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魔王大戦編
作戦会議 〈その2〉
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レノ達は一足先に闘人都市に到着し、こちらに向かってくるという魔人族と魔物と連合軍の戦闘地点を予測し、平原に陣を築き上げる。兵士の数は既に5万人が動員され、その中にはテンペスト騎士団やストームナイツ騎士団の姿もあり、懐かしの顔もちらほらと見かける。
魔術師部隊によって平原に速やかに土壁が形成され、落とし穴の類の罠も複数仕掛けられる。相手はオーガやゴーレムといった腕力に特化した魔物や、知能が高いサイクロプスやミノタウロス、さらには複数のスライムの姿も確認され、いくら罠を仕掛けても安心などできない。
相手が分断して各方面から闘人都市に攻めかかることも考えられ、半数の5万人の兵士は都市の警護に配置せねばならず、王都からの援軍も期待できない。実質、この戦闘に負ければリーリスは闘人都市に封印されている宝玉を入手し、世界が冗談抜きで書き換えられてしまう。それだけは何としても避けねばならず、レノ達は最後の作戦会議を行う。
――簡易に建てられたテントの中でアルトを始めとした王国最強の面子が勢揃いであり、雷光の英雄(レノ)、大将軍のテラノとカノン、テンペスト騎士団の団長であるジャンヌ、他にもリノンやゴンゾウにポチ子、テンペスト騎士団の三人の隊長に多数の将軍たち。王国の主戦力がこの場に集まっており、全員が装備を整えている。
「それでは最後にもう一度だけ打ちあわせを行う。まず、先行している魔人王の姿に変装している鎧の男の撃破を最優先とする。もしかしたら奴を打ち倒す事が出来れば、魔人族も正気を取り戻すかもしれない」
「しかし……本当にあの鎧の騎士は偽物なのですか?俺、ごほんっ……私には見分けはつきませんが……」
「ゴルス隊長、本物の魔人王は僕とレノが学園都市で確かに打ち倒した。あれは間違いなく、闘人都市で姿を現した魔王を名乗るリーリスという輩の配下で間違いない」
「ふむ……確かに雰囲気が何処となく違うように思えますな」
テラノも長年の間、魔人王と幾度も死闘を繰り広げており、ミラークリスタルに映し出された黒甲冑の騎士には違和感を抱いている。外見は瓜二つなのだが、武人の勘という奴なのか、どうにも違和感を覚える。
「偽物であろうがなんであろうが、あの鎧武者の男が魔人族を率いているのは間違いなさそうでござるな。しかし……撃破すると言ってもそう簡単に行くとは思えないでござる」
「分かっている……相手が他の種族ならば暗殺を試みる事も出来たが、魔人族には通用しない」
生物であるならば毒殺などを仕掛ける事が出来るが、魔人族の中には毒を無効化する生物や、そもそも実体が存在しない幽霊(デュラハン)も居り、一筋縄ではいかない。だが、彼等も恐らくは剣乱武闘の参加者と同じく操られている可能性があるため、無闇な殺戮は避けたい。
それでもこちらが負ければ世界その物が消えてしまう可能性も存在し、最悪の場合は相手を殲滅する覚悟で挑まなければならないのは事実だ。
「一番手は儂に任せて下され。まさか、生きている内にもう一度「雷雲号」を乗る機会が訪れるとは……内心興奮が隠せん」
「おおっ……!!あの伝説の将軍専用の乗り物が……!!」
「まさか本当に実在したとは……!!」
「……雷雲号ってなに?」
将軍たちの間に期待感が走り、レノが隣に座るカノンに雷雲号の事を尋ねると、
「テラノ大将軍が20年ほど前までは愛用していた乗り物の名前です。私もテラノ将軍が乗用していた時代はまだ子供だったので見た事は無いのですが、恐ろしく早く、それでいながらまるで猛牛を想像させる勢いで敵軍を打ち倒したという噂を耳にしていますが……」
「雷雲か……」
レノの脳裏にまるで西遊記の孫悟空が乗用する筋斗雲のような物が浮かび上がるが、テラノが黒雲に乗る姿を創造するとまるで何かの仙人のように思え、少しだけ笑える。
「いや、将軍……気持ちは有り難いが今回は別に彼等を殲滅する気はない。出来る事なら最低限は犠牲者は出したくないんだ」
「分かっております。ですが、万が一の時を考えても念入りに準備しておかねば」
「ああ……カゲマル隊長、敵がここに到着するまでどれくらいかかる?」
「恐らくは明日の早朝……遅くても昼までには到達するでござる。一応は付近の村の避難勧告は終えているでござるが、今のところはこちらに真っ直ぐに向かってるようでござる」
「なんで転移魔法でこっちに来ないんだろう……」
「レノ殿……転移魔法とは高等魔術でござる。普通ならば単独で行える魔法ではないでござるよ?」
忘れがちだが転移魔法は発動するだけでも魔術師の数十人が魔力枯渇を起こすほどの魔力消費量であり、レノの場合は魔力容量が常人とは桁違いのために何度でも行えるが、本来ならば容易く発動する事は出来ない。幾ら魔王(リーリス)といえども1万を超す規模の軍隊を転移魔法で送り込むことは困難であり、だからこそ時間を掛けてでも陸路で進んでいるだろう。
それに事前に闘人都市には結界が張られており、内部に転移する事は出来ない。また、事前の調査で闘人都市の周辺一帯は調査済みであり、魔人族が使用すると思われる転移魔方陣のマーキングは確認されていない。転移魔法は基本的には転移先に事前に魔方陣を設置せねば発動せず、魔人族が転移してくる可能性は低い。
「でも、魔王だけなら結界を破って、自力で闘人都市に移動できるんじゃないの?」
「その可能性はありますが、仮に魔王が単独で襲来した時に備え、闘人都市の結界は強化されています。それに魔王の目的地である闘技場には数十の結界石を使用し、頑丈のプロテクトドームを形成しているので時間を稼ぐ事は可能です」
「魔法って凄い」
素直に感心する一方、それならば魔王軍は自力で闘人都市に向かわなければならず、この場所で最終決戦が始まるのは間違いない。仮に王国軍が突破されたとしても、闘人都市には5万人の兵士と冒険者が待機しており、万全な体制と言える。
「だが……相手は得体の知れぬ輩。策を何重に張ろうと安心は出来んな」
「そうだにゃあっ……こんな時こそ、英雄さんの力を頼りにしているにゃあ」
全員の視線がレノに注がれ、最強の聖剣カリバーンの力を期待しているのだろう。しかし、アルトはそれを遮るように、
「確かにレノが王国にとっての切り札である事は間違いない。いざという時は彼の力も借りるだろう。しかし、彼一人に任せきりになるわけにはいかない!!僕たち皆が協力し、魔王を名乗る不徳の輩を打ち倒すのだ!!」
「「はっ!!」」
アルトの一括に全員が頭を下げ、作戦会議は終了する。テントから抜け出したレノは魔導電話を取りだしてアイリィに通信を行い、すぐに電話に出る。
『もしも~し』
「終ったよ。予定通りに進んでいる」
『分かりました。なら、後は手筈通りにホムラさんがフェンリルを倒すまで引き留めておいて下さい』
「了解……そっちは大丈夫?」
『ヨウカさんがホムラさんに怯えている事と、コトミさんが置いてきぼりにされたことで少々怒っていますね』
『……むうっ』
コトミは今回の作戦に参加させるわけにはいかず、屋敷に置いたままレノは王国に帰還したのだ。彼女はあくまでも聖導教会側の人間であり、今回の戦いには表だって参加させたくない。
「帰ったらほっぺにちゅーしてあげるから機嫌治せって伝えといて」
『とのことです』
『……ぽっ』
『頬を赤らめて満更でもない顔をしてます』
「いちいち伝えんでいい」
適当に雑談を終えると、魔導電話を切り、不意に上空を確認すると黒雲が漂っており、一雨が降り注ぎそうな気配だった
「……嫌な雰囲気だな――!?」
