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蛇足編
シルバースライム
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「それで依頼内容は?竜種でも狩ればいいの?」
「流石にそれほどの大物の討伐依頼はないでござるが、少し厄介な魔物の捕獲依頼があるでござる」
「何それ?」
「……レナ殿はシルバースライムをご存じでござるか?」
シルバースライムと言う名前にはレナは心当たりはなく、名前の響きから銀色のスライムを想像する。シルバースライムと聞いて隣に立っていたバルは驚きの声を上げた。
「シルバースライムだって!?まだ生き残りがいたのかい!?」
「え?生き残り?」
「シルバースライムは倒すと竜種と同程度の経験値を得られると呼ばれる伝説のスライムでござる。遥か昔に乱獲されて絶滅したと思われたでござるが、最近になって目撃情報が出ているでござる」
「へえ……そうなんだ」
シルバースライムは通常のスライムの数千倍から数万倍の経験値を保有すると言われており、倒せば竜種を倒した時と同程度の経験値を得られるという。シルバースライムを倒せば一気にレベルを上げる事ができるため、大昔に冒険者や傭兵に乱獲されて現在では絶滅したと思われていた。
最後に発見された報告は数百年前の話であり、バルトロス帝国がまだ健在だった頃にシルバースライムの目撃情報があった。しかし、結局は捕獲までには至らずに姿を消してしまったという。
「何処でシルバースライムが見つかったんだい!?」
「とある鉱山でござる。依頼人はシルバースライムを捕まえた場合、アトラス金貨を10枚用意すると言っているでござる」
「アトラス金貨!?」
アトラス金貨はこの世界の通貨の中で最も価値が高く、日本円に換算した場合は1000万を誇る。それを10枚となると1億円であり、通常ならば有り得ない値段である。
「アトラス金貨を10枚なんてどこの貴族からの依頼だい!?」
「残念ながら依頼者は匿名希望で名前を明かせないでござる。しかし、前金として既にアトラス金貨を1枚受け取っているでござる」
「そんなの送られても困るんだけど……」
依頼主はどうしてもシルバースライムを欲しているらしく、事前にアトラス金貨を送りつけていた。ハンゾウはレナにアトラス金貨を手渡し、流石のレナもこの通貨は持っていない。
「これがアトラス金貨か……魔法金属製なんだよね?」
「複数の魔法金属を組み合わせた通貨でござる。恐ろしく頑丈で魔法耐性も高い事から並の武器では傷つかないと聞いているでござる」
「へえっ……並の武器か」
「ちょっと、何を考えてるんだい!?まさか切れるかどうか試したいと思ったんじゃないだろうね!?」
ハンゾウの言葉を聞いてレナは鏡刀を握りしめるが、慌ててバルは彼を止めた。アトラス金貨がどれほどの硬度を誇るのかは不明だが、簡単には切れないと言われると剣鬼の本能が疼いてレナは試してみたくなる。
「流石に前金のアトラス金貨を切るのは駄目でござるよ。依頼が失敗した場合、前金は返さないといけないんでござるから」
「分かってるよ。とりあえず、異空間に預けておくか」
「兄貴の魔法は本当に便利っすね」
空間魔法を発動させてアトラス金貨を異空間に収納すれば失くす心配はなく、とりあえずはレナは最初に受注する依頼はシルバースライムの捕獲となった。捜索の依頼ならばアイリスから情報を聞くだけで良いため、まずは簡単そうな依頼から引き受ける。
「よし、今回はエリナも連れて行くか。いい修行になるよ」
「えっ!?あたしもですか?それは嬉しいですけど、でもティナ様の護衛が……」
「護衛ならリンダで十分でしょ。うちの子達も居るし……ウルは連れて行くとして、他には誰を連れて行こうかな」
「ダイン達は獣人国に旅だったからね。いつ戻ってくるかも分からないし、うちのギルドの連中も街の復興作業で手一杯だから力は貸してやれないよ」
「氷雨も似たような状況でござる。そもそも氷雨の冒険者が動けたらレナ殿にはお願いしないでござる」
「謹慎中の剣聖たちは当てにならないか……」
謹慎処分を受けた剣聖は現在は冒険者活動を禁止されており、共に連れていく事はできない。他の冒険者も大半は忙しく、今の所はレナの知り合いで手が空いている者は限られていた――
――狼車に乗ってレナはエリナとハンゾウを連れ、とある場所に向かっていた。目的地は巨塔の大迷宮であり、驚くべき事にシルバースライムが発見されたのは大迷宮内である事が発覚した。
「まさか大迷宮でシルバースライムが見つかるとは……」
「むしろ大迷宮だからこそ有り得る話でござる。大迷宮内の魔物はいくら倒しても絶滅しないし、外の世界では絶滅した魔物が出現するという噂も聞いた事があるでござる」
「へえ、そうなんすね」
「知らなかった」
狼車の中にはレナが連れてきたエリナと、マリアからの言い付けでハンゾウが護衛として同行し、ついでにコトミンも一緒に居た。ティナ達も付いて行きたいと申し出たが、近々ヨツバ王国の方から国王が訪れるらしく、彼女は冒険都市から離れられないという事でリンダとペット達と共にお留守番となった。回復役としてコトミンが同行してくれるだけで有難い。
