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第四部隊編
新たな任務
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――アグネス廃坑の騒動から数日ほど経過し、レノ達は聖導教会の協力も得て廃坑に住んでいたハイ・ゴブリン達を遠方の枯葉の森に移住させる。レノと聖導教会の上位魔術師(センリも含む)の協力の元で大量の転移魔方陣を使用し、彼ら全員を無事に送り込むことに成功した。
枯葉の森に移動したハイ・ゴブリンの世話はしばらくの間は聖導教会が見る事になり、その代わりとして彼らはアグネス廃坑に存在する原石(魔石)の類を掘り尽くし、廃坑に存在する全てのトロッコに原石を山積みにすると、3分の1は自分たちの取り分として受け取り、3分の1売却して聖導教会に寄付する。そして、残りの3分の1はレノ達「第4部隊」の資金となった。
カイは聖導教会に残り、センリの下で深淵の森にいた頃の情報を全て提供し、彼がどのように人語を覚える過程を説明する。カイの話は興味深く、しばらくの間はセンリが面倒を見る事が決まった。
先のゴブリン達から回収した財宝で得た金銭は相当な額であり、第4部隊は数百枚の金貨を獲得した。これだけあれば新たな人員も募集できる。
――はずだったが、新たな人員を募集する前に王国側から使者が尋ね、レノ達の前に見覚えのある人物が現れた。
「久しぶりだな皆!!」
「リノン?」
「わうっ!!」
「久しぶりだ」
「……久しぶり」
黒猫酒場で今回得た金銭を整理していると、リノンがテンペスト騎士団の部下を引き連れて現れ、その顔はアルトと違って生き生きとしており、妙に上機嫌だった。
「今回はどうしたんだい?まさか、また問題ごとを持ってきたんじゃないだろうね……」
「今度は大巨人が復活した!!ていうのは勘弁すよ……」
「バルさんとカリナも久しぶりだな……大丈夫、今回は貴女方にとっても良い話を持ってきたんだ」
「へえ?」
リノンは部下を外に待機させ、皆が机の前に座るのを確認すると、彼女は懐から羊皮紙を取り出す。
「これを見てくれ!!」
バンッ!!
勢いよく机の上に羊皮紙を叩き込み、全員がそれを確認すると、
「え?」
「わふっ!?」
「おおっ!!」
「……ふにゃっ」
「こいつは……」
「マジっすか!!」
羊皮紙に書かれていた一文「剣乱武闘再開」という文字に全員が驚愕し、バルが口元に笑みを浮かべ、黒猫酒場にとっては大金を稼ぐ好機が訪れる事に笑みを浮かべる。
「中止された剣乱武闘の再開……今回はセンチュリオン対策のため、各国から主力が送られてくる手筈だ」
「剣乱武闘ね……またやるのか」
「おおっ……それだけじゃない」
「ここの文……私達も参加できるんですか?」
「ああ……当然私も参加するぞ!!」
以前から噂されていたが、実際に剣乱武闘が再会するという情報に武人であるリノン達は喜び、商売人であるバルも笑みを浮かべる。剣乱武闘が再開されれば数多くの観光客が世界各地から訪れ、必然的に酒場にも客が殺到するのは間違いない。
騒いでいないのはレノとコトミだけであり、2人は剣乱武闘に対して興味は薄いが、他の者達は嬉々として話し合っている。
「今回は先日の世界会議で会議の結果、優勝者にはアトラス金貨10枚分の価値の副賞が付与されるらしい……さらに2位から8位まで賞金が手渡されることになっている」
「おおっ……家族に仕送りできる」
「良かったですねゴンゾウさん!!私も頑張ります!!」
「ちなみに2位はアトラス金貨5枚と神木で造られた杖が贈られる。3位以降は賞金だけだが、一番下の8位でも銀貨300枚が約束されているとの事だ!」
「凄い豪勢だね……あたしも出てみるかね」
「いや~……姉御は辞めといた方がいいっすよ。いい加減に年っすから……あいたぁっ!?」
下手な事を口にしたカリナの頭にバルの拳骨がめり込み、それを見て全員が笑い声を上げる中、リノンが唐突に顔色を替え、何か言いにくそうにレノに視線を向け、
「……あ~……レノ、君についてだが……その」
「え?何?問題ごと?」
「わふっ?」
「……?」
「いや、そのな……実は既に君の参加証も用意してあるんだ」
「は?」
リノンは一枚の銀のメダルを取り出し、表面には「大樹」のマークが刻まれている。レノにそれを手渡すと、彼女は新たに羊皮紙を取り出して差し出す。
「これはアルトの方から直接渡してくれるように頼まれた……私もまだ中身は見ていない」
「アルトが?」
「正確に言えば国王様からアルトを通して渡すように言われていたらしいが、時間が無いからと私の方から渡してくれと頼まれてな……」
「なるほど。嫌われたもんだな……昔はそれなりに仲良かったと思うけど」
「わうっ……」
レノは参加証のメダルを懐に仕舞い込み、羊皮紙を開くと後ろからコトミ達が覗き込んでくる。
「……大会に出場して、カラドボルグを披露してほしいって」
――その内容とは、今回の剣乱武闘は通常時の大会とは違い、各種族の「競い合い」が目的という。そのため、王国側はレノのカラドボルグを披露する事で、彼の力を世間に見せつけるつもりだった。
枯葉の森に移動したハイ・ゴブリンの世話はしばらくの間は聖導教会が見る事になり、その代わりとして彼らはアグネス廃坑に存在する原石(魔石)の類を掘り尽くし、廃坑に存在する全てのトロッコに原石を山積みにすると、3分の1は自分たちの取り分として受け取り、3分の1売却して聖導教会に寄付する。そして、残りの3分の1はレノ達「第4部隊」の資金となった。
カイは聖導教会に残り、センリの下で深淵の森にいた頃の情報を全て提供し、彼がどのように人語を覚える過程を説明する。カイの話は興味深く、しばらくの間はセンリが面倒を見る事が決まった。
先のゴブリン達から回収した財宝で得た金銭は相当な額であり、第4部隊は数百枚の金貨を獲得した。これだけあれば新たな人員も募集できる。
――はずだったが、新たな人員を募集する前に王国側から使者が尋ね、レノ達の前に見覚えのある人物が現れた。
「久しぶりだな皆!!」
「リノン?」
「わうっ!!」
「久しぶりだ」
「……久しぶり」
黒猫酒場で今回得た金銭を整理していると、リノンがテンペスト騎士団の部下を引き連れて現れ、その顔はアルトと違って生き生きとしており、妙に上機嫌だった。
「今回はどうしたんだい?まさか、また問題ごとを持ってきたんじゃないだろうね……」
「今度は大巨人が復活した!!ていうのは勘弁すよ……」
「バルさんとカリナも久しぶりだな……大丈夫、今回は貴女方にとっても良い話を持ってきたんだ」
「へえ?」
リノンは部下を外に待機させ、皆が机の前に座るのを確認すると、彼女は懐から羊皮紙を取り出す。
「これを見てくれ!!」
バンッ!!
勢いよく机の上に羊皮紙を叩き込み、全員がそれを確認すると、
「え?」
「わふっ!?」
「おおっ!!」
「……ふにゃっ」
「こいつは……」
「マジっすか!!」
羊皮紙に書かれていた一文「剣乱武闘再開」という文字に全員が驚愕し、バルが口元に笑みを浮かべ、黒猫酒場にとっては大金を稼ぐ好機が訪れる事に笑みを浮かべる。
「中止された剣乱武闘の再開……今回はセンチュリオン対策のため、各国から主力が送られてくる手筈だ」
「剣乱武闘ね……またやるのか」
「おおっ……それだけじゃない」
「ここの文……私達も参加できるんですか?」
「ああ……当然私も参加するぞ!!」
以前から噂されていたが、実際に剣乱武闘が再会するという情報に武人であるリノン達は喜び、商売人であるバルも笑みを浮かべる。剣乱武闘が再開されれば数多くの観光客が世界各地から訪れ、必然的に酒場にも客が殺到するのは間違いない。
騒いでいないのはレノとコトミだけであり、2人は剣乱武闘に対して興味は薄いが、他の者達は嬉々として話し合っている。
「今回は先日の世界会議で会議の結果、優勝者にはアトラス金貨10枚分の価値の副賞が付与されるらしい……さらに2位から8位まで賞金が手渡されることになっている」
「おおっ……家族に仕送りできる」
「良かったですねゴンゾウさん!!私も頑張ります!!」
「ちなみに2位はアトラス金貨5枚と神木で造られた杖が贈られる。3位以降は賞金だけだが、一番下の8位でも銀貨300枚が約束されているとの事だ!」
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「いや~……姉御は辞めといた方がいいっすよ。いい加減に年っすから……あいたぁっ!?」
下手な事を口にしたカリナの頭にバルの拳骨がめり込み、それを見て全員が笑い声を上げる中、リノンが唐突に顔色を替え、何か言いにくそうにレノに視線を向け、
「……あ~……レノ、君についてだが……その」
「え?何?問題ごと?」
「わふっ?」
「……?」
「いや、そのな……実は既に君の参加証も用意してあるんだ」
「は?」
リノンは一枚の銀のメダルを取り出し、表面には「大樹」のマークが刻まれている。レノにそれを手渡すと、彼女は新たに羊皮紙を取り出して差し出す。
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「アルトが?」
「正確に言えば国王様からアルトを通して渡すように言われていたらしいが、時間が無いからと私の方から渡してくれと頼まれてな……」
「なるほど。嫌われたもんだな……昔はそれなりに仲良かったと思うけど」
「わうっ……」
レノは参加証のメダルを懐に仕舞い込み、羊皮紙を開くと後ろからコトミ達が覗き込んでくる。
「……大会に出場して、カラドボルグを披露してほしいって」
――その内容とは、今回の剣乱武闘は通常時の大会とは違い、各種族の「競い合い」が目的という。そのため、王国側はレノのカラドボルグを披露する事で、彼の力を世間に見せつけるつもりだった。
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