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大迷宮編 〈前半編〉
逃走戦
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「「ゴォオオオオッ‼」」
ズズゥンッ‼
無数のゴーレムの大群が四方八方から接近する光景にレノは舌打ちする。両手に抱える生存者を確認し、一刻も早く治療を施さなければ危険な状態だが、両手が使えないのでは砲撃魔法が放てない。
「ウゴォオオオッ‼」
「うぜぇっ‼」
「ゴアッ⁉」
ドゴォンッ‼
後方から手を伸ばしてきたゴーレムに蹴りを叩き込み、そのまま体勢を崩れさせて倒れこませる。普通の状態でもゴーレム程度ならばどうにでも出来るが、両手に抱えた生存者の事を考えても全力で動けない。
「レノ‼ ここは僕たちに任せて、先に行ってくれ‼」
「何としても救い出します‼」
「しょ、しょうがないですね‼ 爆裂魔法の威力を思い知らせてやりますよ‼」
「飛行ユニット展開」
レノ以外の全員が動き出し、脱出路を確保するためにゴーレム達と交戦を開始する。レノは彼等に守られながらゴーレム達の攻撃を回避して先に進む。
「デュランダル‼」
――ブゥウウウンッ‼
アルトの持つ聖剣の刃が激しく振動し、そのまま剣を振るうだけで衝撃波が放出される。今回は大広間という部隊であり、ゴーレムが相手ならば遠慮なく使用できる。
「衝風烈波‼」
ズガァアアアアンッ‼
大剣を振り下ろした瞬間、衝撃波が一直線に放たれ、ゴーレムどころか岩石を粉砕して貫通する。衝撃波が去った跡には1つの大きな道が形成されており、レノはアルトの意図を察して衝撃波が通った場所を移動する。
「皆も続いてくれ‼」
「はいっ‼」
「くっ……私の魔銃では相性が悪いですね」
美香が後に続き、カノンは自分の魔銃を見て歯を食いしばる。彼女の弾丸ではゴーレムなどの外殻が固く、外殻の内部に存在する核を壊さない限りは再生をし続ける相手には相性が悪く、その分にアルトが奮戦する。
「はあっ‼」
ドガァアアンッ‼
アルトの大剣がゴーレムに触れた瞬間、そのまま振動が走ってゴーレムの核を破壊し、岩石の身体が砕け散る。この場では最もアルトのデュランダルが効果的であり、彼はそのまま大剣を薙ぎ払う。
「衝風刃‼」
ズガァアアアアンッ……‼
三日月状に広がった衝撃波がゴーレム達に放出され、一気に薙ぎ倒す。その光景にレノは感心し、美香は瞳をハートマークに変え、デルタは背中の飛行ユニットを展開し、ゴーレム達の数を数える。
「……計測完了。残りのゴーレム800体です」
「多すぎぃっ⁉」
「くっ……流石に無理か」
大剣を握りしめながら汗を流し、打ち倒したゴーレムの残骸を乗り越えて新たなゴーレム達が次々と接近してくる。このままでは体力切れでアルトの方が押し潰されてしまい、一刻も早くここから抜け出さなければならない。
「あと少し……‼」
レノは前方に見える通路を確認し、大広間を抜け出すまで少しというところで、前方の地面から異変が生じる。土砂が盛り上がり、地面から大型のゴーレムが出現する。
「ゴォオオオッ……‼」
「邪魔な……‼」
「ご主人様に危害は加えさせません」
背中のブースターを稼働させ、デルタは腹部の機器に搭載されている銃口を向け、
「レールガン」
――ズドォオオオオンッ‼
腹部から電磁砲が放出され、レノ達を達塞ぐゴーレムに衝突する。
「ゴァアアアアアアッ……⁉」
