523 / 1,095
闘人都市崩壊編
アラクネ
しおりを挟む
「あんたか……」
「ほう……何をしたかは知らんが、随分とあの時よりも魔力密度が高まっておるな……」
「あたたたっ……き、気を付けてくださいソフィアさん、このロリババア……よりにもよってとんでもない者に変化していますよ……」
「ロリババア……」
言葉の意味が分かるのか、少しだけムメイは傷ついた表情を浮かべるが、アイリィも人の事は言えない。彼女も1000年以上の時を生きており、外見は若々しいが実年齢はムメイよりも上なのだ。
「今、失礼な事思いませんでした?」
「いや、別に……」
「呑気に世間話をしている場合か?」
ムメイはアイリィの首元を掴み、外見からは想像できない握力で首を絞めつける。彼女は苦しげな表情を浮かべるが、レノは動けない。どういう事か、眼の前のムメイからは今までにない気配を感じ取る。
以前に会った時も最初に出会った時と雰囲気が変わっているように思えたが、今回は異常なまでの恐怖感を抱く。まるで、初めてホノカと出会った時と同じ感覚であり、外見は変わっていないはずだが油断できない。
「……四分の一は力を取り戻したんじゃないのか?」
「そうなんですけどね……さっきも言ったようにこの人、とんでもないのに化けてるんですよ……」
「とんでもないもの?」
「話しはそこまでじゃ……レノ、お前の血が必要となった」
「……?」
「封印の一族……いや、「楔の一族」であるお前の血がな」
ムメイの言葉にレノはすぐに身構え、間違いなく彼女はバジリスクが現在封印されている集落の封印を解くため、レノの血液を狙っている。少し前に第一次予選の後に無数の森人族が彼を狙っているため、間違いは無い。
だが、楔の一族という始めて聞く言葉に反応し、レノはムメイに視線を向けると彼女は彼の意図を察したように頷き、
「お主の家系は森人族の中でも希少な「楔の一族」……生まれたときから「結界」に対して強い耐性を持ち、森人族の封印を突破できる血液を持つ」
「どういう意味?」
ムメイの言い方が少し気にかかり、血液という単語に首を傾げる。封印を突破できると言っても、かなり前に「林檎農園」を営んでいる老人の元から離れた際、樹の聖痕の持ち主である「アルファ」の罠にかかり、森人族の結界に入り込んだときは自力で脱出は出来なかった(族長であるアルファを倒した影響で一時的に結界が解けたと思われる)。
本当に森人族のあらゆる封印を突破できる能力をレノが持っていたとしても、何故、アルファが住んでいた集落の封印は突破できなかったのか。
「お主自身に封印をどうこうできる力は無い。あくまでもお主の「血液」だけが封印を解く鍵であり、お主自身が封印を打ち破れる力を宿しているわけではない」
「……話が違うな」
闘技場にいた森人族の話だとレノだけが深淵の森の封印を素通りできると言っていたはずだが、どうやらこの口調からムメイは彼らに偽りの情報を流している。参加者のエルフ達がバジリスクの遺体を回収した後に彼女(ムメイ)自身が「自害」をするという話も怪しい。
「性格悪い女ですね……あだだだっ!?」
「お主は、立場を分かっているのか?」
アイリィの首元を締め付けるムメイの握力が強まり、これ以上の刺激は危険と判断し、レノはどうやって助けるか冷静に考える。ムメイの実力が分からない以上、下手に動けば彼女が危ない。
ラビットの身体に乗り移っているアイリィが死ぬことが無い事は分かるが、それでも肉体を無くしてしまえば、また復活するのに時間が掛かるだろう。それにムメイが何の対策もなしに彼女を捕まえたとは思えない。
「おい……お前、自分でどうにか出来ないのか?」
「すいません……まさか、アラクネの毒まで使われるとは……」
「アラクネ……?」
現実世界(旧世界)ではギリシャ語で「蜘蛛」を表す言葉であり、彼女が蜘蛛系の魔物の毒でも仕込んだのかと様子を確認すると、すぐに違和感の正体に感付く。それは彼女の掌であり、爪先の部分がアイリィの首筋に喰いこみ、爪の部分が紫色に変化している。
「やっとの事でこの姿を保てるようになったが……まだまだ甘いな」
「この姿……?」
「まあ良い……あの方の復活のため、お主たちにはここで死んでもらおうか」
「あの方……」
「……アクアですよ。あの人が、いや……あいつがリーリスです」
アイリィの言葉にレノは驚いたように視線を向け、まさか実況席で彼女と仲睦まじく話していた人魚族の姫が黒幕だとは思いもしなかったが、
「気安くあの方の名前を口にするな」
「うくっ……!?」
メキィイイッ……!!
