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闘人都市崩壊編
封印の解除
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「バルバロス帝国って……確かバルトロス王国の基となった国だっけ?」
「そうですよ。一度はリーリスと魔人族に滅ぼされましたけど、帝国の血を継ぐ子孫が再建したのが現在の王国です」
この世界の歴史に関しては疎いが、それでも有名な話のためソフィアも知っている。アイリィにとっては当時存在した帝国の時代に生まれたため、よく見知っているはず。
「この都市が魔人族に滅ぼされた後、再建したバルトロス王国は首都を移動し、偶然にもこの場所に冒険者達が作り上げた都市なんです」
「冒険者たちが?」
「この国は表向きは王国が管理してますけど、実際は独立した都市なんです。だからこそ「剣乱武闘」という武道大会がここだけに開かれ、多数の種族が集まるんです」
「へえ……」
「話を戻しますけど……この地下に眠っている聖遺物の封印を解くためには鍵が必要です。但し、その鍵は特定の物でも、ましてやソフィアさんのような楔の一族の血液も必要ありません」
「どういう事?」
そこでアイリィは一旦黙り込み、
「……鍵となるのは三つの聖遺物です。形状も能力も関係なく、どんな物でもいいので三つの聖遺物を捧げる事で封印が解放されます」
「何だそれ……そんな封印があるのか?」
「知りませんよ……私が造った訳じゃありませんから」
随分と変わった解除方法に呆れてしまうが、その話が事実ならホノカの所持しているクサナギとアイギスが狙われるのも分かる。そう考えるとすぐにも黒猫酒場に戻らなければならないが、
「……そう言えばアルトのデュランダルは?あいつも狙われるんじゃ……」
「大丈夫ですよ。ソフィアさんがあの人に憑りついていた分身は浄化しましたから、今は城塞都市に送り込まれて入院してるんじゃないですか?」
「そんなに派手に殴ったかな……」
「リーリスの力に操られていた時期が長かったですからね……まあ、数日ぐらいで正気を取り戻しますよ」
――アイリィを担ぎながらソフィアは黒猫酒場に戻るため、レノの姿に戻ると地面に転移魔方陣を書き込み、自分の自室へと転移しようとした時、思い出しようにアイリィに振り返る。
「……そう言えば、ゴンゾウは浄化してないけど、意識を戻したらまた暴れるのか?」
「大丈夫ですよ。今回はあいつらも時間が無かったのか、埋め込んだリーリスの力が弱すぎて気絶させてしまえば勝手に解除されます。流石に数百人規模の参加者を同時に完全に乗っ取るのは今のあの女でも不可能ですから」
「そうか……なら、こいつらもか?」
ドォンッ!!
「へへっ……」
「見つけたぜ……」
「メダルを寄越しな……」
何時の間にか周囲には剣乱武闘の参加者らしき人間に取り囲まれており、2人は溜息を吐き、
「……仕方有りませんね。やっちゃってください」
「なら降りろ」
「それは無理です。まだ、身体動きませんから」
「いつまで喋ってんだ!!」
「おら、寄越しやがれ!!」
がっしりと背中にしがみ付くアイリィにレノは溜息を吐きながらも、同時に襲い掛かってくる冒険者に視線を向け、右手を地面に押し当てて回収した銀の鎖と聖爪を装着し、
「地雷!!」
ズドォオオオンッ!!
