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真章 〈終末の使者編〉
迷宮脱出
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地上に繋がる通路を移動中のリノン達と無事に合流し、レノは皆と共に巨大な扉の前に辿り着く。先ほどの扉と違い、こちらは普通のスライド式の扉であり、鍵の類も掛けられていなかったため簡単に開けられた。
「変わった扉だな……横に開くのか」
「そんなに珍しいか? 私達の学園でも似たような扉はあったじゃないか」
「……そう言えば、そうだった」
「わふっ……鳳凰学園が懐かしいです。あの頃はレノさんに犬耳を弄られたり、尻尾をモフられたり、ドックフードを貰ってたり、頭を撫でまわされたり……あれ? 今とそんなに変わらない様な気がします」
「ま、さっさと行こうか」
レノ達は扉を開き、中に入り込む。どうやら直接外に繋がっているわけではなく、円形上に広がっている部屋が広がる。広間の中央部には半径5メートルほどの魔方陣らしき物が存在し、レノ達が使用している転移魔方陣と酷似している。
「これは……何処となく、転移の門と似ているな」
「でも、この魔方陣って少し変わってますね」
「なんだかやらたとメカっぽいな」
「めか?」
中央部に存在する魔方陣の周囲には様々な機器が存在し、まるでSF映画に出てきそうな光景である。魔方陣自体もレノ達が使用している転移魔方陣よりも複雑であり、様々な魔水晶らしき物が埋め込まれている。
「この……転移魔方陣? で地上に戻れるのだろうか……」
「ですが、先ほどはレノさんが転移魔方陣を使用しようとした時は反応しませんでしたが……」
「まあ、上に乗って見ようか」
レノの言葉に全員が賛同し、とりあえずは部屋の中央部の転移魔方陣の上に乗り込む。全員が乗り込んだのを確認した後、魔方陣の中心部に存在する台座らしき物にタブレット端末が用意されていることに気が付く。
「これは……まだ電源は生き残ってるな」
「なんだそれ? 何かの魔道具か?」
「ちょっと調べてるから静かにしてて……えっと、これかな」
「うお⁉」
タブレット端末の画面が表示され、日本語表記で文章が浮き上がる。唐突に画面が光り輝いたことにフレイが驚き、確かにこの世界の人間にとってはこのような機械というのは見慣れない物だろう。
「れ、レノ⁉何だそれは⁉」
「これは……もしや、噂に聞く古代遺産では⁉」
「わふっ‼キラキラ輝いて綺麗です‼」
「ええい、やかましい」
周囲が騒ぎ立てる中、レノはタブレット端末の文章を確認し、どうやら地上に繋がるゲートへと転移するかどうか確認しているらしい。転移する際はタブレット端末を所定の位置に設置し、画面に触れるだけで転移が発動するらしい。
他にも転移する際の危険事項として、移動できる重量は2トン以下の物だけであり、施設内の精密な機器の持ち込みは禁止。転移酔いなどと呼ばれる現象もあるらしいので注意することが描かれていおり、それらを全て確認した後にレノはタブレットを台座に戻し、機械を発動させる。
「スイッチ、オン‼」
「おおっ⁉」
画面に指が触れた瞬間、唐突に広間全体の機器が稼働し、魔方陣らしき転移装置が光り輝く。地面に埋め込まれた魔水晶らしき宝石が点滅し、徐々に周囲の光景が一変する。
――気が付いた時にはレノ達の視界には周囲が木々で覆われた場所に辿り着き、何処となく見覚えのある光景だった。そして、すぐにこの場所が以前に「研究施設」を発見した放浪島の南部に広がる森の中だと悟る。
「ここは……あの森か」
「間違いない。見覚えがある」
「ウォンッ‼」
「はあっ……本当に地上に出られるとはね」
「……うぷっ」
「酔ったの⁉」
レノ達が転移した場所が南部地方の森の何処かである事は間違いなく、実際にあの森にしか存在しない果物や植物が存在した。だが、ここからどのように王国の転移魔方陣が存在する建物まで戻ればいいのかと悩んでいると、フレイが胸を叩く。
「ここは私に任せるんだな‼ 森の中なら、森人族の出番だ‼」
「ウォンッ……(本当に大丈夫かよテメェッ)」
「はっ……今、ウルの心の声が聞こえた気がする‼」
「何の話だ⁉」
少々、いやかなりの不安はあるが、ここはフレイを信じて一向は森の中を突き進む。流石に森人族というだけはあり、彼女は軽快な動きで森を移動し、その後ろにレノ達が続く形となる。半分は森人族のレノも特に苦労せずにあとに続くが、他の物たちは決してはぐれないように必死に後を追う。
「ちょ、ちょっと待ってくれ2人とも……もう少しだけ速度を落としてくれないか?」
「わ、私達では付いていけません……」
「なんだよ、だらしない奴等だなぁっ……」