「流石にそれほどの大物の討伐依頼はないでござるが、少し厄介な魔物の捕獲依頼があるでござる」
「何それ?」
「……レナ殿はシルバースライムをご存じでござるか?」
シルバースライムと言う名前にはレナは心当たりはなく、名前の響きから銀色のスライムを想像する。シルバースライムと聞いて隣に立っていたバルは驚きの声を上げた。
「シルバースライムだって!?まだ生き残りがいたのかい!?」
「え?生き残り?」
「シルバースライムは倒すと竜種と同程度の経験値を得られると呼ばれる伝説のスライムでござる。遥か昔に乱獲されて絶滅したと思われたでござるが、最近になって目撃情報が出ているでござる」
「へえ……そうなんだ」
シルバースライムは通常のスライムの数千倍から数万倍の経験値を保有すると言われており、倒せば竜種を倒した時と同程度の経験値を得られるという。シルバースライムを倒せば一気にレベルを上げる事ができるため、大昔に冒険者や傭兵に乱獲されて現在では絶滅したと思われていた。
最後に発見された報告は数百年前の話であり、バルトロス帝国がまだ健在だった頃にシルバースライムの目撃情報があった。しかし、結局は捕獲までには至らずに姿を消してしまったという。
「何処でシルバースライムが見つかったんだい!?」
「とある鉱山でござる。依頼人はシルバースライムを捕まえた場合、アトラス金貨を10枚用意すると言っているでござる」
「アトラス金貨!?」
アトラス金貨はこの世界の通貨の中で最も価値が高く、日本円に換算した場合は1000万を誇る。それを10枚となると1億円であり、通常ならば有り得ない値段である。
「アトラス金貨を10枚なんてどこの貴族からの依頼だい!?」
「残念ながら依頼者は匿名希望で名前を明かせないでござる。しかし、前金として既にアトラス金貨を1枚受け取っているでござる」
「そんなの送られても困るんだけど……」
依頼主はどうしてもシルバースライムを欲しているらしく、事前にアトラス金貨を送りつけていた。ハンゾウはレナにアトラス金貨を手渡し、流石のレナもこの通貨は持っていない。
「これがアトラス金貨か……魔法金属製なんだよね?」
「複数の魔法金属を組み合わせた通貨でござる。恐ろしく頑丈で魔法耐性も高い事から並の武器では傷つかないと聞いているでござる」
「へえっ……並の武器か」
「ちょっと、何を考えてるんだい!?まさか切れるかどうか試したいと思ったんじゃないだろうね!?」
ハンゾウの言葉を聞いてレナは鏡刀を握りしめるが、慌ててバルは彼を止めた。アトラス金貨がどれほどの硬度を誇るのかは不明だが、簡単には切れないと言われると剣鬼の本能が疼いてレナは試してみたくなる。
「流石に前金のアトラス金貨を切るのは駄目でござるよ。依頼が失敗した場合、前金は返さないといけないんでござるから」
「分かってるよ。とりあえず、異空間に預けておくか」
「兄貴の魔法は本当に便利っすね」
空間魔法を発動させてアトラス金貨を異空間に収納すれば失くす心配はなく、とりあえずはレナは最初に受注する依頼はシルバースライムの捕獲となった。捜索の依頼ならばアイリスから情報を聞くだけで良いため、まずは簡単そうな依頼から引き受ける。
「よし、今回はエリナも連れて行くか。いい修行になるよ」
「えっ!?あたしもですか?それは嬉しいですけど、でもティナ様の護衛が……」
「護衛ならリンダで十分でしょ。うちの子達も居るし……ウルは連れて行くとして、他には誰を連れて行こうかな」
「ダイン達は獣人国に旅だったからね。いつ戻ってくるかも分からないし、うちのギルドの連中も街の復興作業で手一杯だから力は貸してやれないよ」
「氷雨も似たような状況でござる。そもそも氷雨の冒険者が動けたらレナ殿にはお願いしないでござる」
「謹慎中の剣聖たちは当てにならないか……」
謹慎処分を受けた剣聖は現在は冒険者活動を禁止されており、共に連れていく事はできない。他の冒険者も大半は忙しく、今の所はレナの知り合いで手が空いている者は限られていた――
――狼車に乗ってレナはエリナとハンゾウを連れ、とある場所に向かっていた。目的地は巨塔の大迷宮であり、驚くべき事にシルバースライムが発見されたのは大迷宮内である事が発覚した。
「まさか大迷宮でシルバースライムが見つかるとは……」
「むしろ大迷宮だからこそ有り得る話でござる。大迷宮内の魔物はいくら倒しても絶滅しないし、外の世界では絶滅した魔物が出現するという噂も聞いた事があるでござる」
「へえ、そうなんすね」
「知らなかった」
狼車の中にはレナが連れてきたエリナと、マリアからの言い付けでハンゾウが護衛として同行し、ついでにコトミンも一緒に居た。ティナ達も付いて行きたいと申し出たが、近々ヨツバ王国の方から国王が訪れるらしく、彼女は冒険都市から離れられないという事でリンダとペット達と共にお留守番となった。回復役としてコトミンが同行してくれるだけで有難い。
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