253 / 1,095
テンペスト騎士団編
コトミ
しおりを挟む
レノはリノンの案内の元、訓練場から移動すると部隊長にだけ与えられるという特別な宿舎にまで案内される。宿舎は訓練場の建物の左隅に存在し、現在は団長であるジャンヌ、副団長であるリノン、そして3人の部隊長の部屋が並んでおり、一番片隅の部屋の扉には「レノ」と刻まれたプレートが埋め込まれていた。
ちなみにリノンと同じ副団長であるアルトはこの宿舎に部屋は無い。彼は王族であるため、任務中ならばともかく、寝泊りはバルトロス王国の王宮内で行っている。そのため、王国とこの砦を繋げる転移魔方陣がわざわざ用意されていた。
「ここがレノの部屋だ。既に団員達も集まっているからな」
「団員ねぇ……」
リノンに促され、レノはゆっくりと扉を開くと、予想通りの2人組の姿が見える。
「わふぅっ……お茶が美味しいです」
「……狭い」
まず、机に腰掛けている獣人「ポチ子」の姿が見え、壁側には窮屈そうに天井にぶつからないように体勢を低くする巨人族「ゴンゾウ」の姿が見える。この2人は予想通りだが、
「……お茶菓子、出来た」
その中に見知らぬ少女が混じっており、机の上に大量のお茶菓子を運び込む。レノの記憶には存在しない相手であり、始めて見る相手だった。
――容姿は腰元にまで届くほどの美しく、青みがかった綺麗な銀髪であり、そして何故か猫耳ような癖っ毛もあった。人形のように整った可愛い顔立ち、宝石のような紫色の瞳、体型は170センチと女性としては長身であり、リノンやヨウカよりも大きい推定Gカップの巨乳、その胸に反比例したかのような締まった腹部、安産型のお尻が目立つ。
見覚えはないが、何処となく身に着けている装備はワルキューレ騎士団の魔術師を想像させる霊草であり、背中には青い魔石の装飾が施された鉄製の杖を装備し、恐らくは「水属性」を得意とする魔術師だろう。
「あ、レノさんです!!」
「……レノ?」
「……?」
こっそりと扉を開いて覗いていただけだが、ポチ子がこちらに視線を向けて嬉しそうに犬耳と尻尾を振り、ゴンゾウも顔を向けて立ち上がろうとしたため、天井に頭をぶつける。最後に少女が顔を向けるが、じっと見つめて来るだけで何も反応しない。まるで時間が止まったかのように身動きしない彼女に冷や汗を流しながらも、後方のリノンに促されて室内に入り込む
部屋と言っても、どちらかというと広間であり、10数人の人間が収納できるほどの広さだ。それでも扉の出入口は普通の人間サイズであり、一体どうやって巨人族のゴンゾウが侵入したのかが気にかかるが、
「……俺、あそこから入った」
レノの疑問を感じ取り、ゴンゾウは広間の窓を指さす。大きさは普通の窓だが、1つだけやたらと巨大な窓、というよりは出入口が存在しており、ここから彼は入り込んだのだろう。
「レノさんレノさん!!昨日ぶりです!!」
「はいはい。待てっ」
「わぅんっ!!」
パタパタと尻尾を振り回しながら近寄ってくるポチ子の頭を撫で回し、「わふぅ~」と彼女は嬉しそうな鳴き声を上げながらレノの腰元に両手を回す。その際に急成長した彼女の胸が押し付けれられるが、特に反応はしない。彼女の場合は「女」というよりも「ペット」という感覚が強い。
慣れた様子で彼女を引き離し、最後に見知らぬ少女の方に顔を向けると、彼女は眠たそうに瞼をこすりながら、
「……初めまして」
「……どうも」
一言だけ告げて頭を下げると、そのまま黙り込む。
(え、それだけ!?)
「あ~……ごほん、コトミさん?まずは自己紹介から始めようか」
「……了解」
見かねたリノンが少女に声を掛けると、彼女は頷いてレノと向かい合うと、
「……ワルキューレ騎士団三番隊の隊員、コトミです。テン団長の言いつけで、レノの援護にやってきた……」
「援護……?」
「……あっ、間違えた……護衛だった」
やたらとゆったりとした説明だが、だいたいの正体は掴めた。ワルキューレ騎士団の団長である「剛腕のテン」がレノのために送り込んだ女騎士らしい。説明を終えると、彼女は再びじっとレノの顔を見つめ、彼は困った風にリノンに視線を向けるが、彼女も頭を搔いて首を振る。
「……昨日、突然現れたと思ったらこの手紙を手渡されてな……レノ宛だったようだが、悪いが先に確認した」
彼女は机の上に放置されている1枚の羊皮紙を手にし、レノに手渡す。すぐに内容を読み上げると、ワルキューレ騎士団の総団長であるテンからレノに宛の手紙で間違いない。
テンの性格らしく、豪快な文章が羊皮紙に刻まれており、内容はレノの今後の行動のために「コトミ」を補佐として送り込み、世界各地に広がる聖導教会に所属しているワルキューレ騎士団も協力するとの事。
今後の活動で「ワルキューレ騎士団」の協力を仰ぎたい場合、彼女を通して頼みこめばいいらしく、また彼女自身も相当な実力者らしい。
「……レノは私が守る」
「うわっ!?」
何時の間にか背後に移動していたコトミに声を掛けられ、慌てて距離を取る。彼女は不思議そうな表情を浮かべるが、簡単に背後を取られたことにレノは驚きを隠せない。油断していたとはいえ、レノがここまで接近を許すなど手紙の内容通り、相当な実力者なのは本当かもしれない。