「「「ぎゃあぁあああああっ!?」」」
一瞬で冒険者たちを地面からの雷で撃退し、即座に転移魔方陣を発動させた――
――レノ達がムメイと交戦から遡るごと数分前、彼が黒猫酒場から消えた後、取り残されたヨウカ達はセンリを説得し、仕方なくヨウカが彼女からは絶対に離れない事を約束し、共に行動を行う。
「ヨウカ様!!こちらの方の治療を!!」
「う、うん!!」
「す、すいません……」
センリが見つけた女性にヨウカは跪き、彼女に掌を差し向けて白色の光を放つ。瞬時に女性の身体に魔力が送り込まれ、負傷した個所が塞がっていく。
「ほらっ!!しっかりしな!!」
「回復薬は有り余っているから、遠慮しないでくれ」
「あ、ありがとうございます……」
瓦礫に挟まった男性をバルが救いだし、ホノカが「回復薬(ポーション)」を手渡すと、彼は涙ながらに頭を下げて薬を受け取る。
「……はんどぱわ~」
「こ、コトミ殿……もう少し早く……」
コトミは救助の途中で負傷したカゲマルの背中に回復魔法を放ち、少しずつ傷跡が塞がっていく。彼女は隕石の墜落による建物の瓦礫に巻き込まれ、コトミに治療されてもらっている。
――闘人都市全体に崩壊の波が広がっており、大勢の住民が取り残され、人々の激しい混乱が起きていた。救助を行うはずの王国の兵士たちは暴走した参加者の鎮圧に向い、他の種族達も協同で救助活動を行う。
「おらおら!!何処にいやがる!!」
「どけ!!邪魔すんな!!」
「またかい!!」
「精霊よ!!」
だが、救助活動中にも虚ろな瞳の獣人の冒険者が現れ、センリがすぐに彼らに向けて杖を構え、彼女の周囲に青く光り輝く「光球」を発現させ、そのまま高速回転を行わせて放出する。
「鉄球(ショット)!!」
ズドドドドッ!!
「ぐへっ!?」
「うがあっ!?」
「ぎゃんっ!?」
獣人族の冒険者達にセンリが作り出した光球がめり込み、1つ1つがまるで本物の鉄球の重量が存在し、そのまま彼らは気絶する。先ほどから大会に敗退したはずの冒険者たちが暴れ出し、何度もセンリが彼らを撃退している。
「全く……こんな時に何をふざけてるんだいこいつら」
「……どうやら洗脳されているようですね。ですが、気絶させれば問題ありません」
額の汗を拭いながら、センリは闘技場の方に視線を向け、大分「隕石群」も収まってきたが、この調子では全員の避難は間に合わない。
「そうですよ。一度はリーリスと魔人族に滅ぼされましたけど、帝国の血を継ぐ子孫が再建したのが現在の王国です」
この世界の歴史に関しては疎いが、それでも有名な話のためソフィアも知っている。アイリィにとっては当時存在した帝国の時代に生まれたため、よく見知っているはず。
「この都市が魔人族に滅ぼされた後、再建したバルトロス王国は首都を移動し、偶然にもこの場所に冒険者達が作り上げた都市なんです」
「冒険者たちが?」
「この国は表向きは王国が管理してますけど、実際は独立した都市なんです。だからこそ「剣乱武闘」という武道大会がここだけに開かれ、多数の種族が集まるんです」
「へえ……」
「話を戻しますけど……この地下に眠っている聖遺物の封印を解くためには鍵が必要です。但し、その鍵は特定の物でも、ましてやソフィアさんのような楔の一族の血液も必要ありません」
「どういう事?」
そこでアイリィは一旦黙り込み、
「……鍵となるのは三つの聖遺物です。形状も能力も関係なく、どんな物でもいいので三つの聖遺物を捧げる事で封印が解放されます」
「何だそれ……そんな封印があるのか?」
「知りませんよ……私が造った訳じゃありませんから」
随分と変わった解除方法に呆れてしまうが、その話が事実ならホノカの所持しているクサナギとアイギスが狙われるのも分かる。そう考えるとすぐにも黒猫酒場に戻らなければならないが、
「……そう言えばアルトのデュランダルは?あいつも狙われるんじゃ……」
「大丈夫ですよ。ソフィアさんがあの人に憑りついていた分身は浄化しましたから、今は城塞都市に送り込まれて入院してるんじゃないですか?」
「そんなに派手に殴ったかな……」
「リーリスの力に操られていた時期が長かったですからね……まあ、数日ぐらいで正気を取り戻しますよ」
――アイリィを担ぎながらソフィアは黒猫酒場に戻るため、レノの姿に戻ると地面に転移魔方陣を書き込み、自分の自室へと転移しようとした時、思い出しようにアイリィに振り返る。
「……そう言えば、ゴンゾウは浄化してないけど、意識を戻したらまた暴れるのか?」
「大丈夫ですよ。今回はあいつらも時間が無かったのか、埋め込んだリーリスの力が弱すぎて気絶させてしまえば勝手に解除されます。流石に数百人規模の参加者を同時に完全に乗っ取るのは今のあの女でも不可能ですから」
「そうか……なら、こいつらもか?」
ドォンッ!!
