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剣乱武闘編
センチュリオンの正体
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「今のセンチュリオンと、過去のセンチュリオンの関係性ですが……色々と説明が面倒なんですよね……」
「どう違うんだ?」
「そうですね……過去の時代のセンチュリオンはあくまでも他の種族の征服するために作られた組織ですが、今のセンチュリオンはリーリスから力を分け与えられた新しい存在です。中には過去のセンチュリオンと同じ存在もいますけど……ほとんどがこの時代に生まれた人です」
「やっぱりか……」
今まで回収した聖痕はジャンヌを除き、全員がセンチュリオンと何らかの関係性があり、彼等はリーリスから聖痕を分け与えられた存在だったのは間違いない。
「レノさんのお蔭で大分聖痕の方も取り戻せましたし、この調子なら今の状態でも十分に戦えますよ」
「そう……あ、そう言えばホノカについては」
「知ってますよ。協定を結んだんですよね?別に構いませんよ~最終的に私に返してくれるなら」
「聖痕を回収したら、ホノカも転移は使えないの?」
「そりゃまあ、私の力で好き勝手やってますからね。でもまあ、あの人の場合は聖痕が無くてもクサナギとアイギスが扱えるんですから、別に問題ないでしょ」
「そうか……まあ、ホノカは後回しだな」
「残りの3人の聖痕は居場所がいまいち特定できないんですよね~……ダークエルフの人はともかく、他の2人は位置的に遠すぎるのか私でも感知が難しいですね」
「へえ……そう言えば、聖痕と言えばお前数を誤魔化してないか?」
レノは地下施設で出会った人型の痣の形をした聖痕を所有する「シャドウ」の話を伝えると、アイリィは少し感が絶えた風に顎に手を当て、
「……それは「影」の聖痕ですね。私の物ではなく、この魔王が生み出した聖痕です」
「……聖痕って、全部お前の物じゃないの?」
「正確に言えばこの世界に存在する聖痕の数は「12個」その内の9個は私の物ですが、残りの3個に関してはお姉さまの肉体に1個、そのシャドウという人に1個……最後の聖痕に関してはセンチュリオンの誰かが所有しているはずですよ」
「種類と名前は?」
「シャドウという人の聖痕は「影の聖痕」センチュリオンが所持している1人の聖痕は「魔の聖痕」最後にお姉さまの聖痕は「時の聖痕」です」
「影」と「魔」と「時」という新たな聖痕の話を聞き、レノが顔を顰める(実際には今の状態では出来ないが)と、アイリィは首を振り、
「この3つの聖痕は別に回収しなくていいですよ。シャドウという人は気になりますけど、今は私の聖痕の回収だけに集中して下さい」
「なるほどね……だいたいは分かったけど、お前って昔の英雄だったのか」
「ふふん、見直しましたか?」
「……1000歳超えてるのか……お婆ちゃんと心の中で呼ぼう」
「ちょっ……私は生霊ですよ?年齢なんか重なりません!!」
「あいたっ!!」
気にしていた事に触れたのか、アイリィにビシッと手刀を放たれ、意識だけの存在なのに痛みが走る。
「全く……それよりも話を戻しますよ。私とセンチュリオンの関係を理解したところで、今度はレノさんの身体の異変の説明を行いましょうか」
「そうだった……さっきの鼻血、何だったんだ?」
「……事前に言っておきますけど、カラドボルグを無理に使った事は関係ありません。今の貴方の身体は「急成長」の状態に陥ってるんです」
「……成長?」
成長と言われても、レノの肉体は特に大きな変化は無い。多少は身長や体重が変化しただろうが、
「薄々とは気付いているんじゃないですか?大幅な魔力の増大化に」
「ああ……」
言われてみれば確かにレノの「魔力要領」は異常であり、既に普通のハーフエルフと比べても何十倍の容量を誇る。紋様の強化無しでもレノが放つ魔法は全て強力であり、実際に地下迷宮(ロスト・ラビリンス)の魔物達を相手に生き残る事も出来た(最近に至っては紋様で魔法を強化する事もほとんど無くなっている)。
「今のレノさんの肉体は私の力で成長しています。だからこそ、習得するはずが無い「雷属性」も扱えたり、異常な速度で魔力容量が増え続けています」
「お前の仕業かい」
何度か予想はしていたことだが、アイリィからはっきりと言われるとレノは溜息を吐く(実際には吐けないが)。しかし、そのお蔭で今までの修羅場を生き残る事に成功したのは事実であり、文句は言えないのだが、
「でもこの「急成長」にも大きな副作用がありましてね……例えるならレノさんの寿命を「蝋燭」で例えるなら、途轍もない火力で燃え続けているんです」
「それって……」
「そう、今現在進行中でレノさんの寿命が加速度的に削られているんです」
「……なるほど」
――つまり、急激な成長によってハーフエルフであるレノの「寿命」が縮まり、さきほどの「鼻血」もどうやら「急成長」とやらの影響らしい。
「急激に力が伸びている分、レノさんの肉体にも大きな負担が掛かっています。あ、ちなみに寿命を削っているからと言って、別に年齢を異様な速度で重ねているわけでは無いので老化現象を起こすことはありませんよ。説明できなかったのは申し訳ありませんが、私としても時間が迫っているので他に方法が在りませんでした」
「時間……?」
「その事を説明する前に1つだけ言っておきます」
アイリィはそこで間を置き、何かを決意したような表情を浮かべ、
「この世界の真実を……知る覚悟はありますか?」
「どう違うんだ?」
「そうですね……過去の時代のセンチュリオンはあくまでも他の種族の征服するために作られた組織ですが、今のセンチュリオンはリーリスから力を分け与えられた新しい存在です。中には過去のセンチュリオンと同じ存在もいますけど……ほとんどがこの時代に生まれた人です」
「やっぱりか……」
今まで回収した聖痕はジャンヌを除き、全員がセンチュリオンと何らかの関係性があり、彼等はリーリスから聖痕を分け与えられた存在だったのは間違いない。
「レノさんのお蔭で大分聖痕の方も取り戻せましたし、この調子なら今の状態でも十分に戦えますよ」
「そう……あ、そう言えばホノカについては」
「知ってますよ。協定を結んだんですよね?別に構いませんよ~最終的に私に返してくれるなら」
「聖痕を回収したら、ホノカも転移は使えないの?」
「そりゃまあ、私の力で好き勝手やってますからね。でもまあ、あの人の場合は聖痕が無くてもクサナギとアイギスが扱えるんですから、別に問題ないでしょ」
「そうか……まあ、ホノカは後回しだな」
「残りの3人の聖痕は居場所がいまいち特定できないんですよね~……ダークエルフの人はともかく、他の2人は位置的に遠すぎるのか私でも感知が難しいですね」
「へえ……そう言えば、聖痕と言えばお前数を誤魔化してないか?」
レノは地下施設で出会った人型の痣の形をした聖痕を所有する「シャドウ」の話を伝えると、アイリィは少し感が絶えた風に顎に手を当て、
「……それは「影」の聖痕ですね。私の物ではなく、この魔王が生み出した聖痕です」
「……聖痕って、全部お前の物じゃないの?」
「正確に言えばこの世界に存在する聖痕の数は「12個」その内の9個は私の物ですが、残りの3個に関してはお姉さまの肉体に1個、そのシャドウという人に1個……最後の聖痕に関してはセンチュリオンの誰かが所有しているはずですよ」
「種類と名前は?」
「シャドウという人の聖痕は「影の聖痕」センチュリオンが所持している1人の聖痕は「魔の聖痕」最後にお姉さまの聖痕は「時の聖痕」です」
「影」と「魔」と「時」という新たな聖痕の話を聞き、レノが顔を顰める(実際には今の状態では出来ないが)と、アイリィは首を振り、
「この3つの聖痕は別に回収しなくていいですよ。シャドウという人は気になりますけど、今は私の聖痕の回収だけに集中して下さい」
「なるほどね……だいたいは分かったけど、お前って昔の英雄だったのか」
「ふふん、見直しましたか?」
「……1000歳超えてるのか……お婆ちゃんと心の中で呼ぼう」
「ちょっ……私は生霊ですよ?年齢なんか重なりません!!」
「あいたっ!!」
気にしていた事に触れたのか、アイリィにビシッと手刀を放たれ、意識だけの存在なのに痛みが走る。
「全く……それよりも話を戻しますよ。私とセンチュリオンの関係を理解したところで、今度はレノさんの身体の異変の説明を行いましょうか」
「そうだった……さっきの鼻血、何だったんだ?」
「……事前に言っておきますけど、カラドボルグを無理に使った事は関係ありません。今の貴方の身体は「急成長」の状態に陥ってるんです」
「……成長?」
成長と言われても、レノの肉体は特に大きな変化は無い。多少は身長や体重が変化しただろうが、
「薄々とは気付いているんじゃないですか?大幅な魔力の増大化に」
「ああ……」
言われてみれば確かにレノの「魔力要領」は異常であり、既に普通のハーフエルフと比べても何十倍の容量を誇る。紋様の強化無しでもレノが放つ魔法は全て強力であり、実際に地下迷宮(ロスト・ラビリンス)の魔物達を相手に生き残る事も出来た(最近に至っては紋様で魔法を強化する事もほとんど無くなっている)。
「今のレノさんの肉体は私の力で成長しています。だからこそ、習得するはずが無い「雷属性」も扱えたり、異常な速度で魔力容量が増え続けています」
「お前の仕業かい」
何度か予想はしていたことだが、アイリィからはっきりと言われるとレノは溜息を吐く(実際には吐けないが)。しかし、そのお蔭で今までの修羅場を生き残る事に成功したのは事実であり、文句は言えないのだが、
「でもこの「急成長」にも大きな副作用がありましてね……例えるならレノさんの寿命を「蝋燭」で例えるなら、途轍もない火力で燃え続けているんです」
「それって……」
「そう、今現在進行中でレノさんの寿命が加速度的に削られているんです」
「……なるほど」
――つまり、急激な成長によってハーフエルフであるレノの「寿命」が縮まり、さきほどの「鼻血」もどうやら「急成長」とやらの影響らしい。
「急激に力が伸びている分、レノさんの肉体にも大きな負担が掛かっています。あ、ちなみに寿命を削っているからと言って、別に年齢を異様な速度で重ねているわけでは無いので老化現象を起こすことはありませんよ。説明できなかったのは申し訳ありませんが、私としても時間が迫っているので他に方法が在りませんでした」
「時間……?」
「その事を説明する前に1つだけ言っておきます」
アイリィはそこで間を置き、何かを決意したような表情を浮かべ、
「この世界の真実を……知る覚悟はありますか?」
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