ちなみにリノンと同じ副団長であるアルトはこの宿舎に部屋は無い。彼は王族であるため、任務中ならばともかく、寝泊りはバルトロス王国の王宮内で行っている。そのため、王国とこの砦を繋げる転移魔方陣がわざわざ用意されていた。
「ここがレノの部屋だ。既に団員達も集まっているからな」
「団員ねぇ……」
リノンに促され、レノはゆっくりと扉を開くと、予想通りの2人組の姿が見える。
「わふぅっ……お茶が美味しいです」
「……狭い」
まず、机に腰掛けている獣人「ポチ子」の姿が見え、壁側には窮屈そうに天井にぶつからないように体勢を低くする巨人族「ゴンゾウ」の姿が見える。この2人は予想通りだが、
「……お茶菓子、出来た」
その中に見知らぬ少女が混じっており、机の上に大量のお茶菓子を運び込む。レノの記憶には存在しない相手であり、始めて見る相手だった。
――容姿は腰元にまで届くほどの美しく、青みがかった綺麗な銀髪であり、そして何故か猫耳ような癖っ毛もあった。人形のように整った可愛い顔立ち、宝石のような紫色の瞳、体型は170センチと女性としては長身であり、リノンやヨウカよりも大きい推定Gカップの巨乳、その胸に反比例したかのような締まった腹部、安産型のお尻が目立つ。
見覚えはないが、何処となく身に着けている装備はワルキューレ騎士団の魔術師を想像させる霊草であり、背中には青い魔石の装飾が施された鉄製の杖を装備し、恐らくは「水属性」を得意とする魔術師だろう。
「あ、レノさんです!!」
「……レノ?」
「……?」
こっそりと扉を開いて覗いていただけだが、ポチ子がこちらに視線を向けて嬉しそうに犬耳と尻尾を振り、ゴンゾウも顔を向けて立ち上がろうとしたため、天井に頭をぶつける。最後に少女が顔を向けるが、じっと見つめて来るだけで何も反応しない。まるで時間が止まったかのように身動きしない彼女に冷や汗を流しながらも、後方のリノンに促されて室内に入り込む
部屋と言っても、どちらかというと広間であり、10数人の人間が収納できるほどの広さだ。それでも扉の出入口は普通の人間サイズであり、一体どうやって巨人族のゴンゾウが侵入したのかが気にかかるが、
「……俺、あそこから入った」
レノの疑問を感じ取り、ゴンゾウは広間の窓を指さす。大きさは普通の窓だが、1つだけやたらと巨大な窓、というよりは出入口が存在しており、ここから彼は入り込んだのだろう。
「レノさんレノさん!!昨日ぶりです!!」
「はいはい。待てっ」
「わぅんっ!!」
パタパタと尻尾を振り回しながら近寄ってくるポチ子の頭を撫で回し、「わふぅ~」と彼女は嬉しそうな鳴き声を上げながらレノの腰元に両手を回す。その際に急成長した彼女の胸が押し付けれられるが、特に反応はしない。彼女の場合は「女」というよりも「ペット」という感覚が強い。
慣れた様子で彼女を引き離し、最後に見知らぬ少女の方に顔を向けると、彼女は眠たそうに瞼をこすりながら、
「……初めまして」
「……どうも」
一言だけ告げて頭を下げると、そのまま黙り込む。
(え、それだけ!?)
「あ~……ごほん、コトミさん?まずは自己紹介から始めようか」
「……了解」
見かねたリノンが少女に声を掛けると、彼女は頷いてレノと向かい合うと、
「……ワルキューレ騎士団三番隊の隊員、コトミです。テン団長の言いつけで、レノの援護にやってきた……」
「援護……?」
「……あっ、間違えた……護衛だった」
やたらとゆったりとした説明だが、だいたいの正体は掴めた。ワルキューレ騎士団の団長である「剛腕のテン」がレノのために送り込んだ女騎士らしい。説明を終えると、彼女は再びじっとレノの顔を見つめ、彼は困った風にリノンに視線を向けるが、彼女も頭を搔いて首を振る。
「……昨日、突然現れたと思ったらこの手紙を手渡されてな……レノ宛だったようだが、悪いが先に確認した」
彼女は机の上に放置されている1枚の羊皮紙を手にし、レノに手渡す。すぐに内容を読み上げると、ワルキューレ騎士団の総団長であるテンからレノに宛の手紙で間違いない。
テンの性格らしく、豪快な文章が羊皮紙に刻まれており、内容はレノの今後の行動のために「コトミ」を補佐として送り込み、世界各地に広がる聖導教会に所属しているワルキューレ騎士団も協力するとの事。
今後の活動で「ワルキューレ騎士団」の協力を仰ぎたい場合、彼女を通して頼みこめばいいらしく、また彼女自身も相当な実力者らしい。
「……レノは私が守る」
「うわっ!?」
何時の間にか背後に移動していたコトミに声を掛けられ、慌てて距離を取る。彼女は不思議そうな表情を浮かべるが、簡単に背後を取られたことにレノは驚きを隠せない。油断していたとはいえ、レノがここまで接近を許すなど手紙の内容通り、相当な実力者なのは本当かもしれない。
0
お気に入りに追加
486
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる