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蛇足編
閑話 《猛獣扱い》
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「おらぁっ!!その肉を寄越せ!!」
「何を言うか!!これが吾輩の肉だぞ!?」
「ああ、もう喧嘩しないでください」
「シャアアッ……」
塔の大迷宮の第五階層ではハルナとゴウライが肉を奪い合っていた。この二人は第五階層に留まり、リーリスの元で暮らしていた。二人は第五階層に生息する魔物を狩っては肉を喰らい続けた。
「ふぎぎぎっ!!」
「ぬぐぐっ!!」
「ちょっとちょっと、一つの肉を二人で齧り合わないでください。結構やばい絵面ですから」
「シャアッ……」
二人は骨付き肉を奪い合い、その様子を見ていた白竜は呆れた声を上げる。現在はリーリスの研究所でハルナとゴウライは暮らしており、この二人を利用して彼女はとある研究を行っている。
「おい!!新しい獲物はまだか!?腹が減ったぞ!!」
「もっと強いのを用意してくれ!!」
「全く、仕方ない人ですね。それじゃあ次の魔物を連れてきてください」
「シャアッ」
リーリスは二人に言われて白竜に声をかけると、白竜はコンテナを運び出す。このコンテナには事前に捕獲した魔物が眠らされており、コンテナの扉を開くと中からマンモスのような魔物が現れた。
「パオオオッ!!」
「ほう、マモウか!!これは食いごたえがありそうだな!!」
「腹いっぱい食ってやる!!」
「気を付けてくださいね。マモウは魔法耐性があるので電撃も簡単には通じませんよ」
第五階層に生息するマモウは外の世界で暮らすマモウよりも魔法耐性が高く、大抵の魔法は通じない。しかも獰猛で手が付けられず、生態系を荒すことから定期的に駆除して数を減らさなければならない。今まではリーリスが数が増えすぎたマモウを駆逐していたが、今回はハルナとゴウライに任せることにした。
コンテナから現れたマモウは二つの鼻を生やしており、突然変異によって生まれた亜種だった。通常種よりも鼻が多い分だけ攻撃手段が多く、近づいてきたハルナとゴウライに対して同時に攻撃を行う。
「バオッ!!」
「ぬおっ!?」
「当たるかっ!!」
ゴウライは現在は鎧を脱いでおり、本来の動きで攻撃を躱す。一方でハルナは電流をまとった状態で高速に動き、マモウの横っ腹に拳を叩き込む。
「うらぁっ!!」
「バオッ!?」
マモウの腹にハルナの拳が貫かれるが、頑丈な毛皮によって彼女の拳は受け止められ、衝撃と電撃の威力も吸収されてしまう。事前にリーリスが警告していた通り、マモウは高い魔法耐性を持つので生半可な攻撃は通じない。聖痕餅のハルナの電撃さえも無効化してしまう。
「ありっ!?」
「ふははっ!!どうしたハルナ、調子が悪いのか!?」
「バオオッ!?」
一方でゴウライはマモウが振り下ろした二つの鼻を両脇で握りしめ、力ずくで引っ張り出す。マモウの怪力でもゴウライには及ばず、徐々に巨体が引っ張られていく。
「ふんぬっ!!」
「バオオッ……!?」
「この野郎、それならこっちだ!!」
自分の打撃と電撃が効かないと知るとハルナは攻撃方法を切り替え、マモウの背中側に移動を行う。彼女は全身に電流を迸らせ、マモウの背中から跳躍すると天高く上昇する。
マモウの上空に移動したハルナは全身に電流を帯びた状態で落下し、一筋の雷と化す。電撃の塊となった彼女はマモウの頭部に目掛けて飛び蹴りを放つ。
「ライダ……ハルナキック!!」
「ちょっと!?」
危なげな台詞と共にハルナは雷の如くマモウの頭部に蹴りを喰らわせると、あまりの威力にマモウの巨体が地面にめり込む。
「ッ……!?」
「おお、よくやったぞハルナ!!なわ吾輩が止めを!!」
「あ、てめえっ!!いい所を取るなよ!?」
マモウの鼻を引っ張りながらゴウライは渾身の力を込めると、とんでもないことにマモウの身体が引き寄せられて浮き上がる。持ち前の怪力を生かしてゴウライはマモウの身体を振り回し始め、遠心力が加わったマモウは悲鳴をあげる。
――バオオオッ!?
