種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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学園編

鳳凰学園生徒会

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教科書を読み終えると、クズキは頷きながら拍手し、レノは椅子に座り込むと彼は教科書を片手に黒板に書き込みを始める。


「ダークエルフ君の朗読通り、かつては6つの宝玉が存在しました。ですが、現存が確認されている宝玉は「人間」「森人族」「獣人族」「人魚族」「魔人族」の5つのみですねぇ」


黒板に「巨人族」という文字の下に掛かれた「宝玉」に×マークを書き込み、クズキは教科書に目を向け、


「魔王も「宝玉」を奪った後、流石に無茶をし過ぎたのかそれ以降は表舞台に出てこなくなりましたねぇ。また、宝玉は種族によって色が大きく違います。人間の場合は「白」森人族は「緑」獣人族は「黄」人魚族は「青」魔族は「紫」既に消失していますが巨人族は「赤」ですねぇ」


クズキの説明を聞き終えると、1人の生徒が手を上げて質問を行う。


「あの……宝玉は種族が管理していると言いますけど、本当に実在するんですか?」
「ほう?どうしてそう思うんですか?」
「その……宝玉の伝説は有名ですけど、実際に宝玉が世間に晒されたことはありませんよね?ただ存在だけが知られているなんておかしくは無いかと……」
「なるほど、確かに実物を見たという方々は少ないですね。ですが、宝玉は実在しますよ?正確に言えば、面倒な手続きと莫大な費用さえ払えれば、誰であろうと宝玉を閲覧できますよ」
「えっ……!?」


彼の返答に生徒たちに動揺が走る。当然の事だろう、教科書にはそのようなことは一切乗っていないのだから。レノも宝玉の内容はここに来る前にクズキから教わっていたが、宝玉を閲覧できるというのは初耳だ。まあ、特に興味もないのだが。


「さて、授業を続けましょうか。それでは今度は――」



――その後は何事もなくクズキの授業が進み、語尾が可笑しい時はあるが、基本的に分かりやすくて好評だった。



授業の鐘が鳴り、今度は20分の休憩時間が訪れる。本来ならこの時間帯に次の授業の準備や教室に移動したり、中には雑談や魔法の訓練を行う人間も居る。


「レノ、君も4年生だったな?転入したばかりだから試験は免除されたんだろう?」
「いいな~……」
「うすっ……羨ましい」
「えっと……ははっ」


丁度、レノが入学したこの時期は学園全体で「試験」が終わったばかりであり、全員の気が緩んでいる。そのため、最初の授業だけを受けて帰る生徒も多い。この学園は単位制ではなく、年に二回行われる「試験」で成績を残せれば授業を受けなくても問題ない(授業を受けた方が先生方の印象は良いが)。

レノも今日は1限目だけを受けて、学生寮の庭でもグラウンドでも移動して昨日の魔法の訓練を行うつもりだったが、リノンに肩を掴まれ、


「君に付いてきてほしい所があるんだが……いいかな」
「……か、金は持ってないですよ」
「いや、恐喝じゃないですよ!?」
「俺達、怖くない」


強面の顔を近づけてくるゴンゾウに、レノは教室を出ていこうとするクズキに助けを求める視線を送るが、


「…………(ぐっ!)」


彼は黙って親指を上げて、教室を立ち去る。レノはそんな彼に「裏切り者め……」と口にしている間にも、リノンとポチ子に左右の手を握られ、


「こっちだ。君もきっと気に入るよ」
「く~んっ……楽しい場所ですよ」
「レノ、行く」
「弁護士を呼んでくれ……」


そのまま3人に拘束され、レノは学園内を歩かされた。



――10分後、レノは学園の1階にある「生徒会室」というプレートが掛けられた部屋の前に移動し、リノンがノックをする。



コンコンッ……


「どうぞ?」


中から昨夜に聞いたことがある男の声が聞こえ、リノンが扉を開くと、中には1人の少年が一番奥の豪勢な机に座り込んでいた。彼は間違いなく昨夜に見かけた少年であり、彼以外にも複数の生徒の姿が見える。ほとんどが上級生のリボンを付けており、リノンたちと同じく白を基調とした制服を着こんでいる。

少年以外の人間は事務作業を行っており、数多くの資料を机に置いて確認している。思ったよりも室内の人間は数が多い。



どうやら、リノンたちが着ている白い制服は「生徒会」が着用するものらしい。



「リノン?授業が終わったのか……ん?」


彼女の後ろに居る「レノ」に気が付き、少年は椅子から立ち上がり、4人の元に向かう。すぐに彼は皆を廊下に連れ出し、扉を閉める。


「その子が……リノンが昨日言っていたダークエルフの子かい?なるほど、確かに髪の毛が黒いな」


レノの瞳を真っ直ぐ見つめながら尋ねる少年に、リノンは頷き、


「レノ、この人はこの学園の生徒会長の「アルト」だ。彼は私達よりも1つ学年が上で、一応は学園一の秀才と言われいている」
「一応って……まあいい、僕は「アルト」よろしくね」


アルトはレノに握手を求め、すぐに握り返すと彼は笑みを浮かべながら、


「こんな場所じゃ何だから、食堂に移動しようか」
「食堂か……そうだな、この時間なら空いてるはずだから丁度いい」
「わぅんっ……ドックフードありますかね」
「俺も、腹減った」
「はあ……」


レノ以外の全員が賛成し、そのまま食堂に移動を始めた。
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