身体中に衝撃と電流が流れ込み、木端微塵にゴーレムが砕け散る。以前にオルトロス戦で見せた時よりも威力と規模が小規模であり、レノは見上げるとデルタが銃口を収納し、問題ないとばかりに頷く。どうやらエネルギー切れの様子はなく、旋回して後方に下がる。
「シューター‼バレット‼」
ズドォオンッ‼
二つの魔銃から弾丸を射出し、カノンはゴーレム達の気を引きながらレノ達とは違う方向に移動する。どうやら囮代わりにレノ達が無事に移動するまで時間を稼ぐつもりらしく、効果の薄い魔銃を連発していた。
「カノン将軍‼ あまり無理をするな‼ ここは僕が……」
「国王様だけを危険な目に遭わせて、大将軍など名乗れません‼」
「くっ……‼」
アルトも大剣を振るってゴーレム達を打ち倒すが、数の暴力の前では焼け石に水であり、徐々に劣勢になる。アルトは逃走する事を考えてある程度の体力と魔力を温存せねばならず、一方でカノンは囲まれない様に気を付けながら移動しなければならない。
「着いた……美香さん、この人を任せます‼」
「ええっ⁉か、回復魔法は得意じゃ……」
「応急処置でいいんで‼」
レノは通路に到達し、美香に生存者を任せると大広間に戻り、デルタに声をかける。
「デルタ‼」
「了解」
ガシィッ‼
飛行ユニットを展開した彼女がレノに接近し、腕を伸ばしてくる。すぐに彼はそれを掴み、一気に上昇する。
「瞬脚‼」
ドォンッ‼
途中で手を離して空中で高速移動を行い、レノは岩石の上で銃を撃つカノンに接近し、
「カノンさん‼」
「れ、レノさん⁉」
「一気に飛ぶよ‼」
岩石の上に避難したカノンに手を伸ばし、彼女は慌ててその手を掴む。2人分の体重で出来るのか不安だったが、一気に瞬脚で上昇する。
ドォンッ‼
「くっ……だいたい、ごじゅう……‼」
「そ、それ以上は言わないで下さい⁉」
魔銃や手荷物の重さも含まれているだろうが、それなりの重量を抱えながら空中に飛び上がり、それを確認したアルトも撤退を始める。
「アルト様、持ち上げます」
「えっ……うわぁああああっ⁉」
ガシィッ‼
そんな彼の後方からデルタが接近すると、彼の身体を持ち上げて通路に向けて飛行する。レノはそれを確認し、何とか瞬脚で通路にまで移動する。
「ひ、ヒール‼ ヒール、ヒール、ヒール‼」
「ううっ……」
ボウッ……‼
通路では美香が生存者に杖を構え、何度も回復魔法を唱える。流石は勇者であり、聖導教会の人間にしか扱えない回復魔法も習得していたらしい。それでも不得手と言っていたのは事実だったのか、何度も同じ回復魔法で治療を試みているが、
ドスンッ‼
「うわぁっ⁉」
「ご主人様。ゴーレム達が接近して来ます」
「分かっとるわい」
ゴォオオオオッ……‼
荒々しく着陸しながらアルトを手放したデルタが、通路に接近するゴーレムの集団を確認し、レノは掌を構える。
「……ここは全員でやってみる?」
「あ、ああっ……通路内に追ってこられるのも面倒だからな」
「分かりました……役に立つかは分かりませんが、お願いします」
「レールガンの充電は完了しています」
「ふっふっふっ……遂に私の出番ですね」
全員が通路に並び立ち、レノは掌に嵐の魔力を集中させ、アルトは聖剣を振動させる。カノンは両手の魔銃に特別な弾丸を装填し、デルタは腹部の銃口を開き、美香は怪しい笑みを浮かべながら杖を掲げ、
「撃嵐‼」
「ディバインスラッシュ‼」
「バーニング・シェル‼」
「レールガン」
「爆裂魔道砲ぉおおおおおおおっ‼」
――ズガァアアアアアアアアンッ‼
ゴァアアアアアアアッ……⁉