「無茶言うなよ……少し荷物持とうか」
「助かる……」
「おおう⁉」
真っ先にゴンゾウが荷物を差し出し、レノの身体に予想以上の重量が襲い掛かる。咄嗟に肉体強化で支え込み、移動を再開する。背中にのしかかる異様な重圧に堪えながら、レノ達は森の中を突き進んだ。
「ぜぇっ……ぜぇっ……」
「大丈夫かジャンヌ?」
「え、ええ……ですが、後どれくらいで外に出られるのでしょうか?」
「フレイ~? あとどれくらいで外に出られるの?」
「ん~分からん‼ だけど、そんなに時間は掛からないと思う‼ 思いたい‼」
「願望⁉」
色々と不安しか思い浮かばないが、このまま立ち止まっていても意味はないため、全員は移動を続ける。その途中、レノは驚愕の真実に気が付く。
「あっ……もしかしたら……⁉」
「ど、どうしたレノ?」
「な、なにかあったんですか?」
「いや……確かめてみない事には分からないか、ちょっと待ってて」
レノは皆を立ち止まらせ、地面に転移魔方陣を書き込み、すぐに浮揚石の1つを上に置く。もう一度今度は少し離れた場所に転移魔方陣を書き込み、レノの意図に気が付いたリノン達が冷や汗を流しながら、もしかしたら自分たちはとんでもない失敗を起こしていた事に気が付く。
「こ、これは……まさか⁉」
「せ~のっ‼」
転移魔方陣にレノが魔力を注ぎ込んだ瞬間、一瞬にして二つの転移魔方陣が発動し、離れた位置にあった浮揚石がレノの手元の魔方陣の上に移動し、誰もがその光景に目を奪われる。
まず、地下迷宮で転移魔方陣が発動しなかった原因は浮揚石ではない事が判明し、それと同時にここで大きな問題が生じる。いや、正確に言えば問題が解決したというべきか、微妙な雰囲気のまま沈黙が訪れる。そ意を決したようにレノが申し訳なさそうに皆に視線を向け、
「えっと……うん、なんだか普通に転移できるみたいだから、皆ここで待っててくれる?俺とフレイで外に出た後、転移で迎えに来るから」
「「「…………」」」
「うん……なんかごめん」
今まで森の中で必死に移動していた苦労が水の泡となる発言をするレノに対し、どうしてもっと早く気付かなかったのかと責めるような視線が集中するが、とりあえずは頭を下げる(以前にもこの森で似たようなやり取りを行ったような気がしないでもない)。
――結局、レノはフレイと共にそれから1時間ほどで森を脱出し、無事に転移魔方陣を皆を呼び寄せる。その後、微妙な雰囲気の中で王国と繋がる転移魔方陣が存在する場所まで移動し、色々とあったが一行は無事に任務を果たして王国へと帰還した。
「変わった扉だな……横に開くのか」
「そんなに珍しいか? 私達の学園でも似たような扉はあったじゃないか」
「……そう言えば、そうだった」
「わふっ……鳳凰学園が懐かしいです。あの頃はレノさんに犬耳を弄られたり、尻尾をモフられたり、ドックフードを貰ってたり、頭を撫でまわされたり……あれ? 今とそんなに変わらない様な気がします」
「ま、さっさと行こうか」
レノ達は扉を開き、中に入り込む。どうやら直接外に繋がっているわけではなく、円形上に広がっている部屋が広がる。広間の中央部には半径5メートルほどの魔方陣らしき物が存在し、レノ達が使用している転移魔方陣と酷似している。
「これは……何処となく、転移の門と似ているな」
「でも、この魔方陣って少し変わってますね」
「なんだかやらたとメカっぽいな」
「めか?」
中央部に存在する魔方陣の周囲には様々な機器が存在し、まるでSF映画に出てきそうな光景である。魔方陣自体もレノ達が使用している転移魔方陣よりも複雑であり、様々な魔水晶らしき物が埋め込まれている。
「この……転移魔方陣? で地上に戻れるのだろうか……」
「ですが、先ほどはレノさんが転移魔方陣を使用しようとした時は反応しませんでしたが……」
「まあ、上に乗って見ようか」
レノの言葉に全員が賛同し、とりあえずは部屋の中央部の転移魔方陣の上に乗り込む。全員が乗り込んだのを確認した後、魔方陣の中心部に存在する台座らしき物にタブレット端末が用意されていることに気が付く。
「これは……まだ電源は生き残ってるな」
「なんだそれ? 何かの魔道具か?」
「ちょっと調べてるから静かにしてて……えっと、これかな」
「うお⁉」
タブレット端末の画面が表示され、日本語表記で文章が浮き上がる。唐突に画面が光り輝いたことにフレイが驚き、確かにこの世界の人間にとってはこのような機械というのは見慣れない物だろう。
「れ、レノ⁉何だそれは⁉」
「これは……もしや、噂に聞く古代遺産では⁉」
「わふっ‼キラキラ輝いて綺麗です‼」
「ええい、やかましい」
