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剣乱武闘編
大会受付
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その後、森人族の女戦士はホノカたちに任せてレノ達は一足先に闘技場に到着する。大会参加の受付は既に開始されており、想像以上の光景にレノ達は圧倒される。
「……すごく、でかい」
「ああ……これが大陸一の闘技場」
「俺の先祖たちが、作り上げたらしい」
「わふっ……聞いたことがあります。巨人族の方々が作り上げたと……だからこんなに大きいんですね」
「へえっ……なら、今度ゴンちゃんにゴブリン達の小屋の建設を頼もうかな」
「すまん、俺は炭鉱でしか働いたことが無い」
4人の目の前には直径1キロを誇る超巨大な「闘技場」が存在し、高さは50メートルを超えており、外見は古代ローマの遺跡の「コロッセウム」を彷彿させる。
元々は巨人族たちが自分たちの「力」を比べ合うために作り出された建物であり、その建物の規模は現実世界とは比べられない。また、闘技場全体には魔法耐性が高い鉱石が練り込まれたており、破壊する事は困難である。
――そして、早朝にも関わらず、様々な種族が入り混じった行列が出来ており、彼らもレノ達と同じ参加者なのだろう。
「凄い人です……それに」
「ああ……かなりの手練れ揃いだな」
「……負けん」
「受付は何処?」
リノン達は強者の雰囲気を纏わせる参加者達に冷や汗を流すが、レノだけはさっさと受付を終えて立ち去りたく、こんな場所で森人族の刺客と遭遇した場合は非常に面倒な事になる。
「受け付けは闘技場の入口で行われているはずだが……ほら、あれだ」
「わうっ……すごい行列です」
ガヤガヤッ……
闘技場の3つの出入口には受付員と思われる人間達が待ち構えており、彼等の前には長机が置かれている。そして机の上にはメダルを判別すると思われる「金属探知機」を想像させる機器が用意されていた。
外見はスプーンの先端に円形の穴が開いたような形であり、その穴の中にメダルをはめ込む事で取っ手の部分に取り付けらている特別な「魔石」が反応する仕組みらしい。
「では、メダルを提示してください」
「おらよ」
一番前の巨人族の男がメダルを取り出し、受付員がそれを受け取ると、すぐに「検査機」の先端部の穴にメダルをはめ込み、
ボウッ……
「……赤、一般参加者の方ですね?」
「ああ……」
「分かりました。では、こちらの番号札と交換となります」
巨人族の男に受付印が数字が刻まれた木札を渡し、彼は闘技場の中に入り込む。どうやら話から察するにここで参加証のメダルと木札を交換するらしい。次に人間の傭兵らしき男が続けて受付印にメダルを渡し、検査機に填め込んだ瞬間、
ボウッ……
「……黄色!!これは偽物ですよ!!」
「何!?」
魔石の色が黄色に変色した途端、受付員の傍に控えていた兵士たちが反応し、即座に男を取り囲む。彼は慌てた様子で「何かの間違いだ!!」と叫ぶが、受付員はメダルを取り出して彼に見せつける。
「どこでこれを手に入れたんですか?」
「そ、それは俺が市場で買ったんだよ!!」
「……申し訳ありませんが、この参加証のメダルは認められません。どうかお引き取りを……」
「ふざけんな!!こっちは高い金を払って……」
「お引き取りを」
受付員が睨み付け、周囲を取り囲む兵士たちが武器を構えると、男は分が悪いと判断したのか「くそがっ!!」と悪態を吐きながら、そのまま引き下がる。
「……中々高性能だな」
「ああ……まあ、私達は大丈夫だ。ちゃんと王国から支給された本物だからな」
「そうだね……参加証によって貰える木札に変化があるの?」
「そのはずだが……私達は王国の代表だから、第一次予選は免除される」
「わふっ?そうなんですか?」
「……知らなかった」
ポチ子とゴンゾウも初耳だったのか、自分たちの支給されたメダルを確認し、レノも2枚のメダルを取りだす。1つは王国から支給されたメダル、もう1つは先日の「地下闘技場」で入手したメダルであり、結局大会まで2つとも所持していた。
「こっちの方を出せば予選は免除されるのか……なら、これは要らなかったかな」
「いや、余分な参加証は受付員に提示するのが良い。その参加証は大会側に保管されるから、参加者の枠が1人分だけ空く」
「優勝する可能性が、増える」
「なるほど……といっても、1000分の1か」
レノ達は一番少ないと思われる行列に並び、この調子では受付まで相当に時間が掛かるため、雑談を行う。
「アルトはどうしてる?」
「ああ……私はアルトとは最近会っていないな。彼も大会に出場するため、王城で訓練をしているらしいが……」
「アルトさん……最近様子がおかしいんです。この間に会った時も、妙に疲れてました……」
「……少し、心配」
「そっか……」
出来ればアルトとは大会前にリオの件もあるため、一度会っておきたかったが、三人から聞いた様子では難しい。
「俺達が戦うとしたら本戦から?」
「そうだな……まあ、今回は色々と大会の規則が変更したから、もしかしたら集団戦で一緒になるかも知れない」
「レミアとジャンヌは?」
「彼女達は既に受付を終えているはずだ。さっき、私が出る前に報告があった」
ジャンヌが出場できるかは不明と聞いていたが、どうやら無事に加藤の家族と和解したらしく、参加出来たらしい。
「そう言えば……ジャンヌは「レーヴァティン」を使うの?」
「いや、彼女はこの大会では「巨人殺し(ジャイアント・キリング)」しか使用しない。教会側には一応はレーヴァティンの所持を許されているが、この大会では実力だけで勝ち残りたいそうだ」
「ふ~ん……」
