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蛇足編
子供の言い訳
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「ば、馬鹿な……私が気配を感じなかった!?」
「気配を殺すのは昔から得意なんですよ」
ヨシテルは簡単に背後を取られた事に動揺するが、レナは暗殺者の技能も複数習得している。それに聖剣の攻撃で精神を取り乱していたヨシテルは背後まで回られていても気づかないのは仕方ない。
「くっ、まさか聖剣を作り出すなんて……」
「卑怯とは言いませんよね?」
「こ、こんなのは剣士の勝負とは言えない!!」
「何を今更……俺は剣士じゃなくて魔術師です。あ、この場合は錬金術師かな?」
剣を扱うといってもレナの本職は「支援魔術師」と「錬金術師」である事は変わらず、ヨシテルはレナを剣士として警戒していただけに彼の思わぬ行動に反応ができなかった。剣鬼であるレナを剣士と思い込んでいたのが彼の敗因であり、あっさりと背後を取られてしまう。
ヨシテルは木刀を突きつけられた状態でも刀から手を放さず、彼はこの状態からでも反撃する事はできた。だが、それを許すほどレナも甘くはなく、彼が刀を抜く前にレナは一撃を叩き込む。
「ふんっ!!」
「がはぁっ!?」
「あ、兄上ぇえええっ!?」
刀を抜く前にヨシテルは後頭部を木刀で小突かれて倒れ込み、それを見たヨシアキは慌てて試合場に上がって彼の身を案じた。
「しっかりしてください兄上!!」
「ううっ……」
「あんまり動かさない方がいいよ」
「お、おのれ!!兄上の仇……私が相手だ!!」
「殺してはないよ!?」
ヨシアキは木刀を手にすると兄の代わりに戦おうとするが、それに対してレナはため息を吐きながら彼を睨みつけた。
「止めろ」
「ひうっ!?」
「ヨ、ヨシアキ様!?」
「どうされましたか!?」
ひと睨みされただけでヨシアキは怯んでしまい、威圧の技能を発動しただけでレナは彼の戦意を喪失させた。ヨシアキとヨシテルは試合場に倒れ込み、それを見ていた兵士達は唖然とした――
――しばらくした後、目を覚ましたヨシテルはレナ達を大広間へ案内した。ちなみにスライムに挟まれて昼寝していたハルナはレナが背負い、シズネとホムラはボロボロの状態で戻ってきた。
「はあっ、はあっ……やるじゃない、大会の時より力を増したようね」
「貴様もな……まさか変身できるとは思わなかったぞ」
「もう、二人とも喧嘩は駄目だよ~」
「私とした事が少々熱くなりました……申し訳ございません」
リンダはティナに宥められて冷静さを取り戻し、自分の行動に恥ずかしさを覚えた。一方でシズネとホムラはお互いに本気で戦った事でわだかまりが解けたのか前よりも仲が良くなっていた。
ちなみに二人の勝負は引き分けで終わり、お互いに全力を出し尽くして戦ったので悔いはなかった。シズネに至っては吸血鬼の能力を解放して挑み、ホムラもそれに対して聖痕の力を発揮して戦ったらしい。
(流石に強いわね。吸血鬼化しても相打ちがやっとだったわ)
(この女、想像以上に強くなっている。まさか吸血鬼だったとはな……だが、他の吸血鬼とは少し違うようだ)
シズネは普段は人間の姿だが彼女は自分の意思で吸血鬼に変貌する事ができる。シズネのように吸血鬼の力を持つ者は特異であり、恐らくは彼女が人魚族の血を継いでいるせいか普通の人間と違って完全な意味で吸血鬼にはなれないのかもしれない。
吸血鬼は本来は満月の夜に真の力を発揮するが、完全な吸血鬼ではないシズネは満月でなくても吸血鬼としての能力を発揮できる。人魚族の血を継いでいる以外に聖痕の力を宿している事が完全な吸血鬼になる事を妨げているのかもしれず、ともかく彼女は人間でありながら吸血鬼の力を使える存在へと変貌していた。
「今回は決着はつかなかったが、次は私が勝つぞ」
「望むところよ。その時は私が圧勝させてもらうわ」
「ふん……威勢が良い女だ」
「なんか二人に友情が芽生えてる」
「シズネも生き生きしている」
「ぷるるんっ」
戦い合った事でシズネとホムラに奇妙な友情が生まれ、それを見たレナ達は安堵した。そして改めて大広間にてヨシテルと話し合いを行う。
「……大変不本意ではありますが、先ほどの勝負は私の負けだと認めましょう」
「え~……」
「偉そうに……」
「あの勝負はレナ様の完璧な勝利です。素直に認められたらどうですか?」
「あ、貴方達!!兄上になんと失礼なっ!!」
不服な表情で自分の敗北を渋々と認めるヨシテルにティナ達は不満気な表情を浮かべるが、そんな彼女達にヨシアキは怒りを抱く。彼からすればヨシテルは負けたといっても剣士としての技量がレナに劣っていたわけではなく、あくまでも魔術師のやり方で勝ったレナに不満を抱く。
「剣の勝負で魔法を使うなんて恥ずかしくないのですか!?」
「恥ずかしく思うわけないよ。俺は魔術師だから魔法で戦うのが当たり前だよ」
「逆に言えば剣士ではないレナ様に剣で戦いをさせる事を強要させたのはあなた方でしょう」
「ううっ!?」