「へへっ……」
「見つけたぜ……」
「メダルを寄越しな……」
何時の間にか周囲には剣乱武闘の参加者らしき人間に取り囲まれており、2人は溜息を吐き、
「……仕方有りませんね。やっちゃってください」
「なら降りろ」
「それは無理です。まだ、身体動きませんから」
「いつまで喋ってんだ!!」
「おら、寄越しやがれ!!」
がっしりと背中にしがみ付くアイリィにレノは溜息を吐きながらも、同時に襲い掛かってくる冒険者に視線を向け、右手を地面に押し当てて回収した銀の鎖と聖爪を装着し、
「地雷!!」
ズドォオオオンッ!!
「「「ぎゃあぁあああああっ!?」」」
一瞬で冒険者たちを地面からの雷で撃退し、即座に転移魔方陣を発動させた――
――レノ達がムメイと交戦から遡るごと数分前、彼が黒猫酒場から消えた後、取り残されたヨウカ達はセンリを説得し、仕方なくヨウカが彼女からは絶対に離れない事を約束し、共に行動を行う。
「ヨウカ様!!こちらの方の治療を!!」
「う、うん!!」
「す、すいません……」
センリが見つけた女性にヨウカは跪き、彼女に掌を差し向けて白色の光を放つ。瞬時に女性の身体に魔力が送り込まれ、負傷した個所が塞がっていく。
「ほらっ!!しっかりしな!!」
「回復薬は有り余っているから、遠慮しないでくれ」
「あ、ありがとうございます……」
瓦礫に挟まった男性をバルが救いだし、ホノカが「回復薬(ポーション)」を手渡すと、彼は涙ながらに頭を下げて薬を受け取る。
「……はんどぱわ~」
「こ、コトミ殿……もう少し早く……」
コトミは救助の途中で負傷したカゲマルの背中に回復魔法を放ち、少しずつ傷跡が塞がっていく。彼女は隕石の墜落による建物の瓦礫に巻き込まれ、コトミに治療されてもらっている。
――闘人都市全体に崩壊の波が広がっており、大勢の住民が取り残され、人々の激しい混乱が起きていた。救助を行うはずの王国の兵士たちは暴走した参加者の鎮圧に向い、他の種族達も協同で救助活動を行う。
「おらおら!!何処にいやがる!!」
「どけ!!邪魔すんな!!」
「またかい!!」
「精霊よ!!」
だが、救助活動中にも虚ろな瞳の獣人の冒険者が現れ、センリがすぐに彼らに向けて杖を構え、彼女の周囲に青く光り輝く「光球」を発現させ、そのまま高速回転を行わせて放出する。
「鉄球(ショット)!!」
ズドドドドッ!!
「ぐへっ!?」
「うがあっ!?」
「ぎゃんっ!?」
獣人族の冒険者達にセンリが作り出した光球がめり込み、1つ1つがまるで本物の鉄球の重量が存在し、そのまま彼らは気絶する。先ほどから大会に敗退したはずの冒険者たちが暴れ出し、何度もセンリが彼らを撃退している。
「全く……こんな時に何をふざけてるんだいこいつら」
「……どうやら洗脳されているようですね。ですが、気絶させれば問題ありません」
額の汗を拭いながら、センリは闘技場の方に視線を向け、大分「隕石群」も収まってきたが、この調子では全員の避難は間に合わない。
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