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聖痕回収編
植物操作
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周辺の木々が異様にざわめき、レノが咄嗟にアルファに攻撃を仕掛けようとした途端、異変が生じた。
ガシィッ!!
「なっ……!?」
近くの樹木に絡みついちていた植物の蔓がまるで蛇の如くレノの右足に絡みつき、そのまま巻き付いてくる。
「このっ!!」
「無駄な足搔きですよ」
ギュウゥウウッ……!!
レノは咄嗟に短剣で切り落とすが、次々と新しい蔓が巻き付いてくる。数秒としないうちに、レノは身体全体を蔓で拘束されてしまう。アルファはそれを確認すると、掌を地面から離し、余裕の笑みを浮かべて木刀を彼の喉元に構える。
「どうです……?これが本物のエルフの力ですよ?」
「……何をした?」
「ちょっと珍しい「植物魔法」という奴ですよ。エルフの「族長」として選出された者だけが許される禁術……というのは冗談ですがね」
彼はレノの身体に巻き付いている蔓の1つを掴み上げ、魔力を流し込む動作を行うとすぐに肉体強化を施されたレノの身体に纏わりつく蔓が万力のように絞め付けてくる。
「ぐあっ……!?」
「ふん……肉体強化の術ですか、悪あがきを!!」
ぎゅうぅうううっ……!!
よりいっそうに絞め付ける力が強まり、まるで身体全身を無数の蛇に巻き付かれている感覚に襲われるが、レノが苦悶の表情を浮かべるのを確認するとアルファは蔓を手離す。彼の手が離れた途端に締め付ける力が弱まり、一気に楽になるが拘束されている事に変わりはない。
幸いというか、短剣は握りしめたままであり、思うように手首が動かせないため蔓を切り落とすことは出来ないが、同時に違和感を抱く。
(……?)
不思議な事に絞めつけてくる蔓から「魔力」が流れ込み、レノの肉体に異変が起きる。肉体強化で痛覚さえも倍増されているが、魔力を流し込まれることで少しだけだが痛みが和らぐ。
以前にも似たような感覚に何度か覚えがある。最初に放浪島の山岳地帯で雪山を歩く中、休憩するために樹木に背もたれしながら倒れ込んだとき、背中から暖かい魔力が送り込まれた。森人族は植物から魔力を吸収する能力が存在し、彼等の血を受け継いでいるレノも同じ能力を持っていても可笑しくはない。
(そうか……そう言う事か……)
耳を澄まして見ると、まるで周囲の木々が悲鳴を上げているように聞こえる。無理やりアルファの魔法に操られ、レノを縛りつけることを嫌がっているようにも思えた。
「……まだ随分と余裕がありますね?ですが、これで終わりですよ」
「うぐあっ……!?」
ぎゅうぅううううっ……!!
再度、アルファが蔓を掴んだ瞬間に大量の魔力が流し込まれ、すぐにも蔓が万力のように締め付けてくる。だが、レノは何とか口を開き、呪文を詠唱することで、
バチィィイイイッ!!
「何!?」
「がぁああああああっ……!!」
強制的に「反魔紋」を発動させ、夥しい電流を身体に流し込むことで、蔓全体に煙が舞う。慌ててアルファが手を離したすきに、レノは焦げた蔓を力ずくで引きはがそうとし、すぐに両手を拘束している蔓を引き千切る。そして短剣で身体に纏わりつく蔓を斬り払うと、
「――撃雷!!」
ズドォオオオンッ!!
右腕に嵐と雷を螺旋状に纏わせ、眼の前のアルファに殴りかける。
「おっと!!」
しかし、彼は華麗なステップでそれを避けると、すぐにレノの腹部を蹴り上げる。
ズゥンッ!!
「ぐっ……らあっ!!」
「何!?」
だが、レノは彼の蹴りを耐えるとそのまま右足を掴み上げ、容赦なく「電流」を流し込む。
バチィイイイッ!!