レノとしてもジャンヌがレ―ヴァティンを使用しない事は助かる。もしも彼女と対戦の際にあの聖剣を使用された場合、こちらもカラドボルグを使わなければならない。
「……すごく、でかい」
「ああ……これが大陸一の闘技場」
「俺の先祖たちが、作り上げたらしい」
「わふっ……聞いたことがあります。巨人族の方々が作り上げたと……だからこんなに大きいんですね」
「へえっ……なら、今度ゴンちゃんにゴブリン達の小屋の建設を頼もうかな」
「すまん、俺は炭鉱でしか働いたことが無い」
4人の目の前には直径1キロを誇る超巨大な「闘技場」が存在し、高さは50メートルを超えており、外見は古代ローマの遺跡の「コロッセウム」を彷彿させる。
元々は巨人族たちが自分たちの「力」を比べ合うために作り出された建物であり、その建物の規模は現実世界とは比べられない。また、闘技場全体には魔法耐性が高い鉱石が練り込まれたており、破壊する事は困難である。
――そして、早朝にも関わらず、様々な種族が入り混じった行列が出来ており、彼らもレノ達と同じ参加者なのだろう。
「凄い人です……それに」
「ああ……かなりの手練れ揃いだな」
「……負けん」
「受付は何処?」
リノン達は強者の雰囲気を纏わせる参加者達に冷や汗を流すが、レノだけはさっさと受付を終えて立ち去りたく、こんな場所で森人族の刺客と遭遇した場合は非常に面倒な事になる。
「受け付けは闘技場の入口で行われているはずだが……ほら、あれだ」
「わうっ……すごい行列です」
ガヤガヤッ……
闘技場の3つの出入口には受付員と思われる人間達が待ち構えており、彼等の前には長机が置かれている。そして机の上にはメダルを判別すると思われる「金属探知機」を想像させる機器が用意されていた。
外見はスプーンの先端に円形の穴が開いたような形であり、その穴の中にメダルをはめ込む事で取っ手の部分に取り付けらている特別な「魔石」が反応する仕組みらしい。
「では、メダルを提示してください」
「おらよ」
一番前の巨人族の男がメダルを取り出し、受付員がそれを受け取ると、すぐに「検査機」の先端部の穴にメダルをはめ込み、
ボウッ……
「……赤、一般参加者の方ですね?」
「ああ……」
「分かりました。では、こちらの番号札と交換となります」
巨人族の男に受付印が数字が刻まれた木札を渡し、彼は闘技場の中に入り込む。どうやら話から察するにここで参加証のメダルと木札を交換するらしい。次に人間の傭兵らしき男が続けて受付印にメダルを渡し、検査機に填め込んだ瞬間、
ボウッ……
「……黄色!!これは偽物ですよ!!」
「何!?」
魔石の色が黄色に変色した途端、受付員の傍に控えていた兵士たちが反応し、即座に男を取り囲む。彼は慌てた様子で「何かの間違いだ!!」と叫ぶが、受付員はメダルを取り出して彼に見せつける。
「どこでこれを手に入れたんですか?」
「そ、それは俺が市場で買ったんだよ!!」
「……申し訳ありませんが、この参加証のメダルは認められません。どうかお引き取りを……」
「ふざけんな!!こっちは高い金を払って……」
「お引き取りを」
受付員が睨み付け、周囲を取り囲む兵士たちが武器を構えると、男は分が悪いと判断したのか「くそがっ!!」と悪態を吐きながら、そのまま引き下がる。
「……中々高性能だな」
「ああ……まあ、私達は大丈夫だ。ちゃんと王国から支給された本物だからな」
「そうだね……参加証によって貰える木札に変化があるの?」
「そのはずだが……私達は王国の代表だから、第一次予選は免除される」
「わふっ?そうなんですか?」
「……知らなかった」
ポチ子とゴンゾウも初耳だったのか、自分たちの支給されたメダルを確認し、レノも2枚のメダルを取りだす。1つは王国から支給されたメダル、もう1つは先日の「地下闘技場」で入手したメダルであり、結局大会まで2つとも所持していた。
「こっちの方を出せば予選は免除されるのか……なら、これは要らなかったかな」
「いや、余分な参加証は受付員に提示するのが良い。その参加証は大会側に保管されるから、参加者の枠が1人分だけ空く」
「優勝する可能性が、増える」
「なるほど……といっても、1000分の1か」
レノ達は一番少ないと思われる行列に並び、この調子では受付まで相当に時間が掛かるため、雑談を行う。
「アルトはどうしてる?」
「ああ……私はアルトとは最近会っていないな。彼も大会に出場するため、王城で訓練をしているらしいが……」
「アルトさん……最近様子がおかしいんです。この間に会った時も、妙に疲れてました……」
「……少し、心配」
「そっか……」
出来ればアルトとは大会前にリオの件もあるため、一度会っておきたかったが、三人から聞いた様子では難しい。
「俺達が戦うとしたら本戦から?」
「そうだな……まあ、今回は色々と大会の規則が変更したから、もしかしたら集団戦で一緒になるかも知れない」
「レミアとジャンヌは?」
「彼女達は既に受付を終えているはずだ。さっき、私が出る前に報告があった」
ジャンヌが出場できるかは不明と聞いていたが、どうやら無事に加藤の家族と和解したらしく、参加出来たらしい。
「そう言えば……ジャンヌは「レーヴァティン」を使うの?」
「いや、彼女はこの大会では「巨人殺し(ジャイアント・キリング)」しか使用しない。教会側には一応はレーヴァティンの所持を許されているが、この大会では実力だけで勝ち残りたいそうだ」
「ふ~ん……」
レノとしてもジャンヌがレ―ヴァティンを使用しない事は助かる。もしも彼女と対戦の際にあの聖剣を使用された場合、こちらもカラドボルグを使わなければならない。
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