種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
1,089 / 1,095
最終章 ヤマタノオロチ編

模倣獣 〈オルトロスVSアルト&リオ&美香〉

しおりを挟む
「はぁあああああっ!!」
『グォオオオオッ!!』


腐敗竜、バジリスクが連合軍で戦闘を行うのに対し、アルトは単騎でオルトロスと激闘を繰り広げる。聖剣デュランダルを振るいあげ、幾度も衝撃波を叩き付ける。


『オゴォオオオオオッ!!』
「それは、僕には効かない!!」


ドパァアアンッ!!


オルトロスの口内から呪詛の魔鎧といっても過言ではない「呪鎧」が放たれるが、アルトはデュランダルの衝撃波で打ち消す。今回のオルトロスは全身に漆黒の鎧を想像させる呪鎧を既に纏わせており、外見はオリジナルと違って実体のある双頭の狼を想像させる。


「衝波刃!!」


ズドォオオオンッ!!


デュランダルから三日月状の衝撃波を放つが、オルトロスは俊敏な動きで回避を行い、幾度も口元から呪鎧を吐き散らす。


『オゴォオオオオッ……!!』
「くっ……舐めるな!!」


披露を蓄積しながらもアルトはデュランダルを振り掲げ、衝撃波を発生させる。しかし、相性的には良い相手でも、オルトロスとアルトでは耐久力と体力に大きな違いがあり、このままでは体力切れで押し潰される。


「ディバイン、スラッシュ!!」



ズガァアアアアンッ!!



以前は魔力の蓄積に時間が掛かった彼の最大の一撃が放たれるが、オルトロスは真正面から受け止め、十数メートルほど後方に引き下がるが、両腕で抱きしめるように打ち消す。


『グガァアアアアッ……!!』
「くそっ……!!」


その肉体には傷一つ付いておらず、呪鎧を打ち消すまでには至らなかった。アルトのデュランダルは衝撃波で呪鎧を打ち払う事は出来ても、相手は圧倒的な質量で衝撃波を押し潰してしまう。仮にレノのカラドボルグやジャンヌのレーヴァティンではそもそも呪鎧を打ち払う事すら難しく、吸収されてしまうだろう。


「……仕方ない、こうなったら」


遠距離からの攻撃では分が悪く、ならば残された方法は直接攻撃で大剣の刃をオルトロスに突き刺し、内側から衝撃波を放出するしかない。その方法ならば内部にも衝撃が浸透し、オルトロスを打ち崩せる可能性もある。一応は相手が生物である以上、身体の内部から破壊されれば生き延びる事は不可能。


『ガァアアアアアッ!!』


ドォオオオオンッ!!


アルトの狙いに気付いたのか、オルトロスは更に距離を取って離れる。このまま遠方から攻撃を続けて入ればアルトの方が体力を失い、自滅するのは目に見えている。オルトロスは距離を取って時間を掛けて攻撃を仕掛けようとした時、



『アイシクルカノン!!』
『ムーン・スラッシュ!!』



ドォオオオンッ!!



『グォオオオオ!?』


唐突に背後から衝撃が走り、後方を確認すると何故か巨大な氷柱と三日月状の聖属性の砲撃魔法が繰り出され、やがては全身を覆う呪鎧に吸収されるが、一体どこから攻撃を喰らったのかが理解できない。自分とアルト以外に周囲に人の姿は見えず、他の模倣獣と戦闘を繰り広げる部隊が駆けつけた様子はない。



『スプラッシュ!!』
『サンダーボルト!!』
『ウィンド!!』


ドゴォオオオンッ!!


『グガァアアッ……!?』


再び背後から衝撃が走り、複数の属性の砲撃魔法が繰り出される。オルトロスは後方を振り返るが、そこには人の姿は見えない。それでも自分が攻撃されたのは間違いなく、混乱したように周囲に視線を向ける。



――ブゥンッ!!



『ガァッ!?』


前方に視線を向けた途端、唐突に空中に複数の転移魔方陣が誕生し、直後に魔方陣から砲撃魔法が繰り出される。


『ライトニング!!』
『フレイムアロー!!』
『セイントスピア!!』


ズドドドドッ……!!


『グオォオオオオッ!?』


気付けば転移魔方陣がオルトロスを覆いつくす様に四方に発現しており、無数の属性の攻撃魔法が繰り出される。攻撃を喰らいながらオルトロスは自分の頭上に存在する物体に気付き、何時の間にか自分の上空に無数の飛行機の形を模した「ドローン」が飛来していた。



――今回の戦闘に入る前、アイリィは旧世界の技術で再現した複数のドローンを用意しており、ネオフライングシャーク号から無数のドローンを操作していた。このドローンはあくまでも「観察用」の機体であり、ドローンに搭載されたカメラの映像は王国の王城に送り込まれている。



どうして支援系の魔術師達が王城に残ったのかというと、それは送られた映像を確認してホノカが転移魔方陣を展開し、安全な場所から砲撃魔法を繰り出す事が可能だからである。彼女はベータの協力で一時的に転移魔法の能力を強化しており、遠方からでも転移魔方陣を展開出来る状態に陥っている。

王城に残された魔術師達は砲撃魔法をホノカが展開した転移魔方陣に打ち込み、魔方陣を通してオルトロスに攻撃を仕掛けることが出来る。もちろん、オルトロス以外の模倣獣と戦闘を行う部隊の掩護も可能であり、これで大きく戦局が有利に動けた。


『ガァアアアアアアアアアッ!!』


ドォオオオンンッ!!


しかし、通常の魔法攻撃では呪鎧を操作するオルトロスには効果が薄く、魔法を喰らえば多少の衝撃は入るが、全ての魔法はオルトロスの呪鎧に吸収されてしまい、損傷を与えるには至らない。オルトロスは魔方陣の包囲網から抜け出し、この場から離れようとした瞬間、



『美香さん!!行きますわよ!!』
『不本意ですけど、仕方有りませんね!!』


頭上から2人の女子の声が聞こえ、オルトロスは上空を見上げると、そこには高度50メートルほどの距離に巨大な転移魔方陣が存在しており、魔方陣が凄まじい発光が放たれる。



『アイス・レイン!!』
『真・爆裂魔道砲!!』




ズドォオオオオオオンッ!!




まるで聖剣の砲撃を想像させる火力の砲撃魔法が繰り出され、さらに無数の氷柱の雨も同時に降り注ぎ、オルトロスの身体を飲み込む。



『ウオォオオオオオッ……!?』



圧倒的な質量の魔法を真上から喰らい、オルトロスの巨体が押しつぶされる。呪鎧によって損傷は受けないが、魔法を受けた時の衝撃までは殺せず、そのまま氷柱はオルトロスの周囲を多い囲むように突き刺さり、氷の牢獄が誕生する・



「皆……ありがとう」
『グォオオオッ……!?』



気付けばこちらに向かって近付いてくるアルトの姿があり、彼はデュランダルを光り輝かせ、オルトロスに構える。オルトロスは咄嗟に口内を開き、呪鎧を放出しようとした瞬間、



「ぬぅんっ!!」
『オグゥウウウッ……!?』


頭上から再度衝撃が走り、オルトロスは目を見開く。そこには自分の額にオートバイを想像させる乗り物に搭乗した老人が存在し、黒雲を纏わせた車輪を回転させ、呪鎧を打ち払って皮膚にまで損傷を与えていた。



「すまん……雷雲号!!」



ダァンッ!!




テラノは長年の相棒から飛び降りると、雷雲号は周囲から押し寄せた呪鎧に飲み込まれていき、彼はアルトのために最大の好機を造り出してくれた。



「行け!!」
「はい!!」



ダァンッ!!



アルトは肉体強化で勢いよく跳躍し、完全に呪鎧に飲み込まれていない雷雲号に狙いを定め、オルトロスの肉体の中でも最も防御が薄い場所に向けて大剣の刃を構え、



「はぁあああああっ!!」



ズドォオオオオンッ!!



『ゴアァアアアアッ……!?』



雷雲号に刃が貫通し、そのままオルトロスの肉体にまで到達する。アルトは聖剣を握りしめたまま、最大の魔力を送り込む。思い描くのは自分の最愛の相手の得意とする技であり、内側から魔力を爆発させる。



「地龍陣!!」



ボコォオオオオオッ……!!



『オゴ、ガァアアアアアアッ……!?』



オルトロスの身体が内側から膨れ上がり、やがて膨らんだ風船のように膨張し、アルトとテラノは避難を行った瞬間、



ドパァアアアアアンッ……!!



内側から肉体が崩壊し、オルトロスの肉塊が周囲一帯に飛び散った。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...