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テンペスト騎士団編
酒場内での戦闘
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バリィイイイインッ!!
闘人都市の城門の方角から土煙が舞い起きてから数秒後、黒猫酒場の全ての窓が破壊される音が響き渡り、全員がそれぞれの方角に視線を向けると、複数の戦士装束を纏ったエルフ達が現れ、長剣を握りしめて全員がレノに向けて駆けだす。
「半端物がぁああああっ!!」
「死ねぇえええええっ!!」
エルフ達は他の者たちを全員無視してレノに駆け寄ろうとするが、
「うちの酒場に何すんだい!!」
「弁償しろっす!!」
「わふっ!!」
「せいっ!!」
『げふっ!?』
途中で激昂したバル達に遮られ、顔面を蹴られたり、剣の柄で腹部を突かれたり、中には股間を蹴りあげられた者もいる。それでも尚、襲撃者達の方が圧倒に多いので、彼女達を潜り抜けた者たちがレノに突進を仕掛けるが、
「雷伝」
バチィィイイイッ……!!
彼は既に左腕から銀の鎖を射出しており、電流を流しこみながら鞭の要領で振り回す。
「痺れろ!!」
「「ぎゃあぁあああああっ!?」」
そのまま鎖に絡めとられた襲撃者達は感電し、床に倒れこむ。その隙を逃さずに周囲の者たちが彼等を取り押さえる。
「く、くそ……!!」
「ほら!!大人しくしろっす!!」
「うちの店を荒らしやがって……覚悟は出来ているだろうね」
「拙者たちを舐めないで頂きたい!!」
天井から降り立ち、カゲマルは鎖から逃れた1人にクナイを向け、そのまま一閃する。
「鉄(くろがね)流……一の太刀」
「ぐあっ!?」
カゲマルが通り過ぎた瞬間にエルフの身体に一筋の斬撃が生まれ、そのまま倒れこむ。それを尻目にリノンも長剣を抜き放ち、新たに窓から現れたエルフ2人組に向けて、
「火炎剣!!」
「うおっ!?」
「くっ!!」
ズバァアアアアッ!!
炎を纏わせた刀身を振り払い、エルフ達が慌てて回避すると、彼女は剣を振り抜いた後を狙って攻撃を仕掛けてくる。流石に相手も手練れ揃いであり、そのままリノンに向けて刃を突き刺そうとするが、
「火針(ひばり)!!」
「ぐあっ!?」
「いぎゃあっ!?」
人差し指と中指を合わせ、いわゆる「ピストル」の形に変えると、リノンは無詠唱で火の魔弾を放出する。そのまま火属性の弾丸はエルフ達の身体を貫き、前のめりに倒れこむ。
「ふんっ!!」
「「ごはぁっ!?」」
酒場の中で身体を縮こませていたゴンゾウが片腕を振るい、そのまま酒場に残っていた三人組を吹き飛ばし、壁に強かに打ち付けて気絶させる。これで一応は酒場内のエルフ達は全て倒した事になるが、レノはすぐに破壊された窓から外を確認し、
「……やばいな」
予想通りの光景が広がっており、舌打ちをする。すぐに他の者達も破壊された窓に駆け寄り、外の光景に唖然とする。
「出て来い!!ここに立て籠もっているのは分かっているぞ!!半端者であるレノ!!そして裏切り者のフレイめ!!」
そこには30人を越えるエルフ達の戦士の姿があり、酒場の正面で待ち構えていた。それぞれが弓矢の類を向けており、この調子ではこの酒場は完全に囲まれているのだろう。ここまでの人数が既に都市内部に侵入し、酒場の外にまで接近してきた事に気が付かなかったのはこちら側の不覚であり、これではテンペスト騎士団や警備兵に連絡を伝える暇が無い。
「たくっ……こりゃやばいね」
「……先手を打たれたか……」
「わふっ……すごい数です」
「むうっ……」
「うわ~……こりゃ、マジで逃げた方がいいんじゃないすか?」
「……抜け道があります。そこから逃げましょう」
「何故、普通の酒場の中に抜け道などがあるのが気になるでござるが……拙者も賛成でござる」
他の者たちも外の様子に気が付き、すぐに冷汗を流す。一流の森人族の戦士がこれだけ勢ぞろいし、さらには酒場に向けて今にも火矢を射かねない。普通に考えればここは逃げる事が正解だろう。酒場は下手をしたら焼き落とされるだろうが、それでも生き残る方が重要だ。
「出てくる」
「「えっ?」」
バタンッ……!
