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英雄編
結界石の弱点
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即座に王国側は森人族と連絡を取り、レノがレフィーアに会いたい旨を伝えると、すぐに彼女は護衛を引き連れて王城に赴いてくれた。
「久しぶりだなヒナ……いや、今はレノだったな」
「おおっ……男の姿でもレイアの姐さんの面影があるな」
「えっと……久しぶりです」
「……お久しぶりですレフィーア様」
「何だ、お前もいたのか」
森人族の代表であるレフィーア、彼女の護衛隊長を勤めるカイザン、後は前回に訪れたときには見かけなかった年若い少年と少女の二人組が後ろに続く。
彼女達を出迎えたのはレノとアルトと4人の大将軍達であり、他の面子も遠巻きに観察している。レフィーア達は初めて男の姿のレノを見るはずだが、すぐに彼の変化を受け入れ、握手を求める。
「元気そうで何よりだ」
「どうも……あの、後ろの2人は?」
「ああ……この方達は私の父と母だ」
「「は?」」
彼女のまさかの発言にレノとアルトは若干驚きながら二人組に視線を向けると、少年と少女は笑みを浮かべ、手を差し伸べる。
「これはこれは……初めまして、レフィーアの父親のリョクです」
「同じく母親のミドリです」
「「ど、どうも……」」
レノとアルトは2人にすると、レフィーアに視線を向ける。彼女は苦笑いを浮かべながら、
「いや……我らの種族の結界魔法の専門家を連れてきてほしいと聞いたから、無理を言って2人に着いてきてもらったのだが……」
「全く……森人族の代表とはいえ、隠居した僕らを呼び寄せるとは人使いが荒いな」
「まあまあ……この子は昔から、親離れが出来ない子である事は知ってるではないですか」
「うぐっ……」
リョクとミドリの発言にレフィーアは顔を顰め、そんな彼女達の様子に護衛役であるカイザンは苦笑いを浮かべる。どうやらこの反応から本当に2人が彼女の両親らしいが、外見からはとても子持ちとは思えない。最も深淵の森のムメイも外見は幼女であり、今更驚く事ではないかもしれないが。
「それにしても……本当にレイアちゃんと似ているね」
「そうですね~……若い頃の彼女にそっくりですね」
「あの……今は一刻も争うので、尋ねたいことがあるんですけど」
「せっかちさんね~」
「はて、僕たちに何を聞きたいのかな?」
2人組はのほほんとした態度で朗らかな笑みを浮かべ、調子が狂わされながらもレノは問い質す。
「森人族の結界は合言葉以外に開くことは出来ないんですか?」
「ふむっ……原則には僕たちの結界は合言葉以外の侵入方法は無いな。そう簡単に突破されるようなら、僕たち森人族は当の昔に滅ぼされているからね」
森人族が最も得意とする魔法は「結界魔法」であり、彼等の生み出す広域結界は容易に破壊できることは出来ず、また空間を歪めたり、偽装する事も可能。森人族の結界は人間達が扱う「防御魔法陣(プロテクト)」の最高位である六芒星よりも強固であり、カラドボルグ級の破壊力を秘める物理攻撃で無ければ突破出来ない。
さらに結界内は空間を固定しているため、あらゆる転移魔法を阻害し、内部に居る者も合言葉を知らなければ脱出できないのだが、レノの魔鎧で破壊する事が可能など、色々と弱点も存在する。
「だが……僕たちの結界術も完璧とは言えない。話に聞く限り、その鳳凰学園を覆っている「プロテクト・ドーム」は規模から考えるに結界石を多量に使っているようだね」
「結界石……」
何度かレノも目にした事がある魔水晶の名称であり、種類は複数存在するらしく、レノは深淵の森で空間を捻じ曲げて追い返す結界と、集落を取り囲むプロテクト・ドームを形成した結界、この二つの存在を確認している。
「結界石から生み出されているプロテクト・ドームの弱点は、同じ結界石を持つ者を受け入れる性質を持つ。但し、結界石と言えど様々な種類があるから、まずは相手がどのような結界石を使用しているのかを特定しない限りはどうしようもならないね」
「結界石の種類の数はどれくらいですか?」
「それは流石に人族の前では言えませんね~」
アルトの質問にミドリが微笑みながら返すが、子供のような外見からは想像できぬ威圧感を醸し出し、彼は後退る。確かに今の質問は森人族の中でも重要事項に触れたらしく、彼はレノに視線を向ける。
「俺は半分は森人族だけど……」
「君が王国を抜け出して僕たちの元へ来ると言うなら教えてあげようか。何なら、今回の件については森人族の力を貸してあげよう」
「……そうですか」
流石にレノが相手でも情報は話してくれそうになく、取りあえずは鳳凰学園に張られた結界に侵入するには、学園の結界を形成している結界石と同質の素材が必要である事は分かり、合言葉以外にも侵入する方法を入手出来たのは朗報だろう。
最も、これだけの情報では現時点の鳳凰学園に侵入する事は困難であり、もう少し何らかの情報を得られないかと質問をしようとした時、唐突にリョクが地面に倒れこむ。
ドサッ……!!
