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蛇足編
死んだはずの人間
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「それで?俺達を呼び出した人間は何処にいる?わざわざイレアビトの名前を使って……」
「し、知らないわよ……私もさっきここへ来たばかりよ」
カノンも手紙で呼び出されただけで依頼人とはまだ出会っていないらしく、とりあえずはレナは複数の技能を発動させて警戒を行う。真っ先に気配感知と魔力感知を発動させて自分達以外の人間が隠れていないのかを調べ、その後に観察眼を発動させて家の中の捜索を行う。
以前にレナは感知系の技能を無効化する魔道具を持つ相手とも戦った事があり、常に観察眼を発動させて周囲の警戒を怠らない。今の所は怪しい気配も姿も見当たらないが、用心してレナはアイリスと交信を行う。
『アイリス、聞こえる?』
『大丈夫です。問題ありませんよ』
『俺達を呼び出したのは誰か教えてくれ』
アイリスと交信に成功し、依頼人の正体を率直に尋ねる。本当ならばここへ来る前に尋ねるべき事だったが、手紙の差出人の名前を見て動揺したレナは忘れていた。
『レナさん達を呼び出したのは王妃ではありません。それは安心して下さい』
『そう……なら誰の仕業』
『王妃に仕えていた子供達の仕業ですよ。まあ、今はもう子供と言える年齢ではありませんが……』
『やっぱりか』
予想はしていたとはいえ、犯人の正体を知ったレナはため息を吐き出す。イレアビトは貴族の子供達を育て上げ、自分の側近として働かせていた。彼等は心の底からイレアビトを慕っており、その中にはレナの双子の妹達も含まれている(尤も双子の方はとある一件でレナの事を見直しているが)。
王妃が育てた子供達は元々は王国の有力貴族の跡継ぎであり、現在は実家に戻っているはずだった。ナオが即位後は彼等の家元の貴族は王妃と協力したという理由で現在は権力を失っており、大した脅威ではないと判断された。
『あいつらが俺とカノンを罠に嵌めようとしているの?』
『いいえ、罠ではありません。どうやら御二人に頼みたい事があるそうです』
『頼みたい事?』
『……それは本人の口から聞いて下さい』
アイリスは珍しく歯切れの悪い返事を返すと、交信を打ち切った。レナは不思議に思いながらも依頼人が訪れるのを待つと、やがて家の玄関の方から扉が開かれる音がした。
「来たか?」
「ひっ!?」
玄関から何者かが入り込んだ音が聞こえると、カノンはレナの後ろに隠れる。色々と合ったというのにこんな時に限って自分を盾にする彼女にレナは呆れるが、姿を現したのは意外な人物だった。
「あれ、レナさん?」
「……ミレト?」
「あ、あんたどうしてここに!?」
現れたのは魔槍ロンギヌスを手にしたミレトであり、彼が現れた事にレナもカノンも驚く。その一方でミレトも二人がいる事に戸惑い、手に持っていた手紙を差し出す。
「えっと、この手紙が僕の所に届いてそれでここへ来たんですけど……」
「ミレトも呼び出されたのか……」
「ど、どういう事よ!?いったい誰の仕業なのよ!!こんな質の悪い手紙……!!」
自分だけではなく、レナやミレトも呼び出されていた事を知ってカノンは混乱し、彼女は手紙を投げ捨てようとした。だが、その前に部屋の中で別のに人間の声が響く。
「全員、集まったようね……」
「えっ!?」
「この声は……」
「う、嘘……どうして!?」
声が聞こえた方に全員が振り返ると、そこには全身を緑色のマントで身を隠した人物が立っていた。レナはそのマントを見てかつてヨツバ王国の暗殺部隊「緑影」の暗殺者が身に着けていた「見隠しのマント」と似ている事を知る。
この見隠しのマントを身に着けると「隠密」の技能を発動させるよりも存在感を消す事ができる優れ物であり、ミレトが入り込んだ際に家の中に侵入したらしい。いきなり現れた不審者にミレトは槍を構え、カノンもレナの後ろに隠れながら怒鳴りつけた。
「だ、誰よ!!あんたは何者なの!?」
「……顔を見せてください」
「人の家で好き勝手しやがって……あ、今は家じゃないか」
「…………」
謎の人物はレナ達の言葉を無視して歩み、三人に近付くとマントを脱いで顔を晒した。その顔はレナも見覚えがあり、かつて王妃の側近だった子供の一人で間違いない。
「君は……アマネか」
「……私の名前をよく覚えていたな」
「ア、アマネ!?どうしてここに……」
「アマネさん……?」
アマネは王妃の側近の一人であり、シズネを除けば王妃の側近の中では唯一の女性だった。彼女は「未来視」の能力の持ち主だった。どうやらカノンとミレトとも顔見知りだったらしく、ミレトは嬉しそうな表情を浮かべた。
「アマネさん、生きてたんですね!!」
「……お前も元気そうだな」
「な、何よ驚かせないでちょうだい……あんただったのね、こんな手紙を送り込んだのは」
「黙れ女狐」
「何ですって!?」
ミレトに大してはアマネは微かに笑みを浮かべるが、反面にカノンに対しては冷たく当たる。