周囲が騒ぎ立てる中、レノはタブレット端末の文章を確認し、どうやら地上に繋がるゲートへと転移するかどうか確認しているらしい。転移する際はタブレット端末を所定の位置に設置し、画面に触れるだけで転移が発動するらしい。
他にも転移する際の危険事項として、移動できる重量は2トン以下の物だけであり、施設内の精密な機器の持ち込みは禁止。転移酔いなどと呼ばれる現象もあるらしいので注意することが描かれていおり、それらを全て確認した後にレノはタブレットを台座に戻し、機械を発動させる。
「スイッチ、オン‼」
「おおっ⁉」
画面に指が触れた瞬間、唐突に広間全体の機器が稼働し、魔方陣らしき転移装置が光り輝く。地面に埋め込まれた魔水晶らしき宝石が点滅し、徐々に周囲の光景が一変する。
――気が付いた時にはレノ達の視界には周囲が木々で覆われた場所に辿り着き、何処となく見覚えのある光景だった。そして、すぐにこの場所が以前に「研究施設」を発見した放浪島の南部に広がる森の中だと悟る。
「ここは……あの森か」
「間違いない。見覚えがある」
「ウォンッ‼」
「はあっ……本当に地上に出られるとはね」
「……うぷっ」
「酔ったの⁉」
レノ達が転移した場所が南部地方の森の何処かである事は間違いなく、実際にあの森にしか存在しない果物や植物が存在した。だが、ここからどのように王国の転移魔方陣が存在する建物まで戻ればいいのかと悩んでいると、フレイが胸を叩く。
「ここは私に任せるんだな‼ 森の中なら、森人族の出番だ‼」
「ウォンッ……(本当に大丈夫かよテメェッ)」
「はっ……今、ウルの心の声が聞こえた気がする‼」
「何の話だ⁉」
少々、いやかなりの不安はあるが、ここはフレイを信じて一向は森の中を突き進む。流石に森人族というだけはあり、彼女は軽快な動きで森を移動し、その後ろにレノ達が続く形となる。半分は森人族のレノも特に苦労せずにあとに続くが、他の物たちは決してはぐれないように必死に後を追う。
「ちょ、ちょっと待ってくれ2人とも……もう少しだけ速度を落としてくれないか?」
「わ、私達では付いていけません……」
「なんだよ、だらしない奴等だなぁっ……」
「無茶言うなよ……少し荷物持とうか」
「助かる……」
「おおう⁉」
真っ先にゴンゾウが荷物を差し出し、レノの身体に予想以上の重量が襲い掛かる。咄嗟に肉体強化で支え込み、移動を再開する。背中にのしかかる異様な重圧に堪えながら、レノ達は森の中を突き進んだ。
「ぜぇっ……ぜぇっ……」
「大丈夫かジャンヌ?」
「え、ええ……ですが、後どれくらいで外に出られるのでしょうか?」
「フレイ~? あとどれくらいで外に出られるの?」
「ん~分からん‼ だけど、そんなに時間は掛からないと思う‼ 思いたい‼」
「願望⁉」
色々と不安しか思い浮かばないが、このまま立ち止まっていても意味はないため、全員は移動を続ける。その途中、レノは驚愕の真実に気が付く。
「あっ……もしかしたら……⁉」
「ど、どうしたレノ?」
「な、なにかあったんですか?」
「いや……確かめてみない事には分からないか、ちょっと待ってて」
レノは皆を立ち止まらせ、地面に転移魔方陣を書き込み、すぐに浮揚石の1つを上に置く。もう一度今度は少し離れた場所に転移魔方陣を書き込み、レノの意図に気が付いたリノン達が冷や汗を流しながら、もしかしたら自分たちはとんでもない失敗を起こしていた事に気が付く。
「こ、これは……まさか⁉」
「せ~のっ‼」
転移魔方陣にレノが魔力を注ぎ込んだ瞬間、一瞬にして二つの転移魔方陣が発動し、離れた位置にあった浮揚石がレノの手元の魔方陣の上に移動し、誰もがその光景に目を奪われる。
まず、地下迷宮で転移魔方陣が発動しなかった原因は浮揚石ではない事が判明し、それと同時にここで大きな問題が生じる。いや、正確に言えば問題が解決したというべきか、微妙な雰囲気のまま沈黙が訪れる。そ意を決したようにレノが申し訳なさそうに皆に視線を向け、
「えっと……うん、なんだか普通に転移できるみたいだから、皆ここで待っててくれる?俺とフレイで外に出た後、転移で迎えに来るから」
「「「…………」」」
「うん……なんかごめん」
今まで森の中で必死に移動していた苦労が水の泡となる発言をするレノに対し、どうしてもっと早く気付かなかったのかと責めるような視線が集中するが、とりあえずは頭を下げる(以前にもこの森で似たようなやり取りを行ったような気がしないでもない)。
――結局、レノはフレイと共にそれから1時間ほどで森を脱出し、無事に転移魔方陣を皆を呼び寄せる。その後、微妙な雰囲気の中で王国と繋がる転移魔方陣が存在する場所まで移動し、色々とあったが一行は無事に任務を果たして王国へと帰還した。
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