種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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テンペスト騎士団編

テンペスト騎士団の訓練場

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バルトロス王国の都市から数キロほど離れた平原には巨大な建築物が建てられており、普段から300人ほどのテンペスト騎士団員のたちが常務している。そして、現在この砦の中の会議室には複数の人物が集まっており、その中にはリノンとレノの姿もあり、二人の目の前には見知らぬ三人の騎士が立っていた。


「――と、言うわけでこの度に我がテンペスト騎士団に入団したレノだ。よろしく頼むぞ皆!」
「……どうも」


若干ハイテンション気味のリノンの説明が終えると、レノは目の前に居る見知らぬ3人の「部隊長」に頭を下げる。


「へぇ~……この子があのハーフエルフの子にゃ?随分と若いにゃね」


すぐに目の前のバルと同じく猫型の獸人の女性が反応し、興味深そうにレノを見つめてくる。


「ふんっ……俺は信じんぞ。こんな子供が伝説の腐敗竜を討伐したなんて……」


その右横には30代のいかつい顔つきの人間の男が立っており、こちらは豪華な鎧を着込んいる。


「拙者も同感でござる。見たところ、まだ子供ではござらぬか?我々テンペスト騎士団の入団条件は満たしているとは思えぬでござるが……」


最後に左横の全身をまるで現実世界の忍者を思わせる黒装束を身に纏い、頭部の部分は「オーガ」を模した骨の仮面で覆い隠す女がレノを観察する。外見や声で年若い女性だとは分かるが、彼女を見ても周囲の者達が可笑しな表情を浮かべないのがシュールな光景である。



――レノの目の前にいるこの3人は、ジャンヌを団長とした「テンペスト騎士団」の3人の「部隊長」であり、実質的に彼らが1000名を超える団員達を動かしているといっても過言ではない。



団長であるジャンヌも、その補佐として副団長であるアルトもリノンも基本的に危険性が高い任務の際は自分達が最前線に赴くため、他の団員たちはこの三人の指示に従っている事が多い。3人は冒険者の団員から選ばれた物が1名、そして王国側から派遣された騎士が1名であり、最後に長らくの間、王国の諜報部隊として活躍していた1名であり、ジャンヌが騎士団の大黒柱ならば、この3人は支柱的な存在である。


まず第一部隊の隊長を勤める猫の獣人は「キティ」と呼ばれ、本人曰く本名ではないらしいが、この名前の方が覚えやすいため、そう名乗っているとの事。元は冒険者ギルドのギルド長を務めていた時期もあり、素質は十分だった。


次に第二部隊の隊長はレノに対して傲慢な態度を取る人間の男の名前は「ゴルス」元々は王国に仕えるストームナイツ騎士団の団員だったが、国王の命によってこちらの騎士団に異動した。実力は確かだが、性格に難があるため、副団長の座には付けなかった。


そして最後の第三部隊の隊長は謎の黒装束の人物、こちらに関してはテンペスト騎士団に入団する前から王国に仕え、世界各地の情報収集を行い、時には暗殺なども行っていたという。彼女の部隊は別名が「隠密部隊」と呼ばれており、情報収集能力は間違いなく王国一を誇る。名前は「カゲマル」であり、本名かどうかは不明。


「これからレノにも団員の試験を受けてもらう。とは言え、一応は形式のようなものだが」


リノンが複雑そうな面持ちで答える。彼女としては試験など受けなくても、レノの実力ならば騎士団の入団試験など問題ないように思えるが、そういうわけにもいかない。


「入団試験の内容は事前に教えた通り、魔力容量の検査と、魔水晶(クリスタル)による魔力の相性検査、あとは実戦試験だな」
「ちょっと待ってもらおうか、副団長よ。何故、体力試験は免除されている?」
「必要ないからだ。彼は魔術師として入団する」
「魔術師でござるか……?聞くところ、ゴーレムを殴り飛ばしたり、腐敗竜を相手に蹴りつけたと聞いているでござるが……」


テンペスト騎士団の入団試験は二通りあり、一般冒険者や兵士が入団する際には「体力検査」も行う必要があり、魔術師の場合は魔力関連の検査を行うだけで体力検査は免除される。魔術師はあくまでも魔法が仕えるかどうか重要なのだ。

大半の魔術師という職業はその人生の大半を魔法の研究に費やすため、冒険者や兵士のように身体を鍛える暇があれば魔法の追及を行っている。そのため、魔術師は完全な実力社会であり、仮に入団を果たしても功績を上げなければすぐに退団される。ある意味では冒険者の方が騎士団に入団した者が長続きするという。


「魔術師の試験は御三方に任せる。一応は私も見学に参加するが、試験内容については口を出さない」
「はいにゃ」
「……招致」
「分かったでござる」


三人が承諾するのを確認し、リノンはレノの方向に顔を向け、彼から「S級冒険者」の証である紋章のペンダントを受け取る。


「これは試験が終了するまで私が預かって置こう……頑張れ」
「はいよ」


耳元に小声で激励され、レノは適当に返事をすると、彼女は笑みを浮かべて立ち去っていく。残されたのはござる口調の「カゲマル」だけであり、彼女はレノに視線を向け、


「拙者に付いてくるでござる」
「分かりました……でござる」
「……別に拙者の口癖は真似しないで言いでござるが……」


カゲマルはレノを背にして歩みだし、テンペスト騎士団専用の訓練場へと案内された。
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