「ぐ~……」
「はっ!?」
「あらあら……困ったわ、お父さんったらまたこんな所で寝ちゃって」
「父上!!こんな場所で寝たら風邪を引きますよ」
唐突にリョクが質問の途中で地面に倒れ込み、寝息を立てて動かなくなる。すぐにそんな彼の姿にミドリが笑い声を上げ、レフィーアは慌てて駆け寄り、カイザンが彼の身体を抱き上げる。
「ごめんなさいね~この人ったら、もう若くないから疲れたらすぐに寝ちゃうようになっちゃって……」
「すまないなレノ……悪いが、父上は一度寝たら半日は起きない。私達はここで引き揚げさせてもらう」
「いや、ええっ……!?」
まだ尋ねたい事を全て聞き終えていないにも関わらず、彼女達は足早にリョクを引き連れて転移の門の建物の前まで移動し、黄金製の扉を開く。
「ああ……それとこれは私からの忠告だが、王国が滅びたら私達の元に戻ってくるといい。他の仲間達と離れたくないのなら、そいつらも連れて来るといい。但し、人間、貴様等は駄目だ」
ガシャンッ!!
扉を潜り抜ける直前でレフィーアが最後に告げると、彼女達はそのまま建物の中に入り込み、扉が閉まる。その様子を呆然と確認していたアルトとレノは顔を見合わせ、結局時間が掛かった割には有力な情報は1つしか入手できなかった。
ギュオォオオオッ……!!
一瞬だが転移の門の建物全体が発光し、光の柱が誕生する。どうやら転移と言っても普段レノが扱う転移魔方陣とは違い、センリやツインが得意とする「スター・ゲート」と同じ原理であり、光の奔流に飲み込まれて移動する類の転移魔方陣らしい。
「……行っちゃったよ」
「……ま、まあ一応は情報を提供してくれたな」
「結界石か……こんな時にムミョウがいてくれたらぁ……」
「ムミョウ……?」
首を傾げるアルトにレノは彼がムミョウと接点が無かったことを思い出し、だからと言って詳しく説明する暇はない。仮に彼がいたとしたら鳳凰学園で使用されている結界石の種類も見抜いてくれる可能性もあるのだが、
「あっ」
良く考えたらあと1人だけ、鳳凰学園に張られている結界の正体を掴める可能性がある人間を思い出し、レノはすぐに踵を返して彼女に会うために動き出す。
「久しぶりだなヒナ……いや、今はレノだったな」
「おおっ……男の姿でもレイアの姐さんの面影があるな」
「えっと……久しぶりです」
「……お久しぶりですレフィーア様」
「何だ、お前もいたのか」
森人族の代表であるレフィーア、彼女の護衛隊長を勤めるカイザン、後は前回に訪れたときには見かけなかった年若い少年と少女の二人組が後ろに続く。
彼女達を出迎えたのはレノとアルトと4人の大将軍達であり、他の面子も遠巻きに観察している。レフィーア達は初めて男の姿のレノを見るはずだが、すぐに彼の変化を受け入れ、握手を求める。
「元気そうで何よりだ」
「どうも……あの、後ろの2人は?」
「ああ……この方達は私の父と母だ」
「「は?」」
彼女のまさかの発言にレノとアルトは若干驚きながら二人組に視線を向けると、少年と少女は笑みを浮かべ、手を差し伸べる。
「これはこれは……初めまして、レフィーアの父親のリョクです」
「同じく母親のミドリです」
「「ど、どうも……」」
レノとアルトは2人にすると、レフィーアに視線を向ける。彼女は苦笑いを浮かべながら、
「いや……我らの種族の結界魔法の専門家を連れてきてほしいと聞いたから、無理を言って2人に着いてきてもらったのだが……」
「全く……森人族の代表とはいえ、隠居した僕らを呼び寄せるとは人使いが荒いな」
「まあまあ……この子は昔から、親離れが出来ない子である事は知ってるではないですか」
「うぐっ……」
リョクとミドリの発言にレフィーアは顔を顰め、そんな彼女達の様子に護衛役であるカイザンは苦笑いを浮かべる。どうやらこの反応から本当に2人が彼女の両親らしいが、外見からはとても子持ちとは思えない。最も深淵の森のムメイも外見は幼女であり、今更驚く事ではないかもしれないが。
「それにしても……本当にレイアちゃんと似ているね」
「そうですね~……若い頃の彼女にそっくりですね」
「あの……今は一刻も争うので、尋ねたいことがあるんですけど」
「せっかちさんね~」
「はて、僕たちに何を聞きたいのかな?」
2人組はのほほんとした態度で朗らかな笑みを浮かべ、調子が狂わされながらもレノは問い質す。
「森人族の結界は合言葉以外に開くことは出来ないんですか?」
「ふむっ……原則には僕たちの結界は合言葉以外の侵入方法は無いな。そう簡単に突破されるようなら、僕たち森人族は当の昔に滅ぼされているからね」
森人族が最も得意とする魔法は「結界魔法」であり、彼等の生み出す広域結界は容易に破壊できることは出来ず、また空間を歪めたり、偽装する事も可能。森人族の結界は人間達が扱う「防御魔法陣(プロテクト)」の最高位である六芒星よりも強固であり、カラドボルグ級の破壊力を秘める物理攻撃で無ければ突破出来ない。
さらに結界内は空間を固定しているため、あらゆる転移魔法を阻害し、内部に居る者も合言葉を知らなければ脱出できないのだが、レノの魔鎧で破壊する事が可能など、色々と弱点も存在する。
「だが……僕たちの結界術も完璧とは言えない。話に聞く限り、その鳳凰学園を覆っている「プロテクト・ドーム」は規模から考えるに結界石を多量に使っているようだね」
「結界石……」
何度かレノも目にした事がある魔水晶の名称であり、種類は複数存在するらしく、レノは深淵の森で空間を捻じ曲げて追い返す結界と、集落を取り囲むプロテクト・ドームを形成した結界、この二つの存在を確認している。
「結界石から生み出されているプロテクト・ドームの弱点は、同じ結界石を持つ者を受け入れる性質を持つ。但し、結界石と言えど様々な種類があるから、まずは相手がどのような結界石を使用しているのかを特定しない限りはどうしようもならないね」
「結界石の種類の数はどれくらいですか?」
「それは流石に人族の前では言えませんね~」
アルトの質問にミドリが微笑みながら返すが、子供のような外見からは想像できぬ威圧感を醸し出し、彼は後退る。確かに今の質問は森人族の中でも重要事項に触れたらしく、彼はレノに視線を向ける。
「俺は半分は森人族だけど……」
「君が王国を抜け出して僕たちの元へ来ると言うなら教えてあげようか。何なら、今回の件については森人族の力を貸してあげよう」
「……そうですか」
流石にレノが相手でも情報は話してくれそうになく、取りあえずは鳳凰学園に張られた結界に侵入するには、学園の結界を形成している結界石と同質の素材が必要である事は分かり、合言葉以外にも侵入する方法を入手出来たのは朗報だろう。
最も、これだけの情報では現時点の鳳凰学園に侵入する事は困難であり、もう少し何らかの情報を得られないかと質問をしようとした時、唐突にリョクが地面に倒れこむ。
ドサッ……!!
「ぐ~……」
「はっ!?」
「あらあら……困ったわ、お父さんったらまたこんな所で寝ちゃって」
「父上!!こんな場所で寝たら風邪を引きますよ」
唐突にリョクが質問の途中で地面に倒れ込み、寝息を立てて動かなくなる。すぐにそんな彼の姿にミドリが笑い声を上げ、レフィーアは慌てて駆け寄り、カイザンが彼の身体を抱き上げる。
「ごめんなさいね~この人ったら、もう若くないから疲れたらすぐに寝ちゃうようになっちゃって……」
「すまないなレノ……悪いが、父上は一度寝たら半日は起きない。私達はここで引き揚げさせてもらう」
「いや、ええっ……!?」
まだ尋ねたい事を全て聞き終えていないにも関わらず、彼女達は足早にリョクを引き連れて転移の門の建物の前まで移動し、黄金製の扉を開く。
「ああ……それとこれは私からの忠告だが、王国が滅びたら私達の元に戻ってくるといい。他の仲間達と離れたくないのなら、そいつらも連れて来るといい。但し、人間、貴様等は駄目だ」
ガシャンッ!!
扉を潜り抜ける直前でレフィーアが最後に告げると、彼女達はそのまま建物の中に入り込み、扉が閉まる。その様子を呆然と確認していたアルトとレノは顔を見合わせ、結局時間が掛かった割には有力な情報は1つしか入手できなかった。
ギュオォオオオッ……!!
一瞬だが転移の門の建物全体が発光し、光の柱が誕生する。どうやら転移と言っても普段レノが扱う転移魔方陣とは違い、センリやツインが得意とする「スター・ゲート」と同じ原理であり、光の奔流に飲み込まれて移動する類の転移魔方陣らしい。
「……行っちゃったよ」
「……ま、まあ一応は情報を提供してくれたな」
「結界石か……こんな時にムミョウがいてくれたらぁ……」
「ムミョウ……?」
首を傾げるアルトにレノは彼がムミョウと接点が無かったことを思い出し、だからと言って詳しく説明する暇はない。仮に彼がいたとしたら鳳凰学園で使用されている結界石の種類も見抜いてくれる可能性もあるのだが、
「あっ」
良く考えたらあと1人だけ、鳳凰学園に張られている結界の正体を掴める可能性がある人間を思い出し、レノはすぐに踵を返して彼女に会うために動き出す。
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