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テンペスト騎士団編
初任務
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「さて……そろそろ本題に入ろうか」
「本題?」
「わぅんっ……み、耳はくすぐったいですぅ……」
「……139、140……」
「すぅっ……」
レノがポチ子の犬耳を弄り、彼女が頬を赤くして恥ずかしがり、ゴンゾウは広間の中で腕立て伏せを行い、コトミはレノに背中を預けて眠り込む。そんな4人組に呆れたようにリノンは溜息を吐きだし、
「全く……相変わらずだな。その順応性の高さは……お前なら何処に言っても生き残りそうだ」
「空に浮かぶ島とか地下迷宮とか?」
「……すまない、失言だった」
気まずそうに顔を反らすリノンに対し、レノは頭を搔く。別に特に気にしていないが、よくよく考えれば自分でもここまでよく生き残れたと思う。
「ま、まあそれはともかく……今回、第4部隊の隊長としてレノにはある任務を受けてもらう」
「任務……?」
テンペスト騎士団に入団した以上、自分だけの目的のために動くわけにもいかない。上からの命令は最低限従わなければならないのは承知している。リノンは長机の上に用意された地図を指差す。どうやらこの砦の周辺の物ではなく、別の場所を示す地図らしい。レノが地形に心当たりが無いため、まだ彼が立ち寄ったことが無い地域かもしれない。
「今回の任務は勇者達から得た情報の確認だ。まずはこれを見てくれ」
「……地図?」
「わうっ……この地図、見覚えがあります」
「……闘人都市から少し離れた森林地帯だ」
ポチ子とゴンゾウが地図を見ただけで正確な位置を把握し、普段は頼りなさげな2人だが、こういう時はやはり一流の戦士だと感心する。リノンは頷くと、地図上に映し出された森林地帯の一部を指さし、そこには小さな文字で「?」というマークが書き込まれていた。
「先日のパーティーの一件で、勇者殿達が「腐敗竜」の存在を知っていたにもかかわらず、その情報を秘匿していたのが発覚したのは覚えているな?」
「うん」
「はい」
「……うす」
「むにゃっ……?」
全員がリノンの言葉に頷く中、1人だけコトミは眠たそうに机にもたれかかる。そんな彼女を見て頭を抑えながらも「後で説明してくれ」とレノに告げる。
「先日、郷田殿から脅迫……いや、聞き出せた情報と他の勇者殿から確認したところで「第二の封印」と呼ばれる次の「ゴブリンキング」が眠っている場所が判明した」
「まさか……この場所が?」
「いや、この封印の場所というのが、どういうわけかそれぞれの勇者殿の話を聞いても、全く違う場所を指差すのだ。彼等は全員が同じ世界から訪ねてきたにもかかわらず、彼等の知識には相違があるらしい」
リノンの話によると、勇者達が現実世界で体験していた「MSW2」というオンラインゲームの知識に微妙な相違があるらしい。まず、比較的に真面な勇者を招き入れて「第二の封印」の場所を聞き出したのだが、郷田が吐いた情報とは微妙に違う場所だったらしい。
単純にこの2人のどちらかが嘘を付いている可能性もあるが、他の勇者達に尋ねてみたところ、彼ら同様に違う場所を提示し、共通している点はこの「森林地帯」に存在する「遺跡」という事だけだた。
一体なぜ、同じ世界で同じMSW2というオンラインゲームを体験しているにも関わらず、勇者たちの知っている知識が微妙に違うのかは不明だが、それでもこの森林地帯に次の災害であるゴブリンキングと呼ばれる存在が眠っている可能性は高い。
「この森には名前は無い。森人族が昔から住んでいるという噂もあり、規模はかなり大きい……テンペスト騎士団だけでは捜索するのに時間がかかり過ぎるが……」
「なるほど……そこで俺の出番という訳か」
「話が速くて助かる……頼りにしてるぞ?」
レノに視線が集まり、彼は面倒気に頭を搔く。レノの身体には「森人族」の血が流れているため、例えどのような状況だろうと自然の中ならば不利な状況に陥る可能性は少ない。レノは木々から魔力を吸収も可能であり、山暮らしのため他のどの種族よりも身軽に移動できる。最も、もしも本当に森人族が住んでいる森だとしたら色々と面倒事に巻き込まれそうではあるが。
「私達の騎士団には森人族はいないからな……そういう意味ではレノが入団してくれたのは有り難いんだ」
「わふっ……エルフの皆さん、私達の事を見下しますから」
「……俺、小さい頃に森に入ろうとしたら石を投げられた」
「俺なんてハーフエルフってだけで殺されそうになったけど」
「そ、そうなのか……」
小さい頃から人間と一緒に暮らしてきたレノには分からないが、エルフというのはそれほどまでに他種族を敵対しているのかと呆れる。基本的にレノも「森人族」の血を継いでいるが、特に他の種族に対して嫌悪感を抱いたことは無い。
単純にエルフというのは人間やハーフエルフに対してだけ敵対行動を取っていると思っていたが、彼等の話によると獣人や巨人族が相手でも敵意を向けるらしい。全ての種族の中で最も誇り高く、そして協調性が無いのが「森人族(エルフ)」であり、ある意味では魔物の活性化よりも厄介な相手である。
