種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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テンペスト騎士団編

どうでもいい

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闇ギルドから引き返したソフィアとコトミは拘束したエルフを引き連れ、黒猫酒場に戻る。既に東門に向かったリノンたちも帰還しており、彼等が連れてきた2人の客人にソフィアは驚愕した。ヨウカとの久しぶり再会を喜び合い、改めて挨拶を行うホノカに警戒しながらも、ソフィアは捕まえたエルフから聞き出した話を全員に伝えると、



「……なんなんすかそれ!!」
「そんな……」
「くそがっ……!!」
「わざわざ殺すために、育てていたというでござるか!!」
「わぅんっ!!ひどすぎますよ!!」
「許せん!!」
「これが……エルフのする事か!!」
「……私が守る」
「こんなのって……レノたんが可哀想だよ」
「ふむっ……流石の僕も、このやり方は気に喰わないな」


酒場内の者たちが全員激怒し、すぐに拘束したエルフ達に視線を向けるが、カゲマルの痺れ薬とコトミの洗脳魔法が強すぎたのか、未だに意識が戻っていない。今の状態の彼等を責めても仕方がないが、それでも怒りを抑えることはできない。あまりにもソフィアの生まれ、そしてムメイのやり方が酷過ぎる。


「それにしてもレノ殿が封印の一族とは……しかし、少しだけ納得したでござる」
「……何か知っているのかい?」
「拙者の里にも似たような家系の物が居るでござる……というか、拙者もその1人でござるよ」
「何だって!?まさか、そのござる口調に何か大きな秘密が……」
「拙者のはただの口癖でござる!!」
「口癖なんだ……」
「そんな事より、これからどうするかが問題だろ?」
「そんな事って……レノたん……あ、今はソフィアちゃんは怒っていないの?」


ヨウカの発言にソフィアは考え込み、確かに色々と思う所はあるが、


「別にどうでもいい」
「「「はっ!?」」」
「生まれなんかどうでもいい……本当に」



――前世の自分の事を思い出し、現実世界でも「同じ境遇」だった。だからこそ、今更自分がどういう存在か知った所でどうでもいい。



(……あの世界と比べたら、こっちの方が自由だしな)


現実世界では常に監視され、スケジュール通りの行動を行う毎日だった。娯楽だけは事欠かないが、あの世界で自由などなかった。この世界でも辛い事や痛い事はあったが、それでも現実世界には無い自由だけは常にあった。それだけで、この世界に生まれ変わった意味はある。


「生まれ何てどうてもいい。ただ、このまま生贄にされる気は無い」
「当たり前だ!!そんな事、私達がさせない!!」
「そうですよ!!」
「レノは、俺が守る」
「……けど、その封印の遺跡というのも気にかかるね」


話を聞く限り、深淵の森に潜むという「魔物」は相当に危険な存在らしい。しかし、勇者達から話を聞いたゴブリンキングという存在が封印されているとは到底思えない。

確かにこの世界のゴブリンキングとは非常に兇悪な魔物であり、無数のゴブリンを率いて行進するため、ある意味では腐敗竜同様に厄介な存在である。だが、捕縛したエルフの話を聞く限り、封印された「魔物」というのは非常に長い期間の「休眠期」を必要とする存在らしいが、この世界のゴブリンキングと呼ばれる存在にはそのような特徴は存在しない。


「ゴブリンキングが数百年も眠り続けるなんて聞いたことが無いね……」
「それに普通のゴブリンは山に住む生物でござる……決して、平原などには生息しないはずでござるが……」
「私も絵本でしか知らないけど……ゴブリンキングって、大昔に絶滅したんじゃなかったっけ?」
「私もそう聞いているが……」


全員の反応からすると、どうにも深淵の森に封印されている「魔物」とやらが勇者達が語るゴブリンキングの事とは思えない。元々、勇者達の情報も色々と当てにならない事もあり、もしかしたら全く別の存在が封印されている可能性が高い。


「こいつらも何が封印されているのか知らないようだし……」
「そのムメイ、という人が全てを知っているようだな。どうにか会いたいものだが……」
「……人じゃなくて、エルフ」
「おっと、これは一本取られたな」


即座に訂正するコトミにホノカはさり気なく頭を撫でようとするが、コトミはソフィアの後ろに隠れる。まるで人見知りの猫のように警戒する彼女に特に気分も害した風は無く、ホノカは笑みを浮かべ、ソフィアに鋭い視線を向ける。


「さて……これからどうする気だい?」
「……どうする気と言われてもね……当初の目的は変わらないよ」


あくまでも今回の目的は深淵の森に封印されている存在の討伐であり、深淵の森に存在する遺跡にの封印を解除する方法は判明したが、生憎とソフィアは自殺する気はない。


「フレイを探す。というより、早く見つけないと危険だし……」
「まあ、それが妥当だろうね……」
「わふっ!!もしかしたら、そのフレイさんなら何か知っているかもしれません!!」
「しかし……その御方は何処にいるでござるが?」


エルフ達がこの1年半の間に捜索を続けたが、手がかり1つも掴めない辺り、やはり彼女は未だに放浪島に残っている可能性が高い。
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