「いぎゃあぁあああっ!?」
大袈裟なまでに悲鳴を上げ、アルファは地面に倒れこみ、レノはバル直伝の寝技に持ち込もうかとしたが、
「ぷっ……プラント!!」
彼は再び地面に掌を置き、無詠唱で呪文を唱えると、瞬時に新しい蔓が地面から生え、今度は鞭のようにしなってレノの身体に叩き込む。
ぴしゃんっ!!
「げふっ……!?」
極太の蔓がレノの身体を叩き込み、そのまま彼を後方に吹き飛ばす。すぐに自由になったアルファは激高したように顔を真っ赤に変え、目を血走らせながら一気に大量の魔力を送り込み、無数の蔓が地面から出現してレノに向い来る。
「この……出来損ないが!!」
「乱刃!!」
ズバァアアアッ!!
咄嗟に脚に「嵐」の魔力を纏わせ、三日月状の嵐の刃が蔓を根元から切り落とす。絞め付けられたら厄介ではあるが、蔓その物は普通の植物であり、攻撃能力はそれほど高くはない。
「くっ……舐めるなガキがぁっ!!」
ボウッ――!!
アルファは両手を地面に置くと、さらに魔力を流し込む。すぐにも新たなが蔓が再生し、今度は蔓同士が螺旋状に巻き付き、まるでドリルのような形に変形して向かってくる。それを見てレノはすぐに右手の掌を向けると、
「風盾!!」
ブォオオオオッ!!
扇風機を思わせる嵐の刃が高速回転し、レノの前に風の障壁を作り出す。そして、蔓で形成されたドリルが衝突する。
ドォォオオオンッ!!
「くっ……」
すぐにもミキサーのように蔓が分解され、周囲に蔓の破片が散らばるが、それでもアルファは何度も再生させ、
「死ねぇええええええっ!!」
先ほどまでの余裕と口調は何処に行ったのか、渾身の魔力を流し込んで次々と新しい蔓の「ドリル」を生み出し、レノに繰り出す。風の障壁を解除する暇も無く、次々と襲い掛かる蔓に防戦一方に追い込まれるが、不意にレノは自分の左手の「Ⅱ」という数字の紋様とアルファの首筋に異変を感じる。
(あれは……まさか?)
――間違いなく、彼の首元に緑色の「聖痕」らしき紋様が浮かんでいた。
ガシィッ!!
「なっ……!?」
近くの樹木に絡みついちていた植物の蔓がまるで蛇の如くレノの右足に絡みつき、そのまま巻き付いてくる。
「このっ!!」
「無駄な足搔きですよ」
ギュウゥウウッ……!!
レノは咄嗟に短剣で切り落とすが、次々と新しい蔓が巻き付いてくる。数秒としないうちに、レノは身体全体を蔓で拘束されてしまう。アルファはそれを確認すると、掌を地面から離し、余裕の笑みを浮かべて木刀を彼の喉元に構える。
「どうです……?これが本物のエルフの力ですよ?」
「……何をした?」
「ちょっと珍しい「植物魔法」という奴ですよ。エルフの「族長」として選出された者だけが許される禁術……というのは冗談ですがね」
彼はレノの身体に巻き付いている蔓の1つを掴み上げ、魔力を流し込む動作を行うとすぐに肉体強化を施されたレノの身体に纏わりつく蔓が万力のように絞め付けてくる。
「ぐあっ……!?」
「ふん……肉体強化の術ですか、悪あがきを!!」
ぎゅうぅうううっ……!!
よりいっそうに絞め付ける力が強まり、まるで身体全身を無数の蛇に巻き付かれている感覚に襲われるが、レノが苦悶の表情を浮かべるのを確認するとアルファは蔓を手離す。彼の手が離れた途端に締め付ける力が弱まり、一気に楽になるが拘束されている事に変わりはない。
幸いというか、短剣は握りしめたままであり、思うように手首が動かせないため蔓を切り落とすことは出来ないが、同時に違和感を抱く。
(……?)