複数の砲撃魔法が交じり合い、凄まじい爆発が大広間に生じる。まるで核爆発が生じたようにキノコ雲が舞い上がり、ゴーレム達の悲鳴が響き上がった。
ズズゥンッ‼
無数のゴーレムの大群が四方八方から接近する光景にレノは舌打ちする。両手に抱える生存者を確認し、一刻も早く治療を施さなければ危険な状態だが、両手が使えないのでは砲撃魔法が放てない。
「ウゴォオオオッ‼」
「うぜぇっ‼」
「ゴアッ⁉」
ドゴォンッ‼
後方から手を伸ばしてきたゴーレムに蹴りを叩き込み、そのまま体勢を崩れさせて倒れこませる。普通の状態でもゴーレム程度ならばどうにでも出来るが、両手に抱えた生存者の事を考えても全力で動けない。
「レノ‼ ここは僕たちに任せて、先に行ってくれ‼」
「何としても救い出します‼」
「しょ、しょうがないですね‼ 爆裂魔法の威力を思い知らせてやりますよ‼」
「飛行ユニット展開」
レノ以外の全員が動き出し、脱出路を確保するためにゴーレム達と交戦を開始する。レノは彼等に守られながらゴーレム達の攻撃を回避して先に進む。
「デュランダル‼」
――ブゥウウウンッ‼
アルトの持つ聖剣の刃が激しく振動し、そのまま剣を振るうだけで衝撃波が放出される。今回は大広間という部隊であり、ゴーレムが相手ならば遠慮なく使用できる。
「衝風烈波‼」
ズガァアアアアンッ‼
大剣を振り下ろした瞬間、衝撃波が一直線に放たれ、ゴーレムどころか岩石を粉砕して貫通する。衝撃波が去った跡には1つの大きな道が形成されており、レノはアルトの意図を察して衝撃波が通った場所を移動する。
「皆も続いてくれ‼」
「はいっ‼」
「くっ……私の魔銃では相性が悪いですね」
美香が後に続き、カノンは自分の魔銃を見て歯を食いしばる。彼女の弾丸ではゴーレムなどの外殻が固く、外殻の内部に存在する核を壊さない限りは再生をし続ける相手には相性が悪く、その分にアルトが奮戦する。
「はあっ‼」
ドガァアアンッ‼
アルトの大剣がゴーレムに触れた瞬間、そのまま振動が走ってゴーレムの核を破壊し、岩石の身体が砕け散る。この場では最もアルトのデュランダルが効果的であり、彼はそのまま大剣を薙ぎ払う。
「衝風刃‼」
ズガァアアアアンッ……‼
三日月状に広がった衝撃波がゴーレム達に放出され、一気に薙ぎ倒す。その光景にレノは感心し、美香は瞳をハートマークに変え、デルタは背中の飛行ユニットを展開し、ゴーレム達の数を数える。
「……計測完了。残りのゴーレム800体です」
「多すぎぃっ⁉」
「くっ……流石に無理か」
大剣を握りしめながら汗を流し、打ち倒したゴーレムの残骸を乗り越えて新たなゴーレム達が次々と接近してくる。このままでは体力切れでアルトの方が押し潰されてしまい、一刻も早くここから抜け出さなければならない。
「あと少し……‼」
レノは前方に見える通路を確認し、大広間を抜け出すまで少しというところで、前方の地面から異変が生じる。土砂が盛り上がり、地面から大型のゴーレムが出現する。
「ゴォオオオッ……‼」
「邪魔な……‼」
「ご主人様に危害は加えさせません」
背中のブースターを稼働させ、デルタは腹部の機器に搭載されている銃口を向け、
「レールガン」
――ズドォオオオオンッ‼
腹部から電磁砲が放出され、レノ達を達塞ぐゴーレムに衝突する。
「ゴァアアアアアアッ……⁉」
身体中に衝撃と電流が流れ込み、木端微塵にゴーレムが砕け散る。以前にオルトロス戦で見せた時よりも威力と規模が小規模であり、レノは見上げるとデルタが銃口を収納し、問題ないとばかりに頷く。どうやらエネルギー切れの様子はなく、旋回して後方に下がる。
