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帝国の危機
何が起きたのか
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「グルルルッ……?」
「……よし、傷口の治療は終えました。だけど、大分血液を消失しているようなのでしばらくは安静しないといけませんね」
「助かるの?」
「最善は尽くしました。絶対に大丈夫とは言い切れませんが、まあルウの生命力なら平気でしょう」
「キュ~ンッ」
リーリスの言葉を理解したのか狼達が彼女に擦り寄り、ロプスはルウの頭を撫でる。だが、傷の治療が完了したのは良いが黒狼種のルウに大怪我を負わせた存在が居る事が判明し、一体何が起きたのか調べる必要があった。
「ロプス、ルウ達に何が起きたんですか?それにミノと他の狼達は何処へ行ったんですか?」
「キュロッ!!キュロロロッ……!!」
ロプスは身振り手振りで自分達に起きた出来事を伝えようとするが、やはり言葉が通じないと意味は通らず、リーリスは困った風に直央に振り返る。最も顔を向けられても直央もロプスが何を伝えようとしているのか分からず、とりあえず簡単な質問から行う。
「ロプス……君でいいのかな?ちょっと聞きたい事があるんだけど、頭を頷くか首を振るかで答えてくれる?」
「キュロロッ?」
「じゃあ、まずは君達はずっとこの洞穴に隠れていたの?」
「キュロッ」
直央の質問にロプスは頷き、予想通りと言うべきか魔獣達はずっと洞穴で身を隠していたという。続けて直央はどうして隠れる事に至ったのかを尋ねる。
「どうしてここに隠れていたの?」
「キュロロッ……」
「直央さん、はいかいいえで分かる質問じゃないと駄目ですよ」
「だよね……」
ロプスは直央の質問に困った風に頭を掻き、リーリスが助言する。仕方なく、直央は質問の仕方を変えて再度問い質す。
「じゃあ、ロプス君達はこの場所を偶然発見したの?」
「キュロッ……」
「何だか困った様子ですね……そういえば、私達が通った洞穴は明らかに人為的に掘り尽くされていました。という事はここまで地面を掘ってきたのはロプスですか?」
「キュロッ!!」
丘に存在した洞穴は魔獣達が斜面を掘り尽くして生み出した物らしいが、掘り進めるうちに元から存在した地中の空洞に繋がったらしく、この場所で身を隠していた可能性が高い。リーリスは空洞内の様子を伺い、ある推測を立てる。
「そういえば昔、まだ直央さんが召喚される前の時期に魔物使いのリディアとかいう魔王軍の幹部に襲われた事がありましたね。その時に従えていたオオツチトカゲという魔物をこの女が従えさせていたんですが、もしかしたらこの空洞もリディアが作り出した物かもしれません」
「どういう事?」
「リディアは地中から奇襲を仕掛けるためにオオツチトカゲを従えさせていたんですよ。そして日の光を嫌うオオツチトカゲは普段は地中の中に住処を作ります。この場所もリディアがオオツチトカゲを利用して作り出した隠れ家かもしれませんね」
「キュロッ!!」
リーリスの言葉にロプスは天井部分を指差すと、大きな穴が存在した。天井はかなり高い位置に存在するのでよじ登る事も難しく、この空洞を作り出したのがオオツチトカゲだとしたら天井の穴から訪れて掘り尽くしたと考えられる。
「まあ、もしかしたら別の地中に住む魔物がこの場所に生息しているかもしれませんし……この際にこの空洞に関しては無視しましょう。それよりもルノさんはどうしたんですか?」
「キュロッ!!キュロロッ!!」
「ウォンッ!!」
「クゥンッ……」
ルノの名前を出した途端に魔獣達は興奮したように鳴き声を上げ、頭上を指差したり、必死に跳躍を繰り返す。ともかく上を指し示す魔獣達に直央とリーリスは首を傾げ、彼等が何を伝えようとしているのか理解できない。
「何か上を差しているようですけど……空を飛んで何処かへ行っちゃったんですか?」
「キュロッ!!」
「頷いてる……という事はルノ君は捕まったわけじゃないのかな?」
「いえ、敵にも空を飛ぶ術を持っている人間もいるかもしれません。でも、これだけは聞かせてください。ルノさんは生きてるんですね?」
「キュロロロロッ!!」
「ガウッ!!」
リーリスの質問に当たり前だとばかりに魔獣達は怒ったように鳴き声を上げ、洞穴内に響く怒声に耳元を抑えながらも二人は安堵の吐息を吐く。一応はルノが生存している事が判明した以上は希望は残されており、今度は彼の居場所を探す必要がある。
「ルノさんは生きている事は確定しました。でも、それならどうして魔獣達を放置して姿を消したんでしょう?」
「う~ん……魔王軍の幹部と戦って止む無くこの場所を離れた?その後に捕まったとか……」
「いやいや、あのルノさんが敵に捕まるとは考えにくいですよ。帝国最強の初級魔術師ですよ?」
「でも人質を取られたらルノ君も何もできないと思うよ?」
「ああ、そうですね……ルノさんの性格を考えてもその可能性はありそうです」
身近な人間を人質に取られた場合、ルノならば抵抗せずに捕まる可能性も高く、結局は魔王軍に捕まった可能性も否定できない。折角希望が見いだせたと思ったが、肝心のルノに繋がる手掛かりは得られなかった。
