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大迷宮編 〈前半編〉
治療中
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――剣乱武闘の激闘から二日後、レノは闘人都市の聖導教会で未だに入院していた。本来ならば一日休めば戻るはずの魔力も回復しきれず、解放術式を利用したとはいえ、日に三度も天属性を使用した事が問題だったらしく、彼は未だにベッドの上で横たわっていた。
初日はコトミたちも付きっ切りで看病してくれたが、剣乱武闘の終了によって皆の仕事も復帰となり、王国組と教会組の人間は帰還し、バルたちも酒場の営業のため、レノの病室に訪れるのは特に仕事がない暇な人間だけだった。
『はい、レノさん。ウサギさんですよ』
「お前……同族を売る気か‼」
『いや、これウサミミじゃありませんから。ただのギミックですから』
ベッドに横たわるレノにベータが兎の形に切った林檎を差し出し、彼女は現在は兎の獣人に扮して過ごしているため、頭にはウサミミのカチューシャを装着していた。どうしてわざわざ獣人族の、しかも兎の獣人を選んだのかは不明だが。
『それにしても随分とやられましたね~何が楽しくて、姉弟同士で喧嘩してるんですか』
「ホムラは?」
『あの人は昨日のうちに抜け出して姿を消しましたよ。本当、どうしてあんな化物に育ったんですかねぇ……』
「生まれが悪いせいじゃない」
ベータの林檎に喰いつきながら、ホムラが既に動けることに呆れる。勝つには勝ったが、敗北したはずのホムラの方が先に回復するなど呆れ果てるしかなく、自分が追っていた人間がどれほどの化物なのか理解させられる。
『それより、釈放の件は感謝しますよ。私もコウシュンさんも近々、地下施設の方に戻れそうです』
「悪さすんなよ」
『しませんよ。私達はもう管理者でもなく、調整者でもない。言ってみればこの世界の「観測者」ですから』
この世界を創造するために造り出されたベータではあるが、既に現在の世界は自分たちの手を離れ、彼女の思い描いていた世界とは大きくかけ離れている。ここまで成長した世界をどうこうする科学力は既に残されておらず、ベータはコウシュン達と共に世界の変化を観測するだけの生活を送る事を決めた。
一足先に彼女の奴隷(笑)と成り果てたコウシュンが施設に戻り、ホムンクルスを引き連れて改めてベータを迎え入れるらしい。彼女が管理者であることを止めたとしても、コウシュンにとっては彼女こそが自分の存在意義であり、今後はベータの望むままに暮らすらしい。
『レノさんも暇があったら来ませんか? 懐かしい科学の産物が色々と見られますよ』
「まあ、そのうちね……それより聞きたい事があるんだけど」
『何ですか?』
「あの放浪島の……地下施設とは別の地上に繋がる通路の事について」
――レノは1年ほど前、浮揚石の回収のために放浪島の地下迷宮に訪れた際、地上に繋がる通路を発見した。だが、その少し前に迷宮内に奇妙な白い人型の生物と遭遇し、最初の一体は理性を失って襲い掛かってきたため討伐してしまったが、通路の中に出会った生物は人語を話してレノに接近してきた。
彼は、もしくは彼女はレノに「ヤマタノオロチ」という存在を知らせると、そのまま理性を失う前に自らが自害した。その話をベータに告げると、彼女は何事か考え込み、何か検索でもしているのか瞳の部分が点滅する。
『……その生物は、ヤマタノオロチと言ってたんですね? 私のデータベースを検索してみましたが、確かにヤマタノオロチ計画と呼ばれるデータを発見しました』
「ヤマタノオロチ計画……具体的にはどんな計画?」
『それが、どういう事か厳重なパスワードが掛けられていますね。基本的には私は全てのデータを管理する立場なんですけど、このパスワードはどうやら私の創造者、つまりは旧世界の人間が意図的に仕掛けたようです』
「旧世界……」
レノは「霧咲 雛」の記憶を思い返し、旧世界の事を思い出す。現在の世界よりも遥か昔の世界であり、ある少女のクローンとして生み出された彼女はセカンドライフと呼ばれる企業の下で生活していた。