ヨシアキの発言にレナとリンダが冷静に反論すると彼は何も言えず、そんな弟を見てヨシテルはため息を吐いた。
「気配を殺すのは昔から得意なんですよ」
ヨシテルは簡単に背後を取られた事に動揺するが、レナは暗殺者の技能も複数習得している。それに聖剣の攻撃で精神を取り乱していたヨシテルは背後まで回られていても気づかないのは仕方ない。
「くっ、まさか聖剣を作り出すなんて……」
「卑怯とは言いませんよね?」
「こ、こんなのは剣士の勝負とは言えない!!」
「何を今更……俺は剣士じゃなくて魔術師です。あ、この場合は錬金術師かな?」
剣を扱うといってもレナの本職は「支援魔術師」と「錬金術師」である事は変わらず、ヨシテルはレナを剣士として警戒していただけに彼の思わぬ行動に反応ができなかった。剣鬼であるレナを剣士と思い込んでいたのが彼の敗因であり、あっさりと背後を取られてしまう。
ヨシテルは木刀を突きつけられた状態でも刀から手を放さず、彼はこの状態からでも反撃する事はできた。だが、それを許すほどレナも甘くはなく、彼が刀を抜く前にレナは一撃を叩き込む。
「ふんっ!!」
「がはぁっ!?」
「あ、兄上ぇえええっ!?」
刀を抜く前にヨシテルは後頭部を木刀で小突かれて倒れ込み、それを見たヨシアキは慌てて試合場に上がって彼の身を案じた。
「しっかりしてください兄上!!」
「ううっ……」
「あんまり動かさない方がいいよ」
「お、おのれ!!兄上の仇……私が相手だ!!」
「殺してはないよ!?」
ヨシアキは木刀を手にすると兄の代わりに戦おうとするが、それに対してレナはため息を吐きながら彼を睨みつけた。
「止めろ」
「ひうっ!?」
「ヨ、ヨシアキ様!?」
「どうされましたか!?」
ひと睨みされただけでヨシアキは怯んでしまい、威圧の技能を発動しただけでレナは彼の戦意を喪失させた。ヨシアキとヨシテルは試合場に倒れ込み、それを見ていた兵士達は唖然とした――
――しばらくした後、目を覚ましたヨシテルはレナ達を大広間へ案内した。ちなみにスライムに挟まれて昼寝していたハルナはレナが背負い、シズネとホムラはボロボロの状態で戻ってきた。
「はあっ、はあっ……やるじゃない、大会の時より力を増したようね」
「貴様もな……まさか変身できるとは思わなかったぞ」
「もう、二人とも喧嘩は駄目だよ~」
「私とした事が少々熱くなりました……申し訳ございません」
リンダはティナに宥められて冷静さを取り戻し、自分の行動に恥ずかしさを覚えた。一方でシズネとホムラはお互いに本気で戦った事でわだかまりが解けたのか前よりも仲が良くなっていた。
ちなみに二人の勝負は引き分けで終わり、お互いに全力を出し尽くして戦ったので悔いはなかった。シズネに至っては吸血鬼の能力を解放して挑み、ホムラもそれに対して聖痕の力を発揮して戦ったらしい。
(流石に強いわね。吸血鬼化しても相打ちがやっとだったわ)
(この女、想像以上に強くなっている。まさか吸血鬼だったとはな……だが、他の吸血鬼とは少し違うようだ)
シズネは普段は人間の姿だが彼女は自分の意思で吸血鬼に変貌する事ができる。シズネのように吸血鬼の力を持つ者は特異であり、恐らくは彼女が人魚族の血を継いでいるせいか普通の人間と違って完全な意味で吸血鬼にはなれないのかもしれない。
吸血鬼は本来は満月の夜に真の力を発揮するが、完全な吸血鬼ではないシズネは満月でなくても吸血鬼としての能力を発揮できる。人魚族の血を継いでいる以外に聖痕の力を宿している事が完全な吸血鬼になる事を妨げているのかもしれず、ともかく彼女は人間でありながら吸血鬼の力を使える存在へと変貌していた。
「今回は決着はつかなかったが、次は私が勝つぞ」
「望むところよ。その時は私が圧勝させてもらうわ」
「ふん……威勢が良い女だ」
「なんか二人に友情が芽生えてる」
「シズネも生き生きしている」
「ぷるるんっ」
戦い合った事でシズネとホムラに奇妙な友情が生まれ、それを見たレナ達は安堵した。そして改めて大広間にてヨシテルと話し合いを行う。
「……大変不本意ではありますが、先ほどの勝負は私の負けだと認めましょう」
「え~……」
「偉そうに……」
「あの勝負はレナ様の完璧な勝利です。素直に認められたらどうですか?」
「あ、貴方達!!兄上になんと失礼なっ!!」
不服な表情で自分の敗北を渋々と認めるヨシテルにティナ達は不満気な表情を浮かべるが、そんな彼女達にヨシアキは怒りを抱く。彼からすればヨシテルは負けたといっても剣士としての技量がレナに劣っていたわけではなく、あくまでも魔術師のやり方で勝ったレナに不満を抱く。
「剣の勝負で魔法を使うなんて恥ずかしくないのですか!?」
「恥ずかしく思うわけないよ。俺は魔術師だから魔法で戦うのが当たり前だよ」
「逆に言えば剣士ではないレナ様に剣で戦いをさせる事を強要させたのはあなた方でしょう」
「ううっ!?」
ヨシアキの発言にレナとリンダが冷静に反論すると彼は何も言えず、そんな弟を見てヨシテルはため息を吐いた。
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