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蛇足編
隕石の正体
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(砂嵐に巻き込まれたら流石にまずい。あそこに行くしかないか……)
念のためにレナは気配感知と魔力感知を発動させるが特に怪しい反応は感じず、急いで岩が埋まっている場所まで向かう。最初は岩に擬態したゴーレムの類ではないかと警戒していたが、近づいても特に何も起きずに無事に岩の上に降り立つ。
「よっこいしょ……これで大丈夫か」
岩の上に降り立ったレナは砂船も引き上げ、空間魔法を発動させて避難しようとした。砂船は普通の船よりも相当な重量を誇るが、剛力の技能を生かしてレナは持ち上げる。
ゴンゾウのような巨人族ほどではないがレナも99レベルに達しているので人間の中では相当な怪力を誇り、身体強化の魔法を発動させれば小型船程度ならば簡単に持ちあがる事ができた。空間魔法を発動させてレナは避難する際、不意に足元の岩に視線を向けた。
「この岩……本当に隕石なのか?」
砂漠を移動する際にレナは岩山を何度か見かけたが、他の岩山と比べて自分が降り立った岩は色合いが異なり、本当に隕石の類ではないかと考える。しかし、疑問があるとすれば隕石が落ちてきたとしたらどうして砂海に飲み込まれずに浮かんだままの状態なのか気にかかり、砂嵐は迫っているがどうしても気になったレナはアイリスに交信した。
『アイリス、この岩山の正体は知ってる?』
『それは岩山ではありませんよ。本物の隕石です』
『え、本当に!?』
アイリスに確認した結果、レナが発見した岩は本物の隕石である事が発覚した。この隕石は比較的最近に落下してきた代物らしく、誰も存在を知らないらしい。
『こちらの隕石は最近に落下してきたんです。砂海に取り込まれないのは隕石が特殊な成分を含んでいるからです』
『特殊な成分?』
『魔法金属を生成する際に利用される素材と似ていますね。性質は反鏡剣や反鏡盾にも利用される反鏡材と呼ばれる特殊な水晶と似通っています。砂海は地属性の魔力を多分に含んでますから、それを弾く効果を持っている隕石は砂海に埋もれずに浮かんでるんです』
『そうなのか……』
砂漠のような場所では他の地域と比べて地属性の魔力が強く、そのお陰で反鏡剣などの武器は魔法の性質を跳ね替えすため、砂漠に埋もれずに浮かぶらしい。レナが見つけた隕石も反鏡剣と似たような性質を持っており、そのお陰で隕石は砂海に沈まずに浮かび続けているらしい。
まるで海に浮かぶ小さな孤島と化しており、隕石の上に居れば沈む心配はない。しかし、砂嵐等に巻き込まれたら一巻の終わりのため、レナは交信を遮断して避難を行おうとした。
『じゃあ、俺は避難するから……』
『待ってください、その隕石の上にいると魔法は使えませんよ』
『えっ!?』
『さっきも言ったようにその隕石はあらゆる魔法を無効化するんです。だから隕石の近くでは魔法は使えませんし、魔石の類も機能しませんよ』
『嘘ぉっ!?』
レナは隕石の上に降り立ったが故に魔法の類は全て封じられ、これでは岩山に避難する事はできない。それどころか魔石も起動しないのであれば砂船も動かす事はできず、このままでは砂嵐に巻き込まれてしまう。
『どうすればいいの!?このままだと生き埋めになるんだけど!?』
『落ち着いて下さい。大丈夫ですよ、そこに居れば砂嵐に巻き込まれません』
『え、そうなの?』
『砂嵐が発生するのは風の精霊の影響です。風の精霊があらぶっているから砂嵐が起きるんです。だけど、その隕石に風の精霊は近寄る事はできません。存在その物が消えてしまいますからね』
『……なるほど?』
砂嵐が発生するのは風の精霊が集まっているのが原因であり、仮に隕石の近くに風の精霊が迫れば自然と消えてしまう。あらゆる魔法を無効化する効果を持つため、精霊であろうと隕石には近づく事はできない。だから隕石の周囲は砂嵐が近付かず、隕石が落下した際のクレーターが残ったままだった。
レナは砂嵐に巻き込まれない事に安堵したが、魔法が使えないのであれば隕石から離れる事は難しい。船はあっても隕石の周囲はクレーターが形成されており、魔石が使えない状態でクレーターを遡っての脱出は難しい。
『魔法が使えないという事は氷塊の魔法で空を浮かんだり、風の魔法で飛ぶ事もできないわけ?』
『できません。そこにいる限りはあらゆる魔法は無効化されます』
『でも、砂船は隕石に近付けたけど……』
『近付いたんじゃなくてクレーターに入り込んだ時点で魔石の効果は切れたんですよ。だけど、坂から転げ落ちる要領で砂船は隕石の方に近付いたんです』
『という事は……俺、ここから離れられないの!?』