異様な胸騒ぎを覚え、作戦に穴がないかをもう一度確認するために戻ろうとした時、不意に上空で何かが動いたのをレノのハーフエルフの優れた視覚が見逃さなかった。
魔術師部隊によって平原に速やかに土壁が形成され、落とし穴の類の罠も複数仕掛けられる。相手はオーガやゴーレムといった腕力に特化した魔物や、知能が高いサイクロプスやミノタウロス、さらには複数のスライムの姿も確認され、いくら罠を仕掛けても安心などできない。
相手が分断して各方面から闘人都市に攻めかかることも考えられ、半数の5万人の兵士は都市の警護に配置せねばならず、王都からの援軍も期待できない。実質、この戦闘に負ければリーリスは闘人都市に封印されている宝玉を入手し、世界が冗談抜きで書き換えられてしまう。それだけは何としても避けねばならず、レノ達は最後の作戦会議を行う。
――簡易に建てられたテントの中でアルトを始めとした王国最強の面子が勢揃いであり、雷光の英雄(レノ)、大将軍のテラノとカノン、テンペスト騎士団の団長であるジャンヌ、他にもリノンやゴンゾウにポチ子、テンペスト騎士団の三人の隊長に多数の将軍たち。王国の主戦力がこの場に集まっており、全員が装備を整えている。
「それでは最後にもう一度だけ打ちあわせを行う。まず、先行している魔人王の姿に変装している鎧の男の撃破を最優先とする。もしかしたら奴を打ち倒す事が出来れば、魔人族も正気を取り戻すかもしれない」
「しかし……本当にあの鎧の騎士は偽物なのですか?俺、ごほんっ……私には見分けはつきませんが……」
「ゴルス隊長、本物の魔人王は僕とレノが学園都市で確かに打ち倒した。あれは間違いなく、闘人都市で姿を現した魔王を名乗るリーリスという輩の配下で間違いない」
「ふむ……確かに雰囲気が何処となく違うように思えますな」
テラノも長年の間、魔人王と幾度も死闘を繰り広げており、ミラークリスタルに映し出された黒甲冑の騎士には違和感を抱いている。外見は瓜二つなのだが、武人の勘という奴なのか、どうにも違和感を覚える。
「偽物であろうがなんであろうが、あの鎧武者の男が魔人族を率いているのは間違いなさそうでござるな。しかし……撃破すると言ってもそう簡単に行くとは思えないでござる」
「分かっている……相手が他の種族ならば暗殺を試みる事も出来たが、魔人族には通用しない」
生物であるならば毒殺などを仕掛ける事が出来るが、魔人族の中には毒を無効化する生物や、そもそも実体が存在しない幽霊(デュラハン)も居り、一筋縄ではいかない。だが、彼等も恐らくは剣乱武闘の参加者と同じく操られている可能性があるため、無闇な殺戮は避けたい。
それでもこちらが負ければ世界その物が消えてしまう可能性も存在し、最悪の場合は相手を殲滅する覚悟で挑まなければならないのは事実だ。
「一番手は儂に任せて下され。まさか、生きている内にもう一度「雷雲号」を乗る機会が訪れるとは……内心興奮が隠せん」
「おおっ……!!あの伝説の将軍専用の乗り物が……!!」
「まさか本当に実在したとは……!!」
「……雷雲号ってなに?」
将軍たちの間に期待感が走り、レノが隣に座るカノンに雷雲号の事を尋ねると、
「テラノ大将軍が20年ほど前までは愛用していた乗り物の名前です。私もテラノ将軍が乗用していた時代はまだ子供だったので見た事は無いのですが、恐ろしく早く、それでいながらまるで猛牛を想像させる勢いで敵軍を打ち倒したという噂を耳にしていますが……」
「雷雲か……」
レノの脳裏にまるで西遊記の孫悟空が乗用する筋斗雲のような物が浮かび上がるが、テラノが黒雲に乗る姿を創造するとまるで何かの仙人のように思え、少しだけ笑える。
「いや、将軍……気持ちは有り難いが今回は別に彼等を殲滅する気はない。出来る事なら最低限は犠牲者は出したくないんだ」
「分かっております。ですが、万が一の時を考えても念入りに準備しておかねば」