アイリィの首を締め付けが一層に強まり、骨が軋む音まで聞こえてくる。これ以上は見てはいられず、レノは咄嗟に助けるために右手を向けたとき、
「遅い」
「なっ……」
ブシュッ!
ムメイが左手を向けた瞬間、指先から「糸」が放出され、レノの右手に絡みつく。一瞬でわたあめのように右手が糸で拘束され、すぐに雷属性で焼き払おうとしたが、
バチィイイイッ……!!
「無駄じゃ」
「……これは……!?」
「アラクネの糸です!!それは雷じゃ……あぐっ!?」
「黙れと言うに」
アイリィが「リーリス」の名前を告げたことが余程気に入らなかったのか、ムメイがアイリィの頭を地面に叩き付け、レノは何とか右手の糸を振り払おうとしたが、内側から放出した電流が糸の外に放出され、焼ききれない。
嵐属性で吹き飛ばそうとしたが、完全に密着されているため、上手く発現できない。すぐに左腕の聖爪で引き裂こうとしたが、ムメイが再び左手を向け、
「お主の弱点は試合でよく分かった……さて、そろそろ死んでもらうぞ」
「くっ……」
彼女が糸を放出するよりも早く左腕に聖爪を装着させ、右手の糸の拘束を振りほどくことは出来ない。
「……なら、これはどうだ?」
「何?」
ボウッ……!!
右腕から煙が舞い起こり、徐々に糸が溶解して右腕に「紅炎」が纏われる。先ほどの電流は糸に放電されたが、魔鎧ならば直接焼き切る事は可能らしい。
「ほう……何をしたかは知らんが、随分とあの時よりも魔力密度が高まっておるな……」
「あたたたっ……き、気を付けてくださいソフィアさん、このロリババア……よりにもよってとんでもない者に変化していますよ……」
「ロリババア……」
言葉の意味が分かるのか、少しだけムメイは傷ついた表情を浮かべるが、アイリィも人の事は言えない。彼女も1000年以上の時を生きており、外見は若々しいが実年齢はムメイよりも上なのだ。
「今、失礼な事思いませんでした?」
「いや、別に……」
「呑気に世間話をしている場合か?」
ムメイはアイリィの首元を掴み、外見からは想像できない握力で首を絞めつける。彼女は苦しげな表情を浮かべるが、レノは動けない。どういう事か、眼の前のムメイからは今までにない気配を感じ取る。
以前に会った時も最初に出会った時と雰囲気が変わっているように思えたが、今回は異常なまでの恐怖感を抱く。まるで、初めてホノカと出会った時と同じ感覚であり、外見は変わっていないはずだが油断できない。
「……四分の一は力を取り戻したんじゃないのか?」
「そうなんですけどね……さっきも言ったようにこの人、とんでもないのに化けてるんですよ……」
「とんでもないもの?」
「話しはそこまでじゃ……レノ、お前の血が必要となった」
「……?」
「封印の一族……いや、「楔の一族」であるお前の血がな」
ムメイの言葉にレノはすぐに身構え、間違いなく彼女はバジリスクが現在封印されている集落の封印を解くため、レノの血液を狙っている。少し前に第一次予選の後に無数の森人族が彼を狙っているため、間違いは無い。
だが、楔の一族という始めて聞く言葉に反応し、レノはムメイに視線を向けると彼女は彼の意図を察したように頷き、
「お主の家系は森人族の中でも希少な「楔の一族」……生まれたときから「結界」に対して強い耐性を持ち、森人族の封印を突破できる血液を持つ」
「どういう意味?」
ムメイの言い方が少し気にかかり、血液という単語に首を傾げる。封印を突破できると言っても、かなり前に「林檎農園」を営んでいる老人の元から離れた際、樹の聖痕の持ち主である「アルファ」の罠にかかり、森人族の結界に入り込んだときは自力で脱出は出来なかった(族長であるアルファを倒した影響で一時的に結界が解けたと思われる)。
本当に森人族のあらゆる封印を突破できる能力をレノが持っていたとしても、何故、アルファが住んでいた集落の封印は突破できなかったのか。
「お主自身に封印をどうこうできる力は無い。あくまでもお主の「血液」だけが封印を解く鍵であり、お主自身が封印を打ち破れる力を宿しているわけではない」
「……話が違うな」
闘技場にいた森人族の話だとレノだけが深淵の森の封印を素通りできると言っていたはずだが、どうやらこの口調からムメイは彼らに偽りの情報を流している。参加者のエルフ達がバジリスクの遺体を回収した後に彼女(ムメイ)自身が「自害」をするという話も怪しい。