『このデータはどうやら私では解除できないようですね……申し訳ありませんが、ヤマタノオロチ計画についての詳しい内容は私にも分かりません』
「そうか……」
『ただ、分かる範囲ではこの計画はレノさんが伝説獣と呼ぶ超生物……私達は「六成獣」と呼んでいますが、彼等が生み出される前の世代の計画のようです』
「伝説獣もお前たちが造ってたの?」
『私を責めないで下さいよ。正確にはあの成獣達は今の私ではなく、私の前の世代のアンドロイドが管理してたんですから』
薄々とは予感していたが、やはり伝説獣も意図的に造り出された生物らしく、ベータによるとこのヤマタノオロチ計画は伝説獣が造り出される計画の前の段階から存在した計画らしい。パスワードによって当時の詳しい内容は解析が不可能のため、ヤマタノオロチ計画が実行されたのかは不明らしいが、あの地下迷宮で出会った人型の生物の言動から考えても気にかかる。
『あくまでも予測に過ぎませんけど、このヤマタノオロチ計画は六成獣(伝説獣)の誕生計画の前の段階に考えられていた事は間違いありません。もしかしたら、成獣や終末者の代わりにこの世界をリセット、つまりは滅ぼす存在を生み出そうと考えられていた可能性が高いです』
「ああっ……そう言えば自分たちの思い通りの世界観にならなけば滅ぼすシステムがだったっけ?」
『まあ、管理者の私が地上から隔離された時点でその役割を果たせませんでしたけどね』
管理者の存在意義は世界の管理であり、もしもこの世界が旧世界の人間達が思い描いた理想の世界とは大きくかけ離れた場合、一からやり直すために終末者や伝説獣を目覚めさせて世界を滅ぼし、もう一度最初からやり直すというあまりにも壮大で馬鹿げた計画が立てられており、実際にこの時代にも終末者と伝説獣が目覚めている。
伝説獣に関しては活性化の時代に偶然に目覚めた種と、地下迷宮で封印が解除された終末者の手によって目覚めた種が存在し、レノ達がいなければこの世界は滅びていたかもしれない。
――だが、ベータの予測では六成獣(伝説獣)を創造する計画の前の段階に「ヤマタノオロチ計画」という未知の計画が考案されており、彼女の予測では伝説獣の前にこの世界を滅ぼす存在が生み出されていた可能性もあるという。
「でも、そんな生物が本当に造り出されていたら、どうしてわざわざ伝説獣とか終末者とか造り出したの?」
『そこが疑問なんですよね。確かにレノさんの言う通り、もしもそんな怖い存在が造り出されていたら、どうしてわざわざ終末者や六成獣なんて造り出したんでしょうかね……私のデータベースにパスワードが掛かっている事も気になりますし、少し調べてみる必要があるかもしれません』
「調べるってどうやって?」
『そうですね。オリジナルの私が地下迷宮の施設を焼却していますし、あんまり期待できませんがシュンさんの地下施設に情報が残っていないか調べておきますね。何か分かったら、前に渡したイヤホンで連絡します』
「このイヤホン?」
『そうです。そう言えば、この世界で流行っている魔導電話とも周波を合わせれば通話できますよ。他にも発信機の役割もあるんで、肌身離さず持っていてくださいね』
「盗聴器は仕掛けられていないだろうな……」
レノは終末者が付けていたイヤホンを握りしめ、ベータは机の上に皿を乗せ、そのまま直ぐに立ち上がると、
『そういう事なら私はもう行きますね。それと地下施設の居場所についてですが、今度私の方から案内するのでちゃんとイヤホンを持っててくださいよ』
「メールでいいよ」
『その機能はまだ取り付けていませんね。今度、改造しておきます』
それだけを告げると彼女は部屋を後にし、掌を振りながら見送ると、レノはヤマタノオロチという単語に考え込み、
「ヤマタノオロチね……そういえば、伝説獣は全部外国の神話の怪物だったな」
