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蛇足編
恩返し
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――ゴーンは腕を治してくれたお礼にミスリル鉱石を渡してくれる事を約束した。しかも彼自身がミスリル鉱石を加工し、それぞれの欲しい装飾品を渡してくれる事を約束する。そして一晩でゴーンは約束通りにレナ達が依頼した装飾品を作り出してくれた。
「どうだ?俺の作品は!!」
「おおっ!!」
「これは……綺麗ね」
「キラキラしてる」
「わあっ!!」
「美しい……本当に貰っていいのですか?」
ミスリルの装飾品を渡された女性陣は目を光り輝かせ、王都で一番の腕前を誇るというのは伊達ではなく、ゴーンが作り出した装飾品はどれも美しかった。しかもただの装飾品ではなく、全ての装飾品には宝石代わりに魔石も取り付けられていた。
「そいつを装備していれば魔法の力を強める効果がある。大事に扱ってくれよ」
「ありがとう、気に入ったわ」
「俺の分まで作ってくれてありがとうございます」
「気にするな、この腕の恩人だからな!!」
レナにもゴーンはミスリルの腕輪を作ってくれた。尤もレナの場合は今更魔法を強化する腕輪は必要ないのだが、装飾品としての価値は十分に高いので受け取っておく。ゴーンが腕を治った事で以前のように仕事ができるようになったが、問題なのはゴーンがどうやって腕を治したのか理由を説明するかである。
「しかし、俺の腕が治ったのは良い事なんだが……今から腕を治した事を他の奴等に話すとなると面倒な事になるな」
「え?どうしてですか親父?」
「お前は馬鹿か!?俺の腕は回復薬や回復魔法でもどうしようもなかったんだぞ!!それなのに完璧に戻ったなんて知られたら絶対に他の奴等に問い詰められるだろうが!!」
「それなら今まで通りに義手として誤魔化したらどうなの?人がいる前では義手を取り付けているふりをすれば……」
「駄目だ、義手を付けたまま鍛冶なんてできやしねえ。それに人を騙す事なんて最低の行為だ!!」
ドワーフは嘘を吐く事を嫌い、ゴーンも腕が治った以上は隠し立てするつもりはない。しかし、完全になくなっていたはずの腕を再生したなどと知られれば必ず誰もがどうやって腕を治したのか彼に問い質すだろう。そうなると精霊薬を分け与えたレナも面倒な事に巻き込まれる。
精霊薬の存在は決して世間一般には明かしてはならず、もしも精霊薬の存在が知られれば数多くの人間がそれを求めるだろう。それだけは避けねばならず、レナはゴーンに頼みごとを行う。
「精霊薬の事は他の人には内緒にしてもらえると助かります」
「おう、任せろ。何があっても俺は他の奴には話さねえよ!!ドワーフは約束を破らないからな!!」
「でも……親父は隠し事なんてできるんですか?嘘は苦手なんでしょう?」
「うっ……だ、大丈夫だ!!この腕は勝手に生えた事にする!!」
「そんな嘘なんて誰も信じませんよ!?」
ゴーンは腕が再生した理由は黙っておくと約束したが、彼は隠し事を苦手としていた。そんなゴーンにレナは一抹の不安を抱くが、精霊薬の存在を知られる前に巨人国を去るのが一番の解決策かもしれないと思ったレナは女性陣に尋ねる。
「皆、他に行きたい所はある?」
「行きたい所……そうね、私は巨人国の大迷宮が気になるわ」
「大迷宮?」
「おお、そういえばお前さん達は冒険者か何かか?見た所、相当に腕が立つようだが……」
「え!?そうですか?俺にはそうは見えませんけど……」
「馬鹿野郎!!だからお前は三流なんだ!!一流の鍛冶師なら客を見ただけで力量を計れるようになれ!!」
ムンはレナ達を見てもただの人間にしか見えなかったが、一流の鍛冶師であるゴーンは一目見た時からレナ達は只者ではないと察していた。実際にレナもシズネもバルトロス王国内では一、二を争う剣士であり、リンダもヨツバ王国最強の騎士でコトミンもティナも戦闘能力は低いが優れた治癒魔導士でもあった。
シズネが興味を抱いているのは巨人国内に存在する大迷宮であり、巨人国の王都の近くにも大迷宮が存在するらしい。但し、レナ達が訪れたこれまでの大迷宮とは異なり、巨人国の大迷宮は少し特別な場所にあるらしい。
「巨人国の大迷宮の中で一番の人気が誇るのはアチチ砂漠にあるピラミッドだな」
「アチチ砂漠?」
「この巨人国から少し離れた場所に砂漠があるんだ。まあ、砂漠と言っても半日も歩けば出られるぐらいに小さい砂漠なんだがな。その砂漠の中心にピラミッドと呼ばれる馬鹿でかい三角形の建造物があるんだよ」
「私も噂で聞いた事があります。巨人国の大迷宮はとても変わった形をした建物だと……」