※人魚族にもアマネというキャラクターはいますが、気にしないでください(作者が名前を忘れていたなんて言えない……)
「し、知らないわよ……私もさっきここへ来たばかりよ」
カノンも手紙で呼び出されただけで依頼人とはまだ出会っていないらしく、とりあえずはレナは複数の技能を発動させて警戒を行う。真っ先に気配感知と魔力感知を発動させて自分達以外の人間が隠れていないのかを調べ、その後に観察眼を発動させて家の中の捜索を行う。
以前にレナは感知系の技能を無効化する魔道具を持つ相手とも戦った事があり、常に観察眼を発動させて周囲の警戒を怠らない。今の所は怪しい気配も姿も見当たらないが、用心してレナはアイリスと交信を行う。
『アイリス、聞こえる?』
『大丈夫です。問題ありませんよ』
『俺達を呼び出したのは誰か教えてくれ』
アイリスと交信に成功し、依頼人の正体を率直に尋ねる。本当ならばここへ来る前に尋ねるべき事だったが、手紙の差出人の名前を見て動揺したレナは忘れていた。
『レナさん達を呼び出したのは王妃ではありません。それは安心して下さい』
『そう……なら誰の仕業』
『王妃に仕えていた子供達の仕業ですよ。まあ、今はもう子供と言える年齢ではありませんが……』
『やっぱりか』
予想はしていたとはいえ、犯人の正体を知ったレナはため息を吐き出す。イレアビトは貴族の子供達を育て上げ、自分の側近として働かせていた。彼等は心の底からイレアビトを慕っており、その中にはレナの双子の妹達も含まれている(尤も双子の方はとある一件でレナの事を見直しているが)。
王妃が育てた子供達は元々は王国の有力貴族の跡継ぎであり、現在は実家に戻っているはずだった。ナオが即位後は彼等の家元の貴族は王妃と協力したという理由で現在は権力を失っており、大した脅威ではないと判断された。
『あいつらが俺とカノンを罠に嵌めようとしているの?』
『いいえ、罠ではありません。どうやら御二人に頼みたい事があるそうです』
『頼みたい事?』
『……それは本人の口から聞いて下さい』
アイリスは珍しく歯切れの悪い返事を返すと、交信を打ち切った。レナは不思議に思いながらも依頼人が訪れるのを待つと、やがて家の玄関の方から扉が開かれる音がした。
「来たか?」
「ひっ!?」
玄関から何者かが入り込んだ音が聞こえると、カノンはレナの後ろに隠れる。色々と合ったというのにこんな時に限って自分を盾にする彼女にレナは呆れるが、姿を現したのは意外な人物だった。
「あれ、レナさん?」
「……ミレト?」
「あ、あんたどうしてここに!?」
現れたのは魔槍ロンギヌスを手にしたミレトであり、彼が現れた事にレナもカノンも驚く。その一方でミレトも二人がいる事に戸惑い、手に持っていた手紙を差し出す。
「えっと、この手紙が僕の所に届いてそれでここへ来たんですけど……」
「ミレトも呼び出されたのか……」
「ど、どういう事よ!?いったい誰の仕業なのよ!!こんな質の悪い手紙……!!」
自分だけではなく、レナやミレトも呼び出されていた事を知ってカノンは混乱し、彼女は手紙を投げ捨てようとした。だが、その前に部屋の中で別のに人間の声が響く。
「全員、集まったようね……」
「えっ!?」
「この声は……」
「う、嘘……どうして!?」
声が聞こえた方に全員が振り返ると、そこには全身を緑色のマントで身を隠した人物が立っていた。レナはそのマントを見てかつてヨツバ王国の暗殺部隊「緑影」の暗殺者が身に着けていた「見隠しのマント」と似ている事を知る。
この見隠しのマントを身に着けると「隠密」の技能を発動させるよりも存在感を消す事ができる優れ物であり、ミレトが入り込んだ際に家の中に侵入したらしい。いきなり現れた不審者にミレトは槍を構え、カノンもレナの後ろに隠れながら怒鳴りつけた。
「だ、誰よ!!あんたは何者なの!?」
「……顔を見せてください」
「人の家で好き勝手しやがって……あ、今は家じゃないか」
「…………」
謎の人物はレナ達の言葉を無視して歩み、三人に近付くとマントを脱いで顔を晒した。その顔はレナも見覚えがあり、かつて王妃の側近だった子供の一人で間違いない。
「君は……アマネか」
「……私の名前をよく覚えていたな」
「ア、アマネ!?どうしてここに……」
「アマネさん……?」
アマネは王妃の側近の一人であり、シズネを除けば王妃の側近の中では唯一の女性だった。彼女は「未来視」の能力の持ち主だった。どうやらカノンとミレトとも顔見知りだったらしく、ミレトは嬉しそうな表情を浮かべた。
「アマネさん、生きてたんですね!!」
「……お前も元気そうだな」
「な、何よ驚かせないでちょうだい……あんただったのね、こんな手紙を送り込んだのは」
「黙れ女狐」
「何ですって!?」
ミレトに大してはアマネは微かに笑みを浮かべるが、反面にカノンに対しては冷たく当たる。
※人魚族にもアマネというキャラクターはいますが、気にしないでください(作者が名前を忘れていたなんて言えない……)
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