不思議な事に絞めつけてくる蔓から「魔力」が流れ込み、レノの肉体に異変が起きる。肉体強化で痛覚さえも倍増されているが、魔力を流し込まれることで少しだけだが痛みが和らぐ。
以前にも似たような感覚に何度か覚えがある。最初に放浪島の山岳地帯で雪山を歩く中、休憩するために樹木に背もたれしながら倒れ込んだとき、背中から暖かい魔力が送り込まれた。森人族は植物から魔力を吸収する能力が存在し、彼等の血を受け継いでいるレノも同じ能力を持っていても可笑しくはない。
(そうか……そう言う事か……)
耳を澄まして見ると、まるで周囲の木々が悲鳴を上げているように聞こえる。無理やりアルファの魔法に操られ、レノを縛りつけることを嫌がっているようにも思えた。
「……まだ随分と余裕がありますね?ですが、これで終わりですよ」
「うぐあっ……!?」
ぎゅうぅううううっ……!!
再度、アルファが蔓を掴んだ瞬間に大量の魔力が流し込まれ、すぐにも蔓が万力のように締め付けてくる。だが、レノは何とか口を開き、呪文を詠唱することで、
バチィィイイイッ!!
「何!?」
「がぁああああああっ……!!」
強制的に「反魔紋」を発動させ、夥しい電流を身体に流し込むことで、蔓全体に煙が舞う。慌ててアルファが手を離したすきに、レノは焦げた蔓を力ずくで引きはがそうとし、すぐに両手を拘束している蔓を引き千切る。そして短剣で身体に纏わりつく蔓を斬り払うと、
「――撃雷!!」
ズドォオオオンッ!!
右腕に嵐と雷を螺旋状に纏わせ、眼の前のアルファに殴りかける。
「おっと!!」
しかし、彼は華麗なステップでそれを避けると、すぐにレノの腹部を蹴り上げる。
ズゥンッ!!
「ぐっ……らあっ!!」
「何!?」
だが、レノは彼の蹴りを耐えるとそのまま右足を掴み上げ、容赦なく「電流」を流し込む。
バチィイイイッ!!
「いぎゃあぁあああっ!?」
大袈裟なまでに悲鳴を上げ、アルファは地面に倒れこみ、レノはバル直伝の寝技に持ち込もうかとしたが、
「ぷっ……プラント!!」
彼は再び地面に掌を置き、無詠唱で呪文を唱えると、瞬時に新しい蔓が地面から生え、今度は鞭のようにしなってレノの身体に叩き込む。
ぴしゃんっ!!
「げふっ……!?」
極太の蔓がレノの身体を叩き込み、そのまま彼を後方に吹き飛ばす。すぐに自由になったアルファは激高したように顔を真っ赤に変え、目を血走らせながら一気に大量の魔力を送り込み、無数の蔓が地面から出現してレノに向い来る。
「この……出来損ないが!!」
「乱刃!!」
ズバァアアアッ!!
咄嗟に脚に「嵐」の魔力を纏わせ、三日月状の嵐の刃が蔓を根元から切り落とす。絞め付けられたら厄介ではあるが、蔓その物は普通の植物であり、攻撃能力はそれほど高くはない。
「くっ……舐めるなガキがぁっ!!」
ボウッ――!!
アルファは両手を地面に置くと、さらに魔力を流し込む。すぐにも新たなが蔓が再生し、今度は蔓同士が螺旋状に巻き付き、まるでドリルのような形に変形して向かってくる。それを見てレノはすぐに右手の掌を向けると、
「風盾!!」
ブォオオオオッ!!
扇風機を思わせる嵐の刃が高速回転し、レノの前に風の障壁を作り出す。そして、蔓で形成されたドリルが衝突する。
ドォォオオオンッ!!
「くっ……」
すぐにもミキサーのように蔓が分解され、周囲に蔓の破片が散らばるが、それでもアルファは何度も再生させ、
「死ねぇええええええっ!!」
先ほどまでの余裕と口調は何処に行ったのか、渾身の魔力を流し込んで次々と新しい蔓の「ドリル」を生み出し、レノに繰り出す。風の障壁を解除する暇も無く、次々と襲い掛かる蔓に防戦一方に追い込まれるが、不意にレノは自分の左手の「Ⅱ」という数字の紋様とアルファの首筋に異変を感じる。
(あれは……まさか?)
――間違いなく、彼の首元に緑色の「聖痕」らしき紋様が浮かんでいた。
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