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闘人都市崩壊編
結界破壊
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「ほら、起きろ」
「あだだだっ……ちょ、もう少し優しく起こして下さいよ」
「呑気な事を言ってる場合か……で、どうする?」
アイリィに肩を貸して抱き起こしながら周囲を確認すると、未だにムメイが展開した「プロテクト・ドーム」が解除されておらず、心無しかどんどんと障壁が狭まってきているように思える。
「この結界……厄介ですね、解除するにも時間が掛かりますし……仕方有りません、カラドボルグで破壊しちゃってください」
「え~……」
「何ですかその目は……「何言ってんだこの馬鹿」という感じで見つめないで下さいよ!!」
「何言ってんだこの馬鹿……いちいちそんな事をしなくても、こういう方法があるだろ」
アイリィを背負いながら、レノは右腕を確認するが今の状態では破壊は不可能のため、
「ソフィア」
ボウッ……!!
彼の身体が変化し、髪の毛の色は青白く逆立ち、胸元と臀部が膨らむ。一瞬で「性別変化」を行うと同時に右腕に意識を集中させ、
「ぶわっ!?か、髪の毛が目にぃ!!」
「やかましい」
ゴォオオッ……!!
背負っていたアイリィの眼に少々逆立った髪の毛が当たり、彼女は悲鳴を上げるがそれを無視して右腕に「魔鎧(フラム)」を形成し、蒼炎が右腕全体を覆う。
「ちょっ!!めっちゃ熱いんですけど!!離してくれませんか!?」
「お前、本当に大昔の英雄なのか……?」
右腕の炎に背中のアイリィが暴れ出し、そんな彼女を抑えながら結界の障壁へ接近し、以前に枯葉の森で行ったように攻撃型に変化した魔鎧を振りかぶり、
ズガァアアンッ!!
「おおっ!」
「……硬い、な!!」
一撃では壊れず、障壁に亀裂が走り、もう一度右拳を振り被って放つ。
ドガァァアアンッ!!
拳が亀裂にめり込んだ瞬間、派手な轟音を鳴り響かせながら障壁が崩壊し、再び街中に戻る事に成功した。ソフィアは周囲を確認し、何時の間にか隕石群が止んでいる事に気が付いた。
「……あいつらは何処にいる?」
「闘技場ですよ……でも、ここは一旦引きましょう」
「どういう事?」
「こんな状態で戦えると思ってるんですか?」
アイリィは自分の身体が動かないとばかりにソフィアの背中に寄りかかり、まだ「アラクネ」の毒が抜けきっていないのか、顔色が悪い。
「それに今のソフィアさんが行ったとしても勝てませんよ。あそこに待つのはこの世界で最もヤバい奴等なんですから」
「ヤバい……ね」
確かにアイリィを救出した以上、目的の半分は達成できた。だが、もう半分の闘人都市の崩壊を防ぐ方法を見つけ出さなければならない。これ以上、彼女は自分の帰る場所を失いたくは無い。
「気持ちは分かりますけど、今の私達で何が出来るんですか?ムメイさんの糸人形如きであれほど苦戦するんですよ?今までのように運任せで勝てる相手じゃないんですよ」
「それは……確かにそうだけどさ」
闘技場に待つセンチュリオンは恐らく全員が勢揃いしており、今までに戦ってきた「雷天のゴウ」や「カトレア」ゴンゾウが倒した「リュウケン」などを考えても、確かに1人1人が強敵であり、真面に戦っても勝てる相手とは言い切れない。
しかし、このまま放置しておけば間違いなく奴等はこの都市を壊滅させるため、それだけは何としても止めなければならない。
「くそっ……他の奴等はどうしてるんだよ」
「都市中の住民の避難とか、暴走している人たちを止めてるんですよ……第一次予選や第二次予選に出てきた人たちが暴れ回ってますからね」
「……どういう原理で操られている?」
「これがあの女の力です……自分の分身を作りだし、影と魔の聖痕を利用して大勢の人たちに埋め込み、そして支配する。闘技場に待機していたほとんどの参加者はあいつの手駒と化しましたよ」
「手駒……」
レノは教皇やアルトに憑りついていた「黒色のスライム」を思いだし、あれと同じ存在が参加者たちに入り込んだと考えればいいのだろう。となると、もしかしたらセンチュリオンの中にもリーリスの力に操られた人間もいるのかと問うと、
「それは有り得ませんね……リーリスの分身は人を操作することは出来ても、単純な命令しか出来ません」
「そうなのか……」
「ほら、話している暇はありませんよ。隕石は止まりましたけど、油断は出来ません。今はホノカさんの所に行きましょう」
「ホノカ……?」
何故、この状況でホノカの元に戻らなければならないのかとアイリィに視線を向けると、
「……あいつらの目的はホノカさんの聖痕とクサナギとアイギスです。お姉さまの復活のために、どうあってもこの地下に眠っている「聖遺物」が必要のようですからね」
「聖遺物……」
昨夜にセンリが語っていたこの都市の地下深くに眠る「聖遺物」の話を思いだし、一体何が眠っているのかを問い質すと、
「実を言うと……この都市はもともと1000年前はバルバロス帝国の首都だったんです」
「あだだだっ……ちょ、もう少し優しく起こして下さいよ」
「呑気な事を言ってる場合か……で、どうする?」
アイリィに肩を貸して抱き起こしながら周囲を確認すると、未だにムメイが展開した「プロテクト・ドーム」が解除されておらず、心無しかどんどんと障壁が狭まってきているように思える。
「この結界……厄介ですね、解除するにも時間が掛かりますし……仕方有りません、カラドボルグで破壊しちゃってください」
「え~……」
「何ですかその目は……「何言ってんだこの馬鹿」という感じで見つめないで下さいよ!!」
「何言ってんだこの馬鹿……いちいちそんな事をしなくても、こういう方法があるだろ」
アイリィを背負いながら、レノは右腕を確認するが今の状態では破壊は不可能のため、
「ソフィア」
ボウッ……!!
彼の身体が変化し、髪の毛の色は青白く逆立ち、胸元と臀部が膨らむ。一瞬で「性別変化」を行うと同時に右腕に意識を集中させ、
「ぶわっ!?か、髪の毛が目にぃ!!」
「やかましい」
ゴォオオッ……!!
背負っていたアイリィの眼に少々逆立った髪の毛が当たり、彼女は悲鳴を上げるがそれを無視して右腕に「魔鎧(フラム)」を形成し、蒼炎が右腕全体を覆う。
「ちょっ!!めっちゃ熱いんですけど!!離してくれませんか!?」
「お前、本当に大昔の英雄なのか……?」
右腕の炎に背中のアイリィが暴れ出し、そんな彼女を抑えながら結界の障壁へ接近し、以前に枯葉の森で行ったように攻撃型に変化した魔鎧を振りかぶり、
ズガァアアンッ!!
「おおっ!」
「……硬い、な!!」
一撃では壊れず、障壁に亀裂が走り、もう一度右拳を振り被って放つ。
ドガァァアアンッ!!
拳が亀裂にめり込んだ瞬間、派手な轟音を鳴り響かせながら障壁が崩壊し、再び街中に戻る事に成功した。ソフィアは周囲を確認し、何時の間にか隕石群が止んでいる事に気が付いた。
「……あいつらは何処にいる?」
「闘技場ですよ……でも、ここは一旦引きましょう」
「どういう事?」
「こんな状態で戦えると思ってるんですか?」
アイリィは自分の身体が動かないとばかりにソフィアの背中に寄りかかり、まだ「アラクネ」の毒が抜けきっていないのか、顔色が悪い。
「それに今のソフィアさんが行ったとしても勝てませんよ。あそこに待つのはこの世界で最もヤバい奴等なんですから」
「ヤバい……ね」
確かにアイリィを救出した以上、目的の半分は達成できた。だが、もう半分の闘人都市の崩壊を防ぐ方法を見つけ出さなければならない。これ以上、彼女は自分の帰る場所を失いたくは無い。
「気持ちは分かりますけど、今の私達で何が出来るんですか?ムメイさんの糸人形如きであれほど苦戦するんですよ?今までのように運任せで勝てる相手じゃないんですよ」
「それは……確かにそうだけどさ」
闘技場に待つセンチュリオンは恐らく全員が勢揃いしており、今までに戦ってきた「雷天のゴウ」や「カトレア」ゴンゾウが倒した「リュウケン」などを考えても、確かに1人1人が強敵であり、真面に戦っても勝てる相手とは言い切れない。
しかし、このまま放置しておけば間違いなく奴等はこの都市を壊滅させるため、それだけは何としても止めなければならない。
「くそっ……他の奴等はどうしてるんだよ」
「都市中の住民の避難とか、暴走している人たちを止めてるんですよ……第一次予選や第二次予選に出てきた人たちが暴れ回ってますからね」
「……どういう原理で操られている?」
「これがあの女の力です……自分の分身を作りだし、影と魔の聖痕を利用して大勢の人たちに埋め込み、そして支配する。闘技場に待機していたほとんどの参加者はあいつの手駒と化しましたよ」
「手駒……」
レノは教皇やアルトに憑りついていた「黒色のスライム」を思いだし、あれと同じ存在が参加者たちに入り込んだと考えればいいのだろう。となると、もしかしたらセンチュリオンの中にもリーリスの力に操られた人間もいるのかと問うと、
「それは有り得ませんね……リーリスの分身は人を操作することは出来ても、単純な命令しか出来ません」
「そうなのか……」
「ほら、話している暇はありませんよ。隕石は止まりましたけど、油断は出来ません。今はホノカさんの所に行きましょう」
「ホノカ……?」
何故、この状況でホノカの元に戻らなければならないのかとアイリィに視線を向けると、
「……あいつらの目的はホノカさんの聖痕とクサナギとアイギスです。お姉さまの復活のために、どうあってもこの地下に眠っている「聖遺物」が必要のようですからね」
「聖遺物……」
昨夜にセンリが語っていたこの都市の地下深くに眠る「聖遺物」の話を思いだし、一体何が眠っているのかを問い質すと、
「実を言うと……この都市はもともと1000年前はバルバロス帝国の首都だったんです」
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