「シューター‼バレット‼」
ズドォオンッ‼
二つの魔銃から弾丸を射出し、カノンはゴーレム達の気を引きながらレノ達とは違う方向に移動する。どうやら囮代わりにレノ達が無事に移動するまで時間を稼ぐつもりらしく、効果の薄い魔銃を連発していた。
「カノン将軍‼ あまり無理をするな‼ ここは僕が……」
「国王様だけを危険な目に遭わせて、大将軍など名乗れません‼」
「くっ……‼」
アルトも大剣を振るってゴーレム達を打ち倒すが、数の暴力の前では焼け石に水であり、徐々に劣勢になる。アルトは逃走する事を考えてある程度の体力と魔力を温存せねばならず、一方でカノンは囲まれない様に気を付けながら移動しなければならない。
「着いた……美香さん、この人を任せます‼」
「ええっ⁉か、回復魔法は得意じゃ……」
「応急処置でいいんで‼」
レノは通路に到達し、美香に生存者を任せると大広間に戻り、デルタに声をかける。
「デルタ‼」
「了解」
ガシィッ‼
飛行ユニットを展開した彼女がレノに接近し、腕を伸ばしてくる。すぐに彼はそれを掴み、一気に上昇する。
「瞬脚‼」
ドォンッ‼
途中で手を離して空中で高速移動を行い、レノは岩石の上で銃を撃つカノンに接近し、
「カノンさん‼」
「れ、レノさん⁉」
「一気に飛ぶよ‼」
岩石の上に避難したカノンに手を伸ばし、彼女は慌ててその手を掴む。2人分の体重で出来るのか不安だったが、一気に瞬脚で上昇する。
ドォンッ‼
「くっ……だいたい、ごじゅう……‼」
「そ、それ以上は言わないで下さい⁉」
魔銃や手荷物の重さも含まれているだろうが、それなりの重量を抱えながら空中に飛び上がり、それを確認したアルトも撤退を始める。
「アルト様、持ち上げます」
「えっ……うわぁああああっ⁉」
ガシィッ‼
そんな彼の後方からデルタが接近すると、彼の身体を持ち上げて通路に向けて飛行する。レノはそれを確認し、何とか瞬脚で通路にまで移動する。
「ひ、ヒール‼ ヒール、ヒール、ヒール‼」
「ううっ……」
ボウッ……‼
通路では美香が生存者に杖を構え、何度も回復魔法を唱える。流石は勇者であり、聖導教会の人間にしか扱えない回復魔法も習得していたらしい。それでも不得手と言っていたのは事実だったのか、何度も同じ回復魔法で治療を試みているが、
ドスンッ‼
「うわぁっ⁉」
「ご主人様。ゴーレム達が接近して来ます」
「分かっとるわい」
ゴォオオオオッ……‼
荒々しく着陸しながらアルトを手放したデルタが、通路に接近するゴーレムの集団を確認し、レノは掌を構える。
「……ここは全員でやってみる?」
「あ、ああっ……通路内に追ってこられるのも面倒だからな」
「分かりました……役に立つかは分かりませんが、お願いします」
「レールガンの充電は完了しています」
「ふっふっふっ……遂に私の出番ですね」
全員が通路に並び立ち、レノは掌に嵐の魔力を集中させ、アルトは聖剣を振動させる。カノンは両手の魔銃に特別な弾丸を装填し、デルタは腹部の銃口を開き、美香は怪しい笑みを浮かべながら杖を掲げ、
「撃嵐‼」
「ディバインスラッシュ‼」
「バーニング・シェル‼」
「レールガン」
「爆裂魔道砲ぉおおおおおおおっ‼」
――ズガァアアアアアアアアンッ‼
ゴァアアアアアアアッ……⁉
複数の砲撃魔法が交じり合い、凄まじい爆発が大広間に生じる。まるで核爆発が生じたようにキノコ雲が舞い上がり、ゴーレム達の悲鳴が響き上がった。
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