうかしたの?」
「ああ、ここに居たのねあんた等……って、誰よその女?取り込み中?」
リディアは中の様子を見て首を傾げ、コネコも困惑した風に彼女とガオンを見比べると、よりにもよって面倒な時に現れた彼女にガオンはため息を吐きながら紹介する。
「コネコよ、こいつは今現在我が軍で雇っている魔物使いのリディアだ。そしてこの男は我々が雇った腕利きの魔術師だと考えてくれ」
「魔物使いに魔術師……ですか?見たところ、この国の住民ではないようですが……」
「まあ、その辺はあまり気にするな。二人とも流れ者だが腕は確かだ」
適当にルノとリディアの紹介を行うガオンにコネコは違和感を抱くが、あながち流れ者であるという点は間違ってはおらず、敢えて否定も肯定もしない。それよりもリディアはこの場所に尋ねた理由を思い出し、窓の外を指差す。
「ねえ、なんかうちの僕が変な奴等を見つけたみたいなんだけど、どう対処すればいいか困ってるんだけど」
「僕?それは使役獣の事ですか?」
「そうそう、私が飼っているガーゴイルが空から森の中に隠れている変な奴等を発見したらしいんだけど、どうしたらいいの?」
「森の中!?それはももしやガウ様と私の部隊の事では……!!」
リディアが使役しているガーゴイルが街の周囲を探索させている最中、偶然にも森の中で待機している部隊を発見したらしく、どのように対処すればいいのか困ってリディアに連絡したらしい。彼等が身に着けている装備が獣人国軍という事もあり、敵の部隊なのかと考えたリディアは皆に相談するために尋ねに来たという。
恐らく彼女が発見したのはコネコが引き連れてきたガウ王子と自分の部隊で間違いなく、彼女に詳しい場所を尋ねようとした時、リディアが唐突に瞼を閉じてガーゴイルと感覚を共有化させる。
「あっ……ちょっと待って、なんか様子がおかしいわね。森の中にいる奴等が動き出したわ」
「動き出した?そんなバカな……無暗に動かないように命令しておいたはずですが」
「なんか随分と焦ってるわね……あ、理由が分かったわ。あいつら魔物に追われてるわ」
「魔物!?それはどういう事ですか!?」
「ちょ、止めなさいよ!?集中が切れると様子が見れないんだから離しなさいよ!?」
「落ち着けコネコ!!」
とんでもない事を言い出したリディアの肩をコネコが揺さぶると、慌ててガオンが後ろから抑え込み、リディアに詳細を尋ねた。
1
お気に入りに追加
11,316
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。