「本題?」
「わぅんっ……み、耳はくすぐったいですぅ……」
「……139、140……」
「すぅっ……」
レノがポチ子の犬耳を弄り、彼女が頬を赤くして恥ずかしがり、ゴンゾウは広間の中で腕立て伏せを行い、コトミはレノに背中を預けて眠り込む。そんな4人組に呆れたようにリノンは溜息を吐きだし、
「全く……相変わらずだな。その順応性の高さは……お前なら何処に言っても生き残りそうだ」
「空に浮かぶ島とか地下迷宮とか?」
「……すまない、失言だった」
気まずそうに顔を反らすリノンに対し、レノは頭を搔く。別に特に気にしていないが、よくよく考えれば自分でもここまでよく生き残れたと思う。
「ま、まあそれはともかく……今回、第4部隊の隊長としてレノにはある任務を受けてもらう」
「任務……?」
テンペスト騎士団に入団した以上、自分だけの目的のために動くわけにもいかない。上からの命令は最低限従わなければならないのは承知している。リノンは長机の上に用意された地図を指差す。どうやらこの砦の周辺の物ではなく、別の場所を示す地図らしい。レノが地形に心当たりが無いため、まだ彼が立ち寄ったことが無い地域かもしれない。
「今回の任務は勇者達から得た情報の確認だ。まずはこれを見てくれ」
「……地図?」
「わうっ……この地図、見覚えがあります」
「……闘人都市から少し離れた森林地帯だ」
ポチ子とゴンゾウが地図を見ただけで正確な位置を把握し、普段は頼りなさげな2人だが、こういう時はやはり一流の戦士だと感心する。リノンは頷くと、地図上に映し出された森林地帯の一部を指さし、そこには小さな文字で「?」というマークが書き込まれていた。
「先日のパーティーの一件で、勇者殿達が「腐敗竜」の存在を知っていたにもかかわらず、その情報を秘匿していたのが発覚したのは覚えているな?」
「うん」
「はい」
「……うす」
「むにゃっ……?」
全員がリノンの言葉に頷く中、1人だけコトミは眠たそうに机にもたれかかる。そんな彼女を見て頭を抑えながらも「後で説明してくれ」とレノに告げる。
「先日、郷田殿から脅迫……いや、聞き出せた情報と他の勇者殿から確認したところで「第二の封印」と呼ばれる次の「ゴブリンキング」が眠っている場所が判明した」
「まさか……この場所が?」
「いや、この封印の場所というのが、どういうわけかそれぞれの勇者殿の話を聞いても、全く違う場所を指差すのだ。彼等は全員が同じ世界から訪ねてきたにもかかわらず、彼等の知識には相違があるらしい」
リノンの話によると、勇者達が現実世界で体験していた「MSW2」というオンラインゲームの知識に微妙な相違があるらしい。まず、比較的に真面な勇者を招き入れて「第二の封印」の場所を聞き出したのだが、郷田が吐いた情報とは微妙に違う場所だったらしい。
単純にこの2人のどちらかが嘘を付いている可能性もあるが、他の勇者達に尋ねてみたところ、彼ら同様に違う場所を提示し、共通している点はこの「森林地帯」に存在する「遺跡」という事だけだた。
一体なぜ、同じ世界で同じMSW2というオンラインゲームを体験しているにも関わらず、勇者たちの知っている知識が微妙に違うのかは不明だが、それでもこの森林地帯に次の災害であるゴブリンキングと呼ばれる存在が眠っている可能性は高い。
「この森には名前は無い。森人族が昔から住んでいるという噂もあり、規模はかなり大きい……テンペスト騎士団だけでは捜索するのに時間がかかり過ぎるが……」
「なるほど……そこで俺の出番という訳か」
「話が速くて助かる……頼りにしてるぞ?」
レノに視線が集まり、彼は面倒気に頭を搔く。レノの身体には「森人族」の血が流れているため、例えどのような状況だろうと自然の中ならば不利な状況に陥る可能性は少ない。レノは木々から魔力を吸収も可能であり、山暮らしのため他のどの種族よりも身軽に移動できる。最も、もしも本当に森人族が住んでいる森だとしたら色々と面倒事に巻き込まれそうではあるが。
「私達の騎士団には森人族はいないからな……そういう意味ではレノが入団してくれたのは有り難いんだ」
「わふっ……エルフの皆さん、私達の事を見下しますから」
「……俺、小さい頃に森に入ろうとしたら石を投げられた」
「俺なんてハーフエルフってだけで殺されそうになったけど」
「そ、そうなのか……」
小さい頃から人間と一緒に暮らしてきたレノには分からないが、エルフというのはそれほどまでに他種族を敵対しているのかと呆れる。基本的にレノも「森人族」の血を継いでいるが、特に他の種族に対して嫌悪感を抱いたことは無い。
単純にエルフというのは人間やハーフエルフに対してだけ敵対行動を取っていると思っていたが、彼等の話によると獣人や巨人族が相手でも敵意を向けるらしい。全ての種族の中で最も誇り高く、そして協調性が無いのが「森人族(エルフ)」であり、ある意味では魔物の活性化よりも厄介な相手である。
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