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腐敗竜編
絶体絶命
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「はぁああああっ!!」
難なく地面に着地し、全身に魔力を走らせて肉体強化を行い、ジャンヌは疾走する。村に存在する全てのアンデットは先行したワルキューレ騎士団に集中していたため、障害物は無い。そのまま一気に地面を駆け抜け、勢いよく助走をつけて彼女は跳躍し、近くの建物の屋根に飛び上がる。
「行きますっ……!!」
ドンッ!!ドォンッ!!
村の建物の屋根裏に次々と跳躍し、地面に散らばるアンデットを無視しながら、遂に寝そべっている腐敗竜の一番近くの木造の家の屋根裏に着地し、全身のありったけの魔力を脚部に注ぎ込み、
ドォオオオンッ!!
屋根どころか、家そのものを崩壊させる勢いで大きく跳躍しながら、ジャンヌは燃え盛る「レーヴァティン」を握りしめ、未だに地面に横たわる腐敗竜に向けて刀身を震わせる。
「はぁああああああっ!!」
ボォオオオオオオッ!!
まるでロケット噴射のように刀身の炎が吹き出し、彼女は腐敗竜の背中側に剣を振るわせた瞬間、激しい発光が村中に広がり、アンデットやワルキューレ達も目が眩む。
――ガキィイイイイインッ!!
「なぁっ――!?」
だが、予想外の衝撃がジャンヌの両手に広がり、レーヴァティンの刃が腐敗竜の周囲に存在する透明の「膜」のような物が斬撃を弾き返す。一瞬、何が起きたのか理解できなかったが、すぐにジャンヌは腐敗竜の周囲に結界のような物が張られている事に気が付く。
聖剣の一撃を防ぎきるほどの「プロテクト(防御魔法陣)」を腐敗竜に施した者がいるのかと焦ったが、すぐにジャンヌが攻撃した個所から透明の膜に罅が広がり、
バキィィイインッ!!
まるでガラスが崩壊したかのような音が鳴り響き、透明の膜は砕け散り、周囲に飛び散る。彼女はその破片を拾いあげ、その正体に気付く。
「氷……!?」
理由は不明だが、恐ろしく透明度が高い氷の壁が腐敗竜を覆い、レーヴァティンの最大の一撃を防いだのだ。ジャンヌは何者かが事前に腐敗竜の周囲に氷壁の結界を作りだし、外部からの攻撃を守っていた事に気が付く。
今の今まで、ワルキューレ騎士団とアンデットの戦闘や、攻撃を仕掛けたジャンヌに腐敗竜がこちらに意識を向けなかった理由は、単純に氷壁に遮断されて外部の音が聞こえなかったのだ。
「グロロロッ……?」
ズズンッ……!!
流石に異変に気付いたのか、腐敗竜は横たわらせた身体を起き上げ、その巨体がジャンヌたちの方向に振り向く。
「うわっ……」
「うぐっ……」
「す、すごい……」
「くそったれ……!!」
「……これがっ……」
ドスンッ!!
「――グォオオオオオオオッ!!」
ドラゴンゾンビは森中に広がる咆哮を上げ、その巨大な身体を向ける。想像以上の巨体であり、間違いなく20メートルは超えている。腐敗竜の名にふさわしく、肌はところどころが腐っており、穴だらけの羽を震わせ、片目は完全に無くなっており、凄まじい死臭が辺りに広がっていく。
すぐにワルキューレ騎士団とジャンヌはあまりの悪臭に口元を抑えるが、今までジャンヌの出現で硬直していたアンデットたちが、まるで腐敗竜の身体から放出される呪詛に反応するように動き出す。
「がぁあああああああっ!!」
「くそッ……!!またこいつら!!」
「馬鹿!!口を開くな!!」
気を取り戻したようにアンデット達はワルキューレの女騎士に襲い掛かり、彼女たちは疲弊した肉体で応戦する。ジャンヌはすぐに援軍に向かおうとしたが、
「あんたは力を溜めろ!!あの腐れドラゴンを消し炭にしな!!」
「くっ……!!」
テンに怒鳴られ、彼女は唇をかみしめながらその場に留まる。しかし、既にアンデットたちは地面に降り立ったジャンヌの元にも向かっている。
すぐに聖剣を使用しようとしたが、先ほどの一撃の影響か、上手く炎が発現できない。この聖剣は刀身に魔力をを蓄積させなければ効果は発揮しないのだ。仕方なく、自分の背中に収めた聖斧(ジャイアント・キリング)を抜き取り、聖剣を鞘に収める。
「ディバイン・クラッシュ!!」
ズガァアアアアアンッ!!