ゴウライに振り回されながらマモウは悲鳴をあげ、ゴウライは渾身の力で投げ飛ばすとマモウは派手に吹き飛ぶ。しばらくの間は浮かんでいたが、やがて重力に引き寄せられて地面に激突する。マモウが地面に落ちると地震が起きたかのように強烈な振動が走った――
――武器も使わずに素手でマモウを倒したゴウライとハルナは即座に食事を求めてきた。二人はリーリスが用意した水のタンクをがぶ飲みし、彼女が調理を施したマモウの肉を喰らう。
「美味い!!美味いぞ、美味すぎる!!」
「がつがつっ……うめぇっ!!」
「はいはい、おかわりは死ぬほどあるのでそんなに急いで食べなくていいんですよ」
「シャアッ(美味い)!!」
討伐したマモウの肉をハルナとゴウライは夢中に喰らい、白竜もご馳走を分けてもらう。リーリスはそんな彼等を見ながら今後のことを考える。
(中々に言い実験データが取れましたね。それに私が品種改良を施したマモウも始末してくれて助かりました)
実は今回捕縛したマモウは以前にリーリスが遺伝子組み換えを行ったマモウであり、予想を上回る速度で成長したために彼女でも手が付けられず、仕方なく放置していた個体だった。ゴウライとハルナのお陰で第五階層の生態系を荒しかねないマモウを始末できたことに安堵した。
(この調子で御二人に今まで対処できなかった魔物達を駆除して貰いましょうかね)
リーリスが品種改良を施したのはマモウだけではなく、他にも何体も彼女だけでは手が付けられなかった魔物が居た。この機会にリーリスは他の魔物の処理を任せることにした――
「何を言うか!!これが吾輩の肉だぞ!?」
「ああ、もう喧嘩しないでください」
「シャアアッ……」
塔の大迷宮の第五階層ではハルナとゴウライが肉を奪い合っていた。この二人は第五階層に留まり、リーリスの元で暮らしていた。二人は第五階層に生息する魔物を狩っては肉を喰らい続けた。
「ふぎぎぎっ!!」
「ぬぐぐっ!!」
「ちょっとちょっと、一つの肉を二人で齧り合わないでください。結構やばい絵面ですから」
「シャアッ……」
二人は骨付き肉を奪い合い、その様子を見ていた白竜は呆れた声を上げる。現在はリーリスの研究所でハルナとゴウライは暮らしており、この二人を利用して彼女はとある研究を行っている。
「おい!!新しい獲物はまだか!?腹が減ったぞ!!」
「もっと強いのを用意してくれ!!」
「全く、仕方ない人ですね。それじゃあ次の魔物を連れてきてください」
「シャアッ」
リーリスは二人に言われて白竜に声をかけると、白竜はコンテナを運び出す。このコンテナには事前に捕獲した魔物が眠らされており、コンテナの扉を開くと中からマンモスのような魔物が現れた。
「パオオオッ!!」
「ほう、マモウか!!これは食いごたえがありそうだな!!」
「腹いっぱい食ってやる!!」
「気を付けてくださいね。マモウは魔法耐性があるので電撃も簡単には通じませんよ」
第五階層に生息するマモウは外の世界で暮らすマモウよりも魔法耐性が高く、大抵の魔法は通じない。しかも獰猛で手が付けられず、生態系を荒すことから定期的に駆除して数を減らさなければならない。今まではリーリスが数が増えすぎたマモウを駆逐していたが、今回はハルナとゴウライに任せることにした。
コンテナから現れたマモウは二つの鼻を生やしており、突然変異によって生まれた亜種だった。通常種よりも鼻が多い分だけ攻撃手段が多く、近づいてきたハルナとゴウライに対して同時に攻撃を行う。
「バオッ!!」
「ぬおっ!?」
「当たるかっ!!」