あらゆる魔法を無効化するという事はレナは隕石から離れられず、もしも砂海に落ちたら数秒もせずに飲み込まれてしまう。頼りになる砂船も動かす事はできず、レナは絶対絶命のピンチに陥った。
念のためにレナは気配感知と魔力感知を発動させるが特に怪しい反応は感じず、急いで岩が埋まっている場所まで向かう。最初は岩に擬態したゴーレムの類ではないかと警戒していたが、近づいても特に何も起きずに無事に岩の上に降り立つ。
「よっこいしょ……これで大丈夫か」
岩の上に降り立ったレナは砂船も引き上げ、空間魔法を発動させて避難しようとした。砂船は普通の船よりも相当な重量を誇るが、剛力の技能を生かしてレナは持ち上げる。
ゴンゾウのような巨人族ほどではないがレナも99レベルに達しているので人間の中では相当な怪力を誇り、身体強化の魔法を発動させれば小型船程度ならば簡単に持ちあがる事ができた。空間魔法を発動させてレナは避難する際、不意に足元の岩に視線を向けた。
「この岩……本当に隕石なのか?」
砂漠を移動する際にレナは岩山を何度か見かけたが、他の岩山と比べて自分が降り立った岩は色合いが異なり、本当に隕石の類ではないかと考える。しかし、疑問があるとすれば隕石が落ちてきたとしたらどうして砂海に飲み込まれずに浮かんだままの状態なのか気にかかり、砂嵐は迫っているがどうしても気になったレナはアイリスに交信した。
『アイリス、この岩山の正体は知ってる?』
『それは岩山ではありませんよ。本物の隕石です』
『え、本当に!?』
アイリスに確認した結果、レナが発見した岩は本物の隕石である事が発覚した。この隕石は比較的最近に落下してきた代物らしく、誰も存在を知らないらしい。
『こちらの隕石は最近に落下してきたんです。砂海に取り込まれないのは隕石が特殊な成分を含んでいるからです』
『特殊な成分?』
『魔法金属を生成する際に利用される素材と似ていますね。性質は反鏡剣や反鏡盾にも利用される反鏡材と呼ばれる特殊な水晶と似通っています。砂海は地属性の魔力を多分に含んでますから、それを弾く効果を持っている隕石は砂海に埋もれずに浮かんでるんです』
『そうなのか……』
砂漠のような場所では他の地域と比べて地属性の魔力が強く、そのお陰で反鏡剣などの武器は魔法の性質を跳ね替えすため、砂漠に埋もれずに浮かぶらしい。レナが見つけた隕石も反鏡剣と似たような性質を持っており、そのお陰で隕石は砂海に沈まずに浮かび続けているらしい。
まるで海に浮かぶ小さな孤島と化しており、隕石の上に居れば沈む心配はない。しかし、砂嵐等に巻き込まれたら一巻の終わりのため、レナは交信を遮断して避難を行おうとした。
『じゃあ、俺は避難するから……』
『待ってください、その隕石の上にいると魔法は使えませんよ』
『えっ!?』
『さっきも言ったようにその隕石はあらゆる魔法を無効化するんです。だから隕石の近くでは魔法は使えませんし、魔石の類も機能しませんよ』
『嘘ぉっ!?』
レナは隕石の上に降り立ったが故に魔法の類は全て封じられ、これでは岩山に避難する事はできない。それどころか魔石も起動しないのであれば砂船も動かす事はできず、このままでは砂嵐に巻き込まれてしまう。
『どうすればいいの!?このままだと生き埋めになるんだけど!?』
『落ち着いて下さい。大丈夫ですよ、そこに居れば砂嵐に巻き込まれません』
『え、そうなの?』
『砂嵐が発生するのは風の精霊の影響です。風の精霊があらぶっているから砂嵐が起きるんです。だけど、その隕石に風の精霊は近寄る事はできません。存在その物が消えてしまいますからね』
『……なるほど?』
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レナは砂嵐に巻き込まれない事に安堵したが、魔法が使えないのであれば隕石から離れる事は難しい。船はあっても隕石の周囲はクレーターが形成されており、魔石が使えない状態でクレーターを遡っての脱出は難しい。
『魔法が使えないという事は氷塊の魔法で空を浮かんだり、風の魔法で飛ぶ事もできないわけ?』
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『近付いたんじゃなくてクレーターに入り込んだ時点で魔石の効果は切れたんですよ。だけど、坂から転げ落ちる要領で砂船は隕石の方に近付いたんです』
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あらゆる魔法を無効化するという事はレナは隕石から離れられず、もしも砂海に落ちたら数秒もせずに飲み込まれてしまう。頼りになる砂船も動かす事はできず、レナは絶対絶命のピンチに陥った。
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