「ピラミッド……この世界にもあったのか」
レナはピラミッドがこちらの世界にも存在した事に驚き、しかも砂漠にピラミッド型の大迷宮が建っていると聞いて勇者が何の目的でそんな物を作ったのか気になった。
「どうだ?俺の作品は!!」
「おおっ!!」
「これは……綺麗ね」
「キラキラしてる」
「わあっ!!」
「美しい……本当に貰っていいのですか?」
ミスリルの装飾品を渡された女性陣は目を光り輝かせ、王都で一番の腕前を誇るというのは伊達ではなく、ゴーンが作り出した装飾品はどれも美しかった。しかもただの装飾品ではなく、全ての装飾品には宝石代わりに魔石も取り付けられていた。
「そいつを装備していれば魔法の力を強める効果がある。大事に扱ってくれよ」
「ありがとう、気に入ったわ」
「俺の分まで作ってくれてありがとうございます」
「気にするな、この腕の恩人だからな!!」
レナにもゴーンはミスリルの腕輪を作ってくれた。尤もレナの場合は今更魔法を強化する腕輪は必要ないのだが、装飾品としての価値は十分に高いので受け取っておく。ゴーンが腕を治った事で以前のように仕事ができるようになったが、問題なのはゴーンがどうやって腕を治したのか理由を説明するかである。
「しかし、俺の腕が治ったのは良い事なんだが……今から腕を治した事を他の奴等に話すとなると面倒な事になるな」
「え?どうしてですか親父?」
「お前は馬鹿か!?俺の腕は回復薬や回復魔法でもどうしようもなかったんだぞ!!それなのに完璧に戻ったなんて知られたら絶対に他の奴等に問い詰められるだろうが!!」
「それなら今まで通りに義手として誤魔化したらどうなの?人がいる前では義手を取り付けているふりをすれば……」
「駄目だ、義手を付けたまま鍛冶なんてできやしねえ。それに人を騙す事なんて最低の行為だ!!」
ドワーフは嘘を吐く事を嫌い、ゴーンも腕が治った以上は隠し立てするつもりはない。しかし、完全になくなっていたはずの腕を再生したなどと知られれば必ず誰もがどうやって腕を治したのか彼に問い質すだろう。そうなると精霊薬を分け与えたレナも面倒な事に巻き込まれる。
精霊薬の存在は決して世間一般には明かしてはならず、もしも精霊薬の存在が知られれば数多くの人間がそれを求めるだろう。それだけは避けねばならず、レナはゴーンに頼みごとを行う。
「精霊薬の事は他の人には内緒にしてもらえると助かります」
「おう、任せろ。何があっても俺は他の奴には話さねえよ!!ドワーフは約束を破らないからな!!」
「でも……親父は隠し事なんてできるんですか?嘘は苦手なんでしょう?」
「うっ……だ、大丈夫だ!!この腕は勝手に生えた事にする!!」
「そんな嘘なんて誰も信じませんよ!?」
ゴーンは腕が再生した理由は黙っておくと約束したが、彼は隠し事を苦手としていた。そんなゴーンにレナは一抹の不安を抱くが、精霊薬の存在を知られる前に巨人国を去るのが一番の解決策かもしれないと思ったレナは女性陣に尋ねる。
「皆、他に行きたい所はある?」
「行きたい所……そうね、私は巨人国の大迷宮が気になるわ」
「大迷宮?」
「おお、そういえばお前さん達は冒険者か何かか?見た所、相当に腕が立つようだが……」
「え!?そうですか?俺にはそうは見えませんけど……」
「馬鹿野郎!!だからお前は三流なんだ!!一流の鍛冶師なら客を見ただけで力量を計れるようになれ!!」
ムンはレナ達を見てもただの人間にしか見えなかったが、一流の鍛冶師であるゴーンは一目見た時からレナ達は只者ではないと察していた。実際にレナもシズネもバルトロス王国内では一、二を争う剣士であり、リンダもヨツバ王国最強の騎士でコトミンもティナも戦闘能力は低いが優れた治癒魔導士でもあった。
シズネが興味を抱いているのは巨人国内に存在する大迷宮であり、巨人国の王都の近くにも大迷宮が存在するらしい。但し、レナ達が訪れたこれまでの大迷宮とは異なり、巨人国の大迷宮は少し特別な場所にあるらしい。
「巨人国の大迷宮の中で一番の人気が誇るのはアチチ砂漠にあるピラミッドだな」
「アチチ砂漠?」
「この巨人国から少し離れた場所に砂漠があるんだ。まあ、砂漠と言っても半日も歩けば出られるぐらいに小さい砂漠なんだがな。その砂漠の中心にピラミッドと呼ばれる馬鹿でかい三角形の建造物があるんだよ」
「私も噂で聞いた事があります。巨人国の大迷宮はとても変わった形をした建物だと……」
「ピラミッド……この世界にもあったのか」
レナはピラミッドがこちらの世界にも存在した事に驚き、しかも砂漠にピラミッド型の大迷宮が建っていると聞いて勇者が何の目的でそんな物を作ったのか気になった。
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