ゴウライは現在は鎧を脱いでおり、本来の動きで攻撃を躱す。一方でハルナは電流をまとった状態で高速に動き、マモウの横っ腹に拳を叩き込む。
「うらぁっ!!」
「バオッ!?」
マモウの腹にハルナの拳が貫かれるが、頑丈な毛皮によって彼女の拳は受け止められ、衝撃と電撃の威力も吸収されてしまう。事前にリーリスが警告していた通り、マモウは高い魔法耐性を持つので生半可な攻撃は通じない。聖痕餅のハルナの電撃さえも無効化してしまう。
「ありっ!?」
「ふははっ!!どうしたハルナ、調子が悪いのか!?」
「バオオッ!?」
一方でゴウライはマモウが振り下ろした二つの鼻を両脇で握りしめ、力ずくで引っ張り出す。マモウの怪力でもゴウライには及ばず、徐々に巨体が引っ張られていく。
「ふんぬっ!!」
「バオオッ……!?」
「この野郎、それならこっちだ!!」
自分の打撃と電撃が効かないと知るとハルナは攻撃方法を切り替え、マモウの背中側に移動を行う。彼女は全身に電流を迸らせ、マモウの背中から跳躍すると天高く上昇する。
マモウの上空に移動したハルナは全身に電流を帯びた状態で落下し、一筋の雷と化す。電撃の塊となった彼女はマモウの頭部に目掛けて飛び蹴りを放つ。
「ライダ……ハルナキック!!」
「ちょっと!?」
危なげな台詞と共にハルナは雷の如くマモウの頭部に蹴りを喰らわせると、あまりの威力にマモウの巨体が地面にめり込む。
「ッ……!?」
「おお、よくやったぞハルナ!!なわ吾輩が止めを!!」
「あ、てめえっ!!いい所を取るなよ!?」
マモウの鼻を引っ張りながらゴウライは渾身の力を込めると、とんでもないことにマモウの身体が引き寄せられて浮き上がる。持ち前の怪力を生かしてゴウライはマモウの身体を振り回し始め、遠心力が加わったマモウは悲鳴をあげる。
――バオオオッ!?
ゴウライに振り回されながらマモウは悲鳴をあげ、ゴウライは渾身の力で投げ飛ばすとマモウは派手に吹き飛ぶ。しばらくの間は浮かんでいたが、やがて重力に引き寄せられて地面に激突する。マモウが地面に落ちると地震が起きたかのように強烈な振動が走った――
――武器も使わずに素手でマモウを倒したゴウライとハルナは即座に食事を求めてきた。二人はリーリスが用意した水のタンクをがぶ飲みし、彼女が調理を施したマモウの肉を喰らう。
「美味い!!美味いぞ、美味すぎる!!」
「がつがつっ……うめぇっ!!」
「はいはい、おかわりは死ぬほどあるのでそんなに急いで食べなくていいんですよ」
「シャアッ(美味い)!!」
討伐したマモウの肉をハルナとゴウライは夢中に喰らい、白竜もご馳走を分けてもらう。リーリスはそんな彼等を見ながら今後のことを考える。
(中々に言い実験データが取れましたね。それに私が品種改良を施したマモウも始末してくれて助かりました)
実は今回捕縛したマモウは以前にリーリスが遺伝子組み換えを行ったマモウであり、予想を上回る速度で成長したために彼女でも手が付けられず、仕方なく放置していた個体だった。ゴウライとハルナのお陰で第五階層の生態系を荒しかねないマモウを始末できたことに安堵した。
(この調子で御二人に今まで対処できなかった魔物達を駆除して貰いましょうかね)
リーリスが品種改良を施したのはマモウだけではなく、他にも何体も彼女だけでは手が付けられなかった魔物が居た。この機会にリーリスは他の魔物の処理を任せることにした――
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