「ああ……カゲマル隊長、敵がここに到着するまでどれくらいかかる?」
「恐らくは明日の早朝……遅くても昼までには到達するでござる。一応は付近の村の避難勧告は終えているでござるが、今のところはこちらに真っ直ぐに向かってるようでござる」
「なんで転移魔法でこっちに来ないんだろう……」
「レノ殿……転移魔法とは高等魔術でござる。普通ならば単独で行える魔法ではないでござるよ?」
忘れがちだが転移魔法は発動するだけでも魔術師の数十人が魔力枯渇を起こすほどの魔力消費量であり、レノの場合は魔力容量が常人とは桁違いのために何度でも行えるが、本来ならば容易く発動する事は出来ない。幾ら魔王(リーリス)といえども1万を超す規模の軍隊を転移魔法で送り込むことは困難であり、だからこそ時間を掛けてでも陸路で進んでいるだろう。
それに事前に闘人都市には結界が張られており、内部に転移する事は出来ない。また、事前の調査で闘人都市の周辺一帯は調査済みであり、魔人族が使用すると思われる転移魔方陣のマーキングは確認されていない。転移魔法は基本的には転移先に事前に魔方陣を設置せねば発動せず、魔人族が転移してくる可能性は低い。
「でも、魔王だけなら結界を破って、自力で闘人都市に移動できるんじゃないの?」
「その可能性はありますが、仮に魔王が単独で襲来した時に備え、闘人都市の結界は強化されています。それに魔王の目的地である闘技場には数十の結界石を使用し、頑丈のプロテクトドームを形成しているので時間を稼ぐ事は可能です」
「魔法って凄い」
素直に感心する一方、それならば魔王軍は自力で闘人都市に向かわなければならず、この場所で最終決戦が始まるのは間違いない。仮に王国軍が突破されたとしても、闘人都市には5万人の兵士と冒険者が待機しており、万全な体制と言える。
「だが……相手は得体の知れぬ輩。策を何重に張ろうと安心は出来んな」
「そうだにゃあっ……こんな時こそ、英雄さんの力を頼りにしているにゃあ」
全員の視線がレノに注がれ、最強の聖剣カリバーンの力を期待しているのだろう。しかし、アルトはそれを遮るように、
「確かにレノが王国にとっての切り札である事は間違いない。いざという時は彼の力も借りるだろう。しかし、彼一人に任せきりになるわけにはいかない!!僕たち皆が協力し、魔王を名乗る不徳の輩を打ち倒すのだ!!」
「「はっ!!」」
アルトの一括に全員が頭を下げ、作戦会議は終了する。テントから抜け出したレノは魔導電話を取りだしてアイリィに通信を行い、すぐに電話に出る。
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「終ったよ。予定通りに進んでいる」
『分かりました。なら、後は手筈通りにホムラさんがフェンリルを倒すまで引き留めておいて下さい』
「了解……そっちは大丈夫?」
『ヨウカさんがホムラさんに怯えている事と、コトミさんが置いてきぼりにされたことで少々怒っていますね』
『……むうっ』
コトミは今回の作戦に参加させるわけにはいかず、屋敷に置いたままレノは王国に帰還したのだ。彼女はあくまでも聖導教会側の人間であり、今回の戦いには表だって参加させたくない。
「帰ったらほっぺにちゅーしてあげるから機嫌治せって伝えといて」
『とのことです』
『……ぽっ』
『頬を赤らめて満更でもない顔をしてます』
「いちいち伝えんでいい」
適当に雑談を終えると、魔導電話を切り、不意に上空を確認すると黒雲が漂っており、一雨が降り注ぎそうな気配だった
「……嫌な雰囲気だな――!?」
異様な胸騒ぎを覚え、作戦に穴がないかをもう一度確認するために戻ろうとした時、不意に上空で何かが動いたのをレノのハーフエルフの優れた視覚が見逃さなかった。
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