だが、レノだけは玄関口を抜け、そのまま外に飛び出す。全員が彼の行動に呆気にとられ、反応に遅れてしまう。
「……素直に出て来るとは感心だな。だが、相方はどうした!!」
「知らんがな」
外に出たレノは堂々とエルフ達の元に歩み寄り、エルフ達はそんな彼に忌々しげ顔を歪ませながら弓矢を構える。
(……こいつらもフレイの居場所は知らないのか)
先ほどの口振りから、深淵の森のエルフ達も「フレイ」の事を知らないようであり、もしかしたら1年半前の剣乱武闘の際、アイリィに放浪島に連れて行かれた後、フレイが森に戻らなかったことからエルフ達はフレイが裏切ったと判断した可能性も考えられる。
「まあいい……さあ、首を差し出せ。従わなければ他の者たちがどうなるかは分かるな?」
嫌な笑みを浮かべてくる年長のエルフに対し、レノは面倒気に周囲を見渡す。30人のエルフが1人残らず彼に視線を向けており、弓矢を構えている。普通に考えれば絶望的な状況なのだろうが、
「馬鹿馬鹿しい」
「何だと?」
これぐらいの状況など放浪島の北部山岳や地下迷宮で何度も味わってきた。周囲は敵で覆われ、頼れる者は自分だけ。だが、どんな時でも生き残るためにやる方法は1つしかない。それは「逃げる」ことではなく、死ぬ事から抗うために戦うことだけだ。
闘人都市の城門の方角から土煙が舞い起きてから数秒後、黒猫酒場の全ての窓が破壊される音が響き渡り、全員がそれぞれの方角に視線を向けると、複数の戦士装束を纏ったエルフ達が現れ、長剣を握りしめて全員がレノに向けて駆けだす。
「半端物がぁああああっ!!」
「死ねぇえええええっ!!」
エルフ達は他の者たちを全員無視してレノに駆け寄ろうとするが、
「うちの酒場に何すんだい!!」
「弁償しろっす!!」
「わふっ!!」
「せいっ!!」
『げふっ!?』
途中で激昂したバル達に遮られ、顔面を蹴られたり、剣の柄で腹部を突かれたり、中には股間を蹴りあげられた者もいる。それでも尚、襲撃者達の方が圧倒に多いので、彼女達を潜り抜けた者たちがレノに突進を仕掛けるが、
「雷伝」
バチィィイイイッ……!!
彼は既に左腕から銀の鎖を射出しており、電流を流しこみながら鞭の要領で振り回す。
「痺れろ!!」
「「ぎゃあぁあああああっ!?」」
そのまま鎖に絡めとられた襲撃者達は感電し、床に倒れこむ。その隙を逃さずに周囲の者たちが彼等を取り押さえる。
「く、くそ……!!」
「ほら!!大人しくしろっす!!」
「うちの店を荒らしやがって……覚悟は出来ているだろうね」
「拙者たちを舐めないで頂きたい!!」
天井から降り立ち、カゲマルは鎖から逃れた1人にクナイを向け、そのまま一閃する。
「鉄(くろがね)流……一の太刀」
「ぐあっ!?」
カゲマルが通り過ぎた瞬間にエルフの身体に一筋の斬撃が生まれ、そのまま倒れこむ。それを尻目にリノンも長剣を抜き放ち、新たに窓から現れたエルフ2人組に向けて、
「火炎剣!!」
「うおっ!?」
「くっ!!」
ズバァアアアアッ!!