「「ぎゃあぁああああああっ!?」」
聖斧を振り上げ、地面に叩き込んだ瞬間、まるでアルトの「ディバインスラッシュ」を思わせる光の魔力が地面を抉りながら放たれ、正面に向かってくるアンデットたちを薙ぎ倒す。だが、数十体を葬った所で周囲に存在する1000を超えるアンデット達はすぐに迫ってくる。
「くそっ……うわぁあああっ!?」
「いやぁああああっ!!」
「ひぃいいいいいいいっ!?」
遂に本格的にワルキューレ達にも犠牲者が続出し、アンデット達の勢いは増していく。
「ガァアアアアアッ……!!」
ビュオォオオオオッ……!!
さらに傍観を決め込んでいた腐敗竜が大きく口を開き、吐息を放つ。それだけで周囲に呪詛が放たれ、ワルキューレとジャンヌの身体に異変が起きる。
「くっそ……!!」
「これは……まずい……!!」
ワルキューレの「退魔武装」ジャンヌは複数の聖属性の「魔石」で肉体に呪詛の対抗力を身に着けているが、腐敗竜の口から直接放たれた吐息は凄まじく、まるで自分の体重が何倍にも増加したような感覚に陥る。
「「うがぁああああああっ!!」」
無数の村人と王国兵士のアンデットが入り乱れ、数の暴力で押し潰しにかかった――
難なく地面に着地し、全身に魔力を走らせて肉体強化を行い、ジャンヌは疾走する。村に存在する全てのアンデットは先行したワルキューレ騎士団に集中していたため、障害物は無い。そのまま一気に地面を駆け抜け、勢いよく助走をつけて彼女は跳躍し、近くの建物の屋根に飛び上がる。
「行きますっ……!!」
ドンッ!!ドォンッ!!
村の建物の屋根裏に次々と跳躍し、地面に散らばるアンデットを無視しながら、遂に寝そべっている腐敗竜の一番近くの木造の家の屋根裏に着地し、全身のありったけの魔力を脚部に注ぎ込み、
ドォオオオンッ!!
屋根どころか、家そのものを崩壊させる勢いで大きく跳躍しながら、ジャンヌは燃え盛る「レーヴァティン」を握りしめ、未だに地面に横たわる腐敗竜に向けて刀身を震わせる。
「はぁああああああっ!!」
ボォオオオオオオッ!!
まるでロケット噴射のように刀身の炎が吹き出し、彼女は腐敗竜の背中側に剣を振るわせた瞬間、激しい発光が村中に広がり、アンデットやワルキューレ達も目が眩む。
――ガキィイイイイインッ!!
「なぁっ――!?」
だが、予想外の衝撃がジャンヌの両手に広がり、レーヴァティンの刃が腐敗竜の周囲に存在する透明の「膜」のような物が斬撃を弾き返す。一瞬、何が起きたのか理解できなかったが、すぐにジャンヌは腐敗竜の周囲に結界のような物が張られている事に気が付く。
聖剣の一撃を防ぎきるほどの「プロテクト(防御魔法陣)」を腐敗竜に施した者がいるのかと焦ったが、すぐにジャンヌが攻撃した個所から透明の膜に罅が広がり、
バキィィイインッ!!