今まであまり考えたことはなかったが、レノが遭遇した「腐敗竜ドラゴンゾンビ」「バジリスク」「フェンリル」「リバイアサン」「オルトロス」「キマイラ」は外国の創作物の生物であり、ここにきて日本神話で有名な「ヤマタノオロチ」の名前が出てきたことに不思議に思う。あまりたいした意味はないのかも知れないが、レノは何となく気になりながらも林檎を口にする。
初日はコトミたちも付きっ切りで看病してくれたが、剣乱武闘の終了によって皆の仕事も復帰となり、王国組と教会組の人間は帰還し、バルたちも酒場の営業のため、レノの病室に訪れるのは特に仕事がない暇な人間だけだった。
『はい、レノさん。ウサギさんですよ』
「お前……同族を売る気か‼」
『いや、これウサミミじゃありませんから。ただのギミックですから』
ベッドに横たわるレノにベータが兎の形に切った林檎を差し出し、彼女は現在は兎の獣人に扮して過ごしているため、頭にはウサミミのカチューシャを装着していた。どうしてわざわざ獣人族の、しかも兎の獣人を選んだのかは不明だが。
『それにしても随分とやられましたね~何が楽しくて、姉弟同士で喧嘩してるんですか』
「ホムラは?」
『あの人は昨日のうちに抜け出して姿を消しましたよ。本当、どうしてあんな化物に育ったんですかねぇ……』
「生まれが悪いせいじゃない」
ベータの林檎に喰いつきながら、ホムラが既に動けることに呆れる。勝つには勝ったが、敗北したはずのホムラの方が先に回復するなど呆れ果てるしかなく、自分が追っていた人間がどれほどの化物なのか理解させられる。
『それより、釈放の件は感謝しますよ。私もコウシュンさんも近々、地下施設の方に戻れそうです』
「悪さすんなよ」
『しませんよ。私達はもう管理者でもなく、調整者でもない。言ってみればこの世界の「観測者」ですから』
この世界を創造するために造り出されたベータではあるが、既に現在の世界は自分たちの手を離れ、彼女の思い描いていた世界とは大きくかけ離れている。ここまで成長した世界をどうこうする科学力は既に残されておらず、ベータはコウシュン達と共に世界の変化を観測するだけの生活を送る事を決めた。
一足先に彼女の奴隷(笑)と成り果てたコウシュンが施設に戻り、ホムンクルスを引き連れて改めてベータを迎え入れるらしい。彼女が管理者であることを止めたとしても、コウシュンにとっては彼女こそが自分の存在意義であり、今後はベータの望むままに暮らすらしい。
『レノさんも暇があったら来ませんか? 懐かしい科学の産物が色々と見られますよ』
「まあ、そのうちね……それより聞きたい事があるんだけど」
『何ですか?』
「あの放浪島の……地下施設とは別の地上に繋がる通路の事について」
――レノは1年ほど前、浮揚石の回収のために放浪島の地下迷宮に訪れた際、地上に繋がる通路を発見した。だが、その少し前に迷宮内に奇妙な白い人型の生物と遭遇し、最初の一体は理性を失って襲い掛かってきたため討伐してしまったが、通路の中に出会った生物は人語を話してレノに接近してきた。
彼は、もしくは彼女はレノに「ヤマタノオロチ」という存在を知らせると、そのまま理性を失う前に自らが自害した。その話をベータに告げると、彼女は何事か考え込み、何か検索でもしているのか瞳の部分が点滅する。
『……その生物は、ヤマタノオロチと言ってたんですね? 私のデータベースを検索してみましたが、確かにヤマタノオロチ計画と呼ばれるデータを発見しました』
「ヤマタノオロチ計画……具体的にはどんな計画?」
『それが、どういう事か厳重なパスワードが掛けられていますね。基本的には私は全てのデータを管理する立場なんですけど、このパスワードはどうやら私の創造者、つまりは旧世界の人間が意図的に仕掛けたようです』
「旧世界……」
レノは「霧咲 雛」の記憶を思い返し、旧世界の事を思い出す。現在の世界よりも遥か昔の世界であり、ある少女のクローンとして生み出された彼女はセカンドライフと呼ばれる企業の下で生活していた。
『このデータはどうやら私では解除できないようですね……申し訳ありませんが、ヤマタノオロチ計画についての詳しい内容は私にも分かりません』
「そうか……」
『ただ、分かる範囲ではこの計画はレノさんが伝説獣と呼ぶ超生物……私達は「六成獣」と呼んでいますが、彼等が生み出される前の世代の計画のようです』
「伝説獣もお前たちが造ってたの?」
『私を責めないで下さいよ。正確にはあの成獣達は今の私ではなく、私の前の世代のアンドロイドが管理してたんですから』
薄々とは予感していたが、やはり伝説獣も意図的に造り出された生物らしく、ベータによるとこのヤマタノオロチ計画は伝説獣が造り出される計画の前の段階から存在した計画らしい。パスワードによって当時の詳しい内容は解析が不可能のため、ヤマタノオロチ計画が実行されたのかは不明らしいが、あの地下迷宮で出会った人型の生物の言動から考えても気にかかる。
『あくまでも予測に過ぎませんけど、このヤマタノオロチ計画は六成獣(伝説獣)の誕生計画の前の段階に考えられていた事は間違いありません。もしかしたら、成獣や終末者の代わりにこの世界をリセット、つまりは滅ぼす存在を生み出そうと考えられていた可能性が高いです』
「ああっ……そう言えば自分たちの思い通りの世界観にならなけば滅ぼすシステムがだったっけ?」
『まあ、管理者の私が地上から隔離された時点でその役割を果たせませんでしたけどね』
管理者の存在意義は世界の管理であり、もしもこの世界が旧世界の人間達が思い描いた理想の世界とは大きくかけ離れた場合、一からやり直すために終末者や伝説獣を目覚めさせて世界を滅ぼし、もう一度最初からやり直すというあまりにも壮大で馬鹿げた計画が立てられており、実際にこの時代にも終末者と伝説獣が目覚めている。
伝説獣に関しては活性化の時代に偶然に目覚めた種と、地下迷宮で封印が解除された終末者の手によって目覚めた種が存在し、レノ達がいなければこの世界は滅びていたかもしれない。
――だが、ベータの予測では六成獣(伝説獣)を創造する計画の前の段階に「ヤマタノオロチ計画」という未知の計画が考案されており、彼女の予測では伝説獣の前にこの世界を滅ぼす存在が生み出されていた可能性もあるという。
「でも、そんな生物が本当に造り出されていたら、どうしてわざわざ伝説獣とか終末者とか造り出したの?」
『そこが疑問なんですよね。確かにレノさんの言う通り、もしもそんな怖い存在が造り出されていたら、どうしてわざわざ終末者や六成獣なんて造り出したんでしょうかね……私のデータベースにパスワードが掛かっている事も気になりますし、少し調べてみる必要があるかもしれません』
「調べるってどうやって?」
『そうですね。オリジナルの私が地下迷宮の施設を焼却していますし、あんまり期待できませんがシュンさんの地下施設に情報が残っていないか調べておきますね。何か分かったら、前に渡したイヤホンで連絡します』
「このイヤホン?」
『そうです。そう言えば、この世界で流行っている魔導電話とも周波を合わせれば通話できますよ。他にも発信機の役割もあるんで、肌身離さず持っていてくださいね』
「盗聴器は仕掛けられていないだろうな……」
レノは終末者が付けていたイヤホンを握りしめ、ベータは机の上に皿を乗せ、そのまま直ぐに立ち上がると、
『そういう事なら私はもう行きますね。それと地下施設の居場所についてですが、今度私の方から案内するのでちゃんとイヤホンを持っててくださいよ』
「メールでいいよ」
『その機能はまだ取り付けていませんね。今度、改造しておきます』
それだけを告げると彼女は部屋を後にし、掌を振りながら見送ると、レノはヤマタノオロチという単語に考え込み、
「ヤマタノオロチね……そういえば、伝説獣は全部外国の神話の怪物だったな」
今まであまり考えたことはなかったが、レノが遭遇した「腐敗竜ドラゴンゾンビ」「バジリスク」「フェンリル」「リバイアサン」「オルトロス」「キマイラ」は外国の創作物の生物であり、ここにきて日本神話で有名な「ヤマタノオロチ」の名前が出てきたことに不思議に思う。あまりたいした意味はないのかも知れないが、レノは何となく気になりながらも林檎を口にする。
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