炎を纏わせた刀身を振り払い、エルフ達が慌てて回避すると、彼女は剣を振り抜いた後を狙って攻撃を仕掛けてくる。流石に相手も手練れ揃いであり、そのままリノンに向けて刃を突き刺そうとするが、
「火針(ひばり)!!」
「ぐあっ!?」
「いぎゃあっ!?」
人差し指と中指を合わせ、いわゆる「ピストル」の形に変えると、リノンは無詠唱で火の魔弾を放出する。そのまま火属性の弾丸はエルフ達の身体を貫き、前のめりに倒れこむ。
「ふんっ!!」
「「ごはぁっ!?」」
酒場の中で身体を縮こませていたゴンゾウが片腕を振るい、そのまま酒場に残っていた三人組を吹き飛ばし、壁に強かに打ち付けて気絶させる。これで一応は酒場内のエルフ達は全て倒した事になるが、レノはすぐに破壊された窓から外を確認し、
「……やばいな」
予想通りの光景が広がっており、舌打ちをする。すぐに他の者達も破壊された窓に駆け寄り、外の光景に唖然とする。
「出て来い!!ここに立て籠もっているのは分かっているぞ!!半端者であるレノ!!そして裏切り者のフレイめ!!」
そこには30人を越えるエルフ達の戦士の姿があり、酒場の正面で待ち構えていた。それぞれが弓矢の類を向けており、この調子ではこの酒場は完全に囲まれているのだろう。ここまでの人数が既に都市内部に侵入し、酒場の外にまで接近してきた事に気が付かなかったのはこちら側の不覚であり、これではテンペスト騎士団や警備兵に連絡を伝える暇が無い。
「たくっ……こりゃやばいね」
「……先手を打たれたか……」
「わふっ……すごい数です」
「むうっ……」
「うわ~……こりゃ、マジで逃げた方がいいんじゃないすか?」
「……抜け道があります。そこから逃げましょう」
「何故、普通の酒場の中に抜け道などがあるのが気になるでござるが……拙者も賛成でござる」
他の者たちも外の様子に気が付き、すぐに冷汗を流す。一流の森人族の戦士がこれだけ勢ぞろいし、さらには酒場に向けて今にも火矢を射かねない。普通に考えればここは逃げる事が正解だろう。酒場は下手をしたら焼き落とされるだろうが、それでも生き残る方が重要だ。
「出てくる」
「「えっ?」」
バタンッ……!
だが、レノだけは玄関口を抜け、そのまま外に飛び出す。全員が彼の行動に呆気にとられ、反応に遅れてしまう。
「……素直に出て来るとは感心だな。だが、相方はどうした!!」
「知らんがな」
外に出たレノは堂々とエルフ達の元に歩み寄り、エルフ達はそんな彼に忌々しげ顔を歪ませながら弓矢を構える。
(……こいつらもフレイの居場所は知らないのか)
先ほどの口振りから、深淵の森のエルフ達も「フレイ」の事を知らないようであり、もしかしたら1年半前の剣乱武闘の際、アイリィに放浪島に連れて行かれた後、フレイが森に戻らなかったことからエルフ達はフレイが裏切ったと判断した可能性も考えられる。
「まあいい……さあ、首を差し出せ。従わなければ他の者たちがどうなるかは分かるな?」
嫌な笑みを浮かべてくる年長のエルフに対し、レノは面倒気に周囲を見渡す。30人のエルフが1人残らず彼に視線を向けており、弓矢を構えている。普通に考えれば絶望的な状況なのだろうが、
「馬鹿馬鹿しい」
「何だと?」
これぐらいの状況など放浪島の北部山岳や地下迷宮で何度も味わってきた。周囲は敵で覆われ、頼れる者は自分だけ。だが、どんな時でも生き残るためにやる方法は1つしかない。それは「逃げる」ことではなく、死ぬ事から抗うために戦うことだけだ。
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