まるでガラスが崩壊したかのような音が鳴り響き、透明の膜は砕け散り、周囲に飛び散る。彼女はその破片を拾いあげ、その正体に気付く。
「氷……!?」
理由は不明だが、恐ろしく透明度が高い氷の壁が腐敗竜を覆い、レーヴァティンの最大の一撃を防いだのだ。ジャンヌは何者かが事前に腐敗竜の周囲に氷壁の結界を作りだし、外部からの攻撃を守っていた事に気が付く。
今の今まで、ワルキューレ騎士団とアンデットの戦闘や、攻撃を仕掛けたジャンヌに腐敗竜がこちらに意識を向けなかった理由は、単純に氷壁に遮断されて外部の音が聞こえなかったのだ。
「グロロロッ……?」
ズズンッ……!!
流石に異変に気付いたのか、腐敗竜は横たわらせた身体を起き上げ、その巨体がジャンヌたちの方向に振り向く。
「うわっ……」
「うぐっ……」
「す、すごい……」
「くそったれ……!!」
「……これがっ……」
ドスンッ!!
「――グォオオオオオオオッ!!」
ドラゴンゾンビは森中に広がる咆哮を上げ、その巨大な身体を向ける。想像以上の巨体であり、間違いなく20メートルは超えている。腐敗竜の名にふさわしく、肌はところどころが腐っており、穴だらけの羽を震わせ、片目は完全に無くなっており、凄まじい死臭が辺りに広がっていく。
すぐにワルキューレ騎士団とジャンヌはあまりの悪臭に口元を抑えるが、今までジャンヌの出現で硬直していたアンデットたちが、まるで腐敗竜の身体から放出される呪詛に反応するように動き出す。
「がぁあああああああっ!!」
「くそッ……!!またこいつら!!」
「馬鹿!!口を開くな!!」
気を取り戻したようにアンデット達はワルキューレの女騎士に襲い掛かり、彼女たちは疲弊した肉体で応戦する。ジャンヌはすぐに援軍に向かおうとしたが、
「あんたは力を溜めろ!!あの腐れドラゴンを消し炭にしな!!」
「くっ……!!」
テンに怒鳴られ、彼女は唇をかみしめながらその場に留まる。しかし、既にアンデットたちは地面に降り立ったジャンヌの元にも向かっている。
すぐに聖剣を使用しようとしたが、先ほどの一撃の影響か、上手く炎が発現できない。この聖剣は刀身に魔力をを蓄積させなければ効果は発揮しないのだ。仕方なく、自分の背中に収めた聖斧(ジャイアント・キリング)を抜き取り、聖剣を鞘に収める。
「ディバイン・クラッシュ!!」
ズガァアアアアアンッ!!
「「ぎゃあぁああああああっ!?」」
聖斧を振り上げ、地面に叩き込んだ瞬間、まるでアルトの「ディバインスラッシュ」を思わせる光の魔力が地面を抉りながら放たれ、正面に向かってくるアンデットたちを薙ぎ倒す。だが、数十体を葬った所で周囲に存在する1000を超えるアンデット達はすぐに迫ってくる。
「くそっ……うわぁあああっ!?」
「いやぁああああっ!!」
「ひぃいいいいいいいっ!?」
遂に本格的にワルキューレ達にも犠牲者が続出し、アンデット達の勢いは増していく。
「ガァアアアアアッ……!!」
ビュオォオオオオッ……!!
さらに傍観を決め込んでいた腐敗竜が大きく口を開き、吐息を放つ。それだけで周囲に呪詛が放たれ、ワルキューレとジャンヌの身体に異変が起きる。
「くっそ……!!」
「これは……まずい……!!」
ワルキューレの「退魔武装」ジャンヌは複数の聖属性の「魔石」で肉体に呪詛の対抗力を身に着けているが、腐敗竜の口から直接放たれた吐息は凄まじく、まるで自分の体重が何倍にも増加したような感覚に陥る。
「「うがぁああああああっ!!」」
無数の村人と王国兵士のアンデットが入り乱れ、数の暴力で押し潰しにかかった――
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