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帝都防衛編
魔力操作
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――吸魔石に魔力を封じ込める作業を開始してから1時間後、ルノの目の前には長机に並べられた水晶製のケースに大量の吸魔石が並べられていた。その数は100個は降らず、流石のルノも額に汗を流す。
「ふうっ……ちょっと疲れたな。休憩するか」
吸魔石に魔力を注ぎ込む感覚は完璧に掴み、最初の内は失敗して吸魔石を破裂させてしまうが、現在では両手で二つの吸魔石を掴んだ状態で魔力を注ぎ込む事も出来るようになった。
「それにしてもいっぱいあるな……どんだけ作ったんだよ」
部屋の隅には大量の吸魔石が箱詰めされた状態の木箱が並んでおり、流石に今日中に全ての吸魔石に魔力を注ぐのは不可能だと考えられた。ルノは机の端に置かれているリーリスが用意してくれた魔力回復薬を引用するが、それでも完全には回復しない。
「う~ん……この薬、あんまり好きじゃないんだよな。あ、そうだ。SPを消費して新しいスキルを覚えようかな?」
レベルが90を超えてるいるにも関わらず、ルノが所有しているスキルの数は非常に少なく、理由としては彼の初級魔法が万能過ぎてスキルを覚えて能力を強化する必要性がなかったからである。スキルを覚えるのに消費するSPは有り余っており、ルノはステータス画面を開いて久しぶりに新しいスキルを覚える事にした。
「あれ、レベルが97になってる。もう少しで99に行きそうだな……この世界のレベルの上限は99なのかな?まあ、別にいいや」
旅の道中でも色々な敵と戦っているため、いつの間にかレベルが上昇していた。この世界に訪れてから半年足らずでここまでのレベルに上昇できたのは「成長」の異能の恩恵が大きいが、ルノが初級魔法を極めた事も大きな要因だろう。
「久しぶりにステータス画面開いたからちょっと不安だけど……こうでいいのかな?」
SPの項目に指を触れると、視界に別の画面が表示され、ルノが習得していないスキルの一覧が表示される。色々とあるが、今回の彼の目当ては魔法関連のスキルであり、固有スキルの項目にこの状況に相応しい3つのスキルを発見した。
「お、これなんか良さそう」
『魔力回復速度上昇――魔力の回復速度を上昇させる』
『魔力容量拡張――魔力容量を増大化させる』
『魔法威力上昇――魔法威力を上昇させる』
最後の魔法威力上昇に関しては必要性はあまり感じられないが、念のために覚えておくことを決め、ルノはSPを消費して習得する。
「これでいいのかな……あ、この3つも自由に発動が切り替えられるのか」
強化スキルと同様に新しく覚えた3つのスキルもルノの意思で発動出来るらしく、強化スキルと違って特に発動した状態でも問題はないと判断し、吸魔石を1つ握りしめて魔力を注ぎ込む作業を再開した。
「どれどれ」
固有スキルの効果を確認するため、ルノは吸魔石を片手で握りしめた状態で魔力を注ぎ込む。すると今までの倍近くの速度で吸魔石が変色を果たし、表面に亀裂が走ってしまう。
「うわっ!?不味い!!」
咄嗟にルノは吸魔石を両手で抑え込み、冷気を抑え込もうとする。自分の魔法で生み出した攻撃は自分自身の肉体に通じないならば魔力も彼の身体を傷つける事はなく、吸魔石が掌の中で砕け散り、冷気が掌の隙間から放出された。
「ああっ……勿体ない。しかも椅子が凍っちゃったよ」
掌から放出された冷気が傍にルノの傍に存在した椅子を氷結化させてしまい、しっかりと「魔法威力上昇」の固有スキルの効果が現れているのか、椅子が氷像のように変化してしまう。もしもドリアがこの場に残っていた彼を凍り付かせていた可能性もあり、ルノは溜息を吐き出す。
「魔法威力上昇って魔力も強化するのか?これだと指先で魔力を送り込むしかないか……ん?指先?」
ルノは掌越しでは魔力を注ぎ込みすぎるため、指先で魔力を注ぎ込む方法に切り替える事を決めると、木箱に箱詰めされている吸魔石に視線を向け、ある方法を思いつく。上手くいけば今のペースから10倍の速度で吸魔石に魔力を注ぎ込める可能性もある。
「試してみるか」
5つの吸魔石を取り上げると、ルノは氷像と化した椅子の上に乗せ、掌を広げた状態で5本指に吸魔石を1つずつ押し当てる。この状態で全ての吸魔石に魔力を注ぎ込めるかを試す。
「せぇ……のっ!!」
掌の表面が青色に光り輝き、指先に存在する全ての吸魔石が変色し、やがて青色に光り輝く。しかもこちらの方法ならば魔力が分散されるので吸魔石を破裂させない程度にまで注ぎ込んだ後に指も離せる。
「おおっ!!上手くいった!!」