「……よし、傷口の治療は終えました。だけど、大分血液を消失しているようなのでしばらくは安静しないといけませんね」
「助かるの?」
「最善は尽くしました。絶対に大丈夫とは言い切れませんが、まあルウの生命力なら平気でしょう」
「キュ~ンッ」
リーリスの言葉を理解したのか狼達が彼女に擦り寄り、ロプスはルウの頭を撫でる。だが、傷の治療が完了したのは良いが黒狼種のルウに大怪我を負わせた存在が居る事が判明し、一体何が起きたのか調べる必要があった。
「ロプス、ルウ達に何が起きたんですか?それにミノと他の狼達は何処へ行ったんですか?」
「キュロッ!!キュロロロッ……!!」
ロプスは身振り手振りで自分達に起きた出来事を伝えようとするが、やはり言葉が通じないと意味は通らず、リーリスは困った風に直央に振り返る。最も顔を向けられても直央もロプスが何を伝えようとしているのか分からず、とりあえず簡単な質問から行う。
「ロプス……君でいいのかな?ちょっと聞きたい事があるんだけど、頭を頷くか首を振るかで答えてくれる?」
「キュロロッ?」
「じゃあ、まずは君達はずっとこの洞穴に隠れていたの?」
「キュロッ」
直央の質問にロプスは頷き、予想通りと言うべきか魔獣達はずっと洞穴で身を隠していたという。続けて直央はどうして隠れる事に至ったのかを尋ねる。
「どうしてここに隠れていたの?」
「キュロロッ……」
「直央さん、はいかいいえで分かる質問じゃないと駄目ですよ」
「だよね……」
ロプスは直央の質問に困った風に頭を掻き、リーリスが助言する。仕方なく、直央は質問の仕方を変えて再度問い質す。
「じゃあ、ロプス君達はこの場所を偶然発見したの?」
「キュロッ……」
「何だか困った様子ですね……そういえば、私達が通った洞穴は明らかに人為的に掘り尽くされていました。という事はここまで地面を掘ってきたのはロプスですか?」
「キュロッ!!」
丘に存在した洞穴は魔獣達が斜面を掘り尽くして生み出した物らしいが、掘り進めるうちに元から存在した地中の空洞に繋がったらしく、この場所で身を隠していた可能性が高い。リーリスは空洞内の様子を伺い、ある推測を立てる。
「そういえば昔、まだ直央さんが召喚される前の時期に魔物使いのリディアとかいう魔王軍の幹部に襲われた事がありましたね。その時に従えていたオオツチトカゲという魔物をこの女が従えさせていたんですが、もしかしたらこの空洞もリディアが作り出した物かもしれません」
「どういう事?」
「リディアは地中から奇襲を仕掛けるためにオオツチトカゲを従えさせていたんですよ。そして日の光を嫌うオオツチトカゲは普段は地中の中に住処を作ります。この場所もリディアがオオツチトカゲを利用して作り出した隠れ家かもしれませんね」
「キュロッ!!」
リーリスの言葉にロプスは天井部分を指差すと、大きな穴が存在した。天井はかなり高い位置に存在するのでよじ登る事も難しく、この空洞を作り出したのがオオツチトカゲだとしたら天井の穴から訪れて掘り尽くしたと考えられる。
「まあ、もしかしたら別の地中に住む魔物がこの場所に生息しているかもしれませんし……この際にこの空洞に関しては無視しましょう。それよりもルノさんはどうしたんですか?」
「キュロッ!!キュロロッ!!」
「ウォンッ!!」
「クゥンッ……」
ルノの名前を出した途端に魔獣達は興奮したように鳴き声を上げ、頭上を指差したり、必死に跳躍を繰り返す。ともかく上を指し示す魔獣達に直央とリーリスは首を傾げ、彼等が何を伝えようとしているのか理解できない。
「何か上を差しているようですけど……空を飛んで何処かへ行っちゃったんですか?」
「キュロッ!!」
「頷いてる……という事はルノ君は捕まったわけじゃないのかな?」
「いえ、敵にも空を飛ぶ術を持っている人間もいるかもしれません。でも、これだけは聞かせてください。ルノさんは生きてるんですね?」
「キュロロロロッ!!」
「ガウッ!!」
リーリスの質問に当たり前だとばかりに魔獣達は怒ったように鳴き声を上げ、洞穴内に響く怒声に耳元を抑えながらも二人は安堵の吐息を吐く。一応はルノが生存している事が判明した以上は希望は残されており、今度は彼の居場所を探す必要がある。
「ルノさんは生きている事は確定しました。でも、それならどうして魔獣達を放置して姿を消したんでしょう?」
「う~ん……魔王軍の幹部と戦って止む無くこの場所を離れた?その後に捕まったとか……」
「いやいや、あのルノさんが敵に捕まるとは考えにくいですよ。帝国最強の初級魔術師ですよ?」
「でも人質を取られたらルノ君も何もできないと思うよ?」
「ああ、そうですね……ルノさんの性格を考えてもその可能性はありそうです」
身近な人間を人質に取られた場合、ルノならば抵抗せずに捕まる可能性も高く、結局は魔王軍に捕まった可能性も否定できない。折角希望が見いだせたと思ったが、肝心のルノに繋がる手掛かりは得られなかった。
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