種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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闘人都市編

闇属性

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「なっ……バ、バク!!」


小柄な男がミキの光線によって吹き飛ばされ、盗賊頭らしき男が吹き飛ばされた彼に驚いた表情をを浮かべる。どうやら10メートル先まで飛ばされたらしく、ぴくぴくと身体を痙攣させながら気絶しているようだった。

慌てて彼はバクという男の元に駆け込もうとしたが、すぐに後方のミキが詠唱を始める。先ほどの魔法は無詠唱だが、今回はかなり長めの詠唱を行っている。以前にも聞いたことがある呪文であり、確か雷天のゴウとの戦闘の際に使った砲撃魔法だった。恐らくは彼女が扱う魔法の中でも1、2を誇る砲撃魔法に間違いないだろう。


「ちょ、ちょっと待て!!お前、修道女だろ!?こんな一方的な暴行……!!」
「盗賊に精霊の慈悲はありませんよ!!セイント・フォース!!」


ズドォオオオオンッ!!


彼女が構えた杖先から凄まじい光の奔流が放たれ、盗賊頭に向けて容赦なく放たれる。彼は無様に悲鳴を上げながら頭を伏せると、


「――……面倒を掛けるな」


ブゥンッ!!


突如、盗賊頭の前に「魔方陣」が生み出される。その形は以前にミキがゴウとの戦いで展開した五芒星の防御魔法陣の色違いであり、彼女が生み出した魔方陣の色は白色だが、こちらは黒色の魔方陣だ


ゴォオオオオオッ……!!


「なっ……!?」
「きゅ、吸収!?」
「これは……」


ミキの杖先から放たれる光線を、「魔方陣」は防御というよりは正面から「飲み込む」ように掻き消し、彼女が放った「セイント・フォース」は消滅する。魔方陣は光線を吸収すると、黒色の魔方陣はすぐに掻き消え、盗賊頭はきょとんとした顔つきで周囲を見渡している。何故、自分が無事なのか分かっていないようだ。

どうやら先ほどの魔方陣は彼の物ではなく、すぐにも路地裏から黒いフードを被った人物が現れ、盗賊頭に接近する。


「無事か?」
「あ、あんた………へっ、助かったぜ」


フードの人物が現れた途端、男は余裕を取り戻したように笑みを浮かべると、すぐにレノ達に顔を向ける。


「へへっ……先生お願いします」
「……報酬は高いぞ」
「そ、その話は後でしましょうね……まずはあいつ等をとっちめてやってくださいよ!!」
「仕方ない……」


彼、もしくは彼女は盗賊頭の前に出ると、フードで全身を覆いながらもミキの方に視線を向けてくる。彼女は訝しげに眉を顰めると、フードの人物は懐から杖を取り出し、一体どうやって隠していたのか随分と長ったらしい黒い杖(全長1メートル程)だった。


「ダーク・フォース」


ボウッ……!!


杖先から黒い魔力が形成され、ミキはそれを見た瞬間、目を見開き、


ズドォォオオオオンッ!!


レノ達に向けられて先ほどの「セイント・フォース」とは真逆の「黒色」の光線が放たれる。闇に紛れて放たれた砲撃魔法に対し、ミキはすぐに杖を取り出して最高ランクの防御魔法陣を展開する。


「プロト・アイギス!!」


――ブゥンッ!!


ミキがレノ達の前に出ると、無詠唱で最高防御を誇る「アイギス」を展開させる。以前にあの「雷天のゴウ」の電撃さえ防ぎ切った魔法だが、


ドゴォォオオオオッ!!


「ぐっ……!!」
「マザー!?」
「下がれ!!」


アイギスの魔方陣に黒い光の奔流に襲い掛かり、あれほどゴウの電撃でさえ防いだ魔方陣が、すぐに罅が生じる。時間が無かったため、無詠唱(魔力消費が激しい)で行ったことを考えても、途轍もない魔法の威力であり、少なくとも先ほどのミキが放ったセイント・フォースよりも遥かに威力が強力だった。

レノは魔方陣が崩壊する前にフードの人物の意識を削ぐために動き出す。まずは呆然としているヨウカにバルを放り投げ(「わうっ!?」「ふにゃッ?」という声を後方から聞こえたが)、そのままその場を離れると掌を男に向ける。


「乱刃!!」


ドォオオンッ!!


通常の嵐弾では恐らく通じないため、瞬時に左手の「聖痕」を使用して巨大な嵐の刃を形成して解き放つ。嵐の刃は真っ直ぐに片手で砲撃魔法を放つフードの人物に向かうが、


「ダーク・レイ」


空いている片手をレノに向け、今度は黒色の球体を生み出し、嵐の刃を受け止める。


バシュッ!!


いとも容易く、乱刃を消散させた黒い球体は真っ直ぐにレノに放たれ、まさか正面からこうまであっさりと簡単に魔法を破られるとは思わず、レノは咄嗟に短剣を構える。


「くっ……!!」


ズバァアアアアッ!!


ミキから渡された短剣は聖属性以外の魔法を防ぐ無効化し、使用方法を変えれば魔法のように斬り裂くことも出来る。球体を斬り付ける際に相当な衝撃が腕に走るが、何とかかき消すことに成功する。


「ほうっ……」


レノの行動に驚いたのか、杖先の「ダーク・フォース」を停止させ、此方に顔を向ける。


「くっ……」
「マザー!?」
「ふえっ……えっ?何?」


ボロボロに朽ちかけたアイギスを解除し、ミキは膝をつく。その傍でヨウカが慌てて彼女を抱き留め、意識を戻したバルは何が何だが分からないという風に辺りを見渡す。そんな彼女たちに気を使う暇は無く、レノはフードの人物から目を離せない。相手は黙って此方の方に身体を向け、


「その左手……お前もか?」
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