この方法ならば無駄に吸魔石を破壊する事もなく、更には両手を使えば一度の動作で合計で10庫の吸魔石に魔力を満たすことが出来る。良案を思いついたルノは次の吸魔石を取り出し、次々と水晶製のケースに吸魔石を箱詰めした――
「ふうっ……ちょっと疲れたな。休憩するか」
吸魔石に魔力を注ぎ込む感覚は完璧に掴み、最初の内は失敗して吸魔石を破裂させてしまうが、現在では両手で二つの吸魔石を掴んだ状態で魔力を注ぎ込む事も出来るようになった。
「それにしてもいっぱいあるな……どんだけ作ったんだよ」
部屋の隅には大量の吸魔石が箱詰めされた状態の木箱が並んでおり、流石に今日中に全ての吸魔石に魔力を注ぐのは不可能だと考えられた。ルノは机の端に置かれているリーリスが用意してくれた魔力回復薬を引用するが、それでも完全には回復しない。
「う~ん……この薬、あんまり好きじゃないんだよな。あ、そうだ。SPを消費して新しいスキルを覚えようかな?」
レベルが90を超えてるいるにも関わらず、ルノが所有しているスキルの数は非常に少なく、理由としては彼の初級魔法が万能過ぎてスキルを覚えて能力を強化する必要性がなかったからである。スキルを覚えるのに消費するSPは有り余っており、ルノはステータス画面を開いて久しぶりに新しいスキルを覚える事にした。
「あれ、レベルが97になってる。もう少しで99に行きそうだな……この世界のレベルの上限は99なのかな?まあ、別にいいや」
旅の道中でも色々な敵と戦っているため、いつの間にかレベルが上昇していた。この世界に訪れてから半年足らずでここまでのレベルに上昇できたのは「成長」の異能の恩恵が大きいが、ルノが初級魔法を極めた事も大きな要因だろう。
「久しぶりにステータス画面開いたからちょっと不安だけど……こうでいいのかな?」
SPの項目に指を触れると、視界に別の画面が表示され、ルノが習得していないスキルの一覧が表示される。色々とあるが、今回の彼の目当ては魔法関連のスキルであり、固有スキルの項目にこの状況に相応しい3つのスキルを発見した。
「お、これなんか良さそう」
『魔力回復速度上昇――魔力の回復速度を上昇させる』
『魔力容量拡張――魔力容量を増大化させる』
『魔法威力上昇――魔法威力を上昇させる』
最後の魔法威力上昇に関しては必要性はあまり感じられないが、念のために覚えておくことを決め、ルノはSPを消費して習得する。
「これでいいのかな……あ、この3つも自由に発動が切り替えられるのか」
強化スキルと同様に新しく覚えた3つのスキルもルノの意思で発動出来るらしく、強化スキルと違って特に発動した状態でも問題はないと判断し、吸魔石を1つ握りしめて魔力を注ぎ込む作業を再開した。
「どれどれ」
固有スキルの効果を確認するため、ルノは吸魔石を片手で握りしめた状態で魔力を注ぎ込む。すると今までの倍近くの速度で吸魔石が変色を果たし、表面に亀裂が走ってしまう。
「うわっ!?不味い!!」
咄嗟にルノは吸魔石を両手で抑え込み、冷気を抑え込もうとする。自分の魔法で生み出した攻撃は自分自身の肉体に通じないならば魔力も彼の身体を傷つける事はなく、吸魔石が掌の中で砕け散り、冷気が掌の隙間から放出された。
「ああっ……勿体ない。しかも椅子が凍っちゃったよ」
掌から放出された冷気が傍にルノの傍に存在した椅子を氷結化させてしまい、しっかりと「魔法威力上昇」の固有スキルの効果が現れているのか、椅子が氷像のように変化してしまう。もしもドリアがこの場に残っていた彼を凍り付かせていた可能性もあり、ルノは溜息を吐き出す。
「魔法威力上昇って魔力も強化するのか?これだと指先で魔力を送り込むしかないか……ん?指先?」
ルノは掌越しでは魔力を注ぎ込みすぎるため、指先で魔力を注ぎ込む方法に切り替える事を決めると、木箱に箱詰めされている吸魔石に視線を向け、ある方法を思いつく。上手くいけば今のペースから10倍の速度で吸魔石に魔力を注ぎ込める可能性もある。
「試してみるか」
5つの吸魔石を取り上げると、ルノは氷像と化した椅子の上に乗せ、掌を広げた状態で5本指に吸魔石を1つずつ押し当てる。この状態で全ての吸魔石に魔力を注ぎ込めるかを試す。
「せぇ……のっ!!」
掌の表面が青色に光り輝き、指先に存在する全ての吸魔石が変色し、やがて青色に光り輝く。しかもこちらの方法ならば魔力が分散されるので吸魔石を破裂させない程度にまで注ぎ込んだ後に指も離せる。
「おおっ!!上手くいった!!」
この方法ならば無駄に吸魔石を破壊する事もなく、更には両手を使えば一度の動作で合計で10庫の吸魔石に魔力を満たすことが出来る。良案を思いついたルノは次の吸魔石を取り出し、次々と水晶製のケースに吸魔石を箱詰めした――
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