「性格悪い女ですね……あだだだっ!?」
「お主は、立場を分かっているのか?」
アイリィの首元を締め付けるムメイの握力が強まり、これ以上の刺激は危険と判断し、レノはどうやって助けるか冷静に考える。ムメイの実力が分からない以上、下手に動けば彼女が危ない。
ラビットの身体に乗り移っているアイリィが死ぬことが無い事は分かるが、それでも肉体を無くしてしまえば、また復活するのに時間が掛かるだろう。それにムメイが何の対策もなしに彼女を捕まえたとは思えない。
「おい……お前、自分でどうにか出来ないのか?」
「すいません……まさか、アラクネの毒まで使われるとは……」
「アラクネ……?」
現実世界(旧世界)ではギリシャ語で「蜘蛛」を表す言葉であり、彼女が蜘蛛系の魔物の毒でも仕込んだのかと様子を確認すると、すぐに違和感の正体に感付く。それは彼女の掌であり、爪先の部分がアイリィの首筋に喰いこみ、爪の部分が紫色に変化している。
「やっとの事でこの姿を保てるようになったが……まだまだ甘いな」
「この姿……?」
「まあ良い……あの方の復活のため、お主たちにはここで死んでもらおうか」
「あの方……」
「……アクアですよ。あの人が、いや……あいつがリーリスです」
アイリィの言葉にレノは驚いたように視線を向け、まさか実況席で彼女と仲睦まじく話していた人魚族の姫が黒幕だとは思いもしなかったが、
「気安くあの方の名前を口にするな」
「うくっ……!?」
メキィイイッ……!!
アイリィの首を締め付けが一層に強まり、骨が軋む音まで聞こえてくる。これ以上は見てはいられず、レノは咄嗟に助けるために右手を向けたとき、
「遅い」
「なっ……」
ブシュッ!
ムメイが左手を向けた瞬間、指先から「糸」が放出され、レノの右手に絡みつく。一瞬でわたあめのように右手が糸で拘束され、すぐに雷属性で焼き払おうとしたが、
バチィイイイッ……!!
「無駄じゃ」
「……これは……!?」
「アラクネの糸です!!それは雷じゃ……あぐっ!?」
「黙れと言うに」
アイリィが「リーリス」の名前を告げたことが余程気に入らなかったのか、ムメイがアイリィの頭を地面に叩き付け、レノは何とか右手の糸を振り払おうとしたが、内側から放出した電流が糸の外に放出され、焼ききれない。
嵐属性で吹き飛ばそうとしたが、完全に密着されているため、上手く発現できない。すぐに左腕の聖爪で引き裂こうとしたが、ムメイが再び左手を向け、
「お主の弱点は試合でよく分かった……さて、そろそろ死んでもらうぞ」
「くっ……」
彼女が糸を放出するよりも早く左腕に聖爪を装着させ、右手の糸の拘束を振りほどくことは出来ない。
「……なら、これはどうだ?」
「何?」
ボウッ……!!
右腕から煙が舞い起こり、徐々に糸が溶解して右腕に「紅炎」が纏われる。先ほどの電流は糸に放電されたが、魔鎧ならば直接焼き切る事は可能らしい。
0
お気に入りに追加
486
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」
Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。
しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。
彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。
それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。
無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。
